- 文藝春秋 (2014年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167900755
作品紹介・あらすじ
十八歳の時に交通事故で顔に大怪我を負い、美容整形手術を受けて完璧な美貌を手に入れて世界的ファッションモデルにまでのし上がった美織レイ子が死んだ。整形後の人生の中でレイ子は七人の男女を憎んできたが、その七人もまた彼女を殺す動機を持っており、しかも全員が、「美織レイ子を殺したのは自分だ」と信じていた!? ミステリー史上でも出色のヒロインをめぐる目くるめく愛憎劇を描き切ったその超絶技巧は、帯にいただいた綾辻行人さんの言葉どおり、「まさに連城流、並ぶものなし」です。
みんなの感想まとめ
複雑な人間関係と自己認識の葛藤を描いた物語は、主人公が自身の美しさと過去の傷を巡る愛憎劇を展開します。整形手術によって手に入れた完璧な美貌を持つ美織レイ子は、七人の男女に憎まれ、彼らがそれぞれの理由で...
感想・レビュー・書評
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『変奏曲』
楽曲の一つの主題をもとに、そこに含まれる要素をさまざまに変化させて構成した楽曲の形式。バリエーション
へんそう‐きょく【変奏曲】.コトバンク.精選版 日本国語大辞典,https://kotobank.jp/word/変奏曲-131256
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さて、美織レイ子はファム・ファタールか?
顔を変え、身を売り、最終的には「誰かの破滅」に命を捧げた。客観的に見れば、まごう事なき破滅を呼ぶ女だ。では本人たちの主観は?
信頼できない語り手とは二種類ある。意図的に事実を隠して語るものと、語り手が事実を誤認しているものだ。前者は語り手に悪意があり、その悪意を特定することに真価を発揮する。後者は語り手以外に悪意があり、悪意のネタが割れてからが本番である。どちらも視点の違いではあるが、本作のように複数人の視点から物語が展開される場合、効果的となる。一つの事件のバリエーション。つまり、この事件そのものが「変奏曲」というタイトル回収である。
本作の登場人物たちは虚な人物ばかりである。樹洞のように、外殻は立派なものがあるだろうが、中身は空虚なものだ。金に美、栄光といった欲望の果てである「目的」は描写されるが、その目的に向かう心の「燃料」が描写されない。いずれも動機は保身であり、自身の感情に起因しないものなのである。唯一己の意思に従ったと言える人物でさえも、「それ本当にあんたがやりたい事なの?」と疑問符がつく。意図的にそう感じるように設計されているのだろう。そして、描写されなかった事実が残り、中身が無いまま「誰か」たちは破滅に導かれる。破滅とはそういう虚なものなのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
途中ダレて、読んでいてキツくなったが、さすがは連城三紀彦作品。終盤の盛り返し天下一品。
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古い本なので「家の留守番電話にテープで吹き込む」とか古めかしい話もあったものの(ナンバーディスプレイすらない時代だろうか)、ラストの展開は予想外でおもしろかった。
読み進めながら、前提が覆されていくのは快感です。
私という名の変奏曲って、ずいぶんナルシストなタイトルだなと思ったけど、ラストの共犯者語りはそれ以上のナルシズムでしたな。
「私」とは、美織レイ子のことなのか、それとも…。
この本の単行本が発売されたのは1984年。40年前ですか(今は2024年)。
美容整形についての考え方も、今と当時では全く違う。整形特有の不自然さ…とか今はほぼないよね。技術も進化してるし、芸能人も一般人もみんな綺麗だし、なんと!あのモデルは美容整形していたのか!みたいな驚きも皆無。昔は、鼻を整形すると暗闇で鼻筋が光るとかデマもあったらしいからな。
携帯電話やインターネットもない時代と現代では、ミステリのトリックが全く違ってくる。
当時の人達の生活、文化を知るという意味でも、結構楽しく読めた。
作者が横溝正史や松本清張と同じ時代の人だったなら、今でもドラマ化されたりしててもおかしくなかったのではなかろうか。それくらい古い時代設定の話だと、無理に現代化しないでも「昔の話」として割り切れるけど、40年前だと当時を生々しく知っている人が多いために「微妙な古さ」になってしまって、刺さらないんだよね。 -
「私という名の変奏曲」
犯人は誰だ?
