終点のあの子 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1933
レビュー : 239
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167832018

感想・レビュー・書評

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  • 「現代の若者のリアル」なんてものを描こうとした作品は
    いつもどこか私たちによそよそしい。

    浮き足立っている、というか。
    わざとらしい、というか。
    作者の「偏見」や「理想」が入り混じっているせいなのかもしれないが、いつもどこか、歪んでみえるのだ。
    フィクションというより、まるでファンタジー小説を読んでいるような…
    そんな気持ちになってしまう。

    けれど、この一冊は違う。
    いま、この瞬間、隣町の女子高の風景を切り取ってきました
    といわんばかりの、ごく自然な日常が描かれている。

    「女性」であれば、誰もが一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
    目に見えない、けれど確かにそこにあるクラスの「階級制度」
    身勝手に貼り付けられる、女子の「種類分けラベル」
    蜘蛛の巣のように張り巡らされてる「好奇の目」と、
    いかに自然に、早く、周りより上の地位へと登れるかという「小さな駆け引き」。

    「これよ、これですよ、現実の青春ってやつは!」
    と、読みながら何度頷いたことか。
    憧れと嫉妬と良心とプライドが混ざり合い、ぎゅうぎゅうと首を締め付けてくる…
    長所ばかりが描かれているわけではないのに
    この作品にでてくる女の子達には、親近感と、愛着を感じざるを得ません。
    それくらい、一人一人がきちんと血肉を持って描かれています。

    かつて「女の子」であった大人の女性たちに、オススメしたい一冊です。
    過去に満足している人も、そうでない人にも。
    キラキラ光る太陽の下、爽やかな汗を流すだけが、青春じゃないのです。

  • 女子校に通うのと共学に通うのとでは、
    それからの人生観が変わるのだろうなあ、
    なんてことを考えました。
    「ふたりでいるのに無言で読書」が好きです。

    そういえば、「姫」というあだ名は、
    お姫さまのようにかわいい女性という意味と、
    わがままで好き放題で場の空気を読まない、
    置かれている状況が理解できない女性という、
    二つの面をうまく取り入れたあだ名だと思う。

    「お母さん」もそうだ。
    おせっかいで面倒見が良いという意味と、
    全く「女の性」を感じさせない女性という意味を含む。
    こういったものを器用に使い分ける女性という生きものは、
    クレバーでもあり、そして残酷でもあるなあと思う。

  • 女子高って陰湿そうだよね、とイメージで聞かれてた。
    そんなことはない、けどそうとも言い切れない
    あのとき感じていたもやっとしていたものがここに書いてある。

  • 僕は女性作家のストライクゾーンがせまい。基本的に苦手だ。

    クラスの女子と気さくに話せる友人に、「寄るな! 女がうつる!」と言ってしまう感じが、いつまでも抜けない。

    女は謎が多く、何を信じていいのか意味不明だし、理解なんて一生かかっても無理だ。解いたら解いたで怒られるパズル。 面倒くせっ!

    しかし、だからこそ気になってしまう存在でもある。(←テヘペロ&思うツボ)

    僕は男だから、この小説の女子や女性たちの姿がリアルかどうかなど、知りようもない。でも、リアルなんじゃないかと思う。いや、そうであってください。

    ここに出てくる少女たちも、ほんっと面倒くさいのだけど、その欠点を愛せるというか、共有できる視点だった。

    情景や心情の書き方がストレートで、固有名詞の選び方も上手く、読後感もめちゃくちゃ良い。

    久々に女性作家を好きになれた。全作品、読みたい。

    • まろんさん
      「解いたら解いたで怒られるパズル」のとこで、爆笑しちゃいました!

      理解なんて一生かかっても無理だ、と断言してるあたりが
      かえって女性の本質...
      「解いたら解いたで怒られるパズル」のとこで、爆笑しちゃいました!

      理解なんて一生かかっても無理だ、と断言してるあたりが
      かえって女性の本質をしっかり理解してるなぁ!と感動を呼ぶ、素敵なレビューです♪

      こんなに面白く書かれちゃうと、この作家さんがどうしても読みたくなります!
      2012/05/24
    • phondaさん
      ありがとうございます! 人間同士、ましてや男女が分かり合えるなんてのはファンタジーだと自分に言い聞かせないと、僕は間食が増えて太ります。

      ...
      ありがとうございます! 人間同士、ましてや男女が分かり合えるなんてのはファンタジーだと自分に言い聞かせないと、僕は間食が増えて太ります。

      これは文庫で、本体533円+税(金利・手数料はジャパネットが負担)とお求めやすくなっておりますので、ぜひとも読んでみてください。名作ですよ。
      2012/05/25
  • 私立の女子校を舞台にした、女子高生たちの物語。
    収録されているのは同じ学校のクラスメイト達がそれぞれ主人公となる4編の連作。

    わたしは女子校でもなければプロテスタント系の学校でもなかったけれど、独特の階級社会をなつかしく、そして苦々しく思いながら読んだ。

    背伸びしたい思い。
    居心地の悪さ。
    戸惑い。
    イライラ。
    不安。

    高校時代ってキラキラしたものであるかのように描写されがちで、そんな理想というか憧れと実際の自分の高校時代とのギャップに打ちのめされることが多くて、これまで高校生が題材となっている小説は敬遠していたのだけれど、この作品はなんというか、せつないけど、いとおしい、そんな想いを抱かせてくれた。
    いいとか悪いとかではなく、自分の高校生活を肯定させてくれた一冊。

    自分のなかで、高校生活が「思い出」になっていることを再確認。
    いやなことばかりでも、いつか必ず浄化させることができるという自信を与えてくれた本。

  • 一気に読んでしまった。面白い。女の子って大変。男の子もだけど。

  • デビュー作からこのテイスト全然変わってないのすごいな…
    全然関係ないけど表題作が中に存在しなくて勝手に驚いた。

  • みんな「自分」を持ってるから、人間関係って難しい。

    当初電子書籍を購入したが、中一の娘に読ませたくなり文庫本も購入。
    娘がこの本をちょうど読んでいる時に些細なことから友だちとの喧嘩が勃発。
    愚痴を聞きつつ、「とはいえ、相手にも「正しい自分」があるからさ」と言うと、この本の影響があったのか、妙に納得したらしく、ほどなくLINEで友だちと仲直りしていた。
    そのあとで、ぼそっとひとこと「女子ってめんどくさいよね…」

  • オタクグループに属する子とクラス一の美人が夏休みを一緒に過ごす話が良かった。
    夏休み明けには何事も無かったようにお互い元の場所に戻るのだけど、交流が続いたらいいのにと思った。
    ひと夏の思い出。

  • ふたりでいるのに無言で読書が良かった

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著者プロフィール

柚木麻子(ゆづき あさこ)
1981年、東京都生まれの小説家。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010念二同作を含む初の単行本『終点のあの子』を刊行。2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞小説部門受賞。2015年『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞受賞、直木賞候補に。2017年『BUTTER』で直木賞候補。2019年、『マジカルグランマ』が第161回直木賞候補となる。

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