ポーカー・レッスン (文春文庫 テ 11-24)

  • 文藝春秋
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感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (668ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167812218

作品紹介・あらすじ

ドンデン返し×16――名匠の傑作短編集強烈なサスペンスで読者を捕え、見事に騙してみせる――現代最高のミステリ作家が贈る極上の驚愕。リンカーン・ライム登場作も収録。

感想・レビュー・書評

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  • ジェフリー・ディーヴァーの短編集です
    本当はとんでもない傑作揃いの★5なんだけど中に我らがホームズを茶化した短編があるので大幅減点の★3です

    読み終わった後に思わず「このクソヤンキーめ!(失礼、ご婦人方)」と声に出してしまうほどです
    だいたいアメリカ人はホームズを軽く見すぎだ(思い込み)
    もうディーヴァー嫌いになりそう(ならないけど)

    他の短編についてはもうすごいとしか言いようがないです
    最後の数行できれーいにひっくり返ります
    ほんときれいに180°

    これはもうミステリーのショートショートと言ってもいいのではないかと思います
    星新一先生ばりの、文字数多いけど

    最近そもそもミステリーとSFの境界線ってなんぞや?って思ったりします
    そこには誰かが引いた目に見えない線があるだけでとても超えられそうにない高い壁があったり、底の見えない深い溝があったりするわけじゃなく地続きで簡単に行き来できるもんなんじゃないかと思ったり
    どこかの国と国の国境みたいな

  • 「クリスマス・プレゼント」に続くジェフリー・ディヴァーの第二短編集。
    どんでん返し16連発!

    一つ一つ違う世界にすぐ引っぱり込み、捻った結末へ持っていく腕前はさすが。
    レベルが高いです。
    ただ、短編だとブラック・ユーモアになりがちだし、違う犯罪が次々に出てくるわけで、続けて読むには~こんな酷い目にあわなくてもという気がしてきて、ちょっと‥
    少しずつ読んでいたら、日数がかかりましたね。

    車内で携帯電話をかけていた男に起きる、思いがけない災難。
    ポーカーゲームで儲けようと企んだ少年の勝負は‥
    猛暑の日に、不穏な家を訪れた男は‥?
    19世紀末、宝石が盗まれた事件をめぐって、推理合戦となったのは、なんとホームズ?!
    とバラエティに富んでいます。

    お馴染みリンカーン・ライムらが登場する「ロカールの定理」も。
    短編だけに、いつもより軽快なタッチで、頼りになる証拠が最初はまったく見つからない難事件に挑むことに。

    「生まれついての悪人」が一番印象深かったです。
    一家の教育に馴染まなかったわが子を思う親の回想からしっとり入るのですが‥

    ディーヴァーの恐怖論というか、作品の書き方についての文章のおまけ付き。これ、面白く読めました。
    読者をジェットコースターに乗せて、最後は無事に降ろしてあげなければならない、とのこと。
    長編のほうがそういう安心できる読後感は強いかな、と思います☆

    • niwatokoさん
      こんにちは。

      >読者をジェットコースターに乗せて、最後は無事に降ろしてあげなければならない、とのこと。

      これ、すごくいいですよね...
      こんにちは。

      >読者をジェットコースターに乗せて、最後は無事に降ろしてあげなければならない、とのこと。

      これ、すごくいいですよねー。だからわたしはディーヴァーが好きです。わたしは長編しか読んでないのですが、ほんとに、いつも読後感は悪くないので安心して読めるんですよね。このおまけのところだけ読みたいです。(短編がそもそも苦手なので。長編ほど安心できないときいてしまったらなおさら。笑)。
      2014/08/04
    • sanaさん
      niwatokoさん、
      こんにちは☆
      コメント、ありがとうございます~!
      そうなんですよ~。
      ディーヴァーのサービス精神、読者の気持...
      niwatokoさん、
      こんにちは☆
      コメント、ありがとうございます~!
      そうなんですよ~。
      ディーヴァーのサービス精神、読者の気持ちを考えてくれている書き方、いいですよね!
      長編がお好きですか♪
      私も長編の書き込みっぷり、事件や人物の感情の世界に読者をぐいぐい引き込んで行く濃さが好きです。
      あ、いえ、短編もそんなに後味悪いわけじゃないんですけど‥(汗)
      長編読むような勢いで続けて読むと、気持ちの整理がつかないうちに次へ行く感じになっちゃうこともあるので。
      そういうものと知ってから読めば大丈夫じゃないかな~と思って書きました^^
      2014/08/04
  • 初ディーヴァー。著者自身は「サスペンス作家」といい、文春文庫のアオリによると「現代最高のミステリ作家」ということらしい。

