- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167838492
作品紹介・あらすじ
ミラノの真ん中に存在するという知られざる暗黒街。海沿いの山の上にある小さな家の家主ジーノの人生模様。貴婦人の如き古式帆船に魅いられた男達-イタリア在住30余年の著者が、名もなき人々の暮しに息づく生の輝きを鮮やかに描き、日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞を史上初のダブル受賞した傑作。
感想・レビュー・書評
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まるで短編小説を読んでいるような感覚になりました
イタリアで内田洋子さんが出会う人たちのリアルな生活
イタリアの違う側面を感じました
内田洋子さんの人柄が、人の繋がりを作るんだろなと思いました
内田洋子さんの他の本もぜひ読んでみたいです!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イタリア在住ジャーナリストの著者が、イタリア各地で人生が交差した人々を描き出すエッセイ。
特に印象に残る景色は、シチリア島で潮風に吹かれる柑橘系の緑とサボテン(南国の景色大好き)、そして海に悠然と構える船の姿。声を出して笑える場面あり、じんわりの心に染み込む場面あり、とても充実した読書だった。
イタリアのエッセイといえば昨年大好きになった須賀敦子さんだが、本作は著者がジャーナリストだからか、記述がより客観的でからっとさっぱりしていて、短編小説を読んでいるような読み心地。行動派・社交的なフットワークの軽さが文章から滲み出ていて、文章には作者の個性が出るんだなぁと興味深かった。大満足! -
10のエッセイが収められたエッセイ集。
副題に、「イタリア10景」とある通り、題材はイタリアでの日常。作者の内田洋子さんは、長くイタリアに住まわれている方。
内田洋子さんの本を読むのは、初めて。これまで読んだことのないテイストを持ったエッセイだ。小説のようなストーリー。生き生きと描写されている、一つひとつの場面が、イタリアの普通の暮らしや、時に悲しい話ですら、魅力的に見せる。
「僕とタンゴを踊ってくれたら」。
何と魅力的なイタリアの田舎の暮らし。年寄りを含め、ここに出てくる人たちは、皆、生き生きと輝いているし、イタリア人は、楽しむことに手間ひまを惜しまないことがよく分かる。
コロナの影響で、この暮らしが毀損しているとすれば、とても痛ましい。
10編のうち、まだ5編しか読んでいない。
でも、この本は、一気読みするような本ではないことが、読み進むにつれて分かってくる。
ゆっくりと、自分のペースで楽しみながら、残りを読もう。-
sagami246さん、こんばんは(^^♪
内田洋子さんは「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」の著者さんですね!
そちらもとて...sagami246さん、こんばんは(^^♪
内田洋子さんは「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」の著者さんですね!
そちらもとても面白いのでお勧めです。
「ひとつひとつの場面とその描写」が巧い方です、はい。
2020/07/17 -
nejidonさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
この本も、教えていただいた、河野通和の書評から選んだ本です。「へろへろ」「ス...nejidonさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
この本も、教えていただいた、河野通和の書評から選んだ本です。「へろへろ」「スローカーブ」と、この書評からの読書が続いています。
お勧めも、ありがとうございます。是非、読ませていただきます。しばらくは、幸せな読書生活が送れそうです。2020/07/17
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エッセイストの内田さんの作品を読む度に、この人は、本当に「人が好き」なのだな、としみじみ思う。
イタリアにおいて出逢った様々な人との交流を描いた作品はどれもとても短い。
けれど、単なる好奇心旺盛から記憶した瞬間のエピソードを記すというわけではなく、その人たちの歩んできた人生や背景にまで想いを馳せ、聴き取り、内田さんと関わった時のエピソードに織り込ませて彼らの人生を短くも丁寧に再構築する精緻さと慈しむような文体に、心打たれずにはいられない。
とはいえ、まるで織物のタテ糸とヨコ糸の構造のようなその「織り上げ具合」の印象は、作品集ごとに少しずつ違う。
