- Amazon.co.jp ・本 (668ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167812218
感想・レビュー・書評
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ディーヴァー流
投げっぱなしジャーマンスープレックス
リンカーンライムを読み慣れた方にとっては
「一捻り加えて、さらに一捻りの…終わった!」
と叫びたくなる様な、放り投げ方をします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジェフリー・ディーヴァー ポーカー・レッスン
最後の解説で、作者自身が自分の考える「恐怖」について、5つのテクニックを惜しみなく披露しているのだがそれが白眉。これだけでも読む価値アリアリアリアリ!アリーヴェ・デルチ!(これでわかったひとはあたしと親友になってください)
と、さよならじゃなくて進みましょう。
ここで語られる5つの要素は
1. 未知に対する恐怖
2. 他人に生殺与奪権を奪われる恐怖
3. 自分をコントロールできなくなった他人と言う恐怖
4. 自分がコントロールを失う恐怖
5. 恐怖のシンボルのちらみせ
そうしてリッチにも丁寧にも、この5つの要素がどう使われているのかを、この短編集の1つをピックして丁寧にあてはめてくれちゃいます。うーん。フルコースを味わったあとにその料理を丁寧に調理方法から見せてもらっているくらいに手取り足取り腰取りの慇懃さ。最高のカタルシスです。ぼー。
ちなみにこの解説を読んだあとにもう一度短編集を振り返ると、ガイドブックつきでゲームをしているみたいに作者の意図が見えて楽しい。あたしは昔から完全にガイドブックを見ながら全部味わいつくすゲームの仕方が好きだったので、この手法ぴったりで。短編としても1つ1つとてもうまくできていて、今回は誰がだまされるのか、誰が最後にほくそ笑むのか、なかなかわからなくてよかった。
ライムものはボーンコレクターで、主人公の鬱屈した性格に「面倒くさい・・」と思った記憶しかなく遠ざかっていたのだけれど(そうしてこの短編集でもライムの登場してるのが一番つまらなかった)、この短編は面白かったな~。くるぞくるぞと思って身構えてやっぱり来るんだけど、そのお約束感ふくめてよかった。最後に解決されないまでも必ず落とされる。ジェットコースターカタルシス?とも思ったがこの感じ、ちょっと逆水戸黄門という感じだ。 -
ジェフリー・ディーヴァーの作品を初めて読みました。大変面白かったです。どの話もビックリするようなどんでん返しがあって、読み終わった後に「あーそうだったんだー」と感心してしまいました。
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どんでん返しがあると分かっていてもゾクリとする短編集。ライム物は一作だけ。
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面白かった~。
短編集なのだから、キリのいいところでやめればいいのに、ページを繰る手が止まらなくて読み終わったのは今朝の6時。
いつもより1本遅い電車で通勤することになってしまった。
中学の時に星新一を読みまくり、高校でフレドリック・ブラウンにドはまりした私にとって、短編小説の一番の醍醐味は、ひとひねりの着地。
長編のプロットではなく、切り取られた断面でもなく、ひねりのある結末。
それを見て、ニヤリ。
この短編集は、どれもこれも読み始めに見えていた景色が、気づくとどんどん変わって行って、この辺に着地するのではという予想はことごとく横滑りしていって、いっそのことすがすがしい。
必ずしも勧善懲悪ではないけれど、不快感はなく、却って気持ちよくだまされているくらい。
「通勤電車」と「生まれついての悪人」が、なかでも面白かった。
特に「生まれついての悪人」は、もう一度最初から読み直して齟齬がないか確認してしまったほど。
家族小説のアンソロジーとかに入っていたら、ショックのあまりトラウマになってしまうかも。
そのくらい折り返し点からの畳み掛けがすばらしい。
作者が仕掛けてくるはずと注意して見れば見るほど、気持ちよくミスリードされてしまう。
ずっしりと読み応えのある長編もいいけれど、すこーんと気持ちよく視点を転換させられる短編で、頭の中が少しほぐれたような気がします。 -
前作クリスマスプレゼントでも感じたが、
ディーヴァーは短編がうまい!
話が残酷というか陰惨になればなるほど、
そのあとのどんでん返しが冴えるので、面白いかな。
実はこの人が犯人でしたの、「トンネルガール」。
プリズンブレイクを思い出す「36.5度」。
ベストは、まさかまさかの話の展開となる
「生まれてついての悪人」かな。
最後の別れをしたあとの、余韻の残し方が
感動的です。 -
短編ミステリって、物足りなさを感じて、やっぱりある程度のページ数がないと難しいなという感想が抱くことが少なくなかった。
でも、これは大満足!
「クリスマス・プレゼント」も読もうかな。