日本の血脈 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.70
  • (9)
  • (19)
  • (15)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 164
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838645

作品紹介・あらすじ

著名人の家系をたどれば、この国のかたちが見えてくる小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、美智子妃――。政財界、芸能界から皇室まで、注目の人士の家系をたどった連作ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『女帝 小池百合子』の著者として初めて名前を知った石井妙子氏。ほかの本を読んでみたいと図書館。
    小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、堤康次郎、谷垣禎一、オノ・ヨーコ、小澤征爾、紀子妃、美智子皇后らの数代前の系譜をさかのぼり、それがもたらしたであろう血、歴史をひもとく。
    時に、感情に走るきらいがあるような気がするが、文章はうまくて引き込まれる。

    印象に残ったのは、中島みゆき。
    彼女のお父さんは腕のいいお医者さんで人望もあったが、不運な事故でケガをし、その後遺症でそれまでの仕事が困難になる。時にお酒におぼれるようになる。大学卒業後、中島みゆきはポプコンで入賞する。「アザミ嬢のララバイ」でデビューが決まった10日ほど前にお父さんが脳溢血に。その病室で書いた曲が『時代』だった。その曲で中島みゆきは世界歌謡祭でグランプリを受賞した。

    この曲は、私の中ではクラスメイトの交通事故死と重なる。
    「そんな時代もあったねと、いつか話せる日がくるわ
     あんな時代もあったねと、きっと笑って話せるわ」
    このくだり、本当にそうなのかしら?と思った当時。
    私がこの曲とクラスメイトの死を重ねたように、
    彼女も死線をさまようお父さんと重ねたのだろうと思ったら、とてもとても胸に来た。

  • 人は一代で作られるものではないのだなと。「"哀しき父への鎮魂歌"中島みゆき」「"流血が生んだアート"オノ・ヨーコ」「"癒されぬ子ども"香川照之」など。

  • 社会
    歴史

  • ミーハー心、野次馬根性を満たしてくれる一冊。小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、堤康次郎、小沢一郎、谷垣禎一、オノ・ヨーコ、小澤征爾、秋篠宮紀子妃、美智子皇后というラインナップで各人物に至る家の歩みを振り返る。
    こじつけ、都合のいい解釈といってしまえばそれまでだろうけど、この家にしてこの人物ありという納得感も十分ある。個性豊かな現代における注目の人物たちだけど、前の世代の人たちはそれ以上の活躍をしたように思える。そして表には出てこない女たちの存在。血脈だから男と女がいなければつながりようがないのだが、それ以上に家に、人に強い影響を与える女傑が存在するものだと感じた。
    やや異色かつ異常に思えたのが香川照之。おそらく標題に挙がった人物たちはそれほど血筋を気にしていないのではないかと思う。もちろん、父がやってた職業だから継いだ程度の思いは、二世政治家連中にはあるかもしれないが。ただそれ以上に、香川照之だけは血脈を滑稽なまでに、やさしくいえばいじらしいほどに意識している。それが彼の原動力でもあるのだろうけど、彼を縛るものでもあるように思えてならない。
    血脈。それは家系をつなぐ業のようなもの。科学的にいえばDNAがなす業。意識することなくそのように生きてしまうところにその所以があるだろう。だからこそ、家系をさかのぼることで所以がうなずけるところが面白い。でも、面白いと思うにとどめておくことが大切。あくまでも人々が思いたいようにつくり出す勝手なストーリーに過ぎない。

