文・堺雅人 (文春文庫 さ 60-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838713

作品紹介・あらすじ

俳優、堺雅人が「演じる」ときに考えること。大きな話題を呼んだ演技派俳優の初エッセイ。新たに作家の宮尾登美子氏、長嶋有氏との対談、蔵出しインタビュー&写真も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 俳優・堺雅人のもう一つの顔、本人曰く、素人作家。
    初エッセイ【文・堺雅人】を読んだ。

    月刊誌に連載されていたエッセイと雑誌の対談が収められている。
    エッセイのタイトルはすべて漢字一文字。たとえば、「髭」だったり、「酒」だったり、「鈍」だったり。
    堺さん自身、だんだんそれがルールになってきて、いい一文字が思いつかない時には「まけた」とすら思うようになったとか。
    本のタイトル【文・堺雅人】は文章の最後に執筆者を(文・〇〇〇)と書く、あそこからとられてるんだろうなぁ・・・、と勝手に想像している。

    初めて読む堺雅人さんのエッセイ。
    『天璋院篤姫』の作者・宮尾登美子さんとの対談で、宮尾さんが堺さんのことを「読書家だというし、随筆も書くというし、インタビューでも語彙が多いし・・・」と称されている。
    「情熱大陸(2009年)」でも堺さんの読書家ぶりはうかがえたが、この本を読んで本当にそう思った。
    そして、やっぱり頭の良い方だと。
    実は私、エッセイはあまり好きではない。
    でも、このエッセイは面白かった。
    堺雅人はやっぱり真面目で努力家。
    だからこそ、今、俳優・堺雅人は注目されているんだろうなぁ・・・。

  • CREA誌上で堺さんのエッセイを読んだ時点で気になっていた。
    とはいえこの本はCREAの連載ではないんだな。
    順番が逆だったってことか。残念。

    仮名の使い方、言い換えると漢字を使わない姿勢(意識的なのかは判んないけど)が独特。
    逆説的だけど『プロの文筆家』ではない、というプライドを持ってるのかな、という気がした。
    プロではないからこそ読みやすい文体を心掛ける、とでもいうのか。
    個人的にはここは漢字を使った方が意味を汲み取り易いんだけどなー、
    という部分もあったのだが
    そこは敢えて曖昧にする手法?、と邪推させるテクニックなのか、と
    穿った見方をしてしまう辺り一筋縄ではいかない。
    そんなところにも唸らされた。

    対談とインタビューは文庫本特典(?)だったのね。
    宮尾登美子さんとの篤姫対談は読み応えありまくりだった。
    『天璋院篤姫』と、本文中に出てきた『徳川将軍家十五代のカルテ』を読んでみたくなった。

    けっこう厚い本なのに、インストアライブを待っている間に読み終わってしまった。
    内容もさることながら、文字の大きさと段組みの為せる技だろうと思う。
    組み方がとても読みやすかった。

  • 俳優・堺雅人が〝半沢直樹〟の役につくまでの「演じる」ことについての思いを、真摯に語り継いだエッセイ集です。芸人の世界で飯を喰うことがどれほどのものか、才能だけでは生き残れない、そんな世界の苦労話や苦言を語らず、今ある自分を素直に見つめ続けた文体に爽やかさを感じました。役者は役柄に応じて変幻自在に正体を隠せますが、紙面に綴られる文章には人柄が滲み出てくるものなんですね。

  • 「じゃあ、何はツマラなかったのか?」と問われると答えたくありませんが、「俳優さんの身辺雑記」というジャンル?の文章の中では、大変に面白い本でした。

    どの辺がどう面白かったのかと考えると…。この本に含まれていなかった要素、で考えると。

    ●「私って/俺って、こんなに普通じゃないんです」的な自慢話。

    ●自分の身の回りの人や自分のことを、「一杯のかけそば」的人生訓感動話に持って行く安易さ。

    ●ヤンキーの兄ちゃん姉ちゃん的な「当たって砕けろよ」「最後は気合いだよ」「俺は私はそうやって成功したんだよ」という…ヤザワ成分とでも言うべきもの。

    ●やたらと周囲あるいは目下あるいは年下の人々や世相に対する上から目線な説教精神。「電車で席ゆずれよ」レベルの事から、文明論とか日本文化論めいた言い草になるような、「道徳の授業的ツマラナサ」。

    …こういった要素が無いんですね。

    確実に、書いている堺雅人さんも、「そういうのはいやだなあ」と思っている気がします。

    なので、基本は「私が最近した仕事」とか「私の生い立ち」などから始まる文章なんですが、そこからちゃんと、「脱線」するんですね。
    その仕事をきっかけにこんなことを考えたり思ったりしました、というお話になっている。
    そして、それがちゃんと「まとまらずにぼんやりと終わる」という誠実さ。

    それは、「明治時代の人と自分はずいぶん違うなあ」とか「中国の人は美味しいものを食べることに拘る人が多い気がするなあ」とか
    「品が良いってどういうことなんだろう…と考えだすと難しい」というようなことだったりする訳です。

    知的好奇心というのは、こういう雑文?というものの一つの鋭利な武器だと思います。(そういうのに一切関心が無い人はこういう文章をあまり読まないから(笑))
    で、陥りがちな「ほら、俺って、私って、知的好奇心もっちゃうタイプだからぁ」みたいな、下品な筆にならない(笑)。

