追撃の森 (文春文庫)

制作 : Jeffery Deaver  土屋 晃 
  • 文藝春秋
3.51
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本棚登録 : 612
レビュー : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167812065

作品紹介・あらすじ

襲撃された山荘から逃れた女性を守り、森からの脱出を図る女性保安官補。
決死の逃走の末の連続ドンデン返し!

ジェフリー・ディーヴァーの新作が文庫オリジナルで登場! ITW長編賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 女性警官が深夜の森林をひた走るスリリングな作品。
    ジェフリー・ディーヴァーの久々のノン・シリーズです。

    ブリン・マッケンジーは、ウィスコンシン州の女性保安官補。
    家庭でくつろいでいた夜、通報で一人、別荘地に向かうと、夫婦の遺体が!
    殺し屋二人に追われ、夫婦の友人の女性ミシェルと共に、広大な森林公園を逃げ回ることになる。
    これといった装備も、携帯もないまま、いかにして闘うか。
    殺し屋の正体は?
    警察や夫は、いつ事態に気づくのか‥?

    8割が一晩の出来事で、すぐ緊迫した状況になり、引き込まれます。
    ブリンは優秀で隙がないタイプだが、仕事中毒気味。バレリーナのような体型だそう。
    造園師のスティーヴンと再婚していて、最初の結婚で出来た息子ジョーイには、問題行動が起きています。
    それを知り始めた夫との間にも、亀裂が‥
    おしゃれで若いミシェルは何かと足手まといになるのですが、一緒に逃げ回るうちにふと、心を打ち明けたりします。

    殺し屋ハートは職人気質で、相棒のルイスと組むのは今回が初めて。
    ハートに比べれば素人同然のルイスのいい加減さに苛立ちを抑えつつ、追いつ追われつのブリンの賢さに自分に似たものを感じ始めます。
    このへんも読みどころ。

    どんでん返しは、ディーヴァーなら期待しますよね。
    そのへんも抜かりなく。
    ただ、最後までスリル満点かと思うと~そうじゃない!というどんでん返しになっていたりする。
    ブリンの家庭の問題は、じわじわと。
    ブリンの物語という意味では、全体を通してじっくりしたペースになっているようです。

    結末もあまり親切な書き方ではないので、ぱーっと夢中で読み進んじゃうと、何が起きているのか、わからないままになる読者もいるかも?
    誰が嘘をついているのか、どこは嘘ではありえないのか?だまされないで!
    最初の印象ほど悪くない人もいるけど。
    正体を上手くごまかした悪人もいる。
    ネタばれになっちゃうんで~書くのが難しいけど‥
    けっこうハッピーエンド‥☆

    翻訳もスピード感が出ているのは良いと思います。
    ただ訳語が硬めで、とくに叫喚とか蛙鳴はないんじゃない‥?

    2008年の作品。
    2012年翻訳発行。
    ディーヴァーの傑作を★5つとするなら★4かなという気もするんだけど‥
    全体の水準で4.5以上はいってるよね~ということで、5つに。

  • ライム・シリーズのようにいくつかの事件が起こって・・・を予想していたら、最初の事件現場から追撃が始まる。物語の3分の2は森の中。これがおもしろい。相手の考えの裏をかく、だましだまされ、ついつい読んでしまう。
    後半のどんでん返しは、やり過ぎというか、そこまで複雑にしなくても十分面白いのに、とちょっと引いてしまう。
    いつものジェフリー・ディーバの作品。

  • 2019.8.14 読了

    初めてのジェフリー・ディーバー作品

    広大な森の中での追走劇が殆どのストーリー。
    追われる保安官と追う殺し屋との心理戦ややりとりはもちろん細かく引き込まれるが、少しづつ見えてくる新しい筋。

    中盤からシンプルな追走劇ではなくなり、二転三転プラスの結末。

    それぞれの人間模様やドラマも良いバランスで描かれている。

    最初は入りづらかったけど、映画を見ているようなエンターテイメント性も感じて面白かった。

    ボーンコレクターをますます読みたくなった。

  • リンカーン・ライムシリーズと同じ作者だったので。

    何の根拠もないが確信があった。

    遺体を発見した女性保安官補が、犯人たちに追われ森に逃げる。
    犠牲者の友人の女性とともに。
    逃げる女性二人に追う男性二人。
    だまし、だまされて、だまされずに、だまされたふりをして。