  • いやはや、なんとも面白い本だった。著名人の数代前まで遡って、
    その家系から彼ら・彼女らの生き方を検証している。

    感傷的な文章も所々にあるが、女性作家だからだろうか、女性を
    ないがしろにした男性に対してかなり辛辣な筆をふるっている。

    その辛辣さが最も発揮されているのが、小泉進次郎と小沢一郎
    の章だ。小泉ジュニアに関しては本人ではなく、その父である
    純一郎氏に対してである。

    ジュニアの母であり、別れた奥さんへの純一郎氏の対し方に
    相当のお冠である。これが気持ちいいほどに、冴えた筆を
    見せている。

    そして、私が一番読みたかったのが俳優・香川照之の章だ。
    この章の為だけに本書を買ったと言っても過言ではない。

    テレビをあまり見ないので、香川照之を初めてまともに見た
    のはNHKのドラマ「坂の上の雲」で正岡子規を演じた時だった。

    うまいなぁ…と思った。しばらくして、ドラマだったかCMだったか
    で見掛けた時、なんだか嫌な顔になっていてびっくりていたら、
    歌舞伎進出と聞いて二度びっくり。

    離婚して母の下で育てられたとは言え、彼は歌舞伎役者・三代目
    市川猿之助の長男。でも、40歳を過ぎての歌舞伎進出には
    違和感があった。

    香川照之が父の元を離れる原因となった藤間紫とのスキャンダル。
    本書は当時のワイドショーや週刊誌の報道内容に疑問を呈し、
    藤間流の歴史から三代目と藤間流との関係を解き明かしている
    のが興味深い。

    ずっと父に会えなかった。どうしても父に会いたい。だからって
    本番前の楽屋に押し掛けて行っちゃダメだろう。大事な舞台を
    控えている役者が、どんな心境なのか。同じ役者なら分かって
    もいいようなもんだけどね。

    私は本書を読んで、香川照之が嫌いになりました。

    中島みゆきの父の話は切ないし、秋篠宮紀子妃の父方の
    おばあ様・紀子(いとこ)さんも興味深い人物だ。そして、
    美智子皇后の母・正田富美子さんの、マスコミが作った
    イメージとは異なる実像も面白かった。

    家系を遡るなんて余計なお世話かもしれないが、この人が
    この人と繋がって、そうしてここであの人と繋がって…と
    見て行くのは楽しい。

    それにしても、皇室からのふたり。美智子皇后と秋篠宮妃かぁ。
    皇太子妃じゃないのね。あ、皇太子妃だとチッ…(以下自粛)。

  • 現代の著名な政財界、芸能人の血脈と育ちを追ったノンフィクション。
    正統派ルポルタージュの系譜に連なる傑作です。

  • 日本の有名人10人のファミリーヒストリを書いた本。日本の近世史が分かる好読物
     女系家族「小泉進次郎と生き別れの母」
     癒されぬ子供「香川照之 父を恋ふる半生」
    哀しき父への鎮魂歌「中島みゆき 題は同じ)
     土地の亡者と五人の女「堤一族を呪縛する五人の女」
     ひとりぼっちの豪邸「小沢一郎 秘密の多すぎる家族」
    影を背負って「谷垣貞一 陸軍謀略期間の祖父から届いた『千文字」」
     流血が生んだアート「オノ・ヨーコ 安田財閥の血と芸術の血」
     遅れてきた指揮者「小沢征爾『世界のオザワ』を育てた三人の父」
    皇室で掴んだ幸せ「秋篠宮紀子さま研究 祖母譲りの適応力」
    母が授けた改革精神「美智子さま 母から受け継いだ改革精神」

  • 小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、オノヨーコ、紀子妃、美智子妃などの有名人の祖先から繋がる血脈。
    今の彼らがどのように育ったか、あるものは親に従い、あるものは親に逆らい生きてきた。
    人に歴史あり、それぞれがドラマになりそうだった

