円卓 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 303
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167861018

作品紹介・あらすじ

二〇一四年、芦田愛菜主演で映画公開決定!三つ子の姉をもつ琴子は、口が悪く偏屈な小学三年生。周りの価値観とぶつかり、悩み考え成長する姿をユーモラスに温かく描く感動作。

感想・レビュー・書評

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  •  世間の「当然」に立ち止まり、悩み考え成長する物語。西さんの世界観、好きです。
     主人公の琴子は、平凡や幸せに反発する小学3年生。大家族に愛され囲まれて生きる。
     「うるさいんじゃぼけ」
     「だまれ凡人」
    と悪態つきまくり(笑)

     周りから愛されているからこそ、何不自由なくいろいろなものが与えられているからこそ、琴子のような考えができるんだろうと思うんですけどね。

     琴子のそばに、ぽっさんがいてくれてよかったと、心からそう思った。
     

  • H30.9.28 読了。

    ・「子供が世界を生きる、世界を感じる、ということ。何かが起こる/起こらないに関わらず、それ自体がすでに奥深い物語をはらんでいる。自分がいつの日か耳にした、世界の軋む音が聞こえる。『円卓』は、その裂け目から差し込む息の詰まるような光を、今一度思い出させてくれる作品である。(解説より)。」「世界には阿呆も思慮もある。どちらも分け隔てなく世界は受容する。思慮に偏ることも、阿呆こそが正義と開き直ることも、この作品は良しとせず、優劣をつけない。そのままのバランスの美しさを、それらが融合する場所の幸福こそを、本書は描くのである。(解説より)。」

     主人公の小学三年生の渦原琴子(通称:こっこ)と吃音のあるぽっさんなどの個性の強い友人たち、琴子のことを猫かわいがりする程、大好きな家族たちなど西加奈子さんの個性的なキャラ満載の小説でとても面白かった。徐々に終わりが近づいてくると、この世界観から離れたくないと寂しくなるような気持ちにさせられました。
     映画も観てみたい。

  • 瑞々しい感性。西加奈子さんの持ち味がええ感じに活かされた作品。

    円卓のある渦原家、隣人のぽっさん、早熟なセルゲイ、優等生 朴くん、謎に満ちた幹成海。

    それぞれの個性が強烈で、可笑しいのに少しほろりとする。

  • 口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学3年生のこっこ。
    こっこの日常が活きのいい言葉で綴られていきます。

    この妙なリアルさはなんなのでしょう。
    不整脈のくだりのこっことジビキ。ここでこっこが感じた恥ずかしさとか、ジャポニカを投げたときの気持ちとか、なんだか自分にも心当たりがあったりする。

    なるほど、子どもの世界か。確かにあの頃は何か起こっても起こらなくてもすべてが「奥深い物語」だった気がします。
    懐かしくは思えても、もう自分は成人側だから、夏休み明けのジビキの気持ちがめちゃめちゃわかる。色鮮やかで、光の射す世界を生きるこどもって本当に眩しい!

    最後のぽっさんの涙の場面は本当に尊く美しいし、幹成海が撒いた紙の雪もとてもきれいでした。

    玉坂部長をはじめ、出てくるキャラクターがみんな個性的で面白いです。

  • 「こっこ」は、周囲の一貫した「幸せ」や「可哀想」なんて定義を全くと言ってもいいほど受け入れない。
    なんでみんなが揃いもそろって喜んだり嬉しいのか。
    なんで本人や周囲が気にしていることなんかを真似したりすると、大人は怖い顔になるのか。
    それってそんなにいけないことなのか。分からない。
    だって、「こっこ」にとっては、格好いいことなのに。

    格好いいから、吃音を真似したり、憧れるから眼帯をする。死ぬ思いをする不整脈だって、ボートピープルだって、ハーフだって、お妾さんの子だって、「こっこ」には格好いいのだ。

    ぽっさんと「こっこ」の会話には、はっとさせられる。
    「こっこ」の悩みや考えを、真っ正面から受け止め全力で応えるぽっさんは格好いい。

    今のふたりの前には手本となる大人はお呼びではない。
    大人は見守ればいいのだ。変に子どもに媚びる必要も、物わかりの良い大人を演じる必要もないのだ。
    大人は大人の価値観でただ動けばいいのかもしれない。
    子どもが大人の態度を、周囲の評価をおかしい、それは変だと思うことも必要なのだろう。
    子どもは、悩みぶつかり、そして乗り越えていく力をちゃんと持っている。過保護になる必要もない。

