ビーンボール スポーツ代理人・善場圭一の事件簿 (文春文庫 ほ 18-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900540

作品紹介・あらすじ

プロ野球で、今シーズンオフのFAの目玉となった投手・結城憲吾のスポーツ代理人として、マスコミをにぎわす男、善場圭一。彼は、プロの世界に身を置いたものの一年で引退。その後は代理人に転じ、業界でも一風変わった存在として知られている。「選手の評価は、年俸で決まる」と言いきるその姿勢は、金の亡者「ゼニバ」と蔑まれ、忌み嫌われている。だが、その実態は、悪役に徹して選手の盾となることで、選手からは絶大の信頼を寄せられるスポーツ代理人である。結城のFAが大詰めを迎えたとき、突如スポーツマネージメントの大手、グリーンパークのやり手女社長羽田貴子と、彼女とCMの契約を結んだ結城に、善場は呼び出され、羽田から意外な提案を受ける。それは、結城と並ぶ球界の盟主・東都ジェッツの元四番だった瀬司の行方を探してほしいという依頼だった。もし、瀬司を見つけ出したら、結城からグリーンパークは手を引いてもよいという破格の条件だ。だが、善場には、以前、代理人契約をしていた瀬司と羽田にまつわるある苦い思い出があった。瀬司の捜索を引き受けた善場に、羽田は、瀬司が生前、自分に何かあれば、瀬司に手渡すようにと伝えていたというリストを善場に手渡す。善場は、そのリストをたどるうち、一人の甲子園優勝投手の自殺に行きあたるが……。サムライ野球文学賞を受賞した『ノーバディノウズ』、そして、二宮清純氏や玉木正之氏など、多くのスポーツライターが、絶賛した『球界消滅』で話題となった本城雅人が、金銭と、野球。そして、代理人制度。野球のストーブリーグにおける陰の主役の知られざる実態をあぶりだしつつ、その裏に描かれる駆け引きを、プロ野球選手たちの身に降りかかった事件を通して描く傑作スポーツミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 「ビーンボール スポーツ代理人・善場圭一の事件簿」
    スポーツ小説ではない。


    スポーツ代理人だと言っても、スポーツ界の闇や犯罪を暴くのではない。善場圭一が嘗ての顧客で問題児の強打者瀬司の行方を追う中で、瀬司の高校時代の日本選抜でチームメイトだったある男の真相に辿り着く。そして、その秘密が全く無関係だと思われていた男に結びつく。実に探偵ちっくなストーリー。


    善場圭一の宿敵(宿敵な要素があまりないそうに感じるが)であり、瀬司の元妻である羽田が、やや鬱陶しいが、それ以外のキャラクターはクセがある。高校時代で名を馳せたが、怠惰に身を任せていった元球児や元プロ野球選手には同情の余地もないが、瀬司は少しキャラが違う。が、天才肌のように描きたかったのだろうが、最後までよう分からん奴だった。しかし、一番のくせ者は、真犯人可能性大な男だろう。まさかこんな形に繋がるとは思ってなかった驚きに加え、なかなかのクソ野郎で、瀬司の濃さが薄まる。


    クセがあるメンツに加えて、善場圭一のプロフェッショナルさもポイント。くせ者古見沢が、善場圭一とくせ者ヨロシク、バディを組むまでの流れがなんか良いのだが、代理人とはなんたるかを、マスコミが何を言おうが貫く姿勢は見事である。最後の古見沢の台詞がまた光る。


    代理人とはなんたるかを善場圭一が、事件の解決序でに示す一作。

  • 主人公はキャラが立っており、魅力的。エンディングもよかった。ただ、事件の背景は特に捻りもなく、折角のスポーツ代理人という設定が活かされていない感じ。

  • なかなか

  • 往年のスター瀬司(セッシー)の失踪・捜索と
    オールドルーキーで30代にして
    突如ブレイクした結城憲吾投手の
    契約更新を軸に話は進みます。

    スポーツの世界にたらればは無いですが
    『清原和博はどこをどうすればよかったのか』という話を
    思い浮かべながら読んでました。

    この二人の選手は一つボタンが違えば
    入れ替わっている可能性があるのです。
    だからこそ短い選手生命をどう使うか見出すために
    代理人である善場圭一(通称ゼニバ)は奔走します。

    スポーツ選手の成功は必ずしもお金だけではない。
    じゃあお金以外で評価されるかといったら必ずしもそうではありません。

    華やかに見える世界の
    それぞれの言い分が垣間見えた時に
    胸に小さな針を残しつつ、この違和感は消えないでくれと感じた。

  • 消えた人気球団の元・四番打者と甲子園優勝投手の謎の自殺。真相を探る敏腕代理人を描く異色のスポーツビジネスミステリー。
    何気ないシーンの一瞬に恐るべき陰謀が隠されている。決定的瞬間を撮るカメラマンのエピソードも含め、深い知識と徹底した取材力がなければ創作できない。プロローグのビーンボールの場面が、たくさんの人間の運命を変えることになるとは。そして、その展開が嘘臭くなくリアルに感じさせる筆力を称賛したい。

  • 2014.10.11読了

  • 【「選手の価値は、金がすべて」のスポーツ代理人が奔走する】球界を代表する強打者が引退後に失踪した。銭ゲバスポーツ代理人善場は、やむなく彼を探すうちに、とある事件に巻き込まれる。

  • 事件内容が面白いものじゃなかったし、代理人の仕事についてもそこまで理解できたわけじゃないけど読みやすくて面白かった。

  • 代理人。最近では海外挑戦が珍しくなく、よく耳にする言葉。だが、内情はあまりわからなかったが、今回読んでみ何となく理解できた。

  • スポーツ代理人というちょっと面白い視点に惹かれて買いました。プロットには?のところもありましたが、ビジネスフィロソフィーはおもしろかった。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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