増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫) (文春文庫 み 8-13)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900830

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながらチェ・ゲバラ、カストロ、キューバ革命についてほとんど知らなかったのだが、大枠はこの本で理解できた。極端にゲバラを英雄視していない点が良い。今後、モーターサイクル・ダイアリーズを読むのが楽しみ。

  • 丹念な取材のもと、ゲバラの生涯をまとめている。

    ボリビアでの最後の日々のことはあまり詳細には知らなかった。
    革命の名の元に集まった人々の間にも、色々な意志と、思惑があった。

  • かなり淡々とした書きぶりで、どんどん読みたくなる感じではないが、彼の一生が、アルゼンチン〜ボリビアまで細かく書かれており、チェゲバラがどんな人物か知るのには良書だと思う。

    私がホームステイしているパレスチナ難民家庭のパパは、チェゲバラが大好き。
    よくチェゲバラは海外で目にするため、なぜ彼がそんなに支持されているのか知りたいと思い、本書を手に取った。

    彼がなぜ英雄視されるのか、なぜ隊を率いたカストロよりも人気なのか、読むとよくわかった。

    チェゲバラは自国のためだけでなく、全世界の苦しんでいる人のために戦った。
    アルゼンチン人なのに、キューバ、コンゴ、ボリビアなど、様々な人々のために命を捧げた。

    そして、彼は大変勤勉であり、常に読書を欠かさなかったという。


    また、読んでいる中で感じてた「南米の国境薄いなぁ」という点に付いても本書に書かれていた。南米の国々はブラジルを除いてスペイン語を話し、文化も近い。

  •  映画『エルネスト』を観て、改めてチェ・ゲバラについて復習。

     他の映画(『モーターサイクル・ダイアリー』『チェ 28歳の革命/チェ 39歳 別れの手紙』)で見聞きしてるけど、文章でチェの半生を辿るのは初めかな? 「チェのさすらい (ラモンブックプロジェクト No. 1)」(Ram'on Chao著)は、もっと詩的な内容だったし。

     広島を訪問した時に我々日本人に向けて発した「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあわされて、腹が立たないのか」は映画『エルネスト』でも描かれていたし、”ロシナンテの肋骨を感”じる話は有名で、カストロや子供たちに宛てた手紙は、『チェ 39歳 別れの手紙』や、今年(2017年)に開催されたチェの写真展でも一部紹介されていた。新しい話は多くはなかったけど、国際的な会議で、当時の米ソ冷戦時代に、堂々と帝国主義、社会主義に対し、弱小国のメンバーとしてアメリカや友好国ソ連に対しても厳しい意見を堂々と開陳していた内容が本書でじっくり読めて良かった。
     1964年当時の演説の中に21世紀の今のキューバの置かれた状況を危惧するような発言があるのが面白い。

    「独立は、一国民に対する帝国主義的な経済支配が絶たれたときに、達成されるのだ。」

     アメリカとの国交回復で、資本の論理が雪崩をうってあの小さな島国に流入してくる。経済による支配に翻弄されるのが眼に見えている。トランプ政権による逆行は、ある意味、キューバにとっては僥倖なのかもしれない。

    P.S.
    映画『エルネスト』でオダギリ・ジョーが絶命したボリビア軍の攻撃は、「シンティア作戦」と呼ばれていた(メモメモ)。

  • 恥ずかしながら全く知らなかった。赤狩りで放置された麻薬ディールが放置されて、いまnetflixでやってるパブロがのさばる結果となってる、くらいしか。あと、ロシアが核を持ち込んで冷戦の重要な一幕があった、くらいしか。

    過去には語り尽くされたのであろう、キューバ革命。奇抜なTシャツを見ることはあっても、なにしたひとなのか、どういう背景なのか、わかってなかった。ましてや、カストロは武器を掲げて正義のアメリカと戦争した悪いやつだろうくらいに思ってたのは猛省すべきだろう。