  • 文藝春秋の連載「現代の家系」を加筆して文庫化、各編とも改題されているのだが連載中の題と比べるとよく錬られている。

    2011/2 女系家族「小泉進次郎と生き別れの母」
    2011/4 癒されぬ子供「香川照之 父を恋ふる半生」
    2011/10 哀しき父への鎮魂歌「中島みゆき 題は同じ)
    2011/8 土地の亡者と五人の女「堤一族を呪縛する五人の女」
    2012/4 ひとりぼっちの豪邸「小沢一郎 秘密の多すぎる家族」
    2011/12 影を背負って「谷垣貞一 陸軍謀略期間の祖父から届いた『千文字」」
    2011/6 流血が生んだアート「オノ・ヨーコ 安田財閥の血と芸術の血」
    2012/8 遅れてきた指揮者「小沢征爾『世界のオザワ』を育てた三人の父」
    2012/12 皇室で掴んだ幸せ「秋篠宮紀子さま研究 祖母譲りの適応力」
    2012/10 母が授けた改革精神「美智子さま 母から受け継いだ改革精神」
    そしてこの本に収録されなかったもう一遍が勝海舟の曾孫ではなかった財務事務次官、勝栄二郎2012/2月号にあたるのだろう。また連載順ではなく入れ替えているのも美智子妃でラストを飾るのがふさわしいと思えたからか。題名を見れば批判的かどうかが想像がつくように、おっさんたちには厳しい。

    伝記は面白い。ノンフィクションでも主人公にあたる人物が登場するとだいたいどのように育ったかから始まり、親の代から追いかける事もしばしば見られ伝記的な部分は必ずある。これが週刊誌の有名人の家系を追いかける企画になると下世話になりがちなのだ、例えば佐野眞一の橋下・朝日騒動が典型例だ。しかしNHKですらファミリーヒストリーで芸能人のルーツを追ってるのだからこれは人気の高いコンテンツで後はどういう切り口で処理するかだろう。堤康次郎のなんかはどうやってもきれいな話にはならないけど。

    それにしても2ヶ月おきにこれだけの取材をこなすのはなかなか大変そう。誰を取り上げるかというのも毎回思い悩んだと後書きに書いてあるが、話題の人であっても「現代の家系」としてはまるかどうかは記録が残ってるかどうかとか、それなりにドラマがあるかとか条件が当てはまるかどうか。例えばホリエモンだとゼロを読む限りはまりそうにない。さすがにどの章も「おそめ」と比べると濃密さにかけるが2ヶ月だもんねえ。

    面白かったのが谷垣貞一の母方の祖父、影佐貞昭陸軍中将の話。森川久美の「蘇州夜曲」「南京路に花吹雪」を思い出したが上海で国民党No.2の汪兆銘を口説き、2年以内に日本軍が撤退する事を条件に親日政権を樹立する事で合意した。しかし、近衛文麿の声明では撤退には全く触れられずその後汪兆銘は南京政府を作ったものの国民党からは裏切り者として扱われ死後に墓をあばかれている。影佐は中国に染まり過ぎとラバウルに左遷させられ、ここで初孫貞一の誕生の知らせを受け、そのまま終戦を迎えた。谷垣さんこの章では影が薄いのです・・・

    中島みゆきの章は読みながら歌を思いだす。育った町岩内のあたりは「海鳴り」「朝焼け」「断崖〜親愛なる者へ」全体のトーンとしては「根雪」。そして脳溢血で倒れた父親の病室で作りそこから向かったポプコンで歌ったのが「時代」

    また小泉進次郎、香川照之、堤一族、小沢一郎の各章では取り巻く女性たちのコントラストが興味深い。

  • 【著名人の家系をたどれば、この国のかたちが見えてくる】小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、美智子妃――。政財界、芸能界から皇室まで、注目の人士の家系をたどった連作ノンフィクション。

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

石井妙子 (いしい たえこ)
1969(昭和44)年、神奈川県生まれ。白百合女子大学卒、同大学院修士課程修了。2009年『おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)』を執筆。綿密な取材に基づき、一世を風靡した銀座マダムの生涯を浮き彫りにした同書は高い評価を受け、新潮ドキュメント賞、講談社ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞の最終候補作となった。『原節子の真実』で第15回新潮ドキュメント賞を受賞した。2019年、「小池百合子『虚構の履歴書』」で第25回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞。

石井妙子の作品

日本の血脈 (文春文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×