悪の教典〈下〉 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 9108
レビュー : 1021
  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167839024

作品紹介・あらすじ

圧倒的人気を誇る教師、ハスミンこと蓮実聖司は問題解決のために裏で巧妙な細工と犯罪を重ねていた。三人の生徒が蓮実の真の貌に気づくが時すでに遅く、学園祭の準備に集まったクラスを襲う、血塗られた恐怖の一夜。蓮実による狂気の殺戮が始まった!ミステリー界の話題を攫った超弩級エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 息つく暇もないほど一気に読んでしまいました。
    序章といいつつ、後半はだいぶ恐ろしくなってきたと感じていた上巻が
    嵐の前の静けさでしかなかったことを改めて知ります。

    生徒達の必死の行動も極限状態では無力にほど近く、
    様々な工夫が、いとも簡単に破られどんどん減っていく有様は
    敵さえ違うものの、高見広春「バトル・ロワイアル」を思い出しました。

    こんな大量殺人をあっさりやってのける蓮実聖司は、
    どう考えても極悪非道のサイコパスであることは間違いないのに
    どこか憎めないのがまた恐ろしい。

    なんでもできてしまうほどのキレ者なのに、
    殺人を躊躇してしまった自分の気持ちには気づけないような
    不器用さがそうさせてるのでしょうか…。

    それまでと一転、事件翌日からは一切の蓮実の心理描写がないところがにくいです。
    彼らを前に、サイコパスは一体何を考えていたんだろう。
    ゲームオーバーかと思いきや、次のゲームスタートの合図のようでとても怖い。

  • ブレイクダンスで人を殺した小説はこれが世界初ではないか。
    読んでてびっくりした。。ほかにもまじめにやってるのかギャグなのかわからないシーンが結構あったなあ。
    小説だから想像力をセーブしてw半笑いくらいで流せたけど、映画で再現されてたらかなり笑うと思う。

    生徒たちは蓮実によって次々と殺されていく。
    ほとんどの生徒は「死体を隠すなら死体の山の中」理論で巻き添えを食った形でちょっとかわいそう。
    でも蓮実よ、ここまで慎重だったのに、2人をとり逃したのはあまりにもつめが甘いだろう。
    アメリカに蓮実よりももっとずっとヤバイやつがいたり、自分でも気付かないくらい気に入ってしまった女の子をひと思いに殺せなかったり、そういう完璧じゃなくて意外と人間くさいところは憎めないんだけど。

    ところで読み終わった後3日くらい、夢に蓮実が出てきて魘されました。
    ハスミンこわいよハスミン。。

  • 「今日は皆さんに死んでもらいます」みたいな。

    一人でクラス全員「卒業」させるのを、当日思い付く教師がこの世にいたのか。しかも猟銃で…もっと弾数の多い、身軽な銃の方がいいのにね。イヤイヤ。
    下巻になっていきなりクラス全員の名前が出てくるからわけわかんなくなるけど、すぐいなくなるから大丈夫(泣)

    ハスミンも体ボコボコなのに、痛みも感じなくなってるのかな…やってることがひどすぎて、なんだかもう最後は「あんなに頑張ったのにねハスミン」と思ってしまった。イカン。

    映画行くぞ!

