世界を変えた10冊の本 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 148
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900366

作品紹介・あらすじ

本当に「知力」が身につく名著の読み方

『聖書』『資本論』から『アンネの日記』まで。池上さんが世界史を見渡し、10冊を厳選。その内容と歴史的位置づけを徹底解説。

感想・レビュー・書評

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  • 『聖書』『コーラン』『種の起源』『資本論』といった定番中の定番から、『イスラム原理主義の「道しるべ」』という(少なくとも私にとっては)聞いたことのない書物まで計10冊、池上先生が簡潔ながらも分かりやすい解説を付して紹介している。特に『道しるべ』については全く予備知識がなかっただけに、大いに勉強になった。

    奇しくも先日、ここで取り上げられている『アンネの日記』が破られる事件があったが、その際、イスラエル大使館がなぜ『アンネの日記』を大量に寄贈したのか、本書を読めばその理由がよく分かるだろう。個人的な悲劇は何かと政治的なプロパガンダに利用されやすいのだ。また、同じく本書で紹介されているケインズの財政政策とフリードマンの金融政策を知ることは、アベノミクスを理解する上でも参考となると思う。

    池上先生のレクチャーにはいつも感心しているけれども、その土台には、おそらく若い頃に読んだであろう膨大な量の古典の蓄積があったのだなぁ、と改めて感心させられた。世にはびこる自称コメンテーターとはやはり年季が違う。

    書名は「世界を変えた」と過去形になっているが、ここに挙げられた10冊は、それぞれがそれぞれの形で今なお世界を変え続け、現在の世界を形作っている。その意味でこれは「世界を知るための10冊の本」でもあるのだ。

  • 祝文庫化!

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    「本当に「知力」が身につく名著の読み方
    『聖書』『資本論』から『アンネの日記』まで。池上さんが世界史を見渡し、10冊を厳選。その内容と歴史的位置づけを徹底解説。

    担当編集者より
    『聖書』『種の起源』『資本論』から、『アンネの日記』や話題の“プロ倫”まで。それまでの常識を180度ひっくり返し、今につながる歴史を作った世界の重要書物10冊を、池上さんが鮮やかに解説します。もととなったのは、女性誌「CREA」の昨年12月号から10回にわたる連載。「書物から得る教養は、未来を切り開く力となる」というメッセージは、3.11以降なおいっそう色濃くなり、読むと心に強靭な柱が生まれるような本となっています。(RU)」

