辻井伸行 奇跡の音色 恩師との12年間 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2013年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167838508

作品紹介・あらすじ

先生がいたからピアニストになれた!



盲目の少年を一流のピアニストに育て上げた恩師の、独特の教育法と二人の12年間の交流、国際コンクールの内幕を描く感動の物語。

みんなの感想まとめ

感動的な物語は、盲目の少年が一流のピアニストへと成長する過程を描いています。恩師との12年間にわたる交流を通じて、独自の教育法や特別な譜読み、演奏中の姿勢など、辻井伸行の成長に寄与した様々な要素が明ら...

感想・レビュー・書評

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  • 最近読んだ中山七里さんの岬洋介シリーズから読む音楽にも弾みがついてきたと思う。こちらはピアニストとして世界の舞台へ駆け上がっていった辻井伸行さんのノンフィクション本。恩師の川上先生との出会いや、点字楽譜ではない特別な譜読み、演奏しながら揺れ動く姿勢、鍵盤上から手指が浮かない特徴的な弾き方、演奏会前の集中力の高め方、どれにも物語があった。

    『もし川上が感情を込めて弾いてしまえば、辻井がそれを真似するという“耳コピー”になりかねない。あくまでも「譜読みテープ」は、辻井が曲の音を取るための“楽譜”であり、川上が演奏する“お手本”ではないのだ。…自分なりの解釈で演奏させ、その演奏から湧き上がってきた個性を自分の指導で育むといったスタイルで辻井の器を大きく成長させていきたいと考えていた。-第3章 6歳と29歳、運命の出会い-』

    辻井さんの演奏はピアノの音が澄んでいて綺麗な印象があり、「何かが違う」という気づきを与えれてくれ、「もっとちゃんと聴きたい」というこちらの聴覚が研ぎ澄まされる気がする。川上先生の指導と辻井さん自身の多大な努力があって、響いて鳴っている音なんだと思った(ノ´∀`*)

    2026.3

  • 一流のピアノの先生の考えが分かってとても興味深いです。川上昌裕さんの音楽人生も知れて、音楽の世界をより垣間見れます。
    『ピアノを弾く人に、耳をよく働かせていない人が多く見られます。自分で弾きながらその音を聴いていない、間違っても聞こえてない人』がいることに納得してしまいました。自分もそんな一人だなと。
    目や指で楽譜を覚えていては、自然な音楽を表現できない。楽譜から離れないといけない、それが暗譜というものだそうです。『頭で楽曲をよく理解し、耳で覚える』目から鱗でした。
    今まで分かりもせずに、我が娘にアドバイスしていた自分が情けないです。。娘は私なんかよりよく理解できているのかもしれないと思った次第です。

    それまで、日本は厳しく指導することが主流であった、精神論、「泣く」「泣かされる」のが当たり前だった。→音楽に対し、真面目。
    本場ウィーンでは、褒める。しかもプロセス(練習準備期間)を褒める。→音楽に対し、喜びを持つ。
    作曲家の国の言語を知っていることが、その音楽を表現することに有利である。
    コンクールに落選することの不条理、何かしらの力が働くのでしょうか。。。芸術に関して人が人を審査することの不完全さは否めない、運としかいいようがない。どれだけ苦渋を飲まされても挑み続けた川上昌裕さんや他大勢のピアニスト達に感服します。
    その後、偶然が重なりついに川上昌裕さんと辻井伸行さんが出会う。なんということでしょう!こんなドラマチックな出会いを経験する人はそうそうないでしょう。思わずため息が出てしまいます。
    そして、緻密で繊細なレッスン計画を練る川上昌裕さんと、そうさせてしまう才能豊かな6歳の伸行少年…アンビリーバボーとしか言いようがないです。

    ご両親が伸び伸びと育ってほしいという願いを込めて「伸行」、川上昌裕さんも同じくセオリー通りではなく、良い部分や個性を伸び伸びと育てるのがいいと判断したということで、
    名前って引き寄せるのかなぁと思いました。私の子ども達にも少々思い当たる節があります。
    しかし、若くして有名になっていく教え子は周りからチヤホヤされてしまう、厳しくするのは自分の使命とばかりに川上昌裕さんはショパンコンクールを機に、それまでの褒めるレッスンから厳しいレッスンに変えたそうです。

    12年にも渡り二人三脚で走ってきたお二人、ショパンコンクール(批評家賞)を終え、音楽の解釈が違うことに気付き、辻井さんが川上昌裕さんからの自立を目指し、辻井さんの器をさらに大きくするために、川上昌裕さんも納得して自分の手から離されたことに師弟愛を感じました。離れてもなお、辻井さんにとっての一番の恩師は川上昌裕さんであると常に心にあることが素敵だなと思いました。

    ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールへの出場に至る経緯も知ることができました。所属事務所が出場を勧めたことが意外に思いました。辻井さんこ本人は二の足を踏んだようですが、辻井さんの明るさはアメリカで受けるというスタッフの推しがあったとは、周りがよく理解している証拠ですね。
    『器の大きなピアニスト』『ミット・フロイデ』
    川上昌裕さんから受け継がれたこころの遺伝子に感動しました。

    文庫版あとがきが少々くどいのですが、そこで自作曲を作るにあたり加古隆さんにアドバイスを求めたということが紹介されていました。辻井さんは耳馴染みの良い左手和音からメロディを作っていくそうですご、それだと曲がワンパターンに陥りやすくなることを指摘したと。辻井さんの曲は好きですが、なんか分かると思いました。これからも期待しています。

