悪の教典 下 (文春文庫 き 35-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167839024

作品紹介・あらすじ

圧倒的人気を誇る教師、ハスミンこと蓮実聖司は問題解決のために裏で巧妙な細工と犯罪を重ねていた。三人の生徒が蓮実の真の貌に気づくが時すでに遅く、学園祭の準備に集まったクラスを襲う、血塗られた恐怖の一夜。蓮実による狂気の殺戮が始まった!ミステリー界の話題を攫った超弩級エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • ハスミンこと蓮実先生は、ご自身の学級運営の障害となる問題解決の為に、彼の優秀な頭脳を使って、駆け引き・裏工作等々、工夫を凝らした活動に余念がありません。それでも、解決が難しい場合は、躊躇なくお相手の息の根をお止めになります。感情の一部が欠如しているサイコパスと思われますが、理想的学級運営や合理的学校マネジメント意識はお高いご様子です。
    遂に、担任している生徒数人が彼の裏の貌に気付いた事に憂い、クラスの生徒が集結して準備にかかっている学園祭前夜、彼らの根絶を決行されます。出席簿を殺戮簿と活用されたり、Good!バードウオッチングのごとく、殺戮数をカウンターに打ち込んだり、Great!果敢に対抗した生徒を褒めることも忘れません、Excellent! 完遂したかと思われた殺戮にほころびが見えた途端、一瞬にして精神異常者に擬態、Magniticent!社会復帰への望みをつなぐ?

    ラストの書き下ろし「アクノキョウテン」は、不覚にも、笑ってしまった。

    サイコキラーとしては、なかなかの博識で躊躇なく面白いです。学校を舞台としたバトルは、誰しも経験ある場所ですのでイメージしやすく臨場感があります。ですが、学校バトルは他作品も複数出てしまい、個性を出すのは大変だろうなあと思いました。

    • 1Q84O1さん
      おびのりさんの次の貴志作品に注目です!
      おびのりさんの次の貴志作品に注目です!
      2023/03/20
    • おびのりさん
      はーい。次は、新世界でーす。
      で、「開くの、今日、十時?」を外国人風に。
      はーい。次は、新世界でーす。
      で、「開くの、今日、十時?」を外国人風に。
      2023/03/20
    • みんみんさん
      ちょっとDVDで観ようかな?
      伊藤英明ハスミンで( ̄∇ ̄)
      ちょっとDVDで観ようかな?
      伊藤英明ハスミンで( ̄∇ ̄)
      2023/03/20
  • 読み終えてぐったり(°_°)
    自分が期待していた想定の結末ではなかった。

    むかーしに見たバトルロワイアル?の映画を見ている感じ……Dragon Ashの曲が頭で流れて。

    上巻はハスミンひたすら怖かったが、下巻は、イライラ、いい加減にしろー!って思いながらも、生徒側のハラハラする気持ちに同感していた。

    サイコパスとは、こゆことなのか。
    やはり幽霊やお化けよりも、人間の方が恐い。
    _φ( ̄ー ̄ )

    • 1Q84O1さん
      メンタル固めなおしてくださいねw
      もうここまで来たら何が何でも読んでもらいたいです<(`・ω・´)

      表紙!?
      そんなものは外してしまえば新...
      メンタル固めなおしてくださいねw
      もうここまで来たら何が何でも読んでもらいたいです<(`・ω・´)

      表紙!?
      そんなものは外してしまえば新改正ですw
      もしくはブックカバーで隠しちゃいましょう!

      もしかしたら『黒い家』も意外とホッコリ系かも…(゚A゚;)ヒェェ~
      2023/02/09
    • なんなんさん
      表紙外したら新改訂とか面白すぎる!!笑
      この表紙の本を購入して自宅に置いとくのが恐いくらい、表紙こわいですよ?見てください!

      でも、もう読...
      表紙外したら新改訂とか面白すぎる!!笑
      この表紙の本を購入して自宅に置いとくのが恐いくらい、表紙こわいですよ?見てください!

      でも、もう読むしかないかも……(*'▽'*)?
      2023/02/09
    • 1Q84O1さん
      確かにこれはこわいですよねぇ…(゚A゚;)ゴクリ

      わかりました!
      そしたら、何か笑いがでるようなハッピーな本の表紙とメンタルが溶けても固...
      確かにこれはこわいですよねぇ…(゚A゚;)ゴクリ

      わかりました!
      そしたら、何か笑いがでるようなハッピーな本の表紙とメンタルが溶けても固めなおせれるように大量の保冷剤をお送りしておきますね!
      これで準備万端ですね( ´∀`)b
      なんなんさんガンバレー!!
      2023/02/09
  • この作品は面白い!どこまでも異常で、常人には理解できない。貴志祐介さんはきっと普通であるのにサイコパス教師をリアルに創り出すのだから、表現力と取材力がすごいなと思った。

    上巻の始まってすぐに蓮実聖司が毎朝ベランダに鳴きに来る2羽のカラスのうちの1羽を駆除するシーンがある。手の込んだ仕掛けで感電死させた。学校に頻繁に苦情を言いに来るモンスターペアレントの家の猫よけのペットボトルの中身を全て灯油に変えた、運に任せて太陽光で火災を発生させる為に…。度の過ぎたいたずらかと思ってたら火を放って確実に殺した。そこから色んな違和感が募るっていく。ただの人気英語教師ではない?!

