- 文藝春秋 (2013年9月3日発売)
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感想 : 30件
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167838744
作品紹介・あらすじ
芥川賞作家にして最年少川端賞作家が描く奇蹟
美しかったり、謎めいていたりする、隣の人びと。すれ違ってゆく、忘れられない人たち。日常を切り取って紡ぎだした、奇跡の六篇。
みんなの感想まとめ
日常の中に潜む、ささやかな別れや出会いを丁寧に描いた短編集です。著者は、普段は見過ごされがちな人々との関わりや、記憶の片隅にある出来事を掬い上げ、心に響く物語を紡いでいます。各短編は、仕事の同僚や旅先...
感想・レビュー・書評
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青山七恵さんの六編の短編集。単行本は2010年に第一刷発行でした。
『お別れの音』というタイトルが、とても好きな感じで、手に取りました。
お別れと言っても、この本で描かれているものは、長年親しい人とのものではありませんでした。一緒に仕事をしていた人、靴の修理をしてもらった人、職場で気になった人、記憶にないのにメールを送ってくる人、さほど話をしたことがなかった大学の同級生、旅先でお世話になった人とのお別れです。こういうのもお別れというのなら、毎日色々な人と出会っては、別れているなと思いました。どこかでこんな感じのことが起きてる、そんな話の数々でした。私は淡々とした生活のなかでの出来事が描かれた小説も好きなので、この本はとても好みでした。それにしても、人の気持ちは、難しいですね。ひとりよがりにならないよう、気をつけたいと思いました。
「新しいビルディング」
「お上手」
「うちの娘」
「ニカウさんの近況」
「役立たず」
「ファビアンの家の思い出」
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日常の中の忘れてしまいそうな些細なエピソードを大切に掬い上げたような6つの短編。
淡々とした文章だけれど、引き込まれて読んでしまっていた。
「うちの娘」
ついつい気になる人っているよね。そしてその人の人物像や背景を勝手に考えたりして。けれども実際は接点を持たないことの方が多いかも。「思い込み」って時に人を不快にさせたり、恐怖や怒りを与えかねないから気をつけようと思った…
「ニカウさんの近況」
取引先とのメールで、本来入らないメールにCCに入ってしまってて、でもCCだからあえて間違ってますよ、とも言わないのあるある。でもこういう私信的メールではないかな。そんなメールから繰り広げられる話。世界中で起こっているのかな、と思った。
「二度とその名前を思い出さない人たち」「いたるところで忘れられているんだろう」仕事だけでなく、人生はそんなことの繰り返し…私の名前もそんなふうに誰がの記憶から抜けたり、ふとした拍子に思い出されたりすることもあるんだろうな。
「役立たず」
これだけ毛色が違う。ちょっとミステリー。怖い。
「ファンビン家の思い出」
私もお腹壊しやすいので、腹痛の様子の描き方がなかなかリアルで過去の腹痛エピソードがズルズル出てきた。イテテ。 -
過去を「日常」という道として振り返るとき、そこにあったはずの起伏やひび割れや分岐は、「日常」という言葉によって平坦で起伏のないダラダラと続く一本の道のように平されてしまっている気がする。そうやって「日常」に覆い隠されてみえなくなってはいても、過去のそこかしこには、小さな、感情の揺れやあきらめ、それらに由来する言動や決断は絶対にあったはずで。そんな「日常」に隠されてしまった小さくて歪な、だからこそ忘れてしまっているような部分を大切にすくいあげ、丁寧に物語ったような短編小説たち。特に冒頭にある「新しいビルディング」という一編。
その短編を読み進めるうちに、わたしの日常の端も少しだけめくられる。この短編集でも書かれる「心地の良いあきらめ」や「調和しないタイミング」、しっくりこない世界との関係。少しずつ失ってしまったものたち、意識していなかったような別れがわたしの「日常」にもやはりあったのだった。それらは隠されてみえないままでも良かったのかもしれないけれど、思い出し気付いたのなら、今のわたしに影響を与えたはずのそれらをもう一度抱きしめて、今度は大切に覚えておきたい。この短編集を読んだこと、そこで感じたり考えたりしたこと一緒に。そんなことを思った。 -
何か不思議な味わいのある短編集だった。
読み終えたあと、「お別れの音」というこの小説全体のタイトルについて考えた。
別れと一口に言っても、関係性も長さも別れ方も理由もそれぞれで、本当に浅いところまで視野を広げてしまうと、知り合って親しくならないうちに別れてしまう(二度と会わなくなってしまう)関係もたくさんある。
何となく静かに別れの匂いが漂ってくることもあれば、自分の意思で別れを決めることもある。
この小説は劇的に愛し合った二人が劇的に別れた、みたいなお話はひとつもなくて、どちらかと言えば意識しなければただ通りすぎて終わってしまうような関係性のその別れがほとんどで、だからこそ味わい深いのだと思う。
はっきりと聞こえる何かの音、誰かの声、そして想像の中の音。様々なところに、「お別れの音」が潜んでいる。
「お上手」と「役立たず」がとくに印象に残った。
少しの情報だとか一方的な好意をもとに「あの人はきっとこういう人だろう」とか「きっとこんなことを思っているだろう」と勝手に思い込んでしまうことって実は日常にたくさんある。勝手に望んでしまうことがある。意識してないだけで。
それが違ったときはただひとつの現実が明るみになっただけの話。想像と違った相手が悪いわけじゃない。
自分の欲求を恨みに変えてはいけない。
そんなことを、改めて思った。
(そういう恐ろしいお話はないけどね!) -
なんとも掴みどころのないような別れの短編集。
別れとは言っても、親友、恋人、家族のような存在ではなく、
意識しなければ通り過ぎてしまうような相手。
偶然知り合った人。
劇的なことは起こらずに、出会い、気がつけば別れていく。
『お上手』と『ニカウさんの近況』が特に雰囲気が良くて好きだった。 -
「別れ」と聞いて真っ先に思い浮かぶような親しい人との悲しい別れではなく、人柄や名前すらも知らないような人との出会いとも言えないような出会いや別れを通して芽生えた心の引っ掛かりのようなものに光を当てた作品集。よく知らない人だからこそ、その人の性格や思い出などと結びつくことができずになまの感情が宙に浮いたままになり、時として後まで強く残ったりするのだろう。すぐ納得して消化できてしまうことほど印象にも残らないものだ。こういうちょっとした引っ掛かりのある出来事だって立派に人生を豊かにすることに繋がっているんだなと思った。2つ目の『お上手』が特によかった。
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「お別れ」と呼ぶには大げさで、でも「お別れ」としか呼べない六つの瞬間を、穏やかな「音」と共に掬い取った短編集。
短編集だけど表題作があるわけではなくて、収録されている六編全体のタイトルとしてこの名が冠されているところがすごく綺麗だと思う。
全ての人の日常の中に、こうした些細な「お別れ」が息を潜めていて、私たちをそこで待っているのだとして、
それなら今日、僕は、何とお別れしたのだろう?
