増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900830

作品紹介・あらすじ

世界の記憶遺産にもなった英雄。決定版伝記!南米だけでなく、世界中で愛される英雄・ゲバラ。裕福な一族に生まれた男は、なぜ医者の道を捨て、革命に身を投じたのか?

感想・レビュー・書評

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  • 南米アルゼンチンの裕福な家に生まれ、大学卒業後は医者になるが、貧困と圧制と腐敗の覆う現実を憂い、キューバ革命へと身を投じたチェ・ゲバラ。革命成功後も政府の大臣の座を捨てて、一ゲリラ戦士に立ち帰る。最期はボリビアの寒村で迎えた。何が彼を駆り立てたのか。直木賞受賞作家三好徹の手になる評伝。

    地名や人名が多く登場し、なかなかの情報量でした。過去のゲバラに関する文献の誤りを指摘するような箇所もあり、詳細な調査に基づいて書かれたことがわかります。
    三好さんがゲバラに相当惚れ込んでいるので彼のことをカッコよく書きすぎてしまっているという批判はあるかも。
    ただ、キューバでの成功がコンゴやボリビアで再現できなかったことは興味深い。この点は日記等の資料を参照して客観的に、くわしく、書かれている。良い面ばかり取り上げているとはぼくは思いませんでした。正しい協力者を見出すことや、仲間とのコミュニケーションがどれだけ重要かということが学べるように思います。

    とはいえ、この本はゲバラの生き様に魅了されたくて読むというだけでもかなり楽しく読めます。彼の文才に心を奪われること間違いなし。

    中南米人民連帯機構宛ての手紙の末尾の一節…
    「… ぼくらのすべての行動は、帝国主義に対する戦いの雄叫びであり、人類の敵・北アメリカに対する戦いの歌なのだ。どこで死がぼくらを襲おうとも、ぼくらのあげる鬨の声が誰かの耳にとどき、誰かの手がぼくらの武器をとるために差し出され、そして、誰かが進み出て機関銃の断続的な響きとあらたに起こる鬨の声との相和した葬送歌を声高らかにうたってくれるならば、死はむしろ歓迎されてよいのである」(p.385)

    あるいは有名な、1965年キューバを離れる際にカストロへ書いた「別れの手紙」など…
    「永遠の勝利まで。祖国か死か。ありったけの革命的情熱をこめてきみを抱擁する」(p.299)

  • 革命家と言われると真っ先にチェの名前が浮かんでくる!
    チェの生い立ちから最期の時まで綿密な調査と取材によってまとめられている!
    内容がゲリラ戦中だとページがどんどん進む!
    カストロに対してチェが抱いた「冒険に対するロマンティックな共感」というものをこちらも感じずにはいられない!
    激情的な雄弁家のカストロと情熱的な文章家のチェという相性がまた運命的なものを感じさせる!
    人の命を救う医師という立場でありながらゲリラ戦士となったチェが理想を持ちつつも、それを行動に移せる人間こそが革命家なのだと体現している!
    人が人によって収奪されることは決してあってはならない!
    それはどんな場面においても!

  • 純粋革命闘士。読んでおくべき本。

  • 丹念な取材のもと、ゲバラの生涯をまとめている。

    ボリビアでの最後の日々のことはあまり詳細には知らなかった。
    革命の名の元に集まった人々の間にも、色々な意志と、思惑があった。

  • チェ・ゲバラの生き方に感銘。今でも愛されている理由がよく分かる。キューバに旅行に行く前に読みたかった。

  • かなり淡々とした書きぶりで、どんどん読みたくなる感じではないが、彼の一生が、アルゼンチン〜ボリビアまで細かく書かれており、チェゲバラがどんな人物か知るのには良書だと思う。

    私がホームステイしているパレスチナ難民家庭のパパは、チェゲバラが大好き。
    よくチェゲバラは海外で目にするため、なぜ彼がそんなに支持されているのか知りたいと思い、本書を手に取った。

    彼がなぜ英雄視されるのか、なぜ隊を率いたカストロよりも人気なのか、読むとよくわかった。

    チェゲバラは自国のためだけでなく、全世界の苦しんでいる人のために戦った。
    アルゼンチン人なのに、キューバ、コンゴ、ボリビアなど、様々な人々のために命を捧げた。

