小銭をかぞえる (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2011年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167815011

みんなの感想まとめ

人間の弱さや醜さを赤裸々に描く本作は、登場人物のダメな部分に共感しづらい一方で、思わず引き込まれる魅力を持っています。著者の独特な文体は、現代の問題を大正昭和のような感覚で表現し、内心の描写においても...

感想・レビュー・書評

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  • なんか分からないけど面白い。

  • 相変わらずだが、とくに本作に収録の二作はいずれもダメなところが強すぎて共感がしづらい。なのにこの面白さはなんだろう。なんだか見ず知らずの人の口論に興味を持ってしまい、面白がって見る野次馬根性みたいなものを刺激されるのかもしれない。

  • 西村賢太氏は数年に一冊くらいのペースで読む
    それ以上はキツくてとても読めないから
    読むのに体力が要る作家さんだと思う

    これも相変わらず西村賢太氏だなぁ って本で特筆すべきことは挙げられないんだけど
    氏の著作は麻薬的な何かがあるよね
    死ぬまでに全著作を読んでみたいけど どうなるかなぁ

  • いわば人間の屑とでもいうのだろうか。
    働きもせず金を無心し、すぐ激昂し、女に手を挙げ、の繰り返し。それも私小説とは。。
    現代の話をかようにまでも大正昭和の人が書いたような文体、計算ずくの内心描写を筆致に描き上げる力量は解説者をして天才と言わしめるだけのことがある。
    早逝が惜しまれる。

  • こんな男に死後弟子を名乗られる藤澤淸造が可哀想になった。

    • nabechangさん
      藤澤清造も作者に負けず劣らないダメ人間だったみたいですから、良い師弟関係かもしれませんよ(笑)
      藤澤清造も作者に負けず劣らないダメ人間だったみたいですから、良い師弟関係かもしれませんよ(笑)
      2023/07/09
  •  面白かった。でも何でこんな小説がこれほどまでに面白く感じられるのか、自分でも理由が能く分からない。

     はっきり言って何にも善いことは書かれていない。自堕落で自己中心的な男が周囲の全ての他人様に迷惑をかけながら生活する様が延々綴られるのみ。

     思い通りに行かないと直ぐに怒るし、時には手も出るようだ。真面目に労働に従事している様子は無く、性慾を制御出来ず、生活資金は女性に依存している。


     形が大きいだけの丸っきり子供大人である。唯一志と呼べそうな活動は私淑する作家の全集を自費出版しようとしていることくらいか。
     こんな正論を書いても仕方が無いが、志を持つのは結構なことではあるものの、それ以前に先ず人として最低限の自立した生活を確立すべきだと思う。方々に迷惑をかけ、他者の幸福を害い、誰も幸せにしない志とその活動に何の存在意義があろうか。


     全編こんな調子であるにも拘らず全く退屈しない。頁を繰る手が止まらない。誰も幸せにならないのが最初から分かりきっているのに。本書所収の「焼却炉行き赤ん坊」なんてタイトルだけで不幸な結末が判明してしまっているではないか。女が縫い包みを子供同然に溺愛し始めた時点で、読まずとも大体どういう結末になるか想像が付くし、そんな不幸な結末を端から隠す気も無い。


     こんな作品を面白がっている自分の性根がさもしいのではないかと空恐ろしくもなる。然し同様の感性を御持ちの向きは存外世間にはいらっしゃるようで、結構な人気と知名度だ。

     善とか美からかけ離れた、寧ろ醜悪さだけを丹念に描写した小説を認めて良いのだろうか。文学としては如何に評価する可きなのか。保坂和志や又吉直樹ならば何う評するのだろうか。俗悪の一言で切って捨てて良いものか。それでも現に面白いのは何故なのか。抑これは芸術と呼べるのか。

     少なくとも自分の中に波紋のように新たな問いが湧き起こったのは確かである。

  • 大人になった貫太の恋人との同棲編。今までの不遇だった性欲への不満が解消された惚気話のようだがタイトルの『焼却炉行き』という不穏さがこの人の破滅性を示す。
    子どもを産ませないよう予防線を張り代替えのぬいぐるみ及び女性に精神的肉体的経済的に虐待を働くとんでもない男であるが誰しもが持つ屑部分(幼児性)を曝け出しているところが共感を呼ぶのかもしれぬ。
    現実の作者はどうだったか分からないけど私小説という事は日常を切り取っている訳でもし作者が逝去しなかった場合どのような展開を迎えていったか夢想してしまう。

  • 西村賢太さんの小説ってなんでこんなに面白いんでしょう

    ド屑を主人公とした私小説、読んでいてヒリヒリしてくるようなやりとり、なのにどこかユーモラスな滑稽さも感じてしまいます

    たぶんこれは、主人公を屑として描き、それに対して弁明めいた描写が一切ないからという、そのバランス感覚が上手いんじゃないかなぁなんて思うのです

    主人公の内面描写をしっかりと書き、とことんまで自己中心的な思考回路で悪いのはあくまで相手、そんな考え方が徹底されています
    でも、主人公の一人称視点という点から見れば自己弁護に徹底しているのだけど、他者が絡んだ時にその屑っぷりを容認するような甘い文章は一切出てこないんですよね