    全ての殺人に至る流れとその前後の無感情さ。日常の当たり前の事を当たり前にしたかのような言葉とユーモラスな表現。

    下巻最後の三池崇史さんの「蓮実聖司を愛する者として」の解説ではこの作品の魅力が存分に語られている。ただの大量殺人、サイコパス教師でない、彼が彼らしく生きる場所を求めた結果だと。作品を誰よりも理解してるだろう映画監督の作品をすぐに観たいと思いました!

    最後、蓮実が逮捕される時に下鶴刑事が感じた「こいつは、もう、次のゲームを始めている」が抜かりのない表現で好きです。

    • アンシロさん
      映画を観終わりました。
      「次のゲームを始めている…」はやっぱり意味のあるセリフになっていたのですね!「to be continued」がとっ...
      映画を観終わりました。
      「次のゲームを始めている…」はやっぱり意味のあるセリフになっていたのですね!「to be continued」がとってもいい感じ(^^)
      小説を読んでからでしたので細かい所まで理解できましたが、うまくまとめられてる作品でした。面白かったです(*^^*)
      2024/03/16
    • yukimisakeさん
      この作品はどっちも良いですよね!
      林くんの演技が上手すぎてびっくりした記憶もあります(^^)
      評価がすっぱり別れてますけど、個人的には凄く好...
      この作品はどっちも良いですよね!
      林くんの演技が上手すぎてびっくりした記憶もあります(^^)
      評価がすっぱり別れてますけど、個人的には凄く好きですので、アンシロさんもお好きなようで嬉しいですー♪
      2024/03/17
    • アンシロさん
      お恥ずかしながら林遣都さんを知らなかったのですが、今をときめく俳優さんだったのですね(^^)Wikipediaで調べて、大島優子さんと結婚さ...
      お恥ずかしながら林遣都さんを知らなかったのですが、今をときめく俳優さんだったのですね(^^)Wikipediaで調べて、大島優子さんと結婚されていたとは…笑。とても演技がお上手でした!

      評価が分かれるのは映画だけではストーリーが少し分かりにくい部分があるのと、気持ち悪いとか怖いって感想を持ってしまうとそれ以上受け付けなくなるからでしょうか?
      自分は原作も映画も面白くて、気に入ってます(*^^*)
      2024/03/18
  • 上巻とは打って変わり、バトルロワイヤルと化した展開に、全く別の作品を読まされている錯覚に陥った。

    また、バトル前はユーモアがある展開や工夫が見られたものの、バトル開始から結末まで、あっさりした印象に物足りなさを感じてしまったのだけが残念だったが、総じてハラハラドキドキさせてくれた作品であった。

  • 貴志祐介である。
    嫌悪感も超越して、爽快感か......

    上巻から一転、スピード感を持って一気にクライマックスへ進む。

    蓮実聖司という男の言葉には力がある、ということは読んでいて納得。こんな先生ならそりゃ人気あるに決まっている。

    蓮実の生きる世界は蓮実の為にあるべきである。
    彼は自らの生きる世界を求め、奔走することになる。

    蓮実は最後に笑っているのか。
    メッキー・メッサーのモリタートの口笛が聞こえる。

    以下ネタバレ有り(備忘録)

    P.176~
    行き過ぎた行為は自らを破滅に向かわせた。
    蓮実の行動と思考が極限の方向へ進んでゆく。
    彼の頭の中で可能性と不可能性が見え隠れし始めた。

    読者としても、まさか全員を殺すことになってゆくとは、展開として直球にもほどがある。

    伏線回収などの目立った見所はなく、ただただ殺戮が行われてゆくシーンが大半を占める為、驚きというもは少なく、惨たらしい描写は十分にムカムカさせてくれる。
    知的で冷酷な蓮実のイメージとは違う展開には、違和感があるのは否めない。なんだかな。