    彼らはどうしたかったのか、マルクス主義とはなんなのか、気になりました。


  • 「革命」という言葉からよく連想されるチェ・ゲバラ。
    葉巻とベレー帽の出で立ちから、カッコいい人である印象は強い。
    チェに対する僕の知識は「アルゼンチン人でキューバ革命をした人」くらいのもので、もう少し知りたいよな〜という動機で読み始めた。

    本文庫は元々1971年に刊行された「チェ・ゲバラ伝」の増補版で、著者の三好徹さんが現地に取材したり、集めた資料を読んだりして得た情報をまとめた内容だ。

    子供時代からボリビアで命を落とすまで、彼の闘いの軌跡をたどっているけど...

    正直、長いです。
    チェを崇拝している人やラテン・アメリカの地理、歴史の知識がないと、チンプンカンプンで挫折してしまうと思う。軽はずみで本書を読むような人はいないか。

    本書を通じて、チェがなぜ今でも人の心を掴んでいるかはわかる。
    「貧しい人たちをアメリカ的帝国主義の搾取から解放する。そのために闘う!」
    この精神を貫き通した私を捨て、公の幸福を追求した人だった。

    僕は2年前にキューバを旅行したことがあるが、旅行中に「資本主義に飲まれるのも時間の問題だな」と肌で感じた。それから今年7月の国交回復。思ったより早かった。
    これからキューバの海岸沿いに外資のリゾートホテルがバンバン建って、外国人向けのサービスがドンドン流行って、貧富の差は拡がっていくんだろうな。

    何が良いか、悪いかはキューバ人が決めればいいことだけれど、キューバのために闘ったアルゼンチン人がいたことは語り継がれてほしいものだ。

  • ちょっとゲバラ贔屓すぎるかなぁ…。

  • キューバ革命の英雄チェ・ゲバラ。名前のみ耳にして詳しいことはほとんど知らなかったので、その生涯についての本を読んでみたいとは思っていた。本書は元々は1971年刊行のものが底本となったもの。

    ゲバラが特筆される人物であるのは、キューバ革命で大成功し、その中で権力を握るものの、再びコンゴ
    ボリビアのゲリラ戦に身を投じた点だ。

    また、カストロ政権下におけるキューバの貧困をみると、かの革命が果たして成功であったと呼べるものなのか考えさせる。しかしながら、革命後のキューバ経済についての言及は少ない。工業相であったチェ・ゲバラ。勉強家で私利私欲のない様子は強調されているが、果たしてその職責を全うできたといえるのだろうか。民衆にとって、そのままアメリカの傘に入っていた方が幸福になっていた可能性もないだろうか。その点において、彼が革命家へと再度向かうこととなったことは、自らの得意であり、実績も挙げた過去に戻ろうとするモティベーションがあったことは否定できないのではないだろうか。

    記録に忠実たらんとするところが大きいのか、せっかくの波乱万丈な彼の人生もやや平板に感じるのは残念。もう少しドラマチックなものに仕上げることも可能であったはずだ。

    近年、アメリカとの国交を回復したキューバ。どこかでまた別の本に当たってもいいかな。

  • チェ・ゲバラという人物がどういう人だったのかがよくわかる一冊。資本主義者とか共産主義者とかにこだわらない生き方で、結果的に”共産主義的”な生き方だったチェ・ゲバラの人生は日本の教育では前面に出て来ないが、非常に勉強になった。

  • 【世界の記憶遺産にもなった英雄。決定版伝記!】南米だけでなく、世界中で愛される英雄・ゲバラ。裕福な一族に生まれた男は、なぜ医者の道を捨て、革命に身を投じたのか?

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著者プロフィール

一九三一年東京生まれ。横浜国立大学経済学部を卒業後、読売新聞社を経て作家生活に。六七年『風塵地帯』で日本推理作家協会賞を、六八年「聖少女」で直木賞を受賞する。推理・サスペンス小説、スパイ小説、歴史小説、伝記小説など広範囲なジャンルで硬筆な筆をふるう。

「2019年 『ガラスの階段 特捜検事 新編集版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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