  • 1.『アンネの日記』 アンネ・フランク
    イスラエルを支持するような政治目的で利用されている面が否めない。一方で、イスラエル政府によって分離壁で包囲されているパレスチナに住む人たちの中にも、苦しく不安な毎日を送っている少女がいるかも知れないことを忘れてはならない。
    2.『聖書』
    (旧約)聖書は主にヘブライ語で書かれたユダヤ教徒・キリスト教徒の聖典(紀元前5~4世紀頃)。新約聖書はギリシャ語(当時はヘレニズムの世界。ローマ帝国の多くの地域においてはラテン語よりもギリシャ語が lingua franca)で書かれたキリスト教独自の聖典。なお『42行聖書』はラテン語訳。
    旧約聖書の「レビ記」には食べ物の規定がある。
    ×食べてはいけない:らくだ、猪、豚、エビ、カニ、タコ、ひれ・鱗がない魚類
    ○食べてもよい:牛、羊、ヤギ、ひれ・鱗がある魚類
    キリスト教では、神による救いは律法を守る事ではなく信仰によるものであるとしたため、上記規定(律法)を禁止した。しかし、日本の商業捕鯨に反対する人(キリスト教徒も)は、上記規定の教えが根強く残っているのかも知れない。
    3.『コーラン』 
    「汝に戦いを挑むものがあれば、アッラーの道において堂々とこれを迎え撃つがよい。だが、こちらから不義をし掛けてはならぬぞ。アッラーは不義なす者などをお好きにならぬ」。イスラーム原理主義過激派がテロ行為を、欧米文化と戦う「ジハード」と位置づけるのは独善的すぎると思っていたが、それは『コーラン』ではなく、『道しるべ』の影響と納得。
    4.『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 マックス・ウェーバー
    経済危機が深刻なのは、非プロテスタントの国々(カトリック、ギリシャ正教会)が多い。人間(男性)が働かなければならないのは、「原罪」を犯した結果であり、「苦役」としての性格を持つという思想が受け継がれているから。一方プロテスタントの国は、「Calling(天職)」は、神から与えられた使命であり、労働に対する意欲があることが、その人間が救済を約束されている証になるという。資本主義は、プロテスタントの倫理によって生まれたという。ところで、日本人の勤労意欲はどこから来るのか?武士道か?ムラ社会か?
    5.『資本論』 カール・マルクス
    資本主義が抱える矛盾は、やがて労働者の抵抗を引き起こし、革命に発展するという。しかし、その後の経済はどうやって発展するのか。資本主義に代わる社会主義・共産主義とはいかなるものか。ロシアや中国などの例を見ても、結局資本主義に戻っているのだが。
    6.イスラーム原理主義の『道しるべ』 サイイド・クトゥプ
    「イスラームが全人類を導く役割を果たすためには、イスラーム共同体が原型の形で蘇えなければならない」。イスラム以外の社会はジャーヒリーヤ(無明社会)であり聖戦(ジハード)の対象となるという。人々の英知によって運営される民主主義を尊重せず、自分たちの解釈だけが正しいと考える人たち。どんな思想の世界にも存在する過激派特有の傾向だ。
    7.『沈黙の春』 レイチェル・カーソン
    消費者よりも生産者が重視される結果、現実になるかもしれない「沈黙の春」。経済活動優先の現在、レイチェル・カーソンの警告はますます重要になっている。
    8.『種の起源』 チャールズ・ダーウィン
    ガラパゴス諸島での生物がインスピレーションになって「進化論」は生まれた。かつて、キリスト教社会の根底を揺るがす論争となったが、1996年に当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世は事実上進化論を認めた。しかし現在でも「反進化論」はアメリカで根強く残っているそうである。「この世に生き残る生き物は、(略)変化に対応できる生き物だ」。
    9.『雇用、利子および貨幣の一般理論』 ジョン・ケインズ
    景気が悪くなったら、政府が公共事業などで支出を増やして経済を活性化させる。金利を下げて、企業の投資を活性化させる。フランクリン・ルーズベルト大統領によるニューディール政策の強力な後ろ盾に。しかし、インフレ傾向が続き、恒常的な財政赤字に悩まされるという副作用がある。
    10.『資本主義と自由』 ミルトン・フリードマン
    「政府の仕事は、個人の自由を国外の敵や同国民による侵害から守ることに限るべきだ」。自由市場は思想の自由を保障し差別は減っていく、という。1980年代以降の「新自由主義」に大きな影響を与えている強者の論理である。

  • 池上さんが考える世界に影響を与えた10冊の中に、宗教関連(というか聖書そのもの)が3冊も占めていることが興味深い。
    科学書も宗教と対立していたのにはビックリしました。
    日本に生まれてよかったです(笑)

  • 宗教、経済、人類創生、進化論など多岐に渡る世界にインパクトを与えた本の紹介。著者の解説を読むと、世界は宗教に大きな影響を受けていることがよくわかる。

  • 聞いたことはあるが読んだことがない本の紹介で新鮮であった。わかりやすく書いてもらってはいるが個人的には難しいものが多かった。

    ・アンネの日記:イスラエル存続の一因
    ・旧約聖書:ユダヤ教徒、新約聖書:キリスト教徒独自
    ・コーラン:イスラム教の教え
    ・プロ倫:禁欲に関するキリスト教の教え→資本主義
    ・資本論:資本主義の欠陥を知る
    ・・・

  • ちっぽけな一個人の考えなんて、世界どころか近くの人間にさえ大した影響を与えられないんじゃないかと諦めに似た思いを持っていた。だから、一個人(複数人もあるけど)がその思想を記した一冊の本が世界を大きく変えたという事実は衝撃だった。これは素晴らしいことでもあり、同時にとても恐ろしいことだとも思った。

  • 聖書の違いを理解できた。
    池上さんの解説はやはりわかりやすい。

    紹介していた本の中でも特に「アンネフランクの日記」は読みたくなりました。
    池上さんの指摘する箇所を意識しながら読むと面白そう!

