火村英生に捧げる犯罪 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2011年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167816018

みんなの感想まとめ

短編ミステリーが8編収められた本作は、名探偵・火村英生の活躍を描いています。全体的に軽やかな印象を持ちながらも、各短編には「なるほど」と思わせる謎が巧みに組み込まれています。特に表題作は意外性があり、...

感想・レビュー・書評

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  • 『火村英生に捧げる犯罪』というタイトルと重厚感のある表紙から、これまでにない強烈な犯人との対決を期待して読み始めたけど、肩透かしを食らったような読後感だった。
    あとがきでも触れられてたけど、「探偵の名前をタイトルにする感覚」について、有栖川さんと読者の間にズレがあったみたい。

    携帯サイト掲載の短編が多く収録されているためか、全体的に軽めの印象。
    8編と収録数が多い。中編〜長編が好きなので、自分には短編だとどうしても良さが掴みにくいのかもしれない。
    物語の厚みが物足りなく感じてしまって今回はどの作品もあまり刺さらず、印象に残らなかった。

    少し前に読んだけど特に書きたいことが浮かばなくて、レビューが後回しになってしまった。
    Audibleにて

  • 臨床犯罪学者・火村英生と、推理作家・有栖川有栖が、事件の謎を解く作家アリスシリーズの一作。ショートショートと短編が8作品収録されている。ショートショートの切れ味がよくて面白かった。いろんなタイプの作品があるので、ここからシリーズに入ってみるのもいいかもしれない。


    『長い影』
    廃工場から出てくる怪しい人影を見た桑原稜介。妻・香澄に訴えると、彼女が見た頃にはその人物は角を曲がり、街頭に照らされた長い影だけが残っていた。工場主だった小林に中を確認してもらうと、そこには奇妙な首吊りをした男の死体があって──。

    長い影というタイトルが導く謎と解決の余韻が好き。その影の正体は、人か、物か、時間か、悪意か。火村のねっとりした悪魔的な尋問もよかった。あんな風に詰められたら落ちるわ(笑) 変な首吊り選手権があったら優勝しそうなほど奇妙な死体。上手くやってるけど、上手くやろうとし過ぎて他殺だよね?みたいな。トリックの冷血さには思わず鳥肌が立った。真に悪魔だったのは誰か──。

    『鸚鵡返し』
    火村が過去に出会った奇妙な殺人事件。被害者の自宅には鸚鵡がいて「ハンニンハ、タカウラ」と喋るのだった。その後、捜査線上に浮かび上がった高浦という人物! まさしく彼が犯人なのか?!

    ショートストーリーながら捻りが効いていて面白かった! 犯人の名前を伝えようとする鸚鵡。それは被害者が今際の際に教えたものなのか?! トリックの明かされ方が滑稽で笑ってしまった。読み終わってタイトルを振り返ってニヤリとできる作品。というか、男たちを手玉に取る女子大生が強すぎる(笑)

    『あるいは四風荘殺人事件』
    社会派ミステリの重鎮・里中泰成が遺した未完の本格ミステリ。編集の片桐はアリスに続きはどうだったのかと訊ねた。そのお役は火村へと回ってきて──。半分ほどで終わっている自筆原稿を読み解き、火村は真相と結末を見抜くことができるのか?!

    未完の作中作を推理するという珍しい構図でワクワクした。しかも四風荘という名の通り、館ものの雰囲気も感じられる。それこそこのネタで長編が書けちゃうのでは? 惜しげもなく設定やトリックを注ぐ有栖川先生がすごい。基本の話を中盤まで書いて、そこから作家ごとに結末まで書くアンソロジーがあったら面白そう。『かまいたちの夜』のアンソロジーみたいな。

    『殺意と善意の顛末』
    広告会社を能力不足から解雇された浦井由直(よしなお)。社長・君津崇を殺害した容疑で取調べを受けていた彼に、全く予想外のできごとが起きて──。その場の誰も思いも寄らない解決の糸口へと繋がる作品。

    試合に勝って勝負に負けたというか、あの展開は確かに困惑する(笑) 刑事も火村たちも予想だにしない善意が殺意を看破したというのが皮肉。ショートショートでこんな鮮やかにミステリって書けるのかと驚いた。

    『偽りのペア』
    別れようとした恋人に刺殺された女子大生・西木美華。彼とは与論島で知り合い、交際に至ったらしい。警察は部屋に置いてあった写真の男を追う。だが、いっこうに足取りが掴めず、別の角度から捜査を始めることになり──。

    こちらもショートショート。犯人のトリックは地味ながら効果は抜群。気づけばそんなことかって話なんだけど、だからこそ騙されやすいというか。常識や想像の枠から出なければ見つからないものもある。

    『火村英生に捧げる犯罪』
    大阪府警本部・捜査一課長宛てに届いた手紙。そこには「火村英生に捧げる犯罪を実行する」という予告があって──。その一方で、アリスは渡辺三郎という男から盗作の疑いを訴える電話を受けていた。さらに巻き起こる女性の惨殺事件。火村英生に捧げる犯罪とは何を指し示すのか?!

