- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167801946
作品紹介・あらすじ
水木しげる、赤塚不二夫、手塚治虫。漫画界を代表する三人の娘たちが語る、父の素顔、創作秘話、意外な趣味、作品の中のワタシ。大先生の抱腹絶倒の面白話からホロリとさせる父娘のエピソードまで、赤裸々なガールズトークが炸裂。漫画ファンならずとも必読の一冊なのだ。「娘が選ぶ父の傑作漫画」三編も収録。
感想・レビュー・書評
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単行本のときより色バランスのいい装丁に、ふらふらと手に取りました。タイトル勝ちだけど、中身はどうかな?という、ちょっと意地悪な先入観とともに。
ご近所で「○○さんとこのボク/お嬢ちゃん」と呼ばれるのは、とっくの昔にボクでもお嬢ちゃんでもなくなっていても、なんだかきまりの悪いものだと思う。その「○○さん」が、日本で知らぬものはいない人気漫画家だったらどうなのか。本人が意識していなくても、それはいつの間にか、とてつもなく大きく重たい看板となって、ある日突然どさっと落ちてくる(らしい)。この看板の重さをまともに受けたのが、らららの娘さんのように思える。漫画をあきらめ、親の会社ではなく、親と対等に仕事ができる日を目指して、全く別の業界へ進む。それは反骨でもあり、すごくノーマルな心の動きだと思う。
「○○の娘ですが、何か?」「うちのお父さんってねー」と笑いながら話せるようになるには、お三方とも長い時間がかかった末のことだと思うけど、たぶん、気楽にきゃははと話せるのは、息子じゃなくて娘という立ち位置も関係していると思う。性別からして違うから、同じ才能を持っていたとしても、完全なコピー、あるいはそれ以上のものになれるわけがないとわかりきっているからだろう。だから、遠慮もあったもんじゃない。みなさん、お父さま自身や、漫画に描かれる女性観などには「あれはちょっと」と、あっけらかんとダメ出し炸裂!でもそのいっぽうで、「お父さんすごい!」と、率直過ぎるレスペクトも忘れない。これが息子だったら、自身の才能と興味の方向が親と同じでも違っても、なんだか「家業を絶やしてはなんねえ!」という悲壮感が出てくるように思える。それにしても、レレレ父娘のフリーダムな破壊力がすごすぎて仰天してしまうし、「お父ちゃんの漫画には未来がない」と言ってしまえるゲゲゲの姉妹もすごい!
でも、この3人を「今は結局、父ちゃんで食ってるじゃん」と言う人も一定数存在すると思う。たしかにその側面はあるけれども、みなさんがお父さまがたの作品を「神棚に祭られないように」、現役色のあせない作品として伝えていこうとする気持ちや活動は、面白い小説を伝えていこうとする本好きの気持ちや活動と全く変わらないと思う。
脚注も細かくて面白いし、娘さんたちが推す「父の傑作」もそれぞれひねりが効いていて面白かった。編集の妙もあって、飽きずに楽しく読めたインタビュー集なので、この☆の数です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者名とタイトルで一目瞭然、水木しげる・赤塚不二夫・手塚治虫というマンガ界の三巨匠の娘たちが集い、互いの父について語り合った鼎談集である。
企画の勝利、タイトルの勝利としか言いようがない本。
最後の「ららら」だけはわかりにくいかもしれないが、テレビアニメ版『鉄腕アトム』の主題歌の一節から取ったものである(矢作俊彦に『ららら科學の子』という傑作長編もあったっけ)。
『朝日新聞』紙上で行なわれた三者の鼎談が本書のベースなのだそうで、卓抜なタイトルはそのときすでににつけられていたとか。なのに本書が朝日新聞出版から出なかったのは、ちょっと不思議。
三人の「娘」たちは、それぞれ父の画業にまつわる仕事をしている(水木悦子は水木プロ社長、赤塚りえ子もフジオプロ社長、手塚るみ子はフリー・プロデューサーとして手塚作品をもとにした展覧会や宣伝、企画をプロデュースしている)。
つまり三人とも、父と娘という素の関係から父を語れると同時に、ビジネス上の客観的なまなざしからマンガ家としての父を語ることもできるわけだ。そんな共通項をもっているうえに、三人は私生活でも親しいという。
これはもう、三人をよく知る人が「鼎談集を作ろうか」と思うのは自然の成り行きであろう。