  • ご存知 池上彰氏が選ぶ世界を変えた本。
    大きな影響を与えたものということでいうと、宗教や経済などがどうしても挙げられますが、もう少し広い分野で選ぶとなると、どういう本だったのか、というのは、興味があります。
    原典にあたるのが当然いいとは思いつつ、なかなか手が伸びないものも多いので、こういった概要をつかんで理解しつつ、将来的には原典に挑戦したいと思います。


    ①アンネ・フランク『アンネの日記』
    ・「弱いものは狙われます。けれども強いものは生き残り、けっして負けることはないのです!」
    ・中東問題の行方に大きな影響力を持っている
    ・イスラエルが今も存続し、中東に確固たる地歩を築いているのは、この本の存在があるから

    ②『聖書』
    ・「罪が赦されるように、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血」
    ・世界史そして欧米文化を知る基礎

    ③『コーラン』
    ・「汝らに戦いを挑む者があれば、アッラーの道において堂々とこれを迎え撃つがよい。だがこちらから不義をし掛けてはならぬぞ。アッラーは不義なす者どもをお好きにならぬ」

    ④マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
    ・「労働者は労働を神が望まれた生活の目的と考えて、熱心に働くのだった」
    ・宗教と経済の意外な関係を分析
    ・厳しい禁欲を守っていたプロテスタントこそが、職業倫理を守ることで、資本主義経済で成功していった道筋を分析
    ・資本主義の精神「正当な利潤を組織的かつ合理的に、職業として追い求めようとする心構え」→資本主義的な企業を推進する原動力

    ⑤カール・マルクス『資本論』
    ・「資本制的私的所有の終わりを告げる鐘が鳴る。収奪者たちの私有財産が剥奪される」

    ⑥サイイド・クトゥプ『イスラーム原理主義の「道しるべ」』
    ・「イスラームが全人類を導く役割を果たすためには、イスラーム共同体が原初の形でよみがえらなければならない」
    ・オサマ・ビンラディンの教本

    ⑦レイチェル・カーソン『沈黙の春』
    ・「私たちはだまされているのだ。その行きつく先は、禍いであり破滅だ。」
    ・世界が環境問題に取り組むきっかけ

    ⑧チャールズ・ダーウィン『種の起源』
    ・「われわれの知識は浅いのに、思い込みだけははなはだしい」
    ・キリスト教社会の根底を揺るがした

    ⑨ジョン・M・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』
    ・「われわれが生活している経済社会の際立った欠陥は、それが完全雇用を与えることができないこと、そして富と所得の分配が不公平なこと」
    ・経済不況を救う処方箋となった

    ⑩ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』
    ・「政府の仕事は、個人の自由を国外の敵や同国民による侵害から守ることに限るべきだ」
    ・リバタリアン(自由至上主義)
    ・小さな政府と個人の自由を重視


    <目次>
    第1章 アンネの日記
    第2章 聖書
    第3章 コーラン
    第4章 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
    第5章 資本論
    第6章 イスラーム原理主義の「道しるべ」
    第7章 沈黙の春
    第8章 種の起源
    第9章 雇用、利子および貨幣の一般理論
    第10章 資本主義と自由

  • 10冊の選び方にストーリー性があってよい

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ あきら)
1950年、長野県生まれのジャーナリスト。東京工業大学特命教授、京都造形芸術大学客員教授、名城大学教授、信州大学・愛知学院大学特任教授、特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会理事を兼任する。
慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年から2005年までNHKで記者として勤める。以降、フリーランスのジャーナリストとして活動。ニュース番組で人気になった。2012年から2016年までは東京工業大学リベラルアーツセンター専任教授を勤め、定年退職後も学生教育に関わっている。

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