世界堂書店 (文春文庫)

制作 : 米澤 穂信 
  • 文藝春秋
3.47
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本棚登録 : 1195
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901011

作品紹介・あらすじ

稀代の小説好き米澤穂信さん厳選、世界短編傑作集不思議な物語、いじわるな話、おそろしい結末、驚愕の真相。あの米澤穂信が世界の名作から厳選した最愛の短編小説が一堂に!

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとした空き時間に
    スマホをいじっている人ならたくさんいるが、
    本を読む人の姿は見かけなくなった。

    もし、いたら。
    もし、夢中になって読みふけっている人をみかけたら、
    (何の本?)なのかが、気になってしょうがない私は
    (お願い!カバーを外して~~)と念力を送り続けてしまうかも知れない。(笑

    そんな他人の読む本すら気になってしまう読書好きさんの為に、著者が最初からカバーを外してくれた世界の超面白い短編小説集。

    普段、海外モノは多くは読まないだけに
    新鮮な面白さがあった。
    もっと、深追いして食べたくなりそうな果実、
    一口で充分な果実、
    滋味に溢れた果実、
    喉をなかなか通ってくれない果実。

    色も形も初めての
    いろいろフルーツ盛り合わせのごとき小説集。

  • 米澤さんが世界中から集めた物語。普段、あまり外国の作品は読まないので、こういう機会に読めて良かった。不思議な話が多かったが、特に気持ちが高まると宙に浮く少女と影がない少年、鏡に映らない少年が出てくる「いっぷう変わった人々」が面白かったな。
    様々な国の話が入っているので、その国らしい表現などもあり、読みながら世界旅行をしている気持ちになれた。

  • 米澤穂信が書いたわけじゃないけど、面白いよー。
    ってオススメしていただいた本。

    これ、かなりすごいっす。

    冒頭、フランスの小説家マルグリット・ユルスナールの描く『源氏物語』。
    源氏の君と花散里のそれから、が書かれているのだけど……結末まで上手いし、昏いた源氏の君の情欲感にゾクっとする。

    何気に一番好きになったのが「昔の借りを返す話」。
    シュテファン・ツヴァイクと言えば『ジョゼフ・フーシェ』の人?とピンときたけど、疲れ切った貴婦人と、くたびれた老人の邂逅。
    二人がそれぞれ在りし日の姿を取り戻していく、そんな元気のもらえる結末が好き。
    ツヴァイク、読むと決めた(笑)

    「石の葬式」も良かった。
    パノス・カルネジスというギリシアの小説家。
    申し訳ないけど、まったく知らない。
    最初、何の話?と思ったけれど、奴隷扱いされている双子が逃亡し、父親に復讐を試みる。
    ぐるぐると循環しながら、クライマックスでもう一度転覆させられるのが心地よい。

    「東洋趣味」や「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」もねっとりまとわりつく感じが病みつきになる。

    本当に世界にはこんなカラフルなお話があるんだな、と。
    それを見出す米澤穂信にやっぱり感心させられる。

  • すんなり読めるものもあれば、しっくりこないものも。全体的に後味の良くないショートショート集でした。

    「源氏の君の最後の恋」「昔の借りを返す話が」が好き。

  • 一癖も二癖もあり自分に合う合わないものあるがどれも妙味。
    お気に入りは破滅の種子、十五人の殺人者、石の葬式、黄泉から。
    破滅の種子、息子の真意に思い至ればゾッとし、
    十五人の殺人者のそうくるか!のラストにニンマリ、
    石の葬式では無情を感じ、
    黄泉からのラスト、哀しくもありほっこりもし本書を締めくくるにはふさわしいこの一編。

    収録作、収録順共に大満足な1冊。

  •  米澤穂信が世界各国の短編小説から選び抜いた短編を15編収録したアンソロジー。

     海外小説といえば米英ミステリーやSFがほとんどの自分にとって、中国やオーストリア、ギリシャといった欧州の作品までが収録されているこの本は、選者である米澤さんの物語への愛を感じさせられました。

    『源氏の君の最後の恋』は喪失と忘却、過ぎ去った過去、そして源氏の君をひたすらに愛し続ける花散里の想いの描写がとにかく美しかったです。

    『シャングリラ』は中国作家の短編SFですが、独特の味わいやアイディアがあって面白かったです。

    『昔の借りを返す話』は一人の女性が昔憧れていた舞台俳優にあることをしてあげる話。
     少女時代の淡い回想、そしてほのかな温かさが作品から伝わってきました。

    『十五人の殺人者たち』はタイトルから怖い話なのかと思いきや、読んでみると実は……という感じでした。この本の収録作品では個人的にかなりお気に入りの短編です。

    『石の葬式』も印象的な短編。二人の双子の少女が自由を手に入れてからの描写がとてもよかったです。

     全体的にとても質の高い短編が並んでいました。惜しむらくは、お気に入りの作家を見つけても、その作家の他の作品を探すのが難しそう、という事でしょうか(苦笑)

  • 古今東西の作家達が描くNIPPONを楽しめる作品も散見されますが、全体の傾向としてはミステリORファンタジー色が強いでしょうか。名訳・迷訳入り乱れ、様々な国の作家を取り上げて下さった米澤先生に、まずは多謝!こういうオムニバスは、自分の好みに偏向しがちな読書人にはなかなか有益だと思うのです、はい←

    えー、寡聞にして、日本作家の久生十蘭しか知りませんでした…汗。その久生十蘭にしても、作品は一作も読んだことが無いという…滝汗。

    今回は特に心惹かれた作品のレビューを少しずつ。15編全部まとめるのはさすがに無理でした…

    ◎東洋趣味…美しいロシア公使夫人が、北京の街中で忽然と姿を消した。彼女が乗る馬車の前後には同行した者たちがいたが、いずれも彼女の姿を見た者はいない。やがて、事態は公使が入手した王維の傑作を巻き込んだ展開を見せるが…。
    →衆人環視の空間からの消失もの。本作の中では一番本格派だったかも。

    ◎昔の借りを返す話…家族の看病疲れで、一人田舎の村に休養を取る為に訪れたマルガレート。彼女がその小さな村で出会った不調法な男は、かつて彼女が青春時代に胸をときめかせた俳優だった。
    →昔憧れた人の凋落を見てしまった主人公の機転が素晴らしい!