人気と美貌を持つ23歳。愛くるしい笑顔に可憐な美声を持ち、世界的なファッションモデルに駆け上がった美織レイ子。一方で、傲慢でわがままで二重人格。悪魔に人間らしさ全てを売り払ったような娘。カメラマン、女性デザイナー、新進デザイナー、若社長、ファッションモデル、ディレクター。彼らはレイ子を殺したいほど憎んでいると彼女自身が名指しした。しかし、残り1名はまだ名前を明かせないと言う。そんな意味深なメッセージを発した後、レイ子が死んでしまう。
とすると、犯人は誰だ?となる訳だが、捜査線上に浮かんだ7人皆が自分がレイ子を殺したと思い込んでいる。犯人は誰が?から、どうやって7人が同じ人間を殺せるのか?、に変わっていく。作者のことばにはこうある。
他の多くのミステリーと同じように、この物語でも殺人事件が起こります。しかし、普通のミステリーでは最後まで隠しておいた方が良いことが、この作品では第1章で明かされています。事件は他殺と自殺が同時に起こっていて、加害者と被害者の二重奏とも言うべきものかもしれません。その重要な真相の一部が最初から読者に提示されています。
もう一つ、この物語には、確かに女主人を死に至らしめた犯人と言える人物が存在していますが、それが登場人物のうちの誰なのか、作者自身が知らずにいます。従って、この作品には犯人の章がありません。2つのルールを破って、それでも謎があり、解決があるミステリーを書くことが可能か。それに挑んでみたかったのです。
ミステリファンであれば惹きつけ力間違いなしな設定であり、どうやって7人が同じ人間を殺せるのか?の謎が解決されていく。ここが普通のミステリーとは毛色が違う。
一方でレイ子の動機には腹落ちしない部分がある。自らを落とし込めた相手に復讐する計画であるが、一部に関しては、自らが傲慢わがままを振りかざして好き勝手やっているように思える。
例えば、歌を歌いたくなかった(それ相応の理由がある)のに歌手デビューさせられたとあるが、レイ子自身はたまにはノリノリだったのだ。気分屋色があったからしょうがないのかも知れないが、それまで自分を貶めたと言うのは無理があるだろう(後半に判明する事実からするともしかしたら〇〇がやっていたから、とも思うが、だとしたら、別の復讐の理由が必要になるな)。
84年に既にこのようなタイプのミステリーが創作されていたとは!となるミステリー。 -
自分を殺したいと思ってる男女7人に、自分を殺させるという聞いたことのないストーリー。すべての登場人物の人物描写が事細かで、最近のミステリ作品に慣れてしまうと、少ししつこく感じてしまった。
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「レイ子を殺したのは自分だ」と信じる7人の男女。
謎は大きいが、トリック自体は意外と単純。
だが、7人それぞれの視点から自分が殺した理由などを語っていくという中弛みしそうな構成ながら、ここまで読者を惹きつける文章力はさすが。
連城さんの文章の美しさの欠片がようやく理解できたかもしれない。 -
う~ん。やっぱり連城さんのミステリーは初期のものが好きだなぁ。連城作品の中で人気が高い小説だったので読んだけど、好みじゃなかった。ストーリーは、売れっ子モデルが殺されて6人の人間が「自分が彼女を殺した」と思っているというミステリー。どんなトリックなんだろうと思ったが、なんせ長い。6人の独白が延々と続き飽きてしまった。
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けして厚い小説ではないが、
内容が濃い。
行間にあるストーリーも楽しめる内容。
ミステリとしては、飛び道具的かと感じましたが、情念のこもった傑作ではないでしようか -
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レイ子に翻弄される人々を描いたミステリ。読者である私も翻弄され、真相に驚き、楽しめました。 かつて整形手術を受けさせられ、トップモデルに駆けあがり、殺されたレイ子。そんな中で、彼女の元夫が自殺をし、遺書でレイ子を殺したと自白していたのです。しかしレイ子に関わっていた他の六人、それぞれにレイ子を殺した記憶があるのです。 七人の章に分かれ、それぞれのレイ子殺しのシーンが描かれます。繰り返される凄惨なシーンと疑問が膨れ上がる中で、レイ子の人間関係が浮かび上がり、真相の衝撃といった緩急が気持ちよい作品です。
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時間があれば。
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小さな小さな箱の中の、大きな大きなからくり、のような作品。
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なんとも奇妙で、読めば読むほどぐるぐるしてしまうミステリ。でも真相が分かってみると、謎はすっきり解けました。そして端麗で凄絶な雰囲気が印象的な一冊です。
七人の人間がそれぞれ自分が犯人だと自覚しているにもかかわらず、殺されたのは一人、というなんとも不可思議な状況。そして七人に自分を殺すよう仕向けていた魔性の美女。分かってみるとこの「復讐」はあまりにも悲しく凄まじく。それでもとても魅力的だなあ。 -
また凝った作りのミステリー。7人の容疑者がそれぞれ自分こそは殺人をおかしたと思いこんでいる。真犯人は1人なのだけれどそれが最後までわからないという趣向。だましだまされる虚々実々の関係とか、入れ替わりトリックとか、工夫が凝らされていてそれが話の進行とともに小出しにされて読者を引きつけてゆくところはさすがに手練の作者ならでは。ただ、7人もの相手それぞれの弱みを握って殺人に至るまで追い詰めるというところが結構無理しているし、殺人トリックもさすがに苦しいところだ。それよりもレイ子の回想シーン。東京の濁った海が地中海よりも南太平洋よりも美しく輝いていた。そんなささやかな幸せが運命の交通事故を境に急転するのが切ない。そこで元に戻るという選択はなかったのか。
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「私は7人の男女に7回殺される」という書店の紹介に惹かれ、目次を見た時に「誰か」というタイトルが並んでいることに惹かれ即決で買った本。
読み進めて行くうちに登場人物達が巻き起こしていく事件の世界に夢中になれた。
また、タイトルが「誰か」となっているためにすぐに名前は出てこず、これは一体7人のうちの誰なのか考え、読み進め、わかった時の驚きはとても爽快であった。
だが…欲を言うなれば、トリックはわかったものの、全てが終わっていない。これまで完璧に奏でていた奏者がいきなり曲の途中でステージを降りたような虚しい驚愕が残ったまま。私はまさに、どよめきが残る会場に取り残された客の一人となってしまった。
作者にはこの変奏曲の終幕をしっかりとおろして欲しかったと思う。 -
【惜しまれて亡くなった著者、全盛期の代表作】世界的モデル美織レイ子の死。七人の容疑者全員が、レイ子を殺したのは自分だと信じていた!? 連城ミステリーの最高峰ここに復活。
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トリックがすごいというわけではない。というより端からそこに重きを置いてなどいないのだろう。
人物の描き方に感銘を受けた。はじめはいかにも人工的に造り上げられた登場人物の造型に戸惑いを感じたが、読み進めるうちにそれが狙いではないかとも思えた気がした。
著者プロフィール
連城三紀彦の作品