    でも、保安官補と逃げていた女性が、
    本人の言っている人物でないことは明らかだった。
    だてに、この作者の作品を読んで来ている訳ではない。
    ただの嘘つきではなく、悪い人だと確信していた。

    追っていた男の最期があっけなくて残念だった。

  • ジェフリー・ディーヴァーおなじみの大どんでん返しがある。

  • 地図があったら良かったかも。調べようと思うほどではなかった。

  • 殺し屋vs保安官補の手に汗握る一夜の対決

    ノンシリーズであるが、登場人物の設定がしっかりしているので物語にグイグイ引き込まれる。一晩の出来事を追う側、追われる側と視点を巧みに変えて、緊張感が途切れることなく描く手腕はさすが。ディーヴァーならではのどんでん返しもしっかり用意されていて期待を裏切らない。しかもノンシリーズだからのこその意外な展開!?殺し屋好きとしては、プロフェッショナルで粋なハートの活躍がもっと見たかった!

  • とにかくスピーディー。
    逆転につぐ逆転で、果たして終わりは来るのだろうか?まさか2とかに続かないよね?と思ってしまったほど。笑
    襲撃者のハートがどこか憎めない奴なので、2も有りかなとも思ったり。

  • 本書に関する多くのレビューが翻訳者や解説者の問題を指摘していますが、イマイチなのはやはり本書の内容自体にあります。
    560Pある本書の多くのページを費やしている逃亡劇ですが、帯のうたい文句にあった「知力を駆使した戦い」というほどのものはありませんし、むしろ退屈でさえありました。
    やはり、標準以上のレベルが期待できるリンカーン・ライムシリーズには及びませんね。

  •  ディーヴァーにしては珍しい作品だと思うのが本書の初期段階。オーソドックスなスリル&サスペンスですか? 森の中の別荘を舞台に、二人の男女が惨殺されるシーンに幕を開け、そこに駆けつけた女性警察官が巻き込まれる。それだけではなく、殺人犯二人組の視点でも書き込まれる。追跡と逃走の森のなかの物語。まさにタイトル通りのオーソドックスな冒険小説『追撃の森』といったシチュエーション。これは本当にディーヴァーなのか?

     ところがどっこい中盤に来て、どこかおかしいとなってゆく。意外なる展開。裏切りに満ちた展開。巻き込まれゆく、ヒロインの家族。一体、どうなってゆくのかがわからなくなる、追撃の終わり。予感は正しい。そう、ディーヴァーの小説がシンプルな対決構図だけで終わるわけがない。ここからがこのツイストが命な作家の面目躍如たるところ。

     そして登場人物たちの意外な裏の顔と、さらに巻き込まれてゆくヒロイン一家。女性主人公で必然とされるのが彼女の抱えるホームであり、男性一匹狼刑事小説のように暴力こそ仕事というのではないあたりに味噌があるのだ。愛する夫との間に不信の疑惑、不良化する噂を抱えた息子の子育て問題、そうしたホームドラマの要素も含めて、すべてを逆転させてゆく作家の錯綜した物語を追うにつれ、これがあのシンプル・プランみたいに始まった小説と同じ世界かと思わせる。

     そして対決構図は森から脱出後に予想した図面とは全く違ったものに変わってゆき、再逆転! ストーリーはすべてネタバレになるので書くことができないもどかしさをそのままに、といった趣きで口を閉ざすしかないのだが、リンカーン・ライム・シリーズの単純構図に飽きた御仁には、この人の短編作品と同様、本書も実にお勧めしたい一冊。ディーヴァーはひねってなんぼ、というイメージが定着しているが、オフ・シリーズ作品ならではの先の読みにくさも、読書の確たる醍醐味ではないだろうか。

     森と夜に始まり、警察署を軸にした終盤部分で、いろいろなことのつじつまが合ってくる。裏切りと懐疑と誤解とのフィルターが幾重にも仕掛けられていた一方で、人間の愚かさや弱さが見えてくる気がする。人は自分の信じている真相ではないものを見たいように見て、信じたいように信じ込んでしまう。そんな弱さと、弱さから脱すべき希望とを同時に与えてくれるあたり、作者が連続ツイスト仕掛けの果てに見せてくれる、読者への優しき眼差しなのだろう。

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