ある時は、厚みのある毛糸を使ってきっちりかっちり織られた鈍い光沢を放つ小ぶりな毛織のタペストリーのようだったり。
別のある時は、新しい糸に、選りすぐりに選りすぐった脆くも貴重な古糸を切れないように織り込んだ、柔らかく薄くて儚くて、仄かな光を放つ紗のようだったりする。
今回の作品集は、内田さんの作品の中でも初期作品集にあたるせいか、私がこれまで読んだ作品集よりは飾り気が少ないというか、より素朴な印象で、淡い色彩の少し硬めの木綿の織物、という印象。
他の作品集にある文章の構造と大きな差異があるわけではないのに、この印象の違いはなんだろうかと思ったのだけど、きっと、内田さん自身の引越しエピソードが頻繁に出てきて、そのあちらこちらの引越し先での人との出会いや彼ら彼女の人生の断片を掬い上げる、というタイプのお話がいくつかあり、必然、内田さん自身の生活の鱗片を覗くような面があるから、日本人にはより身近な木綿の布の印象になったのかと思ったり。
本作では、表題作ともなった「ジーノの家」が特に印象深い。
だだし、今回私が失敗したと痛感したその原因のは、「人が好きな内田さんは、図らずも交流を続ける事になった人の人生を、別の作品でもまた同じ丁寧さで連続的に取り上げる」と気づいたこと。
以前読んだ内田さんの作品に出てきた人物が、本作でも取り上げられてて、しかも、本作の方が古くて…というのが数作あり。
誰かの人生のその連続性をしみじみと噛み締めて味わうには、読む順番を間違えたなあ…と。
もちろん、それぞれ独立した作品として十分素敵ではあるのですけど。
内田さんの作品はできるだけ刊行順というか、執筆順に読むのがいいのだと学ばされました。 -
牧歌的なイメージと異なり、意外と蒸し暑く、けれどもエネルギッシュな北イタリアの夏を垣間見た。(冬の描写もあったが、夏の場面が多かったので)
イタリアに生きる人々の「光と影」を描いたドキュメンタリー。何だかそれぞれの章で、登場人物の発するメッセージと共に、濃い『色』を強く感じた。ワインの赤、サボテンの緑、喪章の黒など。表紙がモノクロだったこともあり、余計に想像を掻き立てられる。
この本で登場する場所(ミラノの街角、北イタリアの小都市や村)は、決して巷で売られている旅行ガイドブックには登場しない。けれども、イタリアという国を、そしてイタリア人の気質を少しでも感じ、学ぶことのできる貴重な『ガイドブック』だと思う。まだまだ海外旅行が容易では無い2022年の夏、安易に旅行に行かず、1つ学んだことで、将来の旅は2倍3倍に楽しくなると信じたい。 -
ミラノの太陽、シチリアの月 に続いて、内田洋子さんの2冊目。これを読む前に前から持ってる須賀敦子全集第一巻を読んでたのですが、何だろう、須賀さんはシャープな感じ、内田さんはふんわり柔らかな感じで、悲しい結末も、パラシュートでふわっと着地させてくれるので、そこまで痛くないというか(貧しい語彙)これは、久々に一人の作家を追っかける流れになりそうです。次はどれを読もうかな(^o^)
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2011年作
イタリア在住30年(上記の時)
10編のエッセイ集
どれも、実体験からくる興味深い内容で面白かった。
何も知らずにイタリアに住んでしまえば、飛んでも無い事になってしまうんだろうなと思えることが多くて、でもそこに30年も住んでいるのは興味深いというか、イタリアの魅力なんだろうなと感じた。
また行きたいな~と思った、、けど、行ったことは1度もないし、確実に行けない。
小さな村の物語、イタリアの録画をまた見る!! -
ようやく梨木香歩と同じように、全著書を読みたいと思う作家さんに出会った。
梨木香歩以外のエッセイは読めないと思っていたけどこの人のエッセイはいくらでも読めそう。
限りなく現実に近い短編物語を読んでるような気分。目の前にある情景をそのまま文字にして本の中に閉じ込めたような文章。頭の中に映像が浮かび映画を観てるような錯覚。ジブリの魔女の宅急便や紅の豚の中に漂う空気が充満してる気がする。
ワクワクというか、純粋で静かな「いいなぁ…」がポロッと出ててしまう。冷静に人を分析しながらも優しさと愛が滲み出ている。現実的であり叙述的。リアルなのに幻想的。すごい。 -
好奇心を持って、濃密なイタリアとそして人々の「死」に触れた記憶が書きつけてあるようでした。
私事ですが、南伊に短期留学していたことがあります。時折その記憶をなぞるようにイタリアに関するエッセイを手に取るのです。
この本は、まさに当たり。
わたしが感じたかった郷愁と、まだ見ぬイタリアへの冒険心をかきたてられた気がしました。
どの項も良いですが、やはり表題の『ジーノの家』が好きかなぁ。 -
フィクションのようだけど、全部エッセイ。
文章が上手すぎる。
読み応えがかなりあるので、じっくり時間をかけて読みたくなる。
表題作のジーノの家もよかったし、すべての作品がよかった。