  • TSUTAYAで借りたDVDみてたら、悪の教典の映画の宣伝されてて気になったので読みました。

    共感、という誰もが生まれながらに持つ能力が病的に欠落した蓮実のつくり出す「世界」は、理想と合理性でできている。故に、王国の実現のためには倫理観などは妨げとはならないし、人を殺すことにも躊躇はしない。
    彼は完全に冷徹な非人道的人間…
    …なのか?
    確かに彼のやり方は倫理的に間違っている。だがしかし、完全に血も涙もない人間だったのか?私は憂実と、あと美彌に最後の希望を見たい。
    首を握る指に力を掛けられなかった理由。それを分かることができれば憂実の"家庭教師"としての最も重要な"指導"は完了したのではないだろうか。
    あの時美彌を突き落していなければ、彼は最期の破滅へと向かわずに済んだのではないか。(まあ、どっちにしろやってはいけないことを今までやっているのだから裁かれるべきではあるが)
    しかし、憂実は死に、蓮実は美彌を手にかけてしまった。
    …憂実の復讐をした時点ではまだ人間みを非常に微弱ではあるが持っていたのかもしれない。が、最後の希望ともいえる美彌を突き落すという選択をした時点で、彼はもう後戻りができなくなった。
    …まあ、蓮実にとっての"家庭教師"を失ったといういらだちだとしたならば、復讐なのかどうかも分からないが。

    しかしながら、こんなに一般的に狂気的に思われることをしているにもかかわらず、蓮実はどこか魅力的な人物であるのが、この小説の一番のこわいところかもしれない…。

  • 生意気な生徒ばっかだなぁと思いつつも、教室に残った組の驚くべき賢さと保健室に行った生徒たちの勇敢さにどうか生き伸びてほしいと祈りながら読みました…

    全員やられてしまうと思っていたので、怜花と雄一郎が生き残ったのは良かったけど…本当に蓮見先生ひどすぎる…

    前島君がかわいかったな。久米先生と前島君にも生き残ってほしかった…

    AEDのくだりがよかったです。

    サイコパス…本当に何も響かないんですね。「問題解決のため」に皆殺し。最後の怜花と雄一郎、蓮見とのやり取りはこちらも憤りを感じてしまいました…

    上巻よりも勢いよく読めました。怖かったけど映画も気になるところです。

    監督のあとがきには共感しきれないよ…
    でも、蓮見の借家の描写についての解釈にははっとさせられました…!

  • 数日で上下一気に読んでしまった。
    止まらない、しかし読むうちに終わりに向かううちに次第に寂しくなる。
    ハスミンとお別れしなきゃいけないのが寂しいのだ。
    あとがきの三池監督の言葉にもありましたが、私ももはや調教されたハスミンの奴隷なのでしょう。(読者だから安全!)
    監督と同じく、蓮実先生の社会復帰を望む一人です。

    人間、生きてりゃ色々な思いをするでしょう。嫌なことばっかりです。中にはこいつ正気かって信じられないことしてくるやつだっています。
    そういう時、少なからず思うでしょ。「あー、消えてほしいな」って。
    もちろんしませんし、できませんよ。でもね、ハスミンはやっちゃうんですね。
    だって自分にとって邪魔なんだから。
    嫌悪とか憎悪とか復讐が理由ではない。「あー、消さないと」って思って消しちゃう。
    それがスカッとしちゃうんです。
    「やべ、さすがにまずいこれは終わりだ…」ってならないところが安心して「そうだ!そのままどうか逃げ切って!無敵のハスミーーン!」と奴隷はそのダークヒーローを応援してしまうんです。
    蓮実先生が焦ったり同情したり躊躇ったりしないところは欠落してるからなんだけど、またそこが読んでる私に特に「ハスミンの抱えるものが切なくて…苦しい」ということにもならなくて良い。
    決して明るい話でも楽しい話でもありません。一切そんな話ではないです。寧ろ酷いですよね、人によっては「なにこのただの大量殺人の話は」と思うかもしれません。
    でも、ピンチの時でさえジョークで返すハスミンは気味悪くてクスッとしちゃう。(本人はピンチとも思ってないんですがね。)
    いけませんね。
    鼻唄がモリタートにならないようにします。

    (映画を先に観たのでハスミンは完全に伊藤英明で脳内再生されました。はー、楽しかった。当たり前ですが、映画で描かれなかった他のエピソードが色々読めてよかった。それに小説の方がゲスくていい!)

  • 読み終ったよ~。
    最後のオチ、すごいウケた~!爆笑。この内容で、この〆はナンなの?

