悼む人 下 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2011年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167814021

みんなの感想まとめ

死者を悼む旅を通じて、人々の心の変化や関係性が描かれる物語は、深い共感を呼び起こします。主人公の静人を中心に、彼に関わる人々の視点から語られるストーリーは、彼の存在を浮き彫りにし、感情の繊細な変化を見...

感想・レビュー・書評

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  • 悼む人と呼ばれるようになった青年の、死者への悼みの旅は、共感する部分もありました。
    今、高村光太郎の「智恵子抄」を少しずつ読んでいるのだけれど、誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されたかを、記憶に残すということを悼むとするならば、高村の詩や裸像は、妻を愛した記憶の蓄積で、悼むそのものと思う。
    “悼む人”は、彼に関わった記者の男性に変化をもたらせていく。彼の書く記事は、事件の当事者達の生い立ちや心情に寄り添うようになるが、オヤジ狩りにあって失明する。それでも、信奉していく。彼の旅を追い続けた女性は、過去の結婚と夫殺害の愛の矛盾に折り合いをつけて、悼む人と何故か結ばれる。そして、悼みの旅の邪魔になるから別れる。母親は娘の出産を待って亡くなり、息子の悼む人に会えない。登場人物達との関係性がうまく収まらず。本人さえも、この自分の行為の意味をつかめて無いのかなあ。
    それぞれ、死を迎えてしまった人の周囲の人が、祈り、弔い、そして悼み、記憶に残して欲しいということでしょうか。

    • みんみんさん
      たしかに難しそう(c" ತ,_ತ)
      たしかに難しそう(c" ತ,_ತ)
      2023/03/26
    • 土瓶さん
      こっちもかわ……おもしろいじゃねえか|д゚)
      こっちもかわ……おもしろいじゃねえか|д゚)
      2023/03/26
    • おびのりさん
      難しく無いんだけど取り止めがないっていうかー
      まとまってなくて、レビューできない
      難しく無いんだけど取り止めがないっていうかー
      まとまってなくて、レビューできない
      2023/03/26
  • 直木賞作品。
    どうやってこのストーリーを締めるんだろってずっと思ってたけど、文句なしの素晴らしすぎるラストでした。

    静人が主人公のようで、静人目線は一度もない。取り囲む3名は誰も主人公じゃなく、彼らの目から見た静人を描くことで主人公を表現してる。
    キリストやブッダのことを語る人々の声によって彼らが形づくられていったのと同じように。
    それもまた圧巻。

    蒔野のストーリーは、泣きそうになった。
    父親との関係。生きたまま焼かれた女性のこと。
    静人に対する蒔野の心境が変わっていく理由の描き方が素晴らしい。複数の出来事が重なってじわじわ、が見事。

    倖世も見事にまとまった。
    でも少し物足りない気がしてたら、エピローグにやられた。こんなん泣くだろ。
    ただのありきたりな泣かせじゃないところがまた良い。

  • 【短評】
    第140回直木賞に選出された『永遠の仔』と並ぶ天童荒太の代表作。
    坂築静人(さかつきしずと)は不慮の死を遂げた人々の足跡を辿り、"悼む"ために日本全国を放浪している。これは、時に称賛され、時に嫌悪されながら、いつしか「悼む人」と呼ばれた彼に纏わる三人の人間の物語である。
    「エグノ」と渾名される辣腕で知られた週刊誌記者・蒔野抗太郎(まきのこうたろう)。
    末期がんにその身を侵されながら、息子・静人の帰りを待つ母・坂築巡子(さかつきじゅんこ)。
    殺した夫の霊とともに各地を彷徨うなか、静人と邂逅を果たす奈儀倖世(なぎゆきよ)。