    盗作だー!という電話に対し、律儀に対応するアリス。出版社を通してください(ガチャ)でいいのに、人の良さが出てるよね。火村への挑戦状ともとれる犯罪の予告状。身に覚えはなくても、犯罪は防がなければならない。だが、彼はテストの監督から離れられない! たしかにいつも臨時休講してるもんね…。そこに起きた恐るべき殺人事件。すべてが繋がると滑稽でしかなくて、こんな犯罪が起きたことにやり切れなくなる。

    『殺風景な部屋』
    打ちっぱなしのコンクリートの地下室で刺殺された徳永繁巳(しげみ)。彼は人の弱みを握り、恐喝することで金を得ていた。容疑者はその恐喝の被害者と断定。アリスは四人の容疑者の名前とプロフィールを見せられた。現場の状況と容疑者の名前を火村に伝えると、なんと犯人らしき人物がわかったと言い──。

    「どいつが匂いますか? 直感を試してみてください」と人物リストを見せられてもわからんて!──いや、わかるの?! 現場の違和感から導き出した火村の推理が面白い。状況と名前で当ててみようってテーマありきの作品だと思うけど、殺風景なほどシンプルだからこそ映える話だった。

    『雷雨の庭で』
    コンビ作家の早瀬と種村はパソコンの画面越しに打ち合わせをしていた。外は雷雨。稲妻が轟く中、早瀬の隣人・轡田(くつわだ)は庭で変死体となっていて──。轡田は妄想で早瀬に難癖をつけていた要注意人物だった。早瀬が席を外した時間では、彼を殺しに行く余裕はなかったはずだが──。

    「家に入ったまま出てこない若い女性がいる!」
    「異臭が漂ってくる。毒ガスを作ってるみたいや」
    一戸建てを購入して、お隣さんがそんなデマを言いふらす人だったら怖すぎる。これは病院案件では?! こういう時にどうしたらいいんだろう。殺人よりもそっちが気になってしまった。何とも皮肉な真相で、ぼくだったらあんな風に責めることはできないかもなあ。こういう人間心理の隙間を突く事件の描き方が上手い。

  • 短いお話が8編も入った短編集。
    短編なので小難しいトリックや設定はないけれども、充分に楽しめる。
    特に表題作は意外性もあって面白かった。
    こんな展開とは…
    これはアリスが名探偵だったのでは?!と思う活躍。
    それにアリスを警察側がどう見ているのかが描かれていて笑った。
    森下刑事も優しい。
    いや、警察全員優しい!

  • 「長い影」「鸚鵡返し」「あるいは四風荘殺人事件」「殺意と善意の顛末」「偽りのペア」「火村英生に捧げる犯罪」「殺風景な部屋」「雷雨の庭で」

    火村シリーズを読み始めたばかりですが、それでもアリスの推理の当たらなさにハラハラしてました。ついに「火村英生に捧げる犯罪」で言われた「いつも見事にはずしてくれますもんね、あの人」に笑ってしまいました。それなのに毎度、火村と連れ立って来るアリスを迎えてくれる刑事さん、優しい~。
    しかしこの回の犯人、裏でどれだけドタバタ焦っていたかと思うと不憫になってくる。
    まだたくさんシリーズがあるので楽しみです。
    (読むたびに斎藤工さんと窪田正孝さんが浮かんでくるのが困る)

  • 名前を伏せて売るミステリブックを買って出会った一冊。有栖川有栖さんの作品は、興味はあったけど今まで読んだことがなかったので、どんな作風なのかワクワクしながら読みました。

    作中に有栖川有栖さん自身が登場人物として、ワトソンポジションにいて、ビックリしました。しかもコテコテの関西弁ですごくコミカルだなと思いました。

    本のタイトルになっている「火村英生に捧げる犯罪」が、冒頭の緊張感と結末のあっさりさに落差があって、読後感に少し物足りなさを感じましたが、あとがきで作者がこの作品の意図を語っていて、なるほど、そういう意図ならこの終わり方になるのも納得しました。作者の意図を読み切れない自分の読解力が低かったのだと思いました。

    短編集だから、テンポも良くサクサクと読み切る事ができました。今度は長編にも挑戦してみたいです。

  • 有栖川有栖さんのショートショートを初めて読んだので新鮮で面白かった。入試の試験監督をしている火村も、想像したらなんだか可笑しい(笑)

  • 火村英生シリーズ3作目。
    持ってる3作を取りあえず刊行順に読んでみました。
    本当にどういうチョイスなんだろ…?当時の自分に聞いてみたい…。
    きっと本作に関しては題名がかっこよかったとかその程度の理由だと思うけど。(単純なやつです)

