紅染の雨 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167810023

感想・レビュー・書評

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  • やさしく笑いあり、涙ありと…心を溶かす物語です。
    紅染(べにぞめ)の雨 ー 切り絵図屋清七シリーズの2作目
    2011.10発行。字の大きさは…中。2022.06.04~10読了。★★★☆☆
    紀の字屋清七は、人の心の痛みが分かるやさしい気持ちの持ち主です。その清七が、御府内の町の切り絵図を作る仕事を始めます。江戸の町を颯爽と駆け抜ける人情物語です。
    竹の春、紅染の雨、夔(き)の神、の連作中編三話。

    【竹の春】
    日本橋の金貸し天野屋は、金策に困って返済ができない所に金を貸し、返済ができなくなると店の土地建物を乗っ取る方法で金を貯めてきた。此度、清七の知人が、天野屋から借りて返済できずに、とうとう死人が出た。知人が、犯人に仕立てられそうになり清七が…。

    【紅染の雨】
    おゆりの父は、徒目付のお役目から帰ると自害して果てた。そして母が心労で病になり、おゆりが吉原へ行く、紀の字屋の藤兵衛が身請けして。紀の字屋で藤兵衛の娘として暮らすおゆりが、昔の許嫁に騙されて金を貢がされている。清七は、居ても立っても居られず…。

    【夔(き)の神】
    紀の字屋の与一郎の父・惣兵衛が、江戸は深川の富岡八幡宮で、唐の国の伝説の生きものらしい「夔の神」の出開帳をするために江戸へ出てきた。夔の神は、下半身は一本足で、奇怪なというか…顔は猿とも人ともつかん、獣の顔に見えるが、この世に存在するものでない。その夔の神が盗まれた。これには大奥の御中臈が係わっていると…。
    夔(き)は、中国神話における神、動物、人物、または妖怪のこと。

    【読後】
    藤原さんは、物語の主要登場人物を丁寧に分かりやすく書かれます。そのため理解が早く、物語にす~と入って行けます。此度は「紅染の雨」で、謎に包まれていた紀の字屋のおゆりについて明かします。テンポがよく、余分な文書(捕物だと探索の時間で本の多くの部分を費消)がなく、物語がやさしく、笑いあり、涙ありと…展開が早いです。
    三話の中で、ゆれるおゆりの心を書いた「紅染の雨」が良かったです。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ◎紀の字屋清七は、勘定組頭で旗本三百石長谷半左衛門が、台所女中に産ませた子です。母が亡くなっあと長谷家に引き取られるが。長谷家では、父・半左衛門の次男としてではなく、家士(家来)として扱われ。幕府へは、子としての届けを出していません。半左衛門を父とは呼べず旦那様と呼んで育つ。
    清七が、22才の時に屋敷を出て長屋で暮らしながら浮世絵や絵双紙を扱う「紀の字屋」で働きだします。25歳の時に、紀の字屋を任され。両刀を捨て町人となり、名も「長谷清七郎」から「清七」と改め。清七、小平次と与一郎の三人が中心になって。幕府の普請方が、御府内の道路、水道、町屋敷、武家屋敷などの変遷を知る必要に迫られて作成した御府内の「御府内往還其外沿革図書」という絵図を基にして、御府内の切絵図を作ることを始めます。まず最初は、江戸城御曲輪内の切り絵図と、外桜田門の絵図を七色の色刷りで作り各百文で売ります。
    〇小平次は、一家で紙問屋津野屋に世話になっていたが、店を乗っ取ろうとした番頭の房次郎に謀られ父が毒殺され。津野屋の主人も毒殺され。房次郎は、小平次が秘かに想いを抱いていた津野屋の一人娘・おふくと祝言を挙げ店を乗っ取ります。小平次は、荒れ狂いとうとう巾着切り(掏摸)に身を落とします。そこを紀の字屋の先代に助けられます。
    〇与一郎は、紀の字屋に出入りしている絵師で甲州石和の名主惣兵衛の息子です。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 切り絵図屋 清七は、武士を捨てて、町人として、与一郎と小平次と共に切り絵図の制作を始める。