    16の短編からなる。

    帯には「これぞだまされる快感! ドンデン返し16連発!」とあって、確かにどの話にも、身構えて読んでいてもなお意外すぎる展開が待っている。

    大都会の片隅で、郊外の水際で、場末のカフェの裏部屋で持ち上がる「事件」の発端。それがどんな経過をたどり、どんな結末に行き着くのか。誰が味方で、なにが事実なのか。はらはらしながら、ただ固唾を飲んで文章を追って行くしかない(すっかり、物事のウラ、人のウラを考える癖がついてしまう)。著者があとがきに書いている「恐怖の法則」そのままの、非常に濃密で胸苦しい時間であった。

    同じあとがきで著者は、小説作法として「読者にカタルシスを」「ジェットコースターから無傷で降りられるように」・・・つまり胸苦しさを残したまま終わらないようにすることも大切だと言っている。「オチ」はいずれも確かに見事だが、アメリカと日本の違いなのか、オレの個人的受容力の問題なのか、まあ、ジェットコースターに揺られた直後はやっぱりクラクラが止まらないのである。

  • 書評は良かったが、まあまあかな。
    やはり長編の方が良い。

  • 短編集第2弾。
    騙される快感、相変わらず。さすがディーヴァー!
    twisted(どんでん返し)って解ってるのに予想できないんだから。

    『通勤列車』『ウェストファーレンの指輪』『生まれついての悪人』『一事不再理』『トンネルガール』『冷めてこそ美味』『36.6度』『遊びに行くには最高の街』が好き。
    16本のうち8本!今回も大満足です♬

  • これぞ鉄板、ディーヴァーの短篇集。ちびちび楽しんできて、とうとう全部読んでしまった。第一短篇集「クリスマスプレゼント」があまりに粒ぞろいの面白さだったので、最初の方は、あれ?前の方が良かったかな?と思わないでもなかったけれど、いややっぱりこの強烈なツイストは他にはないもの、満足して読み終えた。

    ベストはどれかなあ。「生まれついての悪人」か、「一事不再理」あたりだろうか。ひっくり返されるとわかっているのに、あまりに鮮やかなひねりワザに完璧にしてやられる。うーん、楽しい。

    巻末に、ディーヴァー自身が収録短篇「恐怖」について解説したものが載っていて、興味深かった。次の一節に、なるほどディーヴァーの魅力はそこだなあと思った次第。

    「サスペンス作家としての私の仕事は、読者を恐怖に震え上がらせながらも、嫌悪や不快感を抱かせないようにすることという事実を決して忘れないことだ」「終点では、読者が無傷でジェットコースターから降りられるようにすることが肝心だ」

    • niwatokoさん
      >嫌悪や不快感を抱かせないようにすること

      ああ、わかります、ディヴァーは読後感がいいんですよね。ディヴァーのそういうところがすごく好き...
      >嫌悪や不快感を抱かせないようにすること

      ああ、わかります、ディヴァーは読後感がいいんですよね。ディヴァーのそういうところがすごく好きです。やっぱりちゃんと考えてそうしていたんですね。いつも、きっとディヴァーっていい人だ!って思ってました。
      なんだか今、感動しました。
      (この作品、未読なんですけどね)。
      2013/11/05
    • たまもひさん
      そうなんですよねえ。ディーヴァーの長編は猟奇的な連続殺人ばっかりなのに、いやーなきもちにならないところが良いです。その考え方や、それを実際に...
      そうなんですよねえ。ディーヴァーの長編は猟奇的な連続殺人ばっかりなのに、いやーなきもちにならないところが良いです。その考え方や、それを実際に作品として形にする才能がすごいなあと思いました。
      この後、年に一度のお楽しみ、ディーヴァーの長編を読む予定です。今年はキャサリン・ダンスもの。どんなドキドキが待ってるかな~。
      2013/11/05
  • 裏切りが心地いい、楽しい短編集。読み返したくなる中毒性のある物語多数。どんでん返しが来るんでしょ、て思ってても作者の術中にはまってしまうってすごい。
    「通勤列車」「恐怖」「ポーカー・レッスン」「36.6度」が特に好き。「コピー・キャット」もいいな。