    複雑な背景を抱えた人間が「悼む人」を思い遣るその心情にスポットを当てることで、読者自身が「悼む人」を見詰めることになる構成が上手い。老練の技である。
    三つの章それぞれに違った趣があり、どの章も惹き込まれるものがあったが、なかでも坂築巡子の描き方はレベルが違った。どうすればそんな描写を思いつくんだ、と歯噛みするほどに圧巻な情景が散りばめられており、しばし呆然とすることが何回かあった。
    特に「介護者」のラストシークエンスである雲の描き方は、凡百が到底到達し得ないレベルにあったように思う。その後の(一見、意味の通らない)台詞もまた何とも言えない力があった。あの辺りの文章だけで私は五点を進呈したい。ぜひ読んで確かめて欲しい。

    【気に入った点】
    ●「死」の描き方。坂築巡子の章における死を受け入れた人間の思考に対する解像度の高さに舌を巻いた。「情景」という簡素な言葉では足りない程の、彼女が目にした美しいとしか言い得ない景色の数々が今でも頭の中にリフレインしている。特に「いよいよ」というところからは見事の一言。誰も経験したことのない「死にゆくもの」の一人称としてこれほどの者を私は読んだことがない。また、「悼む人」の意味のようなものに決着を付ける構成上の巧さもまた評価したい。
    ●霊の描き方が絶妙。超常とも本音の発露とも取れる絶妙なポジション。霊との対話を通じて一個の人間としての坂築静人が立体感を持っていく様も素晴らしかった。
    ●蒔野が「悼む人」に惹かれていく過程も悪くなかった。仕事柄、社会を冷笑するような立ち位置に居る彼は、ある種読者の代弁者なのだろう。

    【気になった点】
    ●本編においては特に無い。素晴らしかった。
    ●評価上全く影響を及ぼしていないことを前置きした上で、帯が良くない。「世界にいま一番いて欲しい人」などというキャッチコピーを考えた誰かは、本作の妙味を理解していないように思う。「悼む人」フォロワーを増やしてもどうしようもないと思うのだ。また、引用部分もそこじゃない感がかなり強い。

    『昭和探偵物語』で天童荒太を理解した気になっていたことを恥じたい。(いや、あれはあれでかなり面白いのだが)唸る程に綺麗な文に触れたのは久しぶりだ。こういう打ちのめされる類の読書も実に良い。『永遠の仔』にも近々挑戦してみたいと思う。

  • なぜ静人は見知らぬ死者を悼むのか?その理由を知りたくて読み進めたが、結局自分は理解できなかった。でも死への向き合い方は人それぞれなので理解しなくてもいいと思う。

  • 上巻は、私にはなんだか重くて暗くて…下巻はみんなそれぞれに重いものを背負ってることには変わらないのだけれど、希望を見出せる感じで楽しくよめた。

    とうとう最後まで静人という人がよく分からなかった。重松清さんの書評に、そういう読者もいるでしょう。とあったので私だけではなかったかな?と少し安心した。

  • 全くうまく感想を書けないが、良かった。。。

    下巻の途中から目が離せなくなり、1日で一気読みしてしまいました。

    何とも温かく、幸せな気分でじわっと涙で読み終わりました。
    いい本の映画は見ると失敗するんだけど、映画も見に行きたくなってしまった。

    はぁ、良かった。
    このカタルシスを言葉にするのは難しい。。。

  • 一度目挫折してからの再読は一気読み。
    とても綺麗な文章で胸に響く。
    たくさん涙を流したことで心が綺麗になったような気がした。

    命には限りがあり、生まれれば死ぬのが人生。
    ただ、人の記憶から忘れられることが本当の死だと言う。
    人は忘れる生き物である故に悼みは尊い。

    死ぬ為に生きるだなんて矛盾だらけで皮肉のようで、どのように生きたか、生きるか、死生観は究極の教養とはよく言ったものだ。

    歳をとることに抗いたくなるけれど、歳をとって解ることが増えてくる。感じられるようになってくる。
    精一杯生きよう。

  • 不慮の死を遂げた人々への「悼み」の旅を続ける静人。
    静人の心の裏を読もうとするジャーナリスト蒔野、静人を見守り共に旅する倖世、末期癌で余命僅かな静人の母、巡子。
    それぞれの視点で静人を見守り、悼みとは何かを突き詰めていく。

