- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167838041
感想・レビュー・書評
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恋愛をテーマにしたアンソロジー。
小川洋子『巨人の接待』がよかった。
バルカン半島の小国の現地語のみを話す作家の通訳をすることになった主人公と『巨人』の交流を描いた一編。
小川洋子のエッセンスが濃厚に詰まっている。
あえてこれを恋愛というカテゴリに置いたのがすてき。
小池真理子『捨てる』
夫を捨ててひとり東京へ逃げようとする女と、引っ越し屋の青年の話。
全体的な雰囲気がよい。
高樹のぶ子『夕陽と珊瑚』
認知症の老婆と介護士による完全犯罪。
ミステリ仕立てで面白かったけどちょっと安っぽい感じ。
これだけ読んだらイマイチだけど全体の中でアクセントになっていた。
その他、江國香織は不思議すぎて付いていけず、
川上弘美はもっと理解不能。
桐野夏生、高村薫は作風通り、林真理子の性表現は安っぽい。
ハズレはないけど暇つぶし以上にはなりにくい、アンソロジーってそういうもの、まあ期待値通り。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
甘い「罠」とはなんぞや?とモヤモヤ考えながら読了。・・・結論は出てません(笑)とりあえず、本好きにとっては「文章」は甘い罠だなと。いわんや小説ともなれば、ね。
読みながら思ったのは、より「甘い」を求めるのは大人かもしれません。罠に捕らわれるか否かのすれすれを見極め、スリルを味わう。純な恋ではできない芸当、大人の趣味嗜好。・・・そんな作品です。 -
高村薫さんの「カワイイ、アナタ」が読みたくて。
合田シリーズと微妙につながっています。加納兄の返事が気になる。
他の短編では、「告白」が好きでした。 -
8人の女性作家によるアンソロジー。
甘く怖く、濃密な…女性の業をあぶり出す8つの短編集。 -
短編のせいなのかわからないが、どれも面白味がなかった。唯一良かったのは、高樹のぶ子さんの夕陽と珊瑚くらい。
いろんな作家さんの作品を手っ取り早く読めるのでこういったオムニバスな本を時々手にとるが、今回のは失敗した感じ。 -
*引用*
好きだから、セックスしたい。好きだから、セックスしたくない。好きだけれど、セックスしたくない。好きでないから、セックスしたい。好きでないけれど、セックスしたい。好きでないから、セックスしたくない。好きでなくとも好きでも、どちらでもいいから、ただセックスをしてみたい。
頭が混乱しますね。でも、その七通りほどの感じが、明らかに若き日のわたしの中でぐるぐると入りまじって存在していた。そして、そのどれもがへんなふうにつながりあっていて、結局何がなんだか、さっぱりわからなかった。
男と愛しあったときには、必要十分なセックスが行われるべきだ、という、いわば肉体と精神のしあわせな融合感を、女が素直に打ち出すことができるのは、恋愛の経験値がある程度高い、そしてまた、体も心もみずみずしい、そういう時期に限るのではないかと、近ごろわたしは思ったりするのです。
―― 『天にまします吾らが父ヨ、世界人類ガ、幸福デ、ありますヨウニ』 川上弘美 p.78-79 -
ホラーものあり、50代の女性の体型の崩れを鋭く描写した小説ありの
いろんなジャンルの短編が読めます。
印象に残ったのは、林真理子さん、桐野夏生、川上弘美さんの作品。
心にすごく残る作品はなかったけど、好きな作風の作家さんを
探すのに時々、読みます。 -
ハードカバー『Invitation』から文庫化によって『甘い罠』に改題なんだって(>_<)
な~んだ(-_-)
だったら、すでに読み終わってたから
改題とは…そんな事もあるんだ -
8人の女性作家による8つの短編集。
それぞれの小説家の個性がぎゅっと凝縮されている贅沢さ。モチーフも筆致も全く異なるのだけれど、甘やかなのにじわりとせまる残酷さや、すぅーっと背筋が寒くなるような心もとなさが流れていて、まさにタイトル通り「甘い罠」がしかけられている。
江國香織さんめあてで買ったもので、もちろん江國さんの「蛾」もよかったけれど、小川洋子さんの「巨人の接待」や小池真理子さんの「捨てる」もとてもよかった。桐野夏生さんの「告白」はさすがの桐野節。読みごたえ充分の贅沢な1冊です。