  • 短篇集。半分を過ぎたくらいで挫折。どうしても読み続けることができない。
    ワンセンテンスが長い、稚拙なのに不必要に細かい描写、ありきたりな謎。

    刑事ものドラマで、当初のストーリーに関係ないキャストがやたらと出てくるとそいつが犯人、くらいにステレオタイプ。

    中にはリンカーン・ライムものもあるけれど、
    これだけ長いシリーズであっても、人物像が想像できるのはライムのみ、ほかの登場人物像はボヤボヤ。

    ジェフリー・ディーヴァーは才能のない努力家だ。
    時間と気力がたんまりあるなら読んでみても。

    邦題も、前短篇集がTwisted、本作がMore Twisted、筆者にはこだわりがあるようなのにまったく無視なのはいかがなものか。

  • 2018年8月文春文庫刊。ディーヴァーのどんでん返し短篇集2作目。16の短篇。リンカーン・ライムの登場する「ロカールの原理」が、最も面白かった。

  • まあ、長編のディーヴァー作品を読みなれた読者からすれば、「クリスマス・プレゼント」同様に物足りないと思うのは致し方ありません。
    それでも、短編好きな人にはお勧めです。

  • ディーヴァー流
    投げっぱなしジャーマンスープレックス
    リンカーンライムを読み慣れた方にとっては
    「一捻り加えて、さらに一捻りの…終わった!」
    と叫びたくなる様な、放り投げ方をします。

  •  著者の短編集では「クリスマスプレゼント」に続き二作目で、こちらが原題「Twisted」で解説によると「どんでん返し」に近い意味、本著が「More Twisted」なのでこちらも解説によると「もっとどんでん返し」という意味とある。
     確かに短いストーリーの中でよくもここまでひねくるものと思う。
     まあ、面白いんだけど連続で読むと計三十二作となり、少し疲れる。

  • サスペンス作家ジェフリー・ディーヴァーの邦訳短編集第2弾。

    ディーヴァーというと、リンカーン・ライムシリーズなど、スピード感のある展開でグイグイ読ませる長編作家というイメージがありますが、短編の名手でもあります(彼いわく短編と長編を書くのでは『リンゴとジャイガイモ』ほどの違いがあるそうです)
    本書『ポーカー・レッスン』はそんな短編の名手としてのディーヴァーに光を当てた作品集。
    お気に入りは、電車の中、携帯電話でおしゃべりしていたことがきっかけとなり、人生の奈落の底にまで落ちる羽目になる『通勤列車』(マナー違反はこわいこわい)、19世紀末のプロの泥棒と科学捜査黎明期の警察との戦い『ウェストファーレンの指輪』(実は泥棒と戦っていた相手があの人なんです、ディーヴァーのサービス精神に思わずニヤッとするはず)、真犯人だろうがなんだろうが弁護を引き受けたからにはとことん無罪を勝ち取る辣腕弁護士の物語『一時不再理』(敗者と思っていた人物が勝者となるドンデン返しの快感!)
    もちろん、リンカーン・ライムが登場する作品も収録されています。なかには物語のなかで活かされない、読者を騙すためだけの伏線を張り、そこが欠点のようにも思えましたが、この程度なら許されるという線引きがこの作家にはあるのではないでしょうか。

  • ジェフリー・ディーヴァー ポーカー・レッスン

    最後の解説で、作者自身が自分の考える「恐怖」について、5つのテクニックを惜しみなく披露しているのだがそれが白眉。これだけでも読む価値アリアリアリアリ!アリーヴェ・デルチ!(これでわかったひとはあたしと親友になってください)
    と、さよならじゃなくて進みましょう。

    ここで語られる5つの要素は
    1. 未知に対する恐怖
    2. 他人に生殺与奪権を奪われる恐怖
    3. 自分をコントロールできなくなった他人と言う恐怖
    4. 自分がコントロールを失う恐怖
    5. 恐怖のシンボルのちらみせ

    そうしてリッチにも丁寧にも、この5つの要素がどう使われているのかを、この短編集の1つをピックして丁寧にあてはめてくれちゃいます。うーん。フルコースを味わったあとにその料理を丁寧に調理方法から見せてもらっているくらいに手取り足取り腰取りの慇懃さ。最高のカタルシスです。ぼー。

    ちなみにこの解説を読んだあとにもう一度短編集を振り返ると、ガイドブックつきでゲームをしているみたいに作者の意図が見えて楽しい。あたしは昔から完全にガイドブックを見ながら全部味わいつくすゲームの仕方が好きだったので、この手法ぴったりで。短編としても1つ1つとてもうまくできていて、今回は誰がだまされるのか、誰が最後にほくそ笑むのか、なかなかわからなくてよかった。

    ライムものはボーンコレクターで、主人公の鬱屈した性格に「面倒くさい・・」と思った記憶しかなく遠ざかっていたのだけれど(そうしてこの短編集でもライムの登場してるのが一番つまらなかった)、この短編は面白かったな~。くるぞくるぞと思って身構えてやっぱり来るんだけど、そのお約束感ふくめてよかった。最後に解決されないまでも必ず落とされる。ジェットコースターカタルシス?とも思ったがこの感じ、ちょっと逆水戸黄門という感じだ。

  • 職人技的な短編集です。さすが、ティーバー様と言いたくなるようなはなしが盛りだくさん。おもしろかった!