    最初から最後まで興味深く読めました。

  • 辻井伸行(1988年~)は、東京音楽大学付属高校、上野学園大学卒のピアニスト、作曲家。生まれた時から眼球が成長しない障害を負っていたが、7歳で全日本盲学生音楽コンクール(現・ヘレン・ケラー記念音楽コンクール)器楽部門ピアノの部第1位、11歳で全国PTNAピアノコンペティションD級(中学2年生以下の部)金賞を受賞したほか、サントリーホールでのソロ・リサイタル開催、大阪センチュリー交響楽団、東京交響楽団、読売日本交響楽団等との共演を行い、大きな反響を得る。2005年に17歳で挑戦したショパン国際ピアノコンクールでは予選で敗退した(但し、ポーランド批評家を受賞)が、2009年に20歳で出場したヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人として初の優勝を果たし、2011年にはニューヨークのカーネギーホールでリサイタルを開催した。
    その後も、世界各地でリサイタルや一流オーケストラとの共演を行い、また、アルバム作品はそれまでのクラシック音楽では見られなかった規模のセールス(日本で)を記録している。
    本書は、辻井がヴァン・クライバーン・コンクールで優勝した後、辻井が6~17歳(ショパン・コンクールで予選敗退するまで)の12年間に恩師・川上昌裕と歩んできた軌跡をまとめ、2010年6月に放映されたNHKドキュメンタリー「こころの遺伝子~あなたがいたから~器の大きなピアニストになれ 辻井伸行」をもとに書き下ろして、2011年に出版された単行本に、2011年12月放映の同「旋律よ殿堂に響け~ピアニスト・辻井伸行 自作曲に挑む~」の内容を加えて、2013年に文庫化されたもの。
    尚、神原一光(1980年~)氏は、早大卒、上記の2番組のディレクターを務めた。
    私は、芸術でも科学技術でもビジネスでもスポーツでも、一芸に秀でた人の伝記・半生記、或いは当人が書いたエッセイの類が好きで、これまで、辻井伸行については、盲目の天才ピアニストというイメージしかなかったものの、今般偶々新古書店で本書を見つけて手に取った。
    読み終えてまず感じたのは、何はともあれ、辻井の演奏を聞いてみたいということであった。私は、クラシック音楽、ましてやピアノに関して特段の造詣があるわけではないが、常に喜びを持って(mit Freude!)ピアノを弾き、世界中の聴衆を魅了する、辻井のピアノから何が感じられるのか、とても興味深い。
    また、その辻井に対して「器の大きなピアニストになれ」と言い続け、天賦の才を大きく花開かせた、川上との師弟関係は、月並みながら、心を打つものであった。(分野は異なるが、夭折した「羽生世代」の天才棋士・村山聖と師匠・森信雄七段を描いた大崎善生の『聖の青春』を思い出した)
    とても読み易く、前向きな気持ちを持ち続けることの大切さ、心から信頼できる師弟関係の素晴らしさを、素直に感じることができる一冊である。
    (2023年3月了)

  • 辻井さんのピアノへの愛がすごい。
    好きこそ物の上手なれ、とはこのことですね。
    そして何事にも積極的に挑戦する辻井さん、難しいことほど燃える、と…。尊敬しかない。

  • すごい人だなあ、とぼんやり思っていたけれど、本当にすごい人でした。ピアノ、一度でもいいから生で聴きにいきたいなあ。そして直接拍手をお送りしたい。

  • 私はテレビを通しての盲目の天才少年ピアニスト・辻井伸行しか知らなかった。
    本書を読み、辻井伸行の成功は彼の才能と努力も然ることながら、両親や川上先生夫妻など彼を取り巻く人たちに恵まれて築かれたものだと知った。
    私自身も、娘を育て、後進を育てるにつけ、個性と才能を伸ばすように努力しなければならないと感じた。

    しかし本書を読む程に辻井伸行が天才さ、非凡さを思い知る。冒頭『この本は、川上先生の情熱とピアノに対する愛情とノウハウがあふれています。この本が、ピアノを教える指導者の方やピアニストを目指す皆さん…』と書かれているが、ピアノを学ぶ平凡な者達に果たして本書は役立つのだろうか?

    神は、辻井伸行を音楽に集中させるため、彼の視力を生まれながらにして奪ったのではないだろうか。

  • 【先生がいたからピアニストになれた!】盲目の少年を一流のピアニストに育て上げた恩師の、独特の教育法と二人の12年間の交流、国際コンクールの内幕を描く感動の物語。

  • 辻井さんには、この世界の音たちがどんなふうに煌めいて聞こえているのか、純粋に知りたい。もちろん美しいものばかりではないだろうけど。川上先生も本当に素晴らしい。二人が出会えてよかった。

  • 230522

  • 04年のニュースステーションで、当時中2くらいの辻井氏が、おもむろにカプースチンの夢を弾いているのを偶然見て、この人はすごい!と思ったのをよく記憶している。そして9年後、また偶然に本書の刊行を知り、速攻入手。
     川上先生の、ハノンの練習の話や、自分の出す音を聴く習慣についての記述も参考になった。が、ここまで1人に集中して指導をするということ自体の凄さを知ったのがよかった。TV番組は全く見たことがないので、再放送に期待したい。そしてより専門的に記述された音楽論の本も出してもらいたい。子弟対談なども面白いのでは?

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