    全体を通してどの視点から見ても、心がとにかく苦しかった。

    一つ一つの死を見つめる物語の一方で、現実世界では、コロナ禍で押し潰されそうな日常に加え、ウクライナに侵攻するロシアのニュースが連日報道されている。
    人間の命の重さが軽んじられている状況もある中、それぞれが誰を愛し、愛され、どんなことに感謝されて生きていたか…

    暗い情勢も重なって、本当にしんどい読書体験だったが、物語後半は静人の人間らしさも描かれ、ラストは心に染みた。

  • 亡くなった人を「悼む」旅を続けている青年に関わった人達の視点の物語

    以下、公式のあらすじ
    --------------------
    不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒された静人の母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と僧しみ、罪と許しのドラマ。第140回直木賞受賞作。
    "「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」ーー事件や事故で命を落とした人々のためを「悼む」放浪の旅を続ける静人。 彼の問いかけはそのまわりの人々を変えていく。 家族との確執、死別の葛藤、自らを縛り付ける""亡霊""との対決、思いがけぬ愛。 そして死の枕辺で、新たな命が生まれ……。 静かな感動が心に満ちるラスト! " 映画化、舞台化された話題作。
    --------------------

    名前を覚えられる死と数でしか知らされない死にどんな違いがあるのか?
    悲惨な事件・事故で亡くなった人、大勢が一度に大量に死ぬ他国の戦争や紛争、病気で亡くなるにしても孤独の中で亡くなる人もいれば、家族に看取られて逝く人もいる

    そして、人は「あなたのことは絶対に忘れない」と言たとしても大切な人の死を忘れる
    友人の死をきっかけに「悼む」ことに囚われたし静人
    そして、関わりの持った人達

    父母の離婚をきっかけに心がすさみ、自身も結婚したが妻子と別れ、下衆な記事を書き連ねる新聞記者の蒔野
    末期の胃癌になり、死を迎えようとしている、静人の母 巡子
    被虐体質でDV夫と別れ、聖人君子のような僧侶に請われて再婚したが、自殺願望を持つその夫に請われて殺してしまい、夫の亡霊が取り憑いたと思っている倖世

    静人の父、静人のせいで結婚が破談になった妹、兄妹の従兄弟


    「悼む」という行為の本質は何かを考えた際に、「故人を想う」かなと思った

    故人が「誰を愛し、誰に愛され、どんな感謝をされたか」を記憶に留める静人の行為
    でも、偽善とか、良い面しか見ていないとか、勘違いの情報だという人もいる

    個人的には、それでいいのではとも想う
    どれだけ親しい人でもすべては理解でいないわけだし
    勘違いだろうが、悼む行為に違いはない
    そもそも、悼む行為は人それぞれであって、万人に共通の想いではない

    鴻上尚史の人生相談の記事で、震災で亡くなった人への黙祷の時間に席を外す同僚を批判する人に対して、その答えも似たような事を言っていた気がする

    それこそ、悪いことをした人を悼んではいけない理由はない
    静人は、殺人を犯した人の場合は被害者を三回悼んだら当人も悼むという基準を設けているけれども、今までその条件を満たした人がいない
    殺人犯にも家族はいるし、悪人と言えど愛した人、愛してくれた人もいるかも知れないし、時には感謝された事もあるかもしれない
    殺人や悪事という行為は良くないけれども、その行為がその人のすべてではないんだよな


    事件で亡くなった人でも、静人は亡くなった状況や経緯、加害者について調べたり聞いたりしない理由
    「加害者を憎むと、憎しみにとらわれて、被害者のことを忘れてしまう」という
    となると、どうやって死んだか?よりも、その人がどう生きたのか?を重視した方がいいので
    「誰を愛したか、誰に愛されたか、どんなことで人に感謝されていたか」を聞くようになったと

