- 文藝春秋 (2012年8月3日発売)
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感想 : 20件
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167838096
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
テーマは心理学や脳科学を取り入れた物語で、独特な視点から描かれるストーリーが魅力です。読者は、著者の新たな一面を発見し、疾走感あふれる展開に引き込まれつつも、時には物足りなさを感じることもあります。特...
感想・レビュー・書評
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「私が知ってる橘玲と違う……」
葉月は、本をパラパラと読み返しながら、そう呟いた。浴室の床につま先立ちでしゃがみ込み、器用にバランスを取りながらページを捲っている。
「君が知っている橘怜は、ダイヤモンドオンラインの経済コラムニストとしてだろ」
蛹は湯船に浸かったまま、箱から煙草取り出し咥えた。
「作家だったんですねえ……」
「そうみたいだね。でも、結構面白かったよ。だいぶ飛ばしてるから、付いていくのが大変だったけど」
カチカチと、何度かライターを鳴らし、火を点ける。ようやく火が点くと、生糸のような細い煙を吐き出しながら、言った。
「それに、心理学や脳科学の小ネタを挟んでくるのも面白かった。まあ、ぶっとんでるんだけど」
「あれ? 18歳の家出少女が、歌舞伎町の片隅で一生懸命生きていく話じゃないんですか?」
「そうだっけ……新興宗教とかCIAとかイスラム原理主義とか軍隊とか出てくるけど」
「何そのヤバいものオールスターズ……」
その表現がツボに入ったのか、蛹が吐き出す煙はわずかに揺れた。
「ああ、でも、終盤のクリスマスのくだりはよかったね。世の中がメチャクチャになって、家のなかだけ妙に静かで、誰かを待っている感覚とかね」
「ああ、そこだけ聞くとすごくいいですね……」
「全体的に言えば、疾走感に悲しみも笑いも全部ぎゅうぎゅうに入っている感じは、楽しかった」
そうしてタバコを消し、これで最後と呟いて新しい一本に火を点けた。
「ところでさ、何で君は、俺が風呂に入っていると、何も言わずに入ってくるんだろう?」
蛹はそう言って、今さらだけど、と付け加える。
「あなたが風呂にいるなら、風呂こそが私の行くべき場所です」
葉月は立ち上がり、なぜか背筋を伸ばして胸を張った。
「かっこいいねそれ……でもそろそろ上がりたいから、コーヒーを淹れておいてくれると嬉しいかな……」
「風呂上がりに、熱いコーヒーでいいんですか? 別にいいですけど」
葉月が首を傾げながら浴室を出ていくのを見計らって、蛹もようやく湯船から出た。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まぁ、前作よりは小説っぽいか。
中途半端感がどうしても否めないので、もっと「マインドサイエンス」に片寄て良かったのでは。 -
「認知心理学」「超心理学」「人工生命」とネタは非常に面白いのだが、肝心の小説の中身がもうひとつ物足りないかな。でもこのシリーズ他の作品もちょっと読んでみたいかも。
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亜玖夢博士の出番が減って残念。だがまっとうなSF。
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マインドサイエンスの入門にはならないと思う。
しかし興味を持つきっかけくらいにはなるかな〜
これを読んだ後に関係する本に手を出すと面白いと思う。
この本自体はラノベ、って感じだった。 -
前作より解説要素を減らしてスラップスティックさを増強。こっちの方が好き。
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次の展開が全く読めない脳科学をテーマにしたカオスな小説。何が凄いって 主な参考文献が約50冊。
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最後のへんはSFみたいになってたけど、人間が想像することはすべて起こりうる現実っていうから、あながちぶっ飛んでいる内容ではなかったのかも。科学って、一体どこに行くんだろうね?
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2013/07/08
他の人のレビューの通りやね。 -
亜玖夢博士シリーズ第2弾。経済入門のあかねやリンレイを中心に問題のある人が関係し展開する話。おもしろいが荒唐無稽すぎかと思う。
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913
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2013/02/18
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マッドサイエンスものです。
脳科学、分子生物学、情報工学の集大成でしょうか?
この物語を書き上げるのに参考とした、あとがきに紹介されている文献が、また層々たるものです。
科学に支えられた物語は奇天烈、ナンセンス、ジョークの塊ですがですが主人公のアカネは純真まっすぐでカオスのなかの白いバラの花のよう♪
アカネの周りでジェットコースターのように進む物語は笑いながら科学していきます。
アインシュタインのような亜玖夢博士の論理解説は中々お勉強になりました。
ワハハと読める娯楽小説の正体ははニューサイエンスなのかもしれません?
読後感=混沌とした世の中は全て科学で説明がつかないところが面白い!
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間違いがあるのは残念
文庫版pp.72-73,単行本pp.67-69に掲載の「A K 4 7」の4枚の見えているカードから「母音の裏には必ず偶数」のルールの成立を確かめるために裏返すべきカード,の問題の答えが(答えが正しいとすれば問題が)間違っている。きちんと編集者が内容をチェックしていないことがわかり,とても残念。
作者(亜玖夢博士)は「Aと7」の2つを解とするが間違い。問題をこのままとすれば,解は「A 7 K」の3枚(念のために確認するが,Kの裏に例えばAがあれば「母音の裏には必ず偶数」のルールが破綻している)。解答をそのままにする,すなわち「Kの裏にA」の可能性を排除するには,「カードの片面には必ずアルファベットが,もう1面には必ず数字が書かれている」といったルールを前提として必要とする。実際にオリジナルの問題においてはそのようなルールが明記されており,したがって,作者の引用誤りということになる。 -
サイエンス続きで借りたが
マインド寄りだった
いくら科学が発達しても人間の心は
そうすぐには進化しないと言うことだ -
脳科学の一部を学びながら進むトンデモストーリー。
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シリーズ第2巻。今度はマインドものでした。結構難しい概念に思えるが、何とか平易な説明?になってて、かつストーリーにはまっているので面白く読めた。空恐ろしい技術のようにも思える洗脳など技術的視点でみて、かいつまむことができた気になれた。
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本書で紹介される最新の脳科学の知見はそれなりに面白いが、小説としてまったく面白くない。
面白おかしなキャラクターやストーリー展開に設定されているものの、いかにも安易な発想で笑いも驚きも喜びも感じない。
何だかどこかにタブーがあって、それに触れないように面白さを回避しているかのよう。
脳科学の紹介にしても、小説にしたことでわかりやすくなっているとは言えない。これなら例えば池谷さんの科学エッセイを読んだ方がいい。
唯一よかったのは「人格販売」の可能性について触れているところ。小説でしかできないことだから。ただし、ここでも惜しいことに不条理コメディというスタイルが邪魔をしてせっかくの題材を掘り下げられていない。
著者の橘玲は好きで結構手にしているが本作は駄作。
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