扉守 潮ノ道の旅人 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 203
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838072

作品紹介・あらすじ

古い井戸から溢れだす水は"雁木亭"前の小路を水路に変え、月光に照らされ小舟が漕ぎ来る。この町に戻れなかった魂は懐かしき町と人を巡り夜明けに浄土へ旅立つ(「帰去来の井戸」)。瀬戸の海と山に囲まれた町でおこる小さな奇跡。柔らかな方言や日本の情景に心温まる幻想的な七篇。第一回広島本大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 子供の頃、TVで『ふたり』や『転校生』を見て以来一度行ってみたい土地である尾道。その尾道を舞台にした小説と、新聞で紹介されていたので読んでみたくなった。
    作者の光原百合さんは尾道出身。表題作の「扉守」は、2010年に第一回広島本大賞を受賞している。(中島京子さんの「ハブテトル ハブテトラン」と同時受賞)
    尾道をモデルにした潮ノ道を舞台に、ちょっと不思議な事が起こるストーリー。登場人物の人柄や土地の雰囲気がとても優しく、読んでいて目の前には穏やかな瀬戸内の姿や潮ノ道三山が広がる。登場人物が話す方言も馴染みがあって心地よい。
    読み終わって、ますます尾道に行きたくなった。このお話に出てきたような場所をいつか巡ってみたい。

    • まろんさん
      幻想的で美しい物語ですよね♪
      表紙に、ひとつひとつのお話がちゃんと反映されているのも素敵でした。

      私も『ふたり』や『転校生』、大好きな映画...
      幻想的で美しい物語ですよね♪
      表紙に、ひとつひとつのお話がちゃんと反映されているのも素敵でした。

      私も『ふたり』や『転校生』、大好きな映画です!
      そのほか、『時をかける少女』や『さびしんぼう』など
      尾道を舞台にした映画は、風情があって、旅に出掛けたくなりますよね(*'-')フフ♪
      2013/03/08
    • taaaさん
      まろんさん♪

      コメントありがとうございます(^-^)
      本当に美しい物語ばかりでした。実際には起こり得ないような不思議な話ですが、光原さんの...
      まろんさん♪

      コメントありがとうございます(^-^)
      本当に美しい物語ばかりでした。実際には起こり得ないような不思議な話ですが、光原さんの文章が本当に潮ノ道(尾道)で起こった事を書いているように感じて、またあの土地だと起こってもおかしくないなぁなんて思ったりして(*^^*)
      表紙も読んだ後に気付きました!素敵ですね。

      実は尾道は学生の頃に普通電車で通った事はあるんです(*^^*)
      次は是非立ち寄ってみたいです。
      2013/03/08
  • 以前読んだ時あまりぴんとこなかったのだけど、なんだかもう一度読んでみたくなり再読。

    潮ノ道という架空の土地を舞台にしたファンタジーものですが、どのお話も「想い」が共通点となっていて、ちょっぴり不思議でときどき怖くて、でもとても優しくて。たいへん光原さんらしい短編集となっています。

    中でも「帰去来の井戸」「扉守」「旅の編み人」の3作がすきです。
    ちょっと短編で終わらせてしまうのは勿体無いくらい。
    以前と同様に完全に入りこめなかった要因はもしかしたらその辺にあるのかもなあ。
    あと方言がわかりにくいのも難点。

  • 「潮ノ道」という瀬戸内海に面した町を舞台にした和風ファンタジー。
    ほどよくリアルで懐かしいような田舎町の描写と、ちょっと不思議な出来事が自然に溶け合っています。
    好きになりました。

    「帰去来の井戸」
    地元の大学に通う由宇は、伯母の七重の店「雁木亭」という店を時々手伝っている。
    店の裏には井戸があり、その水を飲むと必ず町にまた戻れるという言い伝えがあった…

    「天の音、地の声」
    小学4年の美咲は、持福寺の住職の了斎に頼まれて、劇団「天音」の役者サクヤを迎えに行く。
    わずか数人でやっている劇団だが、口コミでけっこう人気がある。彼らのしていることとは…幽霊屋敷と騒がれている古い建物で、美咲は、一端をかいま見ることに。

    「扉守」
    「セルベル」という雑貨屋に入ってきた少女・雪乃には、何かが取り憑いていた。
    セルベルの主人の青年が、実は扉守という役目をしていた。

    「桜絵師」
    持福寺の了斎のもとを訪れた絵師・行雲が広げていた絵。
    高校生の早紀は、描かれた桜が次第に増えていくのを見て、美しい絵の中に入りたいと思う。

    「写想家」
    人の思いを写す写真家。
    違う人生を送る女友達が、ある日抱いた思いは…

    「旅の編み人」
    ピンク色の翼を持つ何かが、羽ばたいて窓の外へ消えた。
    何でも編むという女性のバッグから飛び出したそれは?

    「ピアニシモより小さな祈り」
    静音は地元で勤めているが、神崎零のピアノコンサートをボランティアで手伝ううちに、ほとんど仕切るようになった。
    零には調律師の柊も同行して、コンビで行動している。
    静音の家には昔から、鳴らないピアノがあった。
    何度張り直しても、音を立てて壊れる…
    すねているピアノをなだめると言われ、連弾の練習を始める静音だったが…?