    被害者の無念さを知っても、それがその人の本質ではないのだろうなぁ

    視点人物の三人
    母である巡子は静人を愛した人で
    奈義倖世は静人が愛した人で
    蒔野抗太郎は静人に感謝した人
    静人が人を悼むように、静人は人から悼まれるとき、巡子は関係者として思い出されるかもしれない
    でも、倖世と蒔野は他に悼む人が知り得ない人達
    だけど、その悼みでもいいという事も暗に示されているような気がする


    もしこんな人がいたとしたら
    抗太郎が思ったように、死に際して、その死を受け入れられるようになるかもしれない
    私自身が亡くなる時にもそう思えたらいいな


    人は二度の死を迎えるというけれども
    世の中、こんな人がいたらいいのにの本当に想う

  • 死(自殺)と生き抜く力
    末期の癌の母が思う息子の帰宅、娘の出産、更に編集者の出会いなど、最後の最後に意識の中で出会うことの喜びは最高の人生だったと、思いたい。「死に悼む」と「愛と生きる」が生死の人間が思う極まりではないかと感動した作品だった。

  • 記録用

  • 後半は一気読みに近かった。
    序盤は静人の悼みに対して、自分の考えに合う死者の断片だけを切り取った解釈を行う事への理解が出来なかった。全ての死に同等の悼みが与えられる訳が無い。と。作中に登場する多くの人々と同じ否定的な考えを持った。が、後半は静人の人物像が深く掘り下げられ、共感とはいかなくとも理解は出来た。
    巡子の死に寄り添いながら読み進めていくうちに、自身の生き方を考えるいいきっかけになった。
    全てがままなら無いもの、人は不完全な生き物、そして完全に消化されずに逝く生き物、ただその先は決して暗い物ではない。そんな事を教えられた気がした。

  • 2022年5月2日読了。

    全国各地で不慮の死を遂げた人々を訪ね歩く男、『坂築静人』
    新聞や雑誌、ラジオ等で得た情報を頼りに、事故・自殺・他殺など分け隔てなく死者の元へ赴き、『悼み』を続ける。
    『悼み』とは、死者を弔い冥福を祈るものではない。
    ただ、亡くなった人を他の人とは代えられない唯一の存在として心の中で覚えておく事。
    その為に、静人は亡くなった人について毎回決まった質問を尋ねる。
    『誰に愛されていたか。誰を愛していたか。どんなことをして、人に感謝された事があったか』
    その3つの事実を基に、故人の事を掛け替えのない命であったと心の中に刻み続ける。
    時に怪しい宗教や、心に病を抱えた人間と間違えられ、偽善者と罵られながらも『悼み』を続ける静人は、いつしかネット上で『悼む人』と呼ばれるようになっていた。

    とある事から静人の行動を知る事になった雑誌記者・『蒔野抗太郎』
    末期ガンに侵され余命幾許も無いながらも、息子の事を想う静人の母・『坂築巡子』
    夫殺しの罪で服役し、出所したが亡き夫の亡霊に取り憑かれ苦悩を抱えていた折、静人と出会い旅に同行する事になった女・『奈義倖世』

    この3人の視点から描かれる坂築静人という人物。
    一体、彼は何の目的で『悼み』を行う旅を続けているのか。
    静人の行動によって、周りの人々はどのような事を考え、どう変化していくのだろうか。


    初読み作家、天童荒太氏による作品。
    重いテーマの作品が多いイメージだが、やはり重めの作品だった。

    見ず知らずの亡くなった人の場所を訪れ、その人についての詳細を聞いて回り、忘れないように心に留める。
    そんな人物が本当に存在したならば、確かに不審がられるだろう。
    その『悼み』と呼ばれる行為に一体どんな意味があるのか、なぜ行うのか。
    主人公である坂築静人本人ですらはっきりとその理由は分からない。
    なんだか釈然としないながらも読み終わってから想った事。
    日々人々が亡くなっていく中で、関わりの深い家族や知人達の心の中には残り続けていく死であっても、大概の人達には時間と共に風化し徐々に忘れ去られていく。
    一つの尊い命の灯火が消えた事で、その人が存在した事すらも忘れ去られていってしまう事はとても寂しい事だとは思う。
    だが、全ての死を忘れずに覚え続けるなど到底無理な話だろうと自分はすぐに思ってしまうが、作中ではそれが無謀な事と承知の上で直向きに死者を悼み続ける静人の行動によって心を動かされた人達のコミュニティの輪は広がっていく。

