春は昔 徳川宗家に生まれて (文春文庫 ま 31-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838348

作品紹介・あらすじ

徳川宗家から会津松平家に嫁いだ女性の大正昭和の記録音楽やスポーツが得意で、社交界のスターに。戦中は一転、家事と育児に追われ辛苦をなめるがくじけない。ある徳川家の女性の回想記。

感想・レビュー・書評

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  • ガイド仲間さんに勧められて購入。

    徳川15代将軍慶喜に代わって御三卿の田安家から突然徳川宗家を継ぐことになった16代当主徳川家達氏。筆者はそのお孫さんで、松平容保の孫と結婚、次男は徳川家を継いだ現18代当主恒孝氏。

    大正~昭和初期の少女時代の徳川宗家の暮らしぶり、外交官だった父と過ごした戦前のカナダでの華々しい社交界の様子から、幼い息子たちを連れた疎開先の御殿場での秩父宮家との交流(妃殿下は義理の妹)などは当時の華族の暮らしを直に伝える貴重な資料。宴会の席で「正面には尾張、紀州…」などとサラッと書いてあるのには最早笑ってしまう。

    同時に、一人の妻として、母としての切実な思いや、時には舅への恨み節(?!)も。時代や立場が違っても、人の心というのは同じだなぁとしみじみ感じ入る。

    大正から平成の世を凛と生きた豊子さんという一人の女性に、どこか親しみと尊敬を感じる一冊です

  • 松平豊子(1913~1999 享年86)著「春は昔」、2012.12発行(文庫)。徳川宗家17代家正の長女、会津松平分家の松平一郎と結婚、次男恒孝(つねなり)は養子として徳川宗家を継いだ。今は「家柄」という言葉も実態も薄れてきたものと思いますが、江戸時代の大名で明治に華族となった超上流階級の家に生まれた女性の家系の説明、家族の説明、本人の回顧録です。今様に言うと、エンディングノートといえるのかもしれません。私にとっては汎用性は少なくそれほど面白い話ではなかったです。さっと一読しました。この種の本は、書き手の人柄によって色合いが大きく変わりますね。

  • 著者は、徳川慶喜の曾孫で、会津・松平容保の孫に嫁いだ人物。1913(大正2)年生まれで、昭和30年代までを振り返る。
    父親が島津から妻を迎えたのは天璋院篤姫の主張に添った、とか明治・大正の話は興味深い。
    かつて(実家である徳川)家で使っていた言葉として、「追加する」ではなく「御加増する」と言っていたというのは、これもしかして将軍家ジョークの一種なのだろうか?
     
    しかしまあ、家柄のよろしい方々は戦中戦後も何とかなった様子がうかがえる。
    昭和20年8月9日に「ついこの間まで夜はともかくごはんに何かお魚か肉に切れ端でもつけられたが、その形式は崩れ、明日も朝からおじゃがを食べる」と記している。とはいえ、御殿場に疎開していて、近所に住んでいる秩父宮妃(義妹)との縁であれこれ貰い物をしていることを書き記している。

  • 徳川宗家に生まれた筆者が子孫のために日記をまとめたもの。戦争などで徐々に庶民化していく話は元将軍家ということを考えると侘しさも感じる。また、逞しさも感じる。それでも戦中は庶民より良い生活を送っておられたことがよく分かる。女中がいて、御殿場に疎開して近所の人から食べ物をもらったり、近くに住む皇族にご挨拶にいってご馳走になったり。

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