春から夏、やがて冬 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 880
レビュー : 107
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901134

作品紹介・あらすじ

ミステリーの限界を超えた“現代の神話”スーパーの保安責任者の男と万引き犯の女。偶然の出会いは神の思し召しか、悪魔の罠か? これは“絶望”と“救済”のミステリーだ。

感想・レビュー・書評

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  • なんつー不条理で救いのない終わり方やあ
    後半から解説までで二度三度どんでん返しあり
    どんでん返しの度にこれまでの違和感を回収しつつもまだ微妙に違和感を残し、解説でやっと私は理解できた。
    末永ますみは馬鹿で不幸。もっと幸せになってくれても良かった
    病院の先生が最後に探偵役となるが、この人は静かで穏やかで明るいかんじでよかったなあ
    主人公の平田誠は、最初から最後まで悲しみの代名詞みたいなひと。
    この人の苦しみは大きすぎて想像できん

    季節の表現が良かった。
    ---
    紫陽花が咲き、傘の花も満開になった。
    梅雨が明け、兇悪な太陽が大地を焦がした。
    土用が過ぎ、乾いた風が肌の熱を冷ました。
    彼岸、衣替え、木枯らしと、季節は本のページをめくるようにゆき過ぎる。
    ---
    きれいな表現だなあ
    全体的にこういう表現がある。たしか風が吹いて髪がふわっとなる様子とか、わかりやすいのにきれいな表現をしていた。

  • 歌野先生の作品のタイトルの付け方が好き。これも上手く内容とリンクさせつつ、読後に余韻の残るタイトル。
    今回は救いの無いパターンの話で、もう本当にどうしようも無い、誰も救われない。思いのすれ違いや、どこか欠けている人間関係が上手いなあと思う。

  • これはひどい!
    ひどいと言っても、ひどい小説だ、と言うわけではなく、誰も幸せにならない、なんてひどい話なんだ、という意味です。
    衝撃を受けるくらい入りこめた作品でした。
    最後まで一気に読みました。
    ますみさんはこうなることを分かった上での行動だったのかしら。
    そこが気になります。

  • 1人娘を事故で亡くしたスーパー勤めの会社員平田はその後も、娘と同い年の女性を見るたびそこに娘を重ね合わせてしまう部分があった。スーパーで万引き犯として接したますみもそうだった。金が無いのを理由に万引きを働いたますみを情に駆られて釈放してから、2人の奇妙な交流は始まった。

    カバー裏あらすじ「究極の結末」という謳い文句に興味を持ったものの、うーん。
    ラストの一気に「THEミステリ」的ノリになるまでが、長くて、暗くて、重くて、読み進めるのしんどい内容だった

  • プロット頼みではなく、文章力で勝負した作品。そりゃ直木賞候補にもなりますわ。冒頭あまり面白そうじゃないなあと思ったが、途中から俄然面白くなり、読み終わったら朝方でした。

  • 話的にはスラスラ読めて文章もさすがと思わせる組み立てかただったんだけど、終わりかたがこりゃないよって感じだった。
    あまりにも誰も救われなさすぎる。もうちょっと救いのある結末でもよかったんじゃないの?
    ますみもそんな方法で平田が本当に救われるとおもったの?まぁあくまで小瀬木の推理でしかないんだけど
    ちょっと読後感は重いものが残っちゃいました。

  • 歌野晶午著「春から夏、やがて冬」

    この作品はミステリーであるが、ミステリーの形をとった人間ドラマであることの比率の方がより大きいと感じた。
    「桜庭の季節に君を想うということ」でも著者には「やられた!」と思ったが今回はやられた以上にミステリーの答えが人間の思い、愛、生き様に思いを馳せ感慨深いのでした。
    読み進む途中に、不自然な、あるいは無理な設定ではないかと思うところが出てくる。
    このままの展開で終わるのならばこの作品はどちらかというと出来が良くないのではと思いながらも、その思いを全てひっくり返す大団円が用意されているに違いない、そしてこの不自然さはそのための伏線なのではと期待して読んだ。
    そしてその期待の何十倍という結末が、感動を持ってやってきた。

  • 最後まで読んでの!!驚きが隠せない展開。

  • 歌野晶午の長編ミステリ
    スーパーの保安責任者の男と万引き犯女性の出会いから、運命の歯車が完全に狂いきってしまうまでの顛末と、その後日譚までを描いています。
    ミステリとして決して悪くないのですが・・・歌野晶午にしてはスッキリしない結末というか、モヤモヤが残る読後感・・・
    歌野晶午らしいドンデン返し的落とし所を期待し過ぎてしまった?かな??

  • ますみがどう変わっていくのか、果たしてDV男の元を離れ、更生できるのか?
    平田とますみは男女の関係に変わっていくのだろうか....?

    そんな予想を平田が癌を患っている、という真相の告白を皮切りに、ぐるぐると急降下していく。
    500万円を受け取って、ますみが更生しひき逃げ犯を突き止める、とかはたまたますみがDV男にあと一歩のところで殺されてしまう、でもない衝撃のラスト。
    平田とますみの持つ闇の深さが、この作品の見どころで、グイグイ引き込まれてしまった。

    星4としたのは、とても頭が良いとは思えないますみが、あんなフィクションを作り、わざと携帯をおいて刃を向けさせるようなことは到底できないと思ったから。
    設定に無理があると思ってしまった(もう少し思慮深い面を見せる描写があったら納得できたけれど)
    そして何か鍵を握っていると見られた姪っ子が何も結末に影響を与えていなかったこと。

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。東京農工大学卒。88年『長い家の殺人』でデビュー。2003年に刊行された『葉桜の季節に君を想うということ』が「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」共に第1位、第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞を受賞。10年には『密室殺人ゲーム2.0』で史上初、2度目となる第10回本格ミステリ大賞を受賞。その他の著書に、『世界の終わり、あるいは始まり』『家守』『ずっとあなたが好きでした』等がある。

「2019年 『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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