    下鶴刑事に関しては、ぐいぐいストーリーに関与して来るだろうと予想したが、蓮実の悪事のお膳立てに徹した設定に留まった。

    また保健室の先生である田浦潤子も少し謎めいている。
    恐らく、蓮実の狂気を少なからず感じていたに違いない。

    生き残ったのは3名。片桐 怜花、夏越 雄一郎、安原 美彌。彼らにとってあの一日とは。
    最後に、蓮実が逮捕されるまでの数ページに期待をしてはいけない。彼の全ては奪われるのだ。
    口笛を吹きながら。

    追記:
    巻末の章については、読了後にネットでレヴュー等を参照している際に、見解を出されている方がいた。
    なるほど、過去の高校の生徒である、佐々木麻美、栗栖こずえ、中嶋晴。
    こずえが蓮実を好きにならないように先手を打った麻美という生徒。今作の事件からトラウマのように蓮実を恐れる少年。
    『開くの、今日、十時(テン)? 』
    何を言うとんねん。

    読了。

  • 面白かった!
    教師がサイコパスの殺人鬼というホラーエンターテイメント
    主人公は高校の英語教師 ハスミンこと蓮実聖司

    いよいよ下巻です
    蓮実の真の姿に気が付く生徒たち
    一人は、カンニングの罠を仕掛けながら、逆に蓮実にやられてしまいます。
    結果、殺害されることに

    徐々に気が付き始めた生徒たち
    その中には、自分の淫行の相手も含まれ、彼女も殺害することに
    そして、この辺から隠ぺい工作もほころび始めます。
    結果、学園祭の準備に集まったクラス全員を殺害することになります。
    この辺がサイコパスなんでしょうね。全員殺害なんて考える?普通?

    夜に蓮実の殺戮が始まります。

    逃げ惑う生徒達、闘う生徒達、隠れる生徒達、しかしながら、蓮実は確実にその生徒達を散弾銃で仕留めていきます。
    生徒達の反撃を上回る対応ができるところが怖い..

    全員が殺されてしまうのか?
    蓮実のストーリ通りになってしまうのか?
    といった展開です。

    しかし、いくら散弾銃をもった殺人者が校内に入ってきたとしても、学校外に逃げ出すなんて簡単にできそうなものなのに...
    その辺はちょっと設定に無理があるかなと思います。

    とはいえ、エンターテイメントとしては十分楽しめました。

    ビデオみなくっちゃ

    お勧め

  • 晨光学院町田高校・英語教師・蓮見聖司。
    そのルックスと行動から、生徒だけでなく、同僚からも慕われている。が、裏の顔はサイコパス。

    自分の邪魔をするものはなんであれ、排除…
    人を殺すことに何も感じない。

    ここまでやってくれると清々しい。
    ここまで人を殺しても、何か全然暗さを感じない。
    まるでスポーツをやっているかのように…
    ハスミン、バレないように、と思ってしまう。

    でも、ハスミン、もうちょっと上手くやれたのでは⁇
    今までやれてきたんだから…

    もっと計画的にやればよかったのに…
    突発的に排除しようとしたばっかりに…
    何も学校でやらなくても…
    クラス全員を排除の対象にしなくてはならなくなるなんて…
    なかなか難しい…

    ハスミン、死刑にならずに何気なく戻ってくるようは気がする…



  • メインイベントの後半戦。
    殺戮のシーンは当たり前の様に人の命が奪われるし、長編スプラッタと化している。全力過ぎて最早爽快だ。

    ビバ世界観。

  • 下巻はサイコパス教師、蓮実聖司ことハスミンが大暴れ。

    ハスミンの計画が徐々にズレてゆく中、思い立った修正方法がクラス全員の40人を殺害すること。

    ハスミンは目的を果たすのに手段の善悪はまったく関係ないので躊躇なく殺しも行う。

    その様はまさに地獄でした。

    ですが、その表現がエグくはあってもあっさりなのと、現実味が良い意味で薄く不思議と恐ろしさはそこまで感じなかった。

    反撃を試みるも次々に死んでいく生徒とそれを追い詰めるハスミン、途中どちらに味方しながら読めばいいかわからなくなって交互に応援してた笑。

    サイコパスなんだけどカリスマ性が強いハスミンに毒される1読者になってしまった部分があって、私もサイコパスに足を突っ込んだ気分になりました( ̄▽ ̄;)

    設定自体は今読むには珍しいものではないがとても面白かったです。

    ハスミンの活躍がまた見たい。

  • この悪漢をどの様に退陣させるのか期待したけど、思ったような幕切れではなかったなぁ。大量殺人も思いつきのように感じたし、期待したキャラは次々に倒れるし、みやちゃんは生きてるし。。そういう意味では、期待を裏切られた物語ともいえるか。
    蓮見がサイコパスに至った経緯や心情の変化をもっと表現してくれていたら良かったのか?エンターテイメントとしてはありかもしれないけど、自分の趣向には合わなかったな。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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