手塚るみ子には『オサムシに伝えて』、水木悦子には『お父ちゃんと私』という、それぞれ父と自分について語った著書がすでにある。本書には、それらのいいとこ取りという面もある。それぞれタイプが異なる三巨匠の素顔が、娘の目から赤裸々に明かされているのだ。
三巨匠についてはそれぞれ多数の研究書が書かれているわけだが、それらの本にも出てこなかったエピソード満載(であろうと思われる。私自身が初めて知ったエピソードが多かったから)。
「偉大な父をもつと、子どもは何かとたいへんなんだなあ」と改めて思わせる本だ。たとえば、手塚るみ子は次のように言う。
《作品を読み返すたびに、こんなすごいお父さんだったんだという念がどんどん鮮やかになってきて、没後しばらくは自分を責めてましたね。なんでいままで何にもやってこなかったんだって。あんなすごい人の娘なのに、自分は何もできない人間なんだって、その劣等感と絶望感でメチャクチャでした。》
そして同時に、父親が偉大であろうとなかろうと、父と娘の関係というのは普遍的だなあ、とも思わせる本だ。
手塚治虫はイメージどおり家庭でもよき父で(多忙すぎて家族との時間は乏しかったが)、にもかかわらず手塚るみ子は思春期以降、父への反発をくり返す。
赤塚不二夫はイメージどおりの「放蕩親父」で、高校生だったりえ子を連れて愛人と海外旅行に行ったりする(!)。周知のとおりアルコール依存症でもあったし、りえ子はほとんど「アダルトチルドレン」である。それでもりえ子は父を、母と離婚したのちもずっと愛しつづける。
父親としての水木しげるはイメージどおりに飄々としており、悦子との関係は激しい波風もなく良好だ。
そのように、三人の「娘」たちが語る父との関係には、「父と娘の関係の三類型」という趣がある。
どうでもいい話も中にはあるが、総じて面白いエピソード、心にしみるエピソードが多く、三巨匠それぞれのファンなら読んで損はない本。 -
著名な漫画家の娘さん、三人の父親談。
別の角度から、名作が生まれる人間くさい現場が垣間見られる。
有名な作品以外も読んでみたくなりました。 -
表題が出来すぎていて見たら手に取らざるを得ない。やられた。
どんな伝記よりもリアルな伝記。娘に丸裸にされて、生前だったらやめてくれーと言うんじゃないかな。
さてうちの、いとしの娘は将来何を言い出すか。こわくもあり、楽しみでもある。
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漫画家というか、有名人の子供って大変なんですね。
それでも、この3人は同じような境遇の人たちに出会えて良かったね。
昭和の時代の漫画家さんは、今の私たちには理解できないです。 -
タイトルと表紙の装丁に吸い寄せられて。タイトル考えた人の勝ち。語呂がよすぎる。水木しげる、手塚治虫、赤塚不二夫。大漫画家を父に持つ同年代の女性3名による対談集。
漫画家の素顔、著名な父をもつ苦労、父と仕事をするということ。「まんが道」などを読んでもわかるけれども、当時の漫画家の忙しいこと忙しいこと。ものすごい働いている。そんななかで家族にみせる素顔から人柄がかいまみえる。
娘たちが著名な漫画以外も知ってほしいとの想いで掲載された漫画は、どれも味があってよかった。代表作以外も読んでみたくなった。 -
崇拝者が巨人と仰ぐ対象も、家人から見れば等身大の人間である。三巨人は年齢もバラバラなのに、お嬢さんは不思議と同年代。加えてこのタイトル。発案者は会心の笑みを浮かべたことだろう。
お嬢さんフィルターを通しても、三巨人はスケールを超えている気がした。「娘が選ぶ父の傑作漫画」は、コメント込みで楽しめた。 -
以前から気になっていた書籍が文庫化されたので購入
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読了。
面白エピソードとか色々笑えて面白かった。
そしてやっぱり作品と人柄と家族ってなんとなく結びついているんだな〜と思ったことであることよ。
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読中。
本屋でちょっとつまみ読みして面白かったので購入したけど、いま金額気づいたけどページ数を考えたらすげい高くね?(・∀・;
とりあえず全員面白いくらい父親似でワロタwww(特に水木さん)