    本人の考え方としてはこうだけど、他者から見れば最低な男、と、こういったポイントを第三者的な視点ではきちんと理解して冷静に描いている、そんなところに真顔で演じるコメディのような滑稽さが産まれるのではないかなぁと思うのです

    あとは、メディアに出演されていた時のチャーミングなご本人像とか、ちょっとした行動・考え方にどこかあるあるめいた共感を覚えてしまったりとか、私小説とはいえ多少は露悪的に描いているんだろうなとか、なんかもろもろそういった要素とかもあったりはするのだろうけど


    ……『小銭をかぞえる』の感想というより西村賢太作品の感想文になってしまった(笑

  • 最近、あくていを読んだばかりで、罵詈雑言系が続きましたね。ただ、あくていは主人公が女性、こちらは男性。そして、まぁ
    クソ野郎。本当に屑男です。上手いなぁ。
    本当。これでもかっ!これでもかっ!って次から次へと言葉の凶器、凶器、凶器。
    なんか、鋭利な刃物というより、鈍器で
    叩き潰す!みたいな言葉の凶器です。
    心地良くテンポ良く、悪口に酔いしれました。面白いです!

  • いやーおもしろい。隠さずにすべてを晒すことができるのが私小説の良さなのか。

    クソみたいな人間に辟易するがなにか愛らしい。
    「こんな人間にはなりたくない」「こんな部分が自分にもあるのかも」「自分も角度を変えるとクソなんじゃないか」
    よくわからんが、いろんな感情に揺さぶられる。

    しかしどんな想いも包み込む文学の懐の深さに何か安心もする。

    この人の作品をもっと読みたい。

  • 安定の貫太シリーズ。名前は出てこないですが、秋恵との蜜月の日々を描く本作。二短編は共に貫太の癇癪で破綻に走る事毎度の結末ですが、どうしてこうも西村処作は分かっていても面白い読後感を味わえるのでしょうか。
    それは巻末に町田康氏が解説してるように、純文学定形の「苦悩する青年像」と全く異なる方法で物語が描かれ、それも見事な文章と描写を持って成されているからなのでしょう。町田氏の「酢を飲んだような悲しみと同時に愉快に感じる」読後感を西村さんの本作からも変わらず味わえるのです。

  • 『苦役列車』が面白かったのでこちらも。「焼却炉行き赤ん坊」のスピード感がたまらない。爆笑に次ぐ爆笑。文章のグルーヴがとんでもないことになっている。そして読後にはわずかな寂寥感が取り残される。なんなんだコレは。他の文庫も全部揃えたくなった。
    「心の底から反省して、二度とこんな陋劣な真似はしませんから、今度だけは許してよ」
    こんな情けない男は見たことがない。

  • 『蠕動で捗れ〜』に続き、西村作品三作目。二篇収録。
    まずは「焼却炉行き赤ん坊」。女との同棲生活に"たのすけ"という闖入者が現れ——あちゃー、またやってるよと笑いながら読みました。笑。ただ日々の貫多の生活を描いているだけなのに、こんなに面白いのはやはり彼の文才あってこそ。普通の人が書いたんじゃここまで面白く読めない。ただ「表題作」の貫多はちょっとやりすぎかなぁ…。苦笑。星三つ半。
    亡くなってしまったのは本当に残念。合掌。

  • 自分自身の曝け出したくない過去を面白く書ける西村賢太氏の才能に心底感服する。

  • 大なり小なり、意識しているしていない、に関わらず、ここまで先鋭的で分かりやすくなくても、人間て同じようなことしているよなあ。主人公は不自然なくらいに分かりやすくクズとして描かれているけど、実際問題としてここまでクズなのではなくて、普通にいい人ぶっている連中って本当のところはこんなクズと同じなんだと作者は分かりにくく表現しているのかもしれないような気がしてきた。

  • 西村賢太の破天荒さにびっくりしました。その中でも昔の文学っぽい文章の書き方によって、なぜか奥かしさが感じられて最後まで嫌にならず読めました。破天荒過ぎてエンターテイメント的な部分もあります。

  • 10年ぶりにできた恋人との生活を書いた二篇。
    傍から見ると健気で可愛い彼女なのだけれど、とことん酷い扱いをされる。
    前半の「焼却炉行き赤ん坊」はタイトルはギョッとするものの、まだ惚気話にも解釈できて微笑ましい場面もいくらかあった。
    でも後半の「小銭をかぞえる」は本当にどうしようもない話で、彼女側からしたら金を搾り取られているのと同じだった。
    人間のクズと言っていいような主人公が、どこまでも独りよがりに周囲の人間と付き合っているさまが読める。
    これが冷静に書かれた私小説であり、癖があるのにとても読みやすい文章で構成されていることが、二重に複雑な気持ちにさせる。
    思い切り怒りをぶちまけたあと必ず不安気になるところなんか、その性質をよく表している。こんなに嫌なのに、この先この二人はどうなったのだろうと気になってしまう。

  • 本の帯が強烈に面白い、となっているが、
    私にはツボらなかった。
    自虐ネタってだけで、その勇気を面白いというのか?

  • 激烈におもしろかった。
    女に頭を下げてお父さんから50万借りれることになった直後に実は本当に必要なのは30万で、これはビフテキが食えるぞとなるあたりは笑っちゃう。

  • 蹴り殺されのベル

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著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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