聖書を語る (文春文庫)

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 211
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900182

作品紹介・あらすじ

共にキリスト教徒(プロテスタント)、同志社大学出身の二人が、聖書をベースに宗教・哲学・社会問題と縦横無尽に語りつくす異色の対談集。第一章では、カルヴァン派の佐藤氏とバプテスト派の中村氏が、同じプロテスタントでありながら宗派によって異なる、他力本願と自力本願などの相違点、終末論など神学的な問題を語りあう。第二章のテーマは、村上春樹の『1Q84』とサリンジャーを読む。そして、「新世紀エヴァンゲリオン」など、文学やサブカルに見られるキリスト教の影響を読み解く。第三章は、3・11を契機に激変した日本社会を伝統宗教は救えるのかがテーマとなっている。不安定な世の中にはスピリチュアル的なものがはびこるが、本当の意味で自分と他者をつなぐことのできるものは何なのか。ライプニッツのモナド論など引用しながら考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優×中村うさぎという私からしたら意外すぎる組み合わせに目をひかれ、ここ5年ほどキリスト教に興味津々なんで購入。佐藤さんは神学と読書の人というイメージがあり、中村さんは高校生だった頃の自分がそのまま大人にスライドしたような人というイメージだったんで同族として避けていた。
    この対談を読んで中村さんに俄然興味がわいてきた。
    村上春樹の読み方(批判)すごい。まさに、私が感じていた胡散臭さを言葉にしてくれていた。まぁそれでも時折読むんですけど(義務感)。

    あと今更だけど新劇場版エヴァのQって謎の福音書Qだったのか、と気づく。

  • 中村うさぎには生きてもらいたい。

  • もうすごくすごく面白かった。
    中村うさぎってとても頭の切れる人だって初めて知った。
    フラニーとゾーイーやエヴァンゲリオンの考察、うんうんと頷きたくなる!
    佐藤氏は中村うさぎの言う通り、乾いていて本当に客観的な物事の見方をすると思うんだけど、そんな人がカルヴァン派の予定説を心底信じているってのは、なんというかちぐはぐな不思議な印象を受けた。

  • 佐藤優と中村うさぎの対談集。キリスト教のプロテスタントであるが、カルヴァン派とバプテスト派であり、互いの考え方の違いを分析した上で、聖書について、エヴァンゲリオンについて、村上春樹について、震災について話し合う。うさぎさんが終末遅延問題を「出るはずのものが出ない、便秘」例えるのが笑えて、とても分かりやすかった。あとアダムとイブが食べた「智恵の実」は自己と他者の存在の認識なのではとか興味深い。後書きのうさぎさんのブログの引用文で泣けた^^; 続編もあるそうなので、読みたいな。

  • [図書館]
    読了:2017/2/12

    どちらも頭の回転の早い人だから読んでて小気味良い。

    村上春樹の小説は「こんな女いねーよ」の8文字で終わると思ってるので中村うさぎの批判には同感。佐藤さんはポルノとしての消費、ディテールが評価されてる点、プロットを作ってないだろうという点に触れている。こちらも納得。

    p. 51 中村 つじつまが合わなくなると知らんぷり、か。
    佐藤 都合が悪いことについては黙る、というのが優れた神学者に求められる資質です。
    中村 政治家みたいだね。
    処女マリアは誤訳、問題について。ヘブライ語では単に「年頃の女」だったのに、ギリシア語では「処女」に訳してしまった。

