蘭陵王 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2012年3月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784167830014

みんなの感想まとめ

歴史の混沌とした時代を背景に、北斉の蘭陵王を中心に描かれる物語は、魅力的なキャラクターたちの生き様を通じて、国家形成の過程を浮き彫りにします。著者の田中芳樹は、膨大な文献をもとに、陰惨な抗争劇を描き出...

感想・レビュー・書評

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  • 若かりし頃、田中芳樹さんの小説を心躍らせながら夢中になって読んだものでした。
    今回、ひょんなことから蘭陵王に興味を持ち、この本に辿り着きました。

    膨大な文献を読み解きながら執筆されることが窺えて、久々の田中芳樹らしさが懐かしい。

    ただ…正直に言えば…小説というより、小説のスパイスを効かせた読みやすい新書系論述な印象での読了となりました。
    あまりにも目まぐるしく変わる為政者、良くも悪くも名前が残る数多の重要人物たち、周辺諸国の動きと、歴史書を紐解けば収集つかないほどの情報量がある中で読者に臨場感あふれる物語を示すには、あれも書かねば、これも紹介せねばと、それはそれは大仕事だったに違いないと推察しますが。
    あれほど数ある壮大なファンタジーを執筆し、それぞれに多くの魅力的な人物像を生き生きと描きわけてきた田中芳樹さんならではの表現で蘭陵王を生かして欲しかった。田中芳樹さんの頭の中に生きる蘭陵王は、もっともっと魅力的だったんじゃぁないかしら。

    1500年前の中国の国々の成り立ち、出来事を理解するにはとてもわかりやすい本ではありました。面白かったけれど。期待していたものとのギャップだけがなんだか勿体ないと自分勝手に感じてしまいました。

  • 隋の前,南北朝王朝末期の血で血を洗う国家形成過程を,容姿端麗かつ怜悧で知られる北斉6兄弟の4男高長恭蘭陵王の視点から描かれる.多少の脚色はあろうが,正史に基づき描かれる陰惨な抗争劇から,欧州にしろなんにしろ未成熟な人の文明形成過程は変わらないのだな,と嘆息する.日本でも雅楽や宝塚に名前を認めるマイナな悲劇の英雄に焦点を当てるあたり,さすが.

  • 全1巻

  • 時は6世紀中国、北斉。皇族たる蘭陵王こと高長恭は、戦に出ればかなうものなく、また戦場では美しすぎる容貌が士気を下げぬために鬼の面をかぶる。乱倫の北斉宮廷にあって、清廉潔白。しかし、仕える北斉の皇帝は、ほぼそろって暗君。佞臣をはべらせ、国政をかえりみず、功をあげすぎるとかえって疑われる。最後は、言いがかりで皇帝より死を賜り。それは潔くも悲劇的であるが、後付を承知でいえば、作中にもあったように、もっと宮廷工作をすべきであった。皇帝にまっすぐ諫言するはむなしくとも、とって代わったり、佞臣を廃したり、といった方向でも。ああ、ここに段韶や斛律光と嘆くのなら。歴史にifは禁物なのに、正史にすら、もし、陳との決戦の際に蘭陵王が総指揮官であったなら結果も違ったものを、と評価された武勇も、その活かすところが最終的にはなくなってしまったのだから。

  • 三国時代と隋の天下統一の狭間にあって、混迷を極めた南北朝時代。北斉の皇族・蘭陵王を主人公にした歴史小説。
    武芸に優れ、人望厚く、容姿端麗。あまりの美貌で仮面をつけて戦ったという蘭陵王。〈物語映え〉がすごい!中国のドラマで存在を知って、もっと知りたいと思いこの小説を手に取った。
    あとがきでは「中国史に取材した長篇を書きあげるつど、こんな苦労二度とするもんかと思う」と書かれている。混乱の深かった南北朝時代では、話を掘り出すのもまとめるのも、特に大変な苦労だったと思う。さまざまな歴史書から人物像を立体的にしていき、魅力的な人物に見せる田中芳樹さんの筆致は、読む人をワクワクさせてくれる。