    ◎私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない…私はあなたと暮らしている。けれど、あなたはそれを知らない。私はあなたの食べ物をかじり、洋服を数枚失敬し、あなたにクリスマスを一緒に過ごす男を用意する。
    →本作の中で一番印象に残っています。ちょっぴり気持ち悪い感覚と、先の読めない不安に混じる、ほの暗いエロチシズムにドキドキ(*^_^*)

    ◎十五人の殺人者たち…己の過誤ゆえに患者を死なせてしまった経験談を話し合う会合の場に、初めて招待された若き医師。彼が語りだした患者の症例は、十五人の名医達が病因を特定するのが非常に困難だった。しかし、遂に彼らが一つの結論に至った時、会合史上初めての驚愕の展開が幕を開ける!
    →やられた!(笑)

    ◎石の葬式…大地震の影響で荒れてしまった村の墓地から、18個の石が詰め込まれた棺が発見された。自分がかつて石を弔わされたと知った村の神父は、納棺された筈の双子の父親を問い詰めるが…。
    →読んでてすごく辛いし加害者がすごく嫌な奴なのですが、この手の話ほど後々まで覚えてるんだよな~。

    ◎黄泉から…欧州から引き揚げた後、美術品の仲買人として生計を立てている光太郎のもとに、ある日、一人のうら若き女性が訪れる。光太郎を慕っていたおけいの戦地での最期を語る彼女に、光太郎は生前のおけいが言い残したという「ある言葉」を思い出していた。
    →無償の愛ってこういうものなのかもしれません。最後にそれと気づいた主人公が、最後に取ったある行動に、思わず胸が詰まります。そこで得られる、物語世界にどっぷり浸かっていた感情を、バサーッとぶった切られた感覚も凄かった(悲しくなる語彙のセレクト…)。

    ◎無限なんていらないーー解説にかえて…米澤先生の本への愛情が感じられます。ほっこり。

  • どんなセレクトされたのか、早く知りたい!

    目次は、以下の通り
    マルグリット・ユルスナール「源氏の君の最後の恋」
    ジェラルド・カーシュ「破滅の種子」
    レオン・ブロワ「ロンジュモーの囚人たち」
    張系国「シャングリラ」
    ヘレン・マクロイ「東洋趣味」
    シュテファン・ツヴァイク「昔の借りを返す話」
    ジュール・シュペルヴィエル「バイオリンの声の少女」
    キャロル・エムシュウィラー「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」
    レーナ・クルーン「いっぷう変わった人々」
    蒲松齢「連瑣」
    ヒュー・ウォルポール「トーランド家の長老」
    ベン・ヘクト「十五人の殺人者たち」
    パノス・カルネジス「石の葬式」
    フィッツ=ジェイムズ・オブライエン「墓を愛した少年」
    久生十蘭「黄泉から」

    文藝春秋のPR
    http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167901011
    『世界堂書店』: 汎夢殿
    http://pandreamium.sblo.jp/article/95886921.html

  • ここに集められた短編の著者はだれひとり知らなかったけど、なんともいえない不思議な人たちが織りなす奇妙な物語に完全にもってかれました。短編ごとに、いちいち。好き嫌いでなかなか読みづらいのもあったにはあったけど、それもすべて読書体験。贅沢な体験。いろんな種類の小説のおもしろさがギュッと詰まってた。

  • 華やかな色合いの装丁に惹かれたのと、米沢穂信さん編ということが気になって手に取った。

    最初の収録作品がユルスナール「源氏の君の最後の恋」というところから、アンソロジーとしてすでに当たり。以下、ジェラルド・カーシュ、レオン・ブロワと続いていく。とっつきやすいような、少しチャレンジが必要なような、現在の読者と絶妙な距離感のある作品群は、全部知っていると、かなりの海外文学マニアで通ると思う。

    選ばれる作品の雰囲気から感じる雰囲気は、西崎憲さんのアンソロジー『短篇小説日和』『怪奇小説日和』に似ており、実際に重複する収録作品が1編ある。「奇妙な味」とはいかないまでも、非常にエレガントな幻想譚、あるいは怪奇譚が多くを占めているように思う。ただし、ただのエレガンスじゃなくて、それぞれの物語が上っ面だけでぶれないためのアンカーがしっかり効いているように感じた。

    個人的には、ヘレン・マクロイ「東洋趣味(シノワズリ)」の退廃的なぎらつきと疑惑、キャロル・エムシュウィラー「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」の目的のわかったようなわからないような攪乱、パノス・カルネジス「石の葬式」の暗さと妙なリアルさが同率1位で印象に残った。他の作品も優劣つけがたく面白いけど。

    最後を飾る作品もやはり書き手の上手さを感じて、非常に面白く読み終えた。米沢作品は頻繁に読むというほどではないが、アンソロジーによってどんな小説がお好きなのかが覗けるというのはお手軽で愉しい。作家という職業(に限らないかもしれないが)は、やはり蓄積の職業だと思った1冊だった。

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