  • ディーヴァーの第二短編集。
    原題は『MORE TWISTED』

    原題そのままやんw
    というのはさておき。
    文字数制限の厳しい短編で、あっという間に読み手を作品の世界に引きずり込む腕は相変わらず見事。
    それと並行して舞台を提示するのも上手い。上手すぎる。
    手を替え品を替え、こちらを騙してくれるディーヴァーの世界を堪能させてもらった。
    『生まれついての悪人』『のぞき』あたりが好み。
    もちろんリンカーン・ライムものも良かった。

    ただ、こちらがディーヴァーに慣れ親しんだせいか、騙されることを前提に身構えすぎたせいか『クリスマス・プレゼント』ほどの衝撃はなかった…。
    悔しい…。

  • 『クリスマス・プレゼント』に続く短編集第二弾。前作の方がバラエティに富んでいたように思うが、ハイレベルな作品集なので満足感は充分味わえる。ブラック目線で楽しめるお話が多かったような。自業自得あり、すっとこどっこいな推理ありで、ニヤニヤしながらサプライズを堪能する贅沢な読書時間でした。

    多義図形を思わせる視点トリックが絶妙な「生まれついての悪人」、ペテンのサイコロがどう転がるか予測不能な「ポーカー・レッスン」、白熱の法廷シーンからラストで一気に転調させる「一時不再理」。この三作がベストかな。

    あとがきで“恐怖”についての作者のスタンスが述べられてあるが、ポイントをしっかり織り込んで展開させる手腕はさすがだと納得させられた。やっぱりジェットコースターからは無傷で降りたいよねー。

  • 短編小説より長編が好きだが、これはいい。どんでん返しの連続で、一気読みした。さすがディーヴァー、裏切らない。いや、むしろ常に裏切ってくれる16連発だ。個人的には、「通勤列車」がやられた感がいちばんでした。それから初出の「ローカルの原理」の安定感。今年はライム物が発売されないみたいなので-キャサリン物が今秋発売らしい-これを読めただけでも満足できました。
    ただ、次の1話を読むごとに前の話を忘れてしまうのが難でその分だけマイナスかな。むろん、読み手である自分にも問題があるとも思えるのですが。

  • 『クリスマス・プレゼント』続くディーヴァーの第二短篇集。”More Twisted”という原題通りの巧みな誤導とどんでん返しの連続に大満足。お気に入りは「生まれついての悪人」かな。

  • これぞ だまされる快感!
    ドンデン返し16連発!!
    リンカーン・ライムが難事件に挑む「ロカールの原理」ほか巨匠が腕によりをかけて読者を罠にかける傑作短編集!

    ドンデン返しの魔術師があなたの度肝を抜く!
    大人たちにポーカーの大勝負を挑む少年の秘策とは?(表題作)
    電車内で携帯電話を使っていた男を待ち受ける悲運。(「通勤列車」)
    秘宝を盗んだ大泥棒に迫る追手。(「ウェストファーレンの指輪」)
    暑い夜に男が訪れた家には不穏な空気が充満して…(「36・6度」)
    ほか全16編を収録。

    どの収録作も「ドンデン返し」にこだわった作品である。
    唯一おぼろげながら展開が読めたのは「のぞき」くらいだろうか。
    読み終えてみれば何てことないのだけれど、実に鮮やかに違った景色を見せてくれる。
    あと、「ウェストファーレンの指輪」はなんとパロディものでもある。ディーヴァーはこういうものも書くのだなあ。

    特に印象に残ったのは、「通勤列車」「生まれついての悪人」「動機」「36・6度」「遊びに行くのは最高の街」

    ミステリ :☆☆☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆☆☆
    人物 :☆☆☆☆
    読みやすさ:☆☆☆☆☆

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著者プロフィール

1950年、シカゴ生まれ。ミズーリ大学でジャーナリズムを専攻。雑誌記者、弁護士を経て40歳でフルタイムの小説家となる。科学捜査の天才リンカーン・ライムのシリーズ(『ボーン・コレクター』他)や“人間嘘発見器”キャサリン・ダンスのシリーズ(『スリーピング・ドール』他)は全世界でベストセラーになっている。ノンシリーズ長編小説、短編小説など人気作品も多数刊行
『ブラック・スクリーム 下 文春文庫』より

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