    今この時代、この状況下でTVをつければコロナウイルスによる死者数、ロシアのウクライナ侵攻による死亡者数、知床観光船の杜撰な運行管理によって起きた事故の死亡者と行方不明者、山梨県での女児失踪事件等…悲しく悲惨なニュースが蔓延している。
    こんな時に『悼む人』のような存在が本当にあったのならば、少しは救われる人達もいるのかもしれない。

    長々と書いたが、集中した読書時間を確保できず上下巻読むのに一月を費やしてしまった。
    その為、しっかりと物語に没入する事が出来ず残念。

  • 薪野に感情移入してたので、最後の登場シーンはただただ辛かった。
    巡子のラストシーンは文を読むと頭の中に光を浴びた美しい映像が写し出され、息を飲んだ。
    ちょっと欠けた部分を持ちながらも、優しい心を持った坂築家に癒されました。

    天童さんの繊細で優しい心がそのまま書き出されたこの本は、繊細が故の描写に時々心をナイフで抉られてしまうけども、愛や死について深く考えさせられる良作でした。

  • 死者を悼む旅を続ける青年の物語。

    ここで言う「悼む」とは、弔うことでもなく冥福を祈ることでもない。

    忘れずに覚えていると言うこと。

    とても単純なことのように思えるがこれがものすごく心に突き刺さった。

    確かに死んだ人とは二度と会えないが、覚えてくれる人がいる限りその人の存在が消えることはない。

    そこにスポットを当てた作品だと感じた。

    死ぬとはなんなのか、生きるとはなんなのか、存在するとはなんなのか、その全てに一つの導きを与えてくれているような気がする。

    どれが正しいなんて分からないが、主人公は全て分かっていて、母に会いに行かず、倖世に託しのではないか、誰かが覚えてくれていればその存在は消えることはないのだから。

  • いつどこでどんな状況で死を迎えるのだろうか。
    死んだあとには悲しんでくれる人が近くにいてくれるのだろうか。
    どれだけの準備をして死を迎えることができるのだろうか。
    『悼む人』の存在は、人々のそんな死への漠然とした恐怖を和らげてくれるのかもしれない。
    どんな人の死も、その人が確かに存在し、愛し愛されていたことを平等に悼む。
    テーマの重さになかなか頁が進まないことも多かったけど、悼む人には誰もがなれるのではないかとも思う。

  • 正直、静人の行動には共感できませんでしたが、重松さんのいう「鏡」として読み解くと、巡子、倖世、蒔野の生き方が静人の触媒効果によって変わった事がわかります。結局、天童さんの執筆動機は何だったのでしょう?愛は愛別離苦といって執着そのものです。執着を離れた愛は慈愛でしょうが、慈愛に至る軌跡を示したかったのでしょうか?巡子さんの描写は存在感がありますね。生き様に心打たれました。

  • 天童荒太さん「悼む人」下巻、読了。人々の死の現場に赴き「誰を愛し、誰に愛され、どんなことで感謝されたか?」静人の問いに不審がる人、怒り出す人、反応は様々。何が引っ掛かるのか分からずも気になる。彼を取り巻く人々も少しずつ変わっていく。。下巻に入り、静人の旅のきっかけや、関係者の心情の変化などを描きながら、今まで謎だったことが少しずつ明らかになっていく。そして被害者だけでなく加害者の死にも触れてます。ラストはきれいにまとめたなとの印象。巻末の参考文献からも、たくさんの死について情報収集し、重いテーマに真正面から立ち向かった作品だということがわかります。全体的に暗い内容なので、元気な時に読むことをオススメします。

