いとしいたべもの (文春文庫 も 27-1)

著者 :
  • 文藝春秋
4.05
  • (166)
  • (189)
  • (105)
  • (14)
  • (3)
本棚登録 : 3580
感想 : 201
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901080

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 食べ物がたくさん出てくる小説を探していて、見つけたエッセイ。
    とても美味しそうに書かれていて、よくわかる思い出話が多く、すごく楽しい!

    表紙の絵のメロンパンはそうそう、無性に食べたくなるんだけど、期待させる割に実は中身は普通のパンで、ちょっとつまらないのよね。
    (最近のはクリーム入りになったのも納得)
    オムライス、昔ながらのを食べたくなることもありますね。
    ケチャップはやはりカゴメが一番美味しいような気もするし。そのとき安いのを色々買うけど、結局戻ったり。
    ブルドッグソースも家にあります。
    バーモントカレーは懐かしい味。今も半分はこれを使ってますよ。
    サッポロ一番みそラーメンも何度食べたことか‥久しぶりに食べたくなります。

    母が作ってくれた料理は丁寧で、愛情がこもっていましたね。
    松茸をもらって大騒ぎになったこと、うちもあります!
    今やほとんど昭和史(後半だけど)みたいな。
    気軽に読めるけど、日本の食べ物50年史ぐらいの充実したラインナップ。

    崎陽軒のシウマイ弁当はそうそう、いぜんはすごく良いバランスだなぁと思ってました。もう色々なお弁当が溢れているので、最近は特に目立たないけど、ハマっ子の著者には思い入れがあるんですね。
    鯛焼きは好きだけど、名店で買ったことはないかも‥行ってみたい!

    どういう作者かと思ったら、典奴さんだったんですね。
    イラストも上手いし、雰囲気ピッタリ。
    「いとしい」というのが本当にあふれ出ている描写に、感心しました。
    家族との食事の情景がとてもあったかくて、素敵です。
    切れているものはすぐ買いに走りたくなるので、メーカーの宣伝になりそうなぐらいですよ。

  • 食べものを通して、心の片隅に眠っていた懐かしい思い出が甦る。

    とても読みやすく、また心が温かくなるイラストを見ていると、こちらも食べたくなるようなエッセイ集でした。

    食べものの思い出に、ちょっとホロリとしてしまう場面もあって、とても良かった。

  • 『日日是好日』の森下典子さんによる食べ物エッセイ。
    水羊羹や栗饅頭などの和菓子から、メロンパン、カレーパン、ごはんにおこわ、焼売弁当、松茸、茄子、塩鮭、ポテトサラダ、即席麺、海苔の佃煮やソースといった調味料まで、様々なたべものにまつわる21のエッセイ。扱われているのは、かしこまった料理ではなく、日常生活とつながりの深いたべものばかり。森下さんの子供時代である昭和30年代〜40年代は、こんな日常の風景があったのかと楽しく読めた。
    文だけでも素晴らしい描写だが、著者の味わい深いイラストで、それぞれのたべものがいっそう生き生きと美味しそうに描かれていた。

  • 食べ物エッセイを読むのが大好きで、色々な方のものを見ましたが、森下典子さんの表現力はピカイチです!

    食べ物が生きているように感じたり
    生命力を感じさせる文章だったり

    美しい日本語で表現された、いとしいたべものたち。
    読んでいて、食べたい!と思うだけでなく、自分のいとしいたべものを思い出すきっかけにもなりました!

  • こんなに美味しそうなエッセイだとは。
    ひとつひとつの食べ物の描写が細かく、想像力豊かで、よく見ているなぁ、本当に好きなんだなぁということがひしひしと伝わります。青森の下北半島が鮭のカマに見えるというのは笑いました。笑

    私も好きなもの(二日目以降のカレーや夜更けのどん兵衛)はもちろん、食べたことがないもの(舟和の芋羊羹や栗まろ)やそんなに好きではないもの(おはぎ)もなんだかとっても美味しそうで読んでいるとすぐにでも食べたくなってしまいます。

    そして私ももう少し丁寧に食べ物と向き合えたら、いとしい記憶が蘇って幸せな時間が増えるのかもしれないな、と思いました。

  • 作者同様、自分も食べることが大好きですが、ここまで食べものに対して愛情を持って食事はしていなかったなぁと反省。お腹を満たすためだけに食事をしていた気がします。これからは、もっと真摯に食べることと向き合って、食べものの思い出を増やしていきたいです。

  • 森下さんと同世代の母の食べ物にまつわる思い出話をいくつか聞いたことを思い出した。
    今のように多様な食べ物が溢れていたわけではなく、だからこそ日々のごはんやちょっとしたご馳走に思い出があって、きっと誰もにそういう「いとしいたべもの」があるんだなぁと思った。
    そういう風に毎日を丁寧に過ごしていきながら私のいとしいたべものを作っていきたいな。

  • 私は作者の7つ年下である。子供の頃の食事がとても似ていて懐かしい。結果、オムライス、カレーと、炭水化物ダイエットを中断することになっちゃいましたぁ。
    今も、オムライスもカレーもメロンパンもある。だからこの懐かしさは、年をとって子供ころとは食生活が変わったせいもあるだろう。でも、きっと違う。
    マクドナルドも回転寿司もない、アレルギーとかロハスなんてこと考えもしない、家族の時間が晩ご飯に支配されていた、そんな時代のご飯の話だから、良くも悪くも懐かしいんだと思う。