  • キリスト教といってもプロテスタント、カトリックなどの教派があって、プロテスタントのなかでもピューリタンやバプテスト派、カルヴァン派などがあります。同じキリスト教といっても、神や天国、聖書についての解釈が違うから、自分が出会った宗派によって以後の人生観や物事の考えが代わってくるのだと思うと、ほかの宗教を知ることは世界を知ることと同じくらい大切なこと何だろうと思いました。
    佐藤さんとうさぎさんの対話はとどまるところを知らず、聖書を飛び越え壮大に広がっていきます。うさぎさんが吠えると(笑)佐藤さんがそれを受け止めてくれるから、「で、どうなの?」と、もやもやせずに読むことができました。特にうさぎさんが『1Q84』をはじめ村上春樹著書について熱く怒り?をこめて話しておられたので、ひやひやしちゃいましたが。うさぎさんがエヴァについて語られると、ちゃんと佐藤さんが次の対談までに観てこられます。やっぱり知識力に溢れた人です。だから、どんどんぶつかっていけます。
    聖書の話はもちろんのこと、どうしても最後に言葉や形にできないサムシング、それが神だということ。スピリチュアルは、限界まで行く努力をしないで、早い段階で飛ぶけれど、宗教は、命懸けの飛躍が必要になってくるってこと。3。11が起こり日本が向かった「私の喪失」から「全体主義」のこと。「われ」の喪失と神の死の関係。これらがとても印象に残りました。

  • 以下、本文からの引用

    中村──ネガティヴなものがなくなれば、ポジティヴな人生になるのか? 違うよね、ネガティヴから生まれるポジティヴってものもあるよね。じつは、それが大事だったりもするよね。それこそが計算式では表せない、人間の非合理性であり、けっして無視してはいけないものなんだと思うわけ。
    佐藤──幸せのマニュアルは書けないんですよ。不幸せのマニュアルは書けるけどね。そういう非対称性があるんです。確実に人を不幸せにするシナリオっていうのはある。

    佐藤──キリスト教が最終的に見つけ出したのは、合理的な言語でもって非合理を説明する方法なんです。これを神学では「否定神学」と言う。これでもない、あれでもない、これも違う、あれも違うというかたちで全部否定して、その残余で神様について語るというやり方です。
    中村──それは消去法ということですか?
    佐藤──消去法といえばいえなくもないけど、われわれは否定神学と呼んでいるんです。たとえば神様とは、これではない、これでもないと次々に否定していって、それでも否定できないもののあるところに神様ないしは宗教があるという、そういう議論の仕方。
    中村──えーっ、じゃあ何が残るんですか?
    佐藤──何かが残るの、カギカッコ付きの何かが。言葉にはならない。

  • 佐藤優と中村うさぎの対談集。

    聖書そのものを語っているのは最初だけで、宗教や哲学を中心に話はあちこちに展開する。村上春樹をけなし、エヴァンゲリオンを考察する。最後は3.11の震災の問題から、人はどうつながるか、と展開。

    中村うさぎという人は初めて知ったが、両者とも知識量とその言語化能力がすごい。


    以下は読書メモ:
    プロテスタント
    カルヴァン派 自分は神に選ばれている
    バプテスト派 人間は努力すれば報われる(清教徒)

    終末遅延問題 すでに2000年遅れている。
    クロノス 座標軸を流れる時間
    カイロス 点 事件史
    終末はカイロスの感覚では歴史、決まっている未来、だから終末は来ないのではなく遅れていると考える。

    震災の既視感、エヴンゲリオンでの原体験
    全体主義と揺り戻し

    ライプニッツの単子論で言うモナドでつながる
    全体主義はオーケストラ、各パートは自由

    宗教=洗脳という刷り込み
    最大の洗脳は貨幣

    全体主義に対立する概念は普遍主義。ナチスは普遍主義。全体主義は多元的。

    メメントモリ 死を想え。

  • こういうのが読みたかった!!中村うさぎさんの言葉が秀逸!ウ○コの例えに1Q84のブチ切れ、ウケすぎ。人間の非合理性、皮膚感覚、神はズレ、、テーゼがこのお二方だからこそで、難しいなりに納得できた。哲学と宗教か。。。知っておくと今後生きるのにラクかもたしかに。

  • 2015年6月30日読了。

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著者プロフィール

作家・元外務省主任分析官。1960年東京都生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア連邦日本国大使館勤務等を経て、本省国際情報局分析第一課主任分析官として、対露外交の最前線で活躍。2002年背任と偽計業務妨害罪容疑で東京地検特捜部に逮捕され、512日間勾留される。09年、最高裁で上告棄却、有罪が確定し外務省を失職。05年発表の『国家の罠』で第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。翌06年には『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

「2018年 『宗教と生命 シリーズ:激動する世界と宗教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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