絵のある自伝 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.55
  • (1)
  • (11)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 141
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901028

作品紹介・あらすじ

『旅の絵本』『ふしぎなえ』『ABCの本』などが世界中で愛されている画家の、初の自伝。「自伝のようなものは書くまい」と思っていたが、日本経済新聞の「私の履歴書」欄に原稿を寄せるうちに「記憶のトビラがつぎつぎに開いた」、と大改稿大幅加筆。人情味のある豪傑な義兄、小学校で隣の席だった女の子、朝鮮人の友人、両親、弟……昭和を生きた著者が出会い、別れていった有名無名の人々との思い出をユーモア溢れる文章と柔らかな水彩画で綴る。「わたしも、冗談が多すぎた。でもまだ空想癖はやまない。しかしこの本に書いたことはみな本当のことで、さしさわりのあることは書かなかっただけである」とは著者の弁だが、炭鉱務め、兵役、教員時代など知られざる一面も。50点以上描き下ろした絵が、心温まる追憶は時代の空気を浮かび上がらせ、読む者の胸に迫る。楽しく懐かしい、御伽話のような本当のお話。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一緒に組んでる方に感化されて。

  • 安野光雅の絵本は、大人でも、楽しめる本が多い。
    数学のえほん、ふしぎな壺、等、絵も素敵だし、じっと見つめながら、数字の数を計算している自分が居た。

    この本の、「ハナ ハト マメ マス」と、「サイタ サイタ サクラガサイタ」で、年代がわかるらしかったのは、亡くなった母が、直接年齢をを聞くのは、失礼にあたるからか、「サイタ サイタ、、、」の時代ですか?なんて自分年齢に近い方に訊ねていた事があった。
    なるほど、、、と、

    戦中の大変な時代が、少年時代なのに、千人針の事や、盧溝橋事件等も、良く記憶しておられる。

    安穏と、生活出来る時代で無かったのであるのが、この本で、良く分かった。
    弟が、熊本の陸軍幼学校に入った、と、書かれており、今の戦前生まれの高齢者は、戦争のために、皆大変な時期を過ごしたのだと、思った。

    教員になり、給料が150円、生命保険の満期が500円、2階建の家が、500円、、、、なんか、想像できない。

    ABCの本は、大変だったのだ、、、、、
    昔 私は、Aはリンゴ1つ、、Bは熊2頭、Cは人参3本、Dはドーナツ4個、Eは卵5つ、Fは花を6本をフエルトを使って、サイコロを作って、子供のおもちゃを作った。
    何も考えずに、つくったけど、本にしようとしたら、大変な作業がかかるのだと、知った。

    作者の年賀状が、凄い!
    やはり、考える発想が違うのだと、思う。
    1970年の小金井市猫町3の4の5 小金井刑務所 81独房3023号との年賀状の検㊞が、犬のついた名字が、さもありなん、と言う感じで、笑ってしまった。

    何度、眺めても、厭きのこない本である。

  • 安野光雅さんの描くヨーロッパの街並みが好きでした。
    同じ窓が延々と連なるお城や洋風建築と、日本画の平面を彷彿とさせる水彩画がツボで。
    そんな安野氏も、戦中派。
    興味深いお話が多く書かれていました。

  • 【世界中で愛されている画家の、初の自伝】津和野の少年が炭鉱務め、兵役、教員を経て絵描きになった…柔らかな水彩画が、心温まる追憶にさらなる味わいを添える「昭和」の話。

  • 作者の心に映った水彩画の情景が、生活感から生まれる体温をともなっています。
    細かく描きこまれていながら、人にしても、物にしても、崩された形こそ作者の心象です。

    1926年(大正15年)生まれの安野光男の人生のエピソードが、自身の描いた絵と文章で紹介されています。
    絵の中にひと言書かれた手書きの文字が、そこに描かれた時代や心情を表す副題のようです。

    島根県津和野での子供時代、戦時中を迎えた十代、敗戦後の青年時代・・・・。

    市民昭和史的な流れから、やがて「ABCの本」、「旅の絵本」など安野の代表作の裏話や、司馬遼太郎、彫刻家佐藤忠良らとの交流といった画家の自伝へと内容の色彩が変化していきます。

    今にも動き出しそうな躍動感。
    遊び心が見え隠れする愛嬌。

    具体的な場面を描いただけに、綴られた文章もわかりやすく、活きいきとしています。
    生活実感に根差しているので、難しい歴史認識を抜きにして、その時代を感じとることができます。

  • 幼児の頃、叔母からもらった安野光雅作の絵本をみて育った。独特で不思議な世界観に、子供ながらも魅せられて、まねて絵を描いたりしていた。
    書店で本書を見かけ、ふと懐かしくなり購入した。
    昭和の戦中のこどもの頃が逞しげに淡々とづづられている。しかしその陰に淡々とせざるを得ない苦しみや悲しみがあったのではないかと勘繰ってしまう。
    良く覚えていられるな。と思うほどの友人知人が登場するが、それきりの人、所在不明の人、亡くなった人がほとんどである。父親の年を越え、著者は長く行き過ぎたと思っているのだろうか。
    いやいや、まだまだ元気に活躍してほしいと思う。

  • 著者の人柄の温かさやユニークさが滲み出たエッセイ

  • 「私の履歴書」をベースに著者独特の味わい深いイラストが加わり、自伝を超えた愛すべき小昭和史となった。優しさを孕んだ文章はもとより、青少年期の記憶の確かさに感心させられるが、それも著者の持つしっかりとした観察力の賜物だろうか。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

安野光雅 1926年、島根県津和野町生まれ。美術にとどまらず、文学、数学など、創作の分野は多岐にわたる。国際アンデルセン賞、菊池寛賞、文化功労者など、受賞・受章多数。絵本に『ふしぎなえ』『さかさま』『ふしぎなさーかす』『もりのえほん』『あいうえおみせ』『ABCの本』『あいうえおの本』『天動説の絵本』「旅の絵本」シリーズ(以上、福音館書店)『繪本 平家物語』(講談社)「美しい数学の絵本」シリーズ(童話屋)など。著書に『かんがえる子ども』(福音館書店)『絵のある人生』(岩波書店)『本が好き』(山川出版社)『若き芸術家へ』(佐藤忠良との共著、中央公論新社)など。故郷津和野には安野光雅美術館がある。東京都在住。

「2021年 『しりとり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安野光雅の作品

絵のある自伝 (文春文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×