    3話からなる。
    第1話の「竹の春」は、「馬琴さんの昔のお住まいですか、、、」から物語が、始まる。
    勘定見習いの大野菊馬が、先輩達に、虐められ、殺人の罪を疑われる。
    清七が、助けたおるいと、共に、大野も、無実を、晴らしてやる。
    第2話 「紅染の雨」は、「あさりーしーじーみーよぉい、、」との掛け声からはじまる。
    昔、武家の娘であったおゆりは、許婚だった初之助に、お金の無心を頼まれ、質屋に通う。
    しかし、初之助の嘘に、最後には、別れを告げる。

    第3話は、「きの神」(きの漢字が、難しくて、出てこない)
    「なあに、人気の浮世絵師の摺りも結構ですが、、、、」と、始まる。
    与一郎の父親の名主総代が、35人を引き連れて、甲州街道から、内藤新宿に到着する。
    成田山をそっくりまねての出開帳計画である。
    しかし、霊験あらたかなる「きの神」が、盗まれてしまうのである。
    大奥も絡んだ盗みであり、与一郎の父も、責任重大であったのを、無事に「きの神」が、戻って来る。
    お札を刷った清七たちも潤って、めでたしめでたし、、、。

    3話共、出だしが、会話文で、始まる。
    第2話の、物売りの声とか、、、つい、読んでしまうような、書き出しのうまさに、藤原緋沙子の小説の本に、手が行ってしまう
    のは、私だけであろうか?

  • シリーズ2作目。

    例によって忘れていること多しのシリーズ物だが、読んでいるうちに思い出してくる。

    少しずつ周りの登場人物のこともあきらかになってきた。
    この先どうなっていくのか。

  • 第二弾
    今回も三話構成、おゆりのある程度の過去が明かされる。
    1巻と登場人物に変わりないが、それぞれの係わりある関係に進展はない。

  • 図書館司書に薦められた本。
    2巻。
    これだけ読んでも、内容に困ることはないが、1から読みたかった。
    武家を捨てて、町人として生きることになった主人公の周りで起きる事件に奔走する。
    さらっと読みやすく、人情味があるところが好みにあっていた。

  • 2 切り絵図屋清七
    男三人の友情物語か。殺人はあるけど動機も犯人も超脇扱いで本筋にはほぼ関係なし。こうなると清七郎の武家復帰しか楽しみがないような。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    武家を捨て、町人として生きる決意をした清七郎改め清七。与一郎や小平次らと切り絵図制作を始めるが、絵双紙本屋・紀の字屋を託してくれた藤兵衛から、世話をしているおゆりの行動を探ってくれと頼まれる。男と会って金を渡しているおゆりを見て動揺する清七だったが。江戸の風景を活写する人気書き下ろし時代小説第二弾。

    令和元年12月18日~19日

  • 2016.07.27.読了

    切り絵図屋清七 二巻目
    おゆりの事がわかった巻き

  • 107

  • シリーズ第2弾

    藤原さんのシリーズは似てるんだけど、微妙に違って、それぞれがいいなあ

    しかし、まあいろいろ思いつきますねえ~

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著者プロフィール

藤原緋沙子(ふじわらひさこ)
高知県生まれ。立命館大学文学部史学科卒。シナリオライターとして活躍する傍ら、小松左京主催の「創翔塾」で小説を志す。2013年に「隅田川御用帳」シリーズで第2回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞。本書は土佐の絵師として人々の幸せを願い描き続けた金蔵の生涯を温かい眼差しで活写した渾身の時代小説。著者の作家生活20周年記念作品である。著書に「橋廻り同心・平七郎控」シリーズ(祥伝社文庫)他多数。

「2023年 『絵師金蔵 赤色浄土』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原緋沙子の作品

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