    普通に謙虚なんだろうし、「下品なコトしたくないなあ」と感じて生きてるんだろうなあ、と。

    で、当たり前ですが「あの有名な俳優さんはこんなこと考えてるんだ」とか「業界ってこんな感じで仕事してるんだ」という、買い手側の欲求もそこそこ満たしてくれています。
    (まあ、そういう欲求が無いと、根本的にこういうジャンルの本は商品として誰も作りませんからね…)

    それでもって、「へー、そんな本があるなら読んでみようか」とか「あ、その作家さん読んだことないから面白いんなら読もうかな」と、正直に僕は思わされました。
    だから、「仕事の様子チラ見せファンサービス雑文」であると同時に「薄味の読書のオススメ文」でもあるんですね。
    きっとそう受け止められれば、堺雅人さんとしては、「してやったり」なんだじゃないかなあ、と思いました。

    ホントに正直、思ったより面白かったです。パチパチ。

    別段、「読書家」という訳じゃなくても、「本を読んで夢中になる楽しさを味わったことがある」「色んな本を読むのもいいよなあ」と思える人で、俳優・堺雅人さんのことを少なくとも嫌いではない人は、読む価値がありそうですね。

  • 堺さんの役者というお仕事を語るコラムといった感じ。かといって「役者とはなにか」を堅く語るわけではなく、演じている人物の職業や、時代背景、生活環境などについてのお話が主。
    日常のエッセイかと思って手に取ったので、思った内容と少し違って意外でした。文面から、仕事の方に常に視点を向けているように感じ、真面目な方なんだな、という印象でした。
    ひらがなが多かった。

  • やん。堺さんの本!
    (単行本でも持ってるけど)思わずアマゾンで注文してしまった。

    ざっと見たところでは、単行本より掲載されている写真が少なく、
    宮尾登美子さんや長嶋有さんとの対談、文庫本あとがきが追加されているもよう。

    帰省や旅などには、堺さんのおっしゃる通り、
    こちらの文庫本をボロボロになるまで、持ち歩かせていただきますよぉ(*´▽`*)v

    • まろんさん
      永遠ニ馨ルさん、こんにちは!

      おお、ついに文庫化ですね?!
      良い本ですよ~♪
      ますます堺さんを好きになってしまうこと請け合いです。
      ドラマ...
      永遠ニ馨ルさん、こんにちは!

      おお、ついに文庫化ですね?!
      良い本ですよ~♪
      ますます堺さんを好きになってしまうこと請け合いです。
      ドラマも始まったし、堺さんファンにはうれしい7月ですね(*'-')フフ♪
      2013/07/13
    • 永遠ニ馨ルさん
      まろんさん、こんにちは!
      そうですよ、とうとう文庫化されたんですよ!!(*´▽`*)!!
      実は単行本もすでに持っていて、
      何度も再読をしてい...
      まろんさん、こんにちは!
      そうですよ、とうとう文庫化されたんですよ!!(*´▽`*)!!
      実は単行本もすでに持っていて、
      何度も再読をしているんです。
      な の に、
      文庫本もまた買っちゃったという……
      いいんです。
      これから、旅に行くときにはこの文庫本をボロボロになるまで持ち歩くんです。

      堺さんファンにとっては嬉しい7月!堺雅人さんラッシュです。キヤー(*´▽`*)
      けど、始まったドラマも、もったいなくてまだ観てないんですよね……(意味ワカラン/笑)

      2013/07/13
  • 俳優の堺雅人さんのエッセイ本。
    俳優の時の淡々としたイメージ通りそのままに、
    穏やかで誠実で、少し不思議な着眼点の文章。
    言葉の端々から賢さが伝わってくる。

    ちょうど30代半ば頃に書いたもののよう。
    石田ゆり子さんのエッセイもそうだったけど、
    有名な方が自分と同じ年代の時に何を感じ考えていたかを知るのは中々面白い。

    よく知る作品の舞台裏が知れたり、堺さんの演技の振り幅の根源が少し分かる興味深い1冊でした。

  • 篤姫で堺雅人って上手いなぁと思ったのだけど、文章も書くんだと興味を持って手に取った本。
    少し涼しい風が吹いてるような文が心地よい。
    出てくる舞台、映画をもっと自分も見てたら、より堺さんと一体化した心地になれるだろうけどと、その境地に至らない自分がちょっと残念。
    逆に篤姫にまつわるエッセイは、へぇそんなこと考えたんかと、振り返って堺雅人の演技に想いを馳せる。
    エッセイ一つ一つに漢字一文字の見出し。
    篤姫にまつわる部分は、位、命、品、守、家、女と多くのページをさく。
    カンシャクを、おこして大声でわめいたりした家茂という役。その根底には、「いきいきと、でも、品はよく」の監督さんなどからのオーダー。
    「品とは、だれかがまもり、うけついでくれたもの」
    撮影後導かれつつあるこたえとある。

  • 知性を感じる

  • 古本屋巡りが日課の一つです
    その書棚の中に
    「文・堺雅人」という背表紙があるのは
    なんとなく覚えていた
    その時は、あぁよくあるタレント本の一冊なんだろう…
    と思っていた

    少し前に
    「杏のふむふむ]を読んでいて
    堺雅人さんのことが登場していたのを
    ふと思い出し、
    今回は、なんとなく手に取って
    買って持って帰りました

    日曜日のぽこっと空いた時に
    ひょいと ページをひらいてみたのですが、
    いゃ これが なかなか

    いい時間をもらえました

    残念なことは
    TVは全く観ないので
    TV関連のお話がでてくるときは
    想像で補うしかありませんでした

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