  • 坂築静人
    悼む人。三十二歳。無職。元医療機器メーカーの営業職。退職し、死を悼む旅に出る。新聞、ラジオや雑誌から、事故や事件の情報を得て、人が死んだ場所を訪ね歩き犠牲者を悼む。

    蒔野抗太郎
    北海道の新聞記者を始まりに、都内の夕刊紙、スポーツ新聞と渡り歩き、七年前からいまの週刊誌に契約制の特派記者として籍を置いている。残忍な殺人や男女の愛憎がらみの事件を得意とするから、エログロの蒔野、「エグノ」と呼ばれている。四年前に浮気がばれて離婚し、息子とは一度も会ってない。北海道で発見された白骨遺体の事件をきっかけに静人と知り合う。

    成岡
    蒔野が所属する出版社にこの春入社した新人。

    海老原
    蒔野の班デスク。六歳年上。

    蒔野の父
    悪性リンパ腫で入院中。余命僅か。声を失っている。

    北海道警察本部の警部補
    二十年前に失踪した女子銀行員の白骨死体が出たと蒔野に連絡をする。

    坂築巡子
    静人の母。五十八歳。末期癌患者。病院を出て在宅ホスピスケアを選んだ。兄の継郎は十六歳のときに病死。

    坂築美汐
    静人の五つ年下の妹。二十七歳。都内の旅行代理店勤務。一人暮らししていたが、母の在宅ケアに合わせ実家に戻る。高久保英剛の子を妊娠。

    坂築鷹彦
    巡子の六歳年上の夫。

    浦川はるみ
    訪問看護師。

    福埜怜司
    静人の従弟。鷹彦の妹みのりの息子。美汐と同じ年。都内の通信事業会社に就職し、インターネットでの様々な情報を管理運営している。

    高久保英剛
    怜司の大学時代の友人で、都内の銀行に勤めている。美汐の元交際相手。

    奈儀倖世
    最初の結婚相手から暴力を受け、家庭内暴力の被害者を支える寺にかくまってもらう。その寺の長男の甲水朔也の尽力で離婚することができた。その後、求婚を受けて再婚しで一年後に彼を殺した。事件現場で悼む行為をしていた静人と出会い、行動を共にする。

    甲水朔也
    奈儀倖世の夫。寺の長男。東大出身。幼い頃に実母が死に、義母が産んだ腹違いの弟がいる。寺の敷地に家庭内暴力の被害者女性のシェルターや高齢者施設などを設立。仏様の生まれ変わりと慕われる。

    野平清実
    出版社編集部の社員。蒔野の後輩。新人記者。入社二年目。

    矢須亮士
    蒔野と北海道の新聞社に同期入社の元同僚。

    尾国理々子
    蒔野の父の愛人。元銀座のバーのホステス。

    高久保英剛の兄
    県会議員の叔父の秘書。

    埼玉県警捜査一係の強行犯係長

    山隅泰介
    巡子の主治医。

    姜久美子
    助産師。

    福埜みのり
    巡子の大学時代の親友。鷹彦の妹。怜司の母。家業の運送会社を切り盛りしている。

    比田雅恵
    女性医師。

    栄哉師
    菩提寺の住職。

  • 2.0

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960年、愛媛県生れ。1986 年、「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞、1993年、『孤独の歌声』が日本推理サスペンス大賞優秀作となる。1996 年、『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000 年、『永遠の仔』で日本推理作家協会賞、2009 年、『悼む人』で直木賞、2013 年、『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『静人日記』『ペインレス』『巡礼の家』『青嵐の旅人』『昭和探偵物語 平和村殺人事件』などがある。前作『包帯クラブ』は2006 年ベストセラーになり、映画化もされた。

「2025年 『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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