    瑠璃山、黒曜山、白珠山という三つの山がすぐ海まで迫っていて、細い道が入り組んだ坂をなす町というのが素敵です。
    作者は尾道出身なんですね。
    2006年から9年にかけて書かれた連作短編集です。

    • まろんさん
      帰去来の井戸、亡くなった人を乗せてきて雁木に繋がれる舟、
      淋しがり屋の畳たたき、謎めいた美青年の扉守、
      なんでも編み込んでしまう新久嶺さん、...
      帰去来の井戸、亡くなった人を乗せてきて雁木に繋がれる舟、
      淋しがり屋の畳たたき、謎めいた美青年の扉守、
      なんでも編み込んでしまう新久嶺さん、などなど
      風情のある風景や素敵な人が次々に現れて、うれしくなってしまう本でした♪
      坂のある町をヒロインと一緒に歩いているような気持ちになりますよね。大好きです(*'-')フフ♪
      2012/10/25
    • sanaさん
      まろんさん、
      素敵な作品でしたよねえ~!
      雁木の説明とかしたくなって…で、でも長くなっちゃうので困りました。
      畳たたきもいいわ~!
      ...
      まろんさん、
      素敵な作品でしたよねえ~!
      雁木の説明とかしたくなって…で、でも長くなっちゃうので困りました。
      畳たたきもいいわ~!
      仲良くしていた女の子のことを気にしていて…
      扉守さんはもちろん、美青年☆
      新久嶺さんに、どこかの電車で出会えないかしら?なんて。
      こんな物語を描くのにふさわしい故郷があるなんて、羨ましいです。
      大好きな本に出会えて、すごく嬉しいです♪♪♪
      2012/10/26
  • 中国地方の街で、ちょっと不思議なできごとを集めた奇譚集。2010年のベスト本にあげた本作が文庫化したので買って再読。うーん、やっぱり好きだなあ。やるせない話もあるのが好きなんだと思います。

  • 尾道を舞台にちょっとした不思議な事件が起こる日常ファンタジー
    というのが唯一の長所か
    起こる事件の幅のなさ奥行のなさ登場人物のかるさ
    褒めるところが少なすぎる
    題材はいいがそれ以外はよろしいといいがたい

  • 潮ノ道という土地を舞台にした連作。
    少し怖いような、不思議な話。
    帰去来の井戸、扉守が印象に残った。

  • 瀬戸内の風光明媚な町、潮ノ道(あとがきを読まずともモデルは明らかですね)を舞台としたファンタジー作品集。

    何気ない日常、でもちょっと不可思議な日常。町のそこここに人ではない"何か"が普通に存在し、ごく自然に溶け込んでいる。中には厄介者も居るけれど、大半のものたちは町にそっと寄り添い、時に人間に手を貸してくれます。

    作者が作品世界のみならず、故郷をこよなく愛している事がひしひし伝わってくる、ほっこりあたたかな一品です。

  • ある人から光原百合さんが良いと伺い、広島本大賞受賞作ということもあって読んでみることにしました。
    潮ノ道という架空の街。名こそ変えているものの尾道ですね。それらしい雰囲気が随所にあります。
    幻魔大戦風のおどろおどろしいものから、妖精っぽい可愛らしいものまで、連作のファンタジー短編です。
    もう一つ統一性が欲しかったかな。優しいものばかり並べるとかすると、結構まとまりが出たような気がします。

  • 不思議な力に満ちた、瀬戸内海にほど近い山に囲まれた町、潮ノ道。
    小さな奇跡に溢れるこの町は、人間でないものも呼び寄せたり、本来力を持たないものにも力を与える。
    読んでいるだけで、素敵な町だなと心底惚れこんでしまうような町でした。

    引き寄せられるように集まってくる個性的な面々もいいですね。
    もちろん、一番の主軸はこの連作短編集すべてに登場する、お寺の住職、了斎でしょうか。気のおけないおじいさんながら、不思議な町にぴったりな人物です。もはや何が普通なのかわからなくなってしまうくらい、気付けばこの町の空気に馴染んできます。

    どこか夢のような、美しい情景がまた特徴的です。
    見えない海の上を渡る船や、四季折々を映し出す動く絵画、そして短編のタイトルもまたセンスがよくて美しい。
    「桜絵師」
    「写想家」
    「旅の編み人」など…
    思わず、読んでみたくなりませんか?

    一番好きなのは「ピアニシモより小さな祈り」
    きっと自分の心の底に、想いが形になってほしい、誰かにきちんと届いてほしい、という気持ちがあるのでしょうね。
    人を、物を大切にして、それに応えてくれる関係が築ける。そのことがどれだけ素晴らしいことか改めて感じさせる1冊でした。

    初読みの作家さんですが、読めてよかったです。
    静かで美しい物語でした。

  • くえない住職・了斎だけが共通して出てくる連作中編集。
    尾道をモデルにした、不思議なことが不思議でなく起こる町が舞台。子供から大人までいろんな年代の女性が、その町に抱かれキズを癒していく。
    「帰去来の井戸」はしっとり、「ピアニシモより小さな祈り」は切なくあたたかくて、それぞれ印象に残った。
    童話のような雰囲気があるけれど、説教くさくないところが全体的にいい。
    作者は尾道大学で文学を教えているそう。

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