春から夏、やがて冬 (文春文庫 う 20-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901134

感想・レビュー・書評

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  • 流石の歌野ミステリー!
    どんでん返しからのどんでん返しで引き込まれる作品だった。
    それはそうと、いつかは終わる命。そして、それが不意にきてしまうかもしれない。
    生きられている事に感謝して、自分の人生をしっかり歩んでいこう。
    そう思えた作品でもあった。

  • 歌野晶午さんは本格ミステリの印象があったのですが、本作は直木賞候補としてノミネートされただけあって、ミステリの枠をこえた作品に仕上がっていると感じた。
    印象的なタイトル、ミステリとしての先の展開が気になり、また読みやすい文章ということもあってあっという間に読了。
    欠落を抱えた主人公平田とますみ。本作に“救い”はあったのか?切なさが残った一作でした。

  • 後半につれてテンポが上がっていき、裏切りの連続だった。最初の方は展開がゆっくりで状況を丁寧に説明してくれる文章だった。
     主人公の平田誠は、娘を轢き逃げで亡くし、妻に自殺で先立たれた独り身の男性。スーパーの万引き取締り係をやっている際、万引き犯で末永ますみの取り調べを行うが、娘と同じ歳ということでそのまま逃す。しかし、末永が後日も接触し、彼女がDVを受けているなど身の上事情を話したり、お金を借りたりする仲になっていく。平田が轢き逃げ事件で苦しんでいると知った末永は、平田の救いになると考え轢き逃げ犯を装うが、信じてしまった平田が末永を殺してしまうという物語。

  • なんつー不条理で救いのない終わり方やあ
    後半から解説までで二度三度どんでん返しあり
    どんでん返しの度にこれまでの違和感を回収しつつもまだ微妙に違和感を残し、解説でやっと私は理解できた。
    末永ますみは馬鹿で不幸。もっと幸せになってくれても良かった
    病院の先生が最後に探偵役となるが、この人は静かで穏やかで明るいかんじでよかったなあ
    主人公の平田誠は、最初から最後まで悲しみの代名詞みたいなひと。
    この人の苦しみは大きすぎて想像できん

    季節の表現が良かった。
    ---
    紫陽花が咲き、傘の花も満開になった。
    梅雨が明け、兇悪な太陽が大地を焦がした。
    土用が過ぎ、乾いた風が肌の熱を冷ました。
    彼岸、衣替え、木枯らしと、季節は本のページをめくるようにゆき過ぎる。
    ---
    きれいな表現だなあ
    全体的にこういう表現がある。たしか風が吹いて髪がふわっとなる様子とか、わかりやすいのにきれいな表現をしていた。

  •  一人娘の春夏を轢き逃げで殺され、妻の英理子もそれがもとで自殺、本人も肺癌にかかり生きる希望が消えかかっている平田誠55歳、スーパーの保安責任者。スーパーで万引きし、(平田誠の娘と同年生まれということで)何も訊かれずに無罪放免された末永ますみ24歳。この2人が織りなす物語。平田の闇を聞かされ、平田に生き続けて欲しいと願ったますみが考えたことは。そして、平田のとった行動は。何とも切ないラストですが、後味如何に関わらず、記憶に残る小説です。歌野晶午「春から夏、やがて冬」、2011.10刊行、2014.6文庫。

  • サクサク読めた作品。
    解説も読んで納得、という感じ。

  • 何か考えさせる内容でした。
    どこに真実があったのだろうか。
    「葉桜の・・・」とは、また違う衝撃的な
    ラストでした。

  • 娘を事故で失い、立ち直れなかった妻は自殺。
    事故後は自ら出世街道から外れ、犯人も見つからないまま1人に。地方のスーパーで保安官をし、万引きを取り締まる。そこで捕まえた彼氏にDVを受ける貧相で、娘と同い年の女性。肺癌が見つかり、その女性を勝手に娘と重ね合わせ、五百万円を渡し、人生のリスタートを持ちかける。     最後の解説に共感した。その女性(ますみ)は無償の援助をする平田に嘘を吹き込むことで死を持って恩返ししようとしたのではないか。
    それともますみは考え方が幼稚だから、そこまでは思いつかないか。最後は謎に包まれる。
    内容としては悪くないけど、展開が読めたので、星2。

  • 途中、これはちょっと無理のある話だなぁとおもっていたが、最後まで読めば納得の終わり方。

    最初から最後までずーっと切ない気持ちで読むことになるけど、どうなる?どうなる?と先が気になり飽きることなく、あっという間に読み終わった。

  • 少し重たく切なくしんどかった。

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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