    けれどそれは、子どもという時代には、とってもしんどいことかもしれないけれど。

  • こっこの純粋さや個性豊かで暖かな登場人物たちに心打たれます。テンポ良くユーモアに富んだ会話に笑いながらも、純粋さ故に世間とのズレを感じるこっこの姿には子供らしさを懐かしむと共に、大人になることの侘しさを感じました。
    しかし西さんの描く作品には魅力的な登場人物が多いですね。今作で言えば、ぽっさんとおじいちゃんが格好良すぎでしょう。文庫版P109からの三人の会話にとても惹かれました。

  • 子供の頃に誰もが持っていたはずなのに、大きくなるにつれ空気を読んだり、知識としての善悪基準によっていつの間にか封印されていった純粋な視点が、遠慮なく伸び伸びと描かれている。
    差別とかいじめとかではなく、ただ純粋に普通ではないものへの興味や憧れを表現するこっこの素直さが眩しいです。

  • なんやこれー、めっちゃおもろいー
    ことこ、めっちゃかわいいー

    的な感じで前半はサクサクと読み進めていったのだけれど、日常英会話辞典が出てきたあたりから、作品の様相が変わってくる

    ことこの言葉を借りれば、重力によって、ぐぐっと、気持ちをひっぱられる
    言葉にできないもどかしさ、戸惑い、悩んで、大人になるということ

    前半と後半で、ことこは大きく成長する
    読者は、読み始めたら最後、渦をまく円卓の中に放り込まれたように、この作品の中から出られない
    それはまるで、人生、そして、生きるということは、確実に死に向かっているということ
    大人になるということは、死に近づいているということ

    ぽっさんと話すことこ、わからないことをわからない、であるとか、自分の思いであるとかを言葉で伝えることができるのは、ことこの力だ
    それに寄り添って一生懸命話すぽっさんはかっこいい
    解説にもあるけれど、ぽっさんの吃音や、幹成海の繊細さ、外国籍の子どもたちなど、作品は子どもの全てを受容する
    こんな世界であったなら、わたしはもっと、自分に向き合うことができただろうか
    重力をきちんと感じることができただろうか

  • 小学生こっこが主人公。

    同級生がしてきた、眼帯!かっこええ!!
    仲良しのぽっさんの吃音!かっこええ!!
    男子が不整脈で倒れる!かっこええ!!

    大人は、不名誉だとか隠したいとか病気だとか
    できるだけ人に見せたくない姿だけど
    こっこからしたら、自分にないそういう非日常の姿が
    とてつもなく「かっこいい」だからマネしたくなっちゃう。
    大人から見たら不謹慎の一言になっちゃうけど
    そうそう、自分だって包帯にあこがれた時期あった(笑)
    松葉杖ついてみたい、と思ってたこともあった。
    実際やってみたら、こんな不便なことなかったけど。

    そんな素晴らしい人生の春を過ごすこっこたち小学生
    もう夏も過ぎて秋にさしかかろうとしている
    今の大人の私には
    そっちの方がずっとかっこいいよ。

  • 姉から貰った一冊。
    自分では余り手に取らなかったであろう一冊。

    文句なしに素晴らしい。
    小学三年生のこっこ、口が悪い。悪いと言うか汚い。
    小学生にして孤独に憧れる。
    何とも個性的で愛すべき女の子。

    こっこの家族や周りにいる友達も愛すべき人物が多い。
    おじいちゃん、格好良いなぁ。
    ぽっさんも堪らなく格好良い。

    私は子供に戻りたいなーと思う事はないけれど、
    自分が子供の頃も、そう言えば色々な事を考えて
    感じていたなと、無性に懐かしく感じ
    最後の方では涙すら出ました。

    読後感は温かい気持ちになるような、少し寂しいような、不思議な感じ。

    何てことない日常を非常に愛おしく感じさせるのが上手い作家さんだなぁ。
    本をくれた姉に感謝せねば。

    余談ですが私の家族は読書家が多い。
    実家へ帰り、面白そうな本を貸してもらうのを密かな楽しみにしています。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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