  • 自分の中にある、特別な食事というシーン。
    父の一日がかりのカレー、母のコーヒーゼリー、
    祖母の具だくさんの親子丼。

    今まで生きてきて、特別なご飯も日常的なご飯も
    切り取れば特別な一瞬。

    そういえば、あんなご飯もあったなあと
    読みながら思い出させてくれた。

  • 文章を読んでるだけで食べ物のイメージが脳内でひろがりお腹が空いてくる作品でした

    カステラの中毒性だったり、オムライスにケチャップをかけるときの飛び散り方などを独特の表現で書いており「たしかに!」「わかる!」と心の中で共感しながら楽しく読ませていただきました

  • よく知ってるたべものからはじめましてのたべものもありました。
    ケチャップの表現に釘付けになりました。

    読んでて友人の顔が浮かんだので今度あったらおすすめしようと思います。

  • 食べ物に対するエッセイ。
    特別なモノではなく、皆が普通に食べているものも多々取り上げられている。

    例えば、「サッポロ一番みそラーメン」この本読まなかったら、私にとっては体の敵のようで、好んで食べようとは思わないものだけれど、このエッセイを読むと「なんておいしそうなんだ。今度買ってみようかな」とすら思ってしまう。

    特徴的なのは食べ物にまつわる過去の記憶。
    筆者の想い出の語りの秀逸さ。

    子どもの頃の話が多く、ノスタルジックな雰囲気も醸し出される。筆者が子供のころの小さな社会、その中での人と人との感情の交差、細やかなやりとりの中心に、食べ物がある。食べ物がタイムカプセルの役割をしているよう。

    普段なんとも思っていないようなもの(たとえばメロンパン)も、この筆者の想い出と共に見直してみると、中々趣深く見えてくる。
    また「たねや 本生水羊羹」のように、まあまあ高級品で、食べてみたいなーというものもあり。

    筆者の身近なものを分け隔てなく、フラットに、そしてさりげなく、おいしそうに紹介している。

    筆者の絵がまた、素晴らしく味があり、そして上手い。
    本文との相乗効果で、より、おいしそうに見える。

  • 何度も読みたいなあ〜と思った。森下さんととても食べ物に馳せる生きものとしての自分がガチャっと合ってるんだなあ、、こんな表現の才能は皆無だけど。
    ひとつひとつの素敵で愛おしい食べ物が、ひとつひとつの大切な出来事思い出とともに綴られている。幸せになるほんのり喉の奥があま〜くなるような幸せ。
    あたしも子供には、ごはんですよ
    とか日本の古き良きを必ず食べさせて
    でもいいものもオシャレなものも
    食べさせて育てたい。

  • 食べ物への想いが優しく描かれていて、加えて、挿し絵の効果も相まって、どれもとても美味しそう。シウマイ弁当のくだりはあまりにも自分とドンピシャすぎてびっくり。

  • 一気に読み終わりました。失礼ながら、決してグルメな印象は受けませんが、食べ物の描写に愛が溢れていて、またそれに纏わる森下さんの思い出も温かくて、ぐいぐい引き込まれました。幸せな気持ちになる素敵なエッセイです。

  • 読んでて美味しそうでお腹が減ってきた〜
    ひとつひとつの食べ物の思い出とその説明が素晴らしかった。こんな風に食べることに向き合えたら、いいだろうな。

  • 読んでてお腹が空いてきます!添えられているイラストも素敵でした!

  • 作者の思い出と共に様々な食べ物が登場し、知ってる食べ物は懐かしくなり、食べたことのない食べ物は食べてみたい!という気持ちになりました。

    「食べ物を口に入れるとき、きっと人は、その日のその時の気分や印象も一緒に食べている」と書いてありました。
    確かに食べ物を思い出すともれなくその時の記憶が蘇りますね。
    なんてことない食べ物のほうが案外記憶として残っているのは何故でしょう。日頃の食事って大事だな。

  • 「いとしいたべもの」
    というタイトルそのままに、
    たべものへの愛があふれていた。
    絵もとてもきれいで、
    見ているだけで愛が伝わってくる。

    サッポロ一番は私は味噌じゃなくて塩なんだよなあと思い、ブルドッグソースも我が家はとんかつではなく中濃なんだよなあと思いながら読んでいた。でも味は違えど思いは共通していて、わかるわかる!と頷いた。

    カステラのお話にくすっと笑い、
    どん兵衛の話にまた笑った。
    食べ物に関する思い出は味とともに何度もよみがえる。

    舟和の芋ようかんも
    たねやの水ようかんも
    特別な味というのはわかる。

    シウマイ弁当のフタの裏のご飯粒も共感。できればあの杏についてもひとこと触れてほしかった。

    一番面白かったのはメロンパンのお話。
    誰もが、おそらく一度は感じたことがあるであろう「見た目と中身のギャップ」についてあんなに楽しく書いてくれて、「ただのパン」ってがっかりしたのは私だけじゃなかったんだ!とすっきりした。

    幸せな気持ちになった。
    続編も読んでみたい。

  • 食いしん坊万歳!!

    カロリー気にせず好きなものをタックサーン食べたい。人生の幸せはどこにあるんだろう。
    我慢大会。

著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化され、樹木希林の遺作ともなり、大きな話題となった。他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

森下典子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×