甘い罠 8つの短篇小説集 (文春文庫 え 10-2)

  • 文藝春秋
2.91
  • (4)
  • (19)
  • (61)
  • (26)
  • (6)
本棚登録 : 571
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838041

作品紹介・あらすじ

8人のミューズがささやく、甘美で怖い、8つの物語

江國香織、小川洋子、川上弘美、桐野夏生、小池真理子、樹のぶ子、村薫、林真理子――当代一の作家たちの逸品を収めたアンソロジー

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 女性作家による8篇のアンソロジー。

    告白
    三島由紀夫のタイトルを思わせる。
    舞台はゴア。
    人を殺して海外に逃亡してきたヤジロー。
    日本語など通じないはず、誰も知ってる人はいないはずなのにひょんな事から日本人の老人の話を聞くことになる。
    人買いと言う制度が身近にあった頃の話は心が痛くてたまらなかった。
    力の強い子供たちが弱い子供たちを踏み台にして生き残ろうとする。
    しかし元気になった子供たちはずっと歩かされやはり死ぬ。
    どうあがこうと生きることに希望を見出せない物語だ。
    この物語の行き着く先は絶望しかない。
    これは果たして甘い罠なのだろうか。

    カワイイ、アナタ
    一言で言ってしまえば気持ちの悪い話である。
    よくもここまで気持ちの悪い話が書けるものだと思う。
    しかもこれは特別な人間が特別な少女にと言うわけでもない。
    女性なら、いや、男性でもこのような思いをしたことがある人はいるのではないか。
    「アナタ」は気付いていないかもしれない。
    でも、不穏な雰囲気は、漂ってくるものだ。
    追いかけている方はかわいい愛しいと愛でているつもりだろうが、追いかけられている側は、ただひたすら恐ろしいだけ。
    逃れたいだけなのだ。
    少し谷崎潤一郎につながるような内容かとは思う。
    ただあまりにも物語の舞台が現代に近すぎるのでそれは怪しい世界とは言えず、ただただ恐怖の対象でしかない。

  • *現代を代表する女性作家が短篇小説を競作。恋愛小説から時代小説まで、8人8様のアプローチで女性の業があぶり出される贅沢なアンソロジー*

    それぞれの女性作家さんの、独特の個性が詰まった短編集。心に響くかと言うと…ですが、様々な世界観を楽しめます。ただ、「甘い罠」と言うタイトルがどこから来たのか不思議。内容に見合っていないところが至極残念。

  • 「甘い罠」というほどには甘くない罠。そもそも罠なのか?という話もあったのでタイトルに期待して読むと外れるかもしれない。
    面白かったと感じたのは以下の二作。
    ・桐野夏生『告白』
    想像したものとは全く異なるラストに意表を突かれた。
    不思議な老人の告白が昔話を聞いているようで面白い。
    ・高村薫『カワイイ、アナタ』
    狂気を感じる。
    山田某の、否先輩の、否(小生)の独白での少女を語る語り口の熱の入りようにドン引きだけれど、ぐいぐい引き込まれる。

  • 甘く怖くと書いてあったが、甘さより怖さの強い話が多い

  • 現代を代表する女性作家が短篇小説を競作。
    恋愛小説から時代小説まで、8人8様のアプローチで女性の業があぶり出される贅沢なアンソロジー。

  • 高村薫さんの短編が『甘い罠』というタイトルの小説集に収録ということで手にしてみました。
    すべてさらっと読める中、江國香織さんの『蛾』がこわユーモラスで良かった。でも小池真理子さんの小説かと思って読んでました。江國さんの新たな面(自分だけの)を見つけた感じ。
    小川洋子『巨人の接待』も高村薫『カワイイアナタ』もそれぞれの作家さんの味を堪能。
    しかし林真理子さんの『リハーサル』は…これって昭和60年代に書かれたものかいなと。そう、バブル時代のね。2009年か…えええっ!
    桜庭一樹さんが直木賞獲った時の、林さんの選評がものすごくやな感じだったので、立派なレンアイもの書いてるのかなー、読みたくないけどと思っていたんですが、なんじゃこれ、小説にしなくてもよくないか?
    近親相姦はダメで不倫モノなら書いていいのんか?でもそれでこれデスカ?みたいな感じです。
    やれやれ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「小説にしなくてもよくないか?」
      でも売れてるんですよね、不思議ですよね。
      大昔に媚媚感たっぷりのエッセイ読んで気分悪くなって、それ以来パス...
      「小説にしなくてもよくないか?」
      でも売れてるんですよね、不思議ですよね。
      大昔に媚媚感たっぷりのエッセイ読んで気分悪くなって、それ以来パス。
      矢野顕子の悪口言ってのも気に入らない。。。
      2012/08/03
  • 高村女史の新作…か!? チェックせねば

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      高村薫は「カワイイ、アナタ」。。。新作だったら良いですね。
      高村薫は「カワイイ、アナタ」。。。新作だったら良いですね。
      2012/07/10
  • 夏に読むには熱い?それともゾワっとして涼しくなるかな。。。

    文藝春秋のPR
    「8人のミューズがささやく、甘美で怖い、8つの物語
    江國香織、小川洋子、川上弘美、桐野夏生、小池真理子、高樹のぶ子、高村薫――当代一の作家たちの逸品を収めたアンソロジー 」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「暑い夏でも本は読みたい!」
      文庫オリジナルっぽいですが、既出作品かも知れません。。。
      暑い夏だからこそ、涼しいところで頭に清々しい刺激を与...
      「暑い夏でも本は読みたい!」
      文庫オリジナルっぽいですが、既出作品かも知れません。。。
      暑い夏だからこそ、涼しいところで頭に清々しい刺激を与えたいですネ。
      2012/06/28
    • miyacococoさん
      コメントありがとうございます!
      林真理子氏作品にはお手上げですー。
      未だ直木賞選考委員て!(笑)
      コメントありがとうございます!
      林真理子氏作品にはお手上げですー。
      未だ直木賞選考委員て!(笑)
      2012/08/03
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > miyacocoaさん
      「未だ直木賞選考委員て!」
      そうなんですね、思わずタメ息が、、、
      > miyacocoaさん
      「未だ直木賞選考委員て!」
      そうなんですね、思わずタメ息が、、、
      2012/08/03
  • 8つの短編のうち、高樹のぶ子さんの「夕陽と珊瑚」が一番面白くて好きでした。
    この先どうなるんだろうとハラハラしながら読んで、最後はそう来ますか!という驚きの結末が楽しかったです。
    私の読解力では、正直なところ何が罠だったのか解らない短編もありましたが、高樹さんをはじめ初めて読む作家さんも何人かいらして読んでみて良かったです。
    高樹さんの他の作品も、また読んでみたいと思いました。

  • うーん…表4にあるあらすじのような、
    「恋愛小説から時代小説まで、8人8様のアプローチで女性の業があぶりだされる」ということは感じなかったし、
    「甘く怖く、濃密すぎて苦しくなるような」話はいったいどこにあるのか?????何か別の本を買ってしまったのか?という印象。
    ・そもそもよくわからない話
    ・「甘い罠」というタイトルに沿ってないなという話
    ばかりだなという印象。
    私の読解力不足なのをさっぴいても、星1つでした。
    豪華作家陣だけに期待しすぎたのもあるかな。

全47件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江國香織の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×