    火村英生シリーズ、短編集。

    短編ながらしっかりページ数のあるものと、あっさり面白く終わるものと盛りだくさんでめちゃめちゃ楽しめます。
    そもそも題名がかっこよいよねー!
    あとがき見て思ったけど、完全に私も勘違いの方で捉えてました。笑
    まぁでも華があっていいじゃありませんか。

    あとがきまで見ると本当に面白い。
    短編で終わらせるために、火村を電話でしか出さないとか。丸をくるくるしちゃう有栖川先生とか。笑

    ここまであとがきにしか言及してないあとがきフェチみたいな感想の書き方してますが、もちろん中身も十分に面白かったでございます。
    2編サラリと終わるものがあったけど、小粒なのにめちゃめちゃ中身がギュッとしててよかったなぁ。
    これが作者の力か…。

    火村英生シリーズ、時間ができたらじっくり2作目から読んでみたいと思います。




    @手持ち本

  • 『表題作』での刑事たちの有栖川先生(作中の方)の評判にファンとしてニヤニヤが止まらない…笑 読後、タイトルの印象がガラッと変わると思う…笑笑
    あとがきでも触れられていますが、先生ほどの名探偵が気づかないことなんてあるんですね。
    わたしを含め、多くの読者がそう読んだと思います…笑

  • 作家アリスシリーズ 短編集

    「長い影」「鸚鵡返し」「あるいは四風荘殺人事件」
    「殺意と善意の顛末」「偽りのペア」「火村英生に捧げる犯罪」
    「殺風景な部屋」「雷雨の庭で」

    久しぶりのアリスシリーズで、読みやすくて面白くて
    未だに推理初心者の私でも楽しめましたぁ
    何が面白かったって、警察側からアリス先生が
    どういう風に見られているのかってのが笑えましたぁ~

  • 有栖川さん好きにはたまらない短編。数ページのお話にニヤリ。

  • 短編集。
    火村に捧げるとはいいながら、ターゲットはアリス。アリスが出向いただけで解決するというお粗末な内容の事件が、ここまで膨らむとは。
    他にも海外に出ている間他のメンバーが時効になり、そのせいで一人恐喝された男の話や、パノラマ写真を切ってペアに見せかけようとした話など、ショートショートがたくさん。
    どれもこれもアリスがいい感じの脱力具合を醸し出してる。

  • 火村シリーズの短編集。有栖川は短編も長編も面白いけど、今回のはやや物足りない感じ。
    しっかり謎解きになっているけど、字数を無理やり合わせたような、もったいない印象を受けた。
    その為、火村・アリスコンビを楽しむ方が強調されてるイメージ。
    有栖川は「雷雨の庭で」にあるような、加害者と近親者との会話がすごく上手いと思う。

  • 久々の(私にとっての)新刊

    表題作には恐れ入ったの一言。そう来ましたか!!みたいな。
    鸚鵡返しの〜と雷雨の〜が気に入りました♪

  • がんばれアリス!!

  • 表題作『火村英生に捧げる犯罪』は題名の魅力に対して内容が少し残念。期待を持たせる題名なんですけどね(笑)やはり火村、アリスのコンビは良いですね(笑)脇の刑事さん達のキャラクターもいいです(笑)でもそろそろ火村の過去やらアリスの隣人との関係やら話を進めてほしいかな(笑)好きなシリーズを読めるって幸せだけどね(笑)

  • このシリーズは短編が好き、なのを思い出してチマチマ読んでる。和む。実は前々から婆ちゃんと猫の事件簿お待ちしてます。まだー?(既にあったりするのかな)

  • 2022/12/10読了
    収録作「あるいは四風荘殺人事件」は、”未完の推理小説の謎を、実際にあった事件として解決を頼むとか無茶でしょうよ”、という話。トリックもなかなか本格推理小説ばりに大仕掛けで、さらに現実性に乏しいものであった。途中で火村先生にバレて良かったね(?)。

  • 短編、中編が混ざったオムニバス。私は「偽りのペア」が1番好きでした。
    全8編、あなた好みのお話があるといいです。

  • 火村シリーズの短編集。 短編だと、ある程度犯人が直感ではわかるのどけど、トラックは全くわからないので、当たりをつけて、そこに向かって火村の話を聞いたり、アリスの珍推理を聞けるので楽しい。 うわ、これは短編でいいの?って入りが、実はおふざけ的なきっかけで解決したり、刑事たちもアリスはおまけって思っていて、でも好かれているのも面白い。 重厚な入りで、2人それぞれがピンチかと思ったら実は、みたいなのも2人のつながりあってこそ解決できたり。顔を合わせなくてもナイスコンビなのは、羨ましい関係。

  • シリーズものは順に読むタイプだけど火村英生シリーズはその時々に出会ったものを読んでいくスタイル。
    短編でまた話によってかなり短いけど、だから隙間時間によき一冊。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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