    蘭陵王のいた北斉は、暴君が続いたせいで治世が乱れ、結局北周に滅ぼされる。(酒や女に耽り、気に入らない人物がいたら残酷に殺す暴君の描写はむご過ぎた…)歴史にifはないけど、蘭陵王にあと少しの気概があれば、クーデターを起こして北斉を立て直すことができたんじゃないかと思う。
    蘭陵王はもちろん、蘭陵王の家族、同じ国の武将、敵も含めてキャラクターが立っていて、描写も生き生きしていた。歴史の流れをつかむこともできるし、読んでいて楽しかった。

  • 20170624読破

  • やっぱりこの時代を紹介するだけで終わってしまった。
    キャラクターに肉付けがないので誰が誰やらさっぱり頭に入ってこない。
    田中キャラとして人物を描いて欲しいと常々思っているのだが…
    読みたいと思っている「風よ、万里を翔けよ」もこんな調子なんだろうか?
    嗚呼、田中的キャラの会話シーンを思う存分味わいたい。

  • 著者の作品をじっくり読むのは本当に久しぶり。独特のシニカルな空気を纏った壮大な歴史エンターテイメントを満喫できたのはの幸せ。いろいろ諦めがよすぎたためのあの最期は物足りないが、史実であれば致し方なしか。

  • 銀河英雄伝説の中華版みたいな感じ。同じ死を迎えるとしても、蘭陵王はその場所が戦場であってほしかった。

  • 中国南北朝、美貌のために仮面を着けて戦に出陣していた勇将の物語。人物や出来事について淡々と説明していて、読みやすいけど小説として山がない。主人公の最期もあっけない。蘭陵王は美貌なだけじゃなく心意気もとても魅力的な人間だったが、反吐が出そうな悪人が多くてそっちの印象のほうが強かった。

  • あまりにも美貌なゆえ、戦場において部下が見惚れて士気が下がるのを防ぐ為に仮面を被って戦ったという蘭陵王。
    ほぼ史実に沿って書かれたためか、蘭陵王の個性とか感情とか淡々としていて、エンタメとして演出がもっと欲しいかな~。蘭陵王の側女となる徐月琴のキャラの方が光っていた気がします。特に父である徐之才との惚けた会話が面白かったです。
    蘭陵王が臣下としての忠義心よりも、国政を憂う心とか野心とかがもう少し勝っていたら歴史も変わっていたかも知れない。行儀良すぎ優等生すぎだなぁ。

  • 歴史は努力・才能の方向性を見極めることが必要と教えてくれる。

  • 6世紀の中国、南北朝時代の北斉の蘭陵王・高長恭。あまりの美貌ゆえに仮面をつけて戦場にたったといわれる人物。蘭陵王の活躍は見事だけど、朝廷の腐敗っぷりがひどくて人が殺されるとこが多く、そればかりが印象に残った。ちょっと残念な感じ。

  • 余りに殺伐とした中国歴史ものであり、その残忍さは、かの国が如何に過酷な簒奪の歴史を経てきたのかが、今さらながわ分かり、如何にその地位を守るために支配者が神をも恐れない所業を繰り広げてきたのかということから、今の世のかの国の在り様が透けて見える。支配者が変わり、歴史が如何様にも都合よく書き換えられることは良くあることであり、そのための悪辣非道な支配者ぶりが強調されていることを差し引いたとしても、まあ、確かに酷い歴史であることは否めないだろう。あまりに酷いので仙人となるヒロインを配しているが、正直、話から浮いている。また、そもそも誰が誰だか分からない姓名の中国人の固有名詞が多々多岐にわたり登場し、その逸話までおって語るため、話が分かりにくいこと甚だしいのが、物語としての興を殺いでいる。また、京劇で有名な蘭稜王は名は仮面の王子として名は知られ、主人公としてたっていただけに残念である。