    そして、彼は大変勤勉であり、常に読書を欠かさなかったという。


    また、読んでいる中で感じてた「南米の国境薄いなぁ」という点に付いても本書に書かれていた。南米の国々はブラジルを除いてスペイン語を話し、文化も近い。

  •  映画『エルネスト』を観て、改めてチェ・ゲバラについて復習。

     他の映画(『モーターサイクル・ダイアリー』『チェ 28歳の革命/チェ 39歳 別れの手紙』)で見聞きしてるけど、文章でチェの半生を辿るのは初めかな? 「チェのさすらい (ラモンブックプロジェクト No. 1)」(Ram'on Chao著)は、もっと詩的な内容だったし。

     広島を訪問した時に我々日本人に向けて発した「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあわされて、腹が立たないのか」は映画『エルネスト』でも描かれていたし、”ロシナンテの肋骨を感”じる話は有名で、カストロや子供たちに宛てた手紙は、『チェ 39歳 別れの手紙』や、今年(2017年)に開催されたチェの写真展でも一部紹介されていた。新しい話は多くはなかったけど、国際的な会議で、当時の米ソ冷戦時代に、堂々と帝国主義、社会主義に対し、弱小国のメンバーとしてアメリカや友好国ソ連に対しても厳しい意見を堂々と開陳していた内容が本書でじっくり読めて良かった。
     1964年当時の演説の中に21世紀の今のキューバの置かれた状況を危惧するような発言があるのが面白い。

    「独立は、一国民に対する帝国主義的な経済支配が絶たれたときに、達成されるのだ。」

     アメリカとの国交回復で、資本の論理が雪崩をうってあの小さな島国に流入してくる。経済による支配に翻弄されるのが眼に見えている。トランプ政権による逆行は、ある意味、キューバにとっては僥倖なのかもしれない。

    P.S.
    映画『エルネスト』でオダギリ・ジョーが絶命したボリビア軍の攻撃は、「シンティア作戦」と呼ばれていた(メモメモ)。

  • 恥ずかしながら全く知らなかった。赤狩りで放置された麻薬ディールが放置されて、いまnetflixでやってるパブロがのさばる結果となってる、くらいしか。あと、ロシアが核を持ち込んで冷戦の重要な一幕があった、くらいしか。

    過去には語り尽くされたのであろう、キューバ革命。奇抜なTシャツを見ることはあっても、なにしたひとなのか、どういう背景なのか、わかってなかった。ましてや、カストロは武器を掲げて正義のアメリカと戦争した悪いやつだろうくらいに思ってたのは猛省すべきだろう。

    彼らはどうしたかったのか、マルクス主義とはなんなのか、気になりました。


  • 「革命」という言葉からよく連想されるチェ・ゲバラ。
    葉巻とベレー帽の出で立ちから、カッコいい人である印象は強い。
    チェに対する僕の知識は「アルゼンチン人でキューバ革命をした人」くらいのもので、もう少し知りたいよな〜という動機で読み始めた。

    本文庫は元々1971年に刊行された「チェ・ゲバラ伝」の増補版で、著者の三好徹さんが現地に取材したり、集めた資料を読んだりして得た情報をまとめた内容だ。

    子供時代からボリビアで命を落とすまで、彼の闘いの軌跡をたどっているけど...

    正直、長いです。
    チェを崇拝している人やラテン・アメリカの地理、歴史の知識がないと、チンプンカンプンで挫折してしまうと思う。軽はずみで本書を読むような人はいないか。

    本書を通じて、チェがなぜ今でも人の心を掴んでいるかはわかる。
    「貧しい人たちをアメリカ的帝国主義の搾取から解放する。そのために闘う!」
    この精神を貫き通した私を捨て、公の幸福を追求した人だった。

    僕は2年前にキューバを旅行したことがあるが、旅行中に「資本主義に飲まれるのも時間の問題だな」と肌で感じた。それから今年7月の国交回復。思ったより早かった。
    これからキューバの海岸沿いに外資のリゾートホテルがバンバン建って、外国人向けのサービスがドンドン流行って、貧富の差は拡がっていくんだろうな。

    何が良いか、悪いかはキューバ人が決めればいいことだけれど、キューバのために闘ったアルゼンチン人がいたことは語り継がれてほしいものだ。

  • ちょっとゲバラ贔屓すぎるかなぁ…。

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著者プロフィール

一九三一年東京生まれ。横浜国立大学経済学部を卒業後、読売新聞社を経て作家生活に。六七年『風塵地帯』で日本推理作家協会賞を、六八年「聖少女」で直木賞を受賞する。推理・サスペンス小説、スパイ小説、歴史小説、伝記小説など広範囲なジャンルで硬筆な筆をふるう。

「2019年 『ガラスの階段 特捜検事 新編集版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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