白樫の樹の下で (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 65
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838911

作品紹介・あらすじ

いまならば斬れる!田沼時代から清廉な定信時代への過渡期。人を斬ったことのない貧乏御家人が刀を抜く時、なにかが起きる。第18回松本清張賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 剣の道に生きることで未来を切り開いて行こうとする
    幼馴染の貧乏御家人3人
    その純粋さゆえに壊れてゆく。

    1本の刀と出会ったことで転がりだす過酷な運命

    青年たちの必死さと純粋さがヒリヒリとする1冊

  • 描写がとても丁寧で細かいのが今回はあだになって、少々時間をかけて読了。

    もともと「つまをめとらば」で直木賞を受賞されたのがきっかけで、読了後に手にした本だった。

    これまで他の作家を含めて、何冊かの時代小説を読んできた中で、青山氏の小説はとても「上品」な印象を受けた。

  • 時代小説ながら、途中までのミステリー感はすごかった。これが最後まで続けば文句なしの五つ星だったが。。ミステリーなしとしても、一人の青年の成長の物語として読み応えがあった。

  • 時代ミステリーの形をとっているが、いろんな読み方ができ、作品の主題も人によってはいろんな風に捉えるのではないだろうか。

    現在にも通じる格差と貧困、若者のアイデンティティ探し、友情とは?様々なテーマを含んでいるので、読む人によって違う読み方が出来るでしょう。

    文章が良いので非常に読みやすかったのですが、もう少し書き込んで欲しいところもあったかな。

  • 青山文平のものと思い読んでみたが、「つまをめとれば」ほどではなかった。
    別のものを読んでみよう。

  • 第18回松本清張賞受賞作。江戸中期、田沼意次が失脚し松平定信が改革を行おうとしていた。天下太平の世ではあるが、浅間山の噴火に続く飢饉や政争に、市井だけでなく武士も漠然とした不安を感じている。最下層の武家は貧困にあえぎ、やがてそれは狂気を生み出す。名の知れた漂白の武芸者の道場に通う3人の門下生、彼らは剣に生きようともがき苦しむ。ともに切磋琢磨した三人の若者だが、いつしか歩む道が分かれることになる。

  • 未来の展望が開けない青年たちの夢をかけた、切なくて苦しい青春時代小説。悪政で有名な田沼意次の時代から、松平定信の時代に移り始めた頃の江戸が舞台。御家人の村上登は、道場仲間と貧しいながらも、清浄な武士への鍛錬に勤しむ日々を暮らしていた。そんな時手にした一振りの名刀が大きく三人の運命をかえていくことになる。。本作品、友情と反目、はかない恋など時代に翻弄された士分たちの心の機微を巧みな言葉とともにあぶり出しつつ、辻斬り犯を巡るミステリアスな面など多彩な要素を含む。がすべての要素は、天下泰平の時代に巣くう”貧困”の一点に集約されるよう区切りなく物語は進んでいく。それにしても精緻なロジックと貧困がもたらす悲劇を余すことなくつまびらかにする切れ味抜群の筆力が凄すぎ!筆者の時代小説にかける真摯な想いを強く感じる秀逸な作品です。

  • L

    背表紙のあらすじはあてにならないので鵜呑みにしないように。
    武士であるがゆえに捨てられないもの、刀に魅入られること、人を殺めること、出世、恋、剣技。そうだよ、武士が悩んでしかるべき!の中身。剣の腕があったって人を殺めれば刃毀れもするし、買い替えや研ぎには金がかかるから悩む。真剣を持てばいつ抜くか、抜かざるをえないとき、抜きたい衝動を抑えては悩む。
    途中、登の悩みに引き込まれそうになったよ。
    名刀を預かることになった登の悩み、とある事件を解決したことで役を得た昇平の悩み、役もなく自身の剣の腕にも限界を感じていた兵輔の悩み。3人の悩みのタイミングにあることが重なって、さらにあらぬ方に転がっていく。
    3人が友人だからこそ、重みが増す。感じ。

  • 先日読んで良かった青山さん。これもなかなかです。
    田沼政治が終わった頃、流行の竹刀剣道ではなく木刀による型中心の剣術道場に通う三人の若い剣士を描いた作品。
    時代小説で三人組といえば、武闘派、頭脳派、癒し系の仲間が力を合わせて事態を打開して行くというのが王道です。しかし、この作品で描かれるのは剣の道に邁進するがゆえに壊れて行く若者たちです。
    爽やかな感動のようなものはありません。妬みや破滅があります。しかし、それは道を究めようとする清冽さが、誤った方向に流れた結果です。
    純文学を目指いしていた著者の再デビュー作と言える作品。その主人公の一人の名前が青木昇平。著者のペンネームに模した名ですが、何か思い入れがあるのでしょうか。

  • 【いまならば斬れる!】田沼時代から清廉な定信時代への過渡期。人を斬ったことのない貧乏御家人が刀を抜く時、なにかが起きる。第18回松本清張賞受賞作。

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著者プロフィール

青山 文平(あおやま ぶんぺい)
1948年、神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。経済関係の出版社に18年勤務したのち、フリーライターに。
1992年、「俺たちの水晶宮」で第18回中央公論新人賞を受賞(影山雄作名義)。2011年『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞を受賞。評論家の島内景二氏は青山文平を60歳を超え遅れてきた麒麟児と呼んだ。
2014年『鬼はもとより』が第152回直木三十五賞候補となる。2015年、同作で第17回大藪春彦賞受賞。2015年『つまをめとらば』で第6回山田風太郎賞候補、第154回直木三十五賞受賞。以降、『半席』『励み場』『遠縁の女』などの作品を刊行。

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