その代りに、何かに出会ったのだろうか?
「お別れ」と「出会い」は等価ではない。
「お別れ」が次の「出会い」へと、私たちを導いてくれるのではない。
「お別れ」は、ただの「お別れ」。
ただそこにあるだけで、それ以上でもそれ以下でもない。 -
なんなん、このチクチクチクチクした小さい小さい棘みたいな違和感は。
嫌いなような好きなような嫌いなような?
☆新しいビルディング
☆お上手
☆ニカウさんの近況
☆役立たず
☆ファビアンの家の思い出 -
「その子のことよく知らなかったんでしょ」と言われるとどの主人公も言葉もないだろう。だけど、別れという以前にすれ違いなんだけど、同じようでいて昨日とは確かに違う今日が過ぎ去っていく、そんな小編たちだった。
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一番近いとこの小さい幸せには気付けないもの。失ってから気付くもの。
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全体的に、結末がはっきりしないお話ばかりで自分は苦手だった。日常で会うその人がどんな人なのかわからないがその人がどんな人か妄想する、みたいなお話ばかり。
唯一「役立たず」のお話がミステリーチックで結末もはっきりしていて面白かった。
〇新しいビルディング
よく分からなかった
〇お上手
地下街の靴の修理屋に出会うお話
これもあまり面白くなかった
〇うちの娘
大学の食堂でいつもわかめうどんばかり頼む女学生が気になるお話。この短編集は結局、登場人物がどうゆう人だったのか解決しない、ある意味人生ですれ違うちょっと気になる人達との日常のようなお話 -
2015/9/10購入
2016/6/19読了 -
短編6つ。
文庫の裏表紙を引用すると、
日常の中ですれ違っていく、忘れられない人たち。そのすれ違いの中で、かすかに揺らぐ感情を掬いあげる…とある。
掬いあげかたがこれまで自分が読んできた本と違ってきたのか、新鮮だった。 -
悪くはないけどよくもない。なお、タイトルが収蔵作品に由来しない、ちょっと珍しい作り。
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【芥川賞作家にして最年少川端賞作家が描く奇蹟】美しかったり、謎めいていたりする、隣の人びと。すれ違ってゆく、忘れられない人たち。日常を切り取って紡ぎだした、奇跡の六篇。
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本日読了。
僅かな感情の揺れ、例えば、ささやかな悪意、密やかな異心、小さな憂鬱が、丁寧に繊細に描かれている。
それらは、繰り返される日常のほんのひとかけら『音』に表象される。
ビル建設現場の金属、メールの着信音、靴修理の機械音…。
他作を読んで(自分にはさっぱり分からないという驚きを含め)女性の心理描写が秀逸だなーと感じていたけれど、この短編集では二人の男性主人公が登場する。
どちらも「うんうん」と思わず頷きたくなるほど、生々しくその内面が描かれている。
そういう意味では、ちょっと怖くもある。 -
なんてことない日常も、丁寧に書けば物語になる、という印象の短篇集。
働く人たちの些細な出来事を、これでもかと詳細に書く。
言葉の選び方や緻密な文章は一定の評価を受けるんだろうけど、物語としてワクワクするのもを感じないから、たぶんこういうタイプの話は自分は好きではないんだな、と感じる。
最も起伏が無く、一番丁寧にオフィスの風景が描かれている『新しいビルディング』が裏に含むものが濃い気がした。
あまりやる気のないOLを主人公として、ふたりきり個室で働いている先輩が産休に入るまでの日々を描いている。くどいのだが、微妙に揺れ動く心の感覚が伝わってくる。
一文字ずつ物語を読む気力がないときに手を出すとまったく楽しめないんだろうな、と思った。 -
なにがどうってわけでもないのに漠然と暗くて、もっと他の感じも書けないのかなーと思う。
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140201
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すくい取って文字に起こせるほどはっきりした感情ではなく、薄く淡く重なり合う捉えどころのない感覚を、あえて書こうとする試みを感じる一作だった。共感できるところがたくさんあって、作者の鋭さ、言葉を選ぶセンスの良さにしびれた。
著者プロフィール
青山七恵の作品

オイラもこの作品はタイトルに惹かれました。
読んでみたいです!
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『お別れの音』って素敵なタイトルですよね。いつか読んでみてくださいね♪
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図書館で検索かけてみます!
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