  • 女顔イケメンのために、戦場に立つ時は鬼面をつけたという、どんな人だったのか知りたくてワクワクする題材である。
    でも、やっぱり田中芳樹の中国ものだった。
    実在した人物を題材に物語を描く、作者は膨大な資料の中からそれぞれの人物像を作ってゆくわけだが、切り貼り感が否めない。中国史ほど、勝者の言い訳である史書はなく、そこに100%の真実を求めることはないし、こんな言葉が遺っているだの、あんな逸話がどこどこに記されていただのが知りたいのではないのだ。沢山の資料の中から作者が見い出した人物像が、どう動き何を言うかが物語の醍醐味だと思うのだが。
    切り貼りも一つの手法と言ってしまえばこの作品の出来が悪いわけではないが、序盤でいつ死ぬかネタバレ、主要人物が10年後に何をしたかなどは興ざめだった。

  • 昨日読了、久々の田中芳樹作品。
    エンターテイメントとして、歴史小説としてそれなりに楽しめたけど、別に歴史知識以外の何物かが心に残った感じはしないなぁ。
    そしてその歴史知識も、すぐ忘れてしまうんだろうなぁ…。
    覚えてれば歴史に詳しくなれるんろうに、もったいない(笑)
    主人公は、顔が良くて武勇も卓絶して清廉潔白で、デキスギなので、私としてはあまり魅力を感じない…。
    ヒロイン?も、道士として修行した大飯喰らいのユニークな少女で、物語の良いアクセントにはなってるけど、そんなに魅力を感じない…。
    文庫本一冊で短かったから、そんなに思い入れできないのかな~。

    それにしても、中国史って、日本では聞いたこともないような残虐非道な為政者がわんさか出てきますね。
    犬を連れて狩りに出掛け、たまたま通りかかった赤ちゃん連れの女性に、犬をけしかけて2人とも生きたまま食い殺させるとかってどうよ…。
    あと、巨大水槽に裸の罪人を入れて、そこに蠍の大群を放り込んで、笑いながら見物するとかって…。
    そうかと思えば清冽な人もけっこういるので、さすが歴史も古く人数も多いだけに、色んな人がいるなぁと思います。

  • 中国南北朝時代・北斉の皇族のひとり蘭陵王の物語。美貌ゆえに戦場で仮面を着けて戦ったと言われる武将の悲劇。
    中国史は物語の宝庫ですね。日本に於いてマイナーな時代でも華々しい物語の種が散らばっています。その種を拾い萌芽させるのが作家の技量なのでしょう。田中芳樹はエピソードの使い方が巧いですね。史料を元にエピソードを重ねることで、各登場人物に肉付けしていくのでただ単なる歴史人物でなくキャラクターとして動いていくのです。またヒロインの設定も物語に華やぎと温かみを与えてくれます。何せ無能な皇帝の悪辣三昧の描写がえげつないですからねえ。傾国の皇帝の描かれ方なんてそんなものだと判りつつも、余りの酷さに辟易します。だからこそ蘭陵王の魅力が際立つこともあるのですが。

  • 【491】

    おもしろかった。
    衰えてなかった田中芳樹。
    中国の歴史をもう覚えていない。また勉強しようかな。

  • 中国斉の時代の武将のお話。
    あまりに美しい故に、仮面をつけて戦場に出たという逸話を持つ人です。
    多少小難しく書いてはありますが、話自体は面白いです。
    ら延べ

  • せつないです(´・ω・`)

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著者プロフィール

1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞(日本長編部門)を受賞。2006年『ラインの虜囚』で第22回うつのみやこども賞を受賞した。壮大なスケールと緻密な構成で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』『創竜伝』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを多数執筆している。本書ほか、『岳飛伝』『新・水滸後伝』『天竺熱風録』などの中国歴史小説も絶大な支持を得ている。

「2023年 『残照』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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