芙蓉の人 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2014年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167901226

作品紹介・あらすじ

天気予報を正確にするには富士山の観測所が必要だと厳冬の山頂に籠もる野中到と命がけで夫と行を共にした妻千代子の夫婦愛を描く。

2014年にNHK土曜ドラマ 芙蓉の人~富士山頂の妻~ として映像化された話題作。

みんなの感想まとめ

厳冬の富士山頂で命がけの気象観測に挑む夫婦の愛情が描かれています。主人公の野中到は、自らの私財を投じて観測所を設立し、冬季の気象観測を行うという壮大な目標に向かいます。その背後には、夫を支えるために厳...

感想・レビュー・書評

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  • 久々の新田次郎作品は図書館でお借りしました。
    ☆5つと言いたいが、☆4.444444444...

    大晦日に読み終えた本書、無知故にこのような歴史があったことも知りませんでしたが、出会えてよかったと思える一冊です。

    明治時代の実話、天気予報の精度向上の為、富士山頂に気象観測所を設け冬季の気象観測を初めて行おうとした野中到と千代子の夫婦愛の物語。

    著者の作品では「八甲田山死の彷徨」が好きで、何度も読み返しています。
    今年人生初の青森旅に行った際にもレンタカーを借りて雪中行軍遭難記念像まで行ったことを思い出しながら記しています。

    舞台は冬季富士山頂、自から観測所の設計を行い、氷雪の登山に備える為に装備品を改良し、妻の千代子が一冬を山頂で過ごす為の食糧や炭等の手配をします。

    山頂で観測をするのは到1人のはずですが、それにしては千代子が準備する食糧等の量が多い。

    そう、千代子は到にも内緒で自らも冬季富士山頂での気象観測に同行する準備を進めていきます。

    しかし、そんな2人を待ち受けていたのは想像を超える過酷な冬山の姿。

    山岳物の感動作ではありますが、明治女性の強さと優しさ、愛を描いた感動作でした。

    <あらすじ>
    野中到は、日本の気象予報を正確にするために、富士山頂に観測所を建てることを夢見る