    下巻は、とうとうハスミンが狂って殺しまくるんだけど、私はイマイチこういうシーンは退屈。
    どっちかというと、上巻や惨殺シーンが終わった後の、ハスミンの態度やどう言い逃れのか、という方に私は
    関心を持ったな~。
    最後、ハスミンが殺人鬼だという証拠が出てくるのがちょっと早すぎだと思ったけど、もう彼は圭介を殺してからだんだんとボロがでてきてるのは明かで、捕まるのは時間の問題だったね~。
    でも、みんな死んだと思ったのに、3人も生き残りがいたなんてハスミン大負けだね~。

    こういうエンタメ作品は面白いけど、こういう事が実際に起こらないことを祈るばかりです。

  • 前編も充分に面白かったが、あくまで序章だったのだな。
    これが映像化されたと思うと、どう表現されているのか非常に気になるような、見たくないような。
    後半に頻出する、キ●●●って、なんですか?
    最後の短編と、三池監督のあとがきも良かった。

  • なんというか、本当に凡人には理解できない根っからの悪を描くのがとことん上手い人だなぁと感じました。

    第一章のカラス殺しぐらいはまだふーん、という感じで読めたのですが、だんだんと、理路整然と殺人を進めていく彼の考え方に鳥肌が立つぐらい怖気を感じました。
    映画化された作品を見て某アイドルグループの女子が「ワタシはこの映画嫌いです!」と言っちゃうのもなるほどわかるかなぁ~、こういうの嫌いな人はとことん嫌いだと思います。

    ワタシもこういう人物像、嫌いではあるものの(嫌いというより心底恐ろしいです)、「これは小説、フィクションなんだから」というのを頭に置いて読んでいると、ストーリーはフルスピードで破綻に向かうものの、2年4組のクラスメートの人間関係の絡みなどがうまくストーリーに活きているので、恐ろしくはあるものの、ページをめくる手が止まりませんでした。

    ワルぶっていたクラスメートが必死に友達の蘇生を試みた、その行動が、蓮実逮捕の鍵になるとは、上手いな、してやられた、という感じです。

    どなたかも書いてらしたのですが、退学させられたあの男子生徒、彼が実は事件解決のキーになるかなと予想していたんですが、意外とそうではありませんでした。

    後々の事件の証人ともなる男子と女子の二人が、なぜ生き延びることが出来たか、という種明かしもなかなか凄惨です。
    このときの二人の気持ちを考えると、自分ならトラウマになりそう…。

    と、いろいろ書きましたが、逆に言えば、「フィクションなんだから」と言い聞かせて読まないと、本当に恐ろしい、と言うか…。

    頭も回り、知力・体力が常人離れしている蓮実教諭は、恐ろしく巧妙な捕食者です。彼のような人間が自分の周囲にいない、もしくは今後現れないことを祈るしかありません。

    ところで、一番この作品の中で恐ろしかったのはやはりラスト。蓮実教諭が逮捕されたその瞬間から次のゲームが始まっていた…というくだりです。逮捕された瞬間に心神喪失をクルリと演じてしまう彼の頭の良さ、そして極刑さえ免れればどんなことをしても脱出して自分たちの復讐のために姿を再び現すだろうという事実。
    今までの彼の知力と行動力から考えるとありえない話ではありません。

    ラストは上手く収まっていてカタルシスを得れた…と思いつつも、一抹の不安と恐怖がサッと一刷毛薄く残る嫌な感じ。嫌な感じではありますが、恐怖はまだ終らない、という恐怖を残すところに、作者の上手さといやらしさ(褒め言葉です)を感じました。

  • 。。。下巻読んでて気付いた。これ、大島優子がこの映画嫌いって言った例のアレかー、と。うん、私もこれはダメだ。鍵の部屋書いた人だからと思って最後まで読んでみたけど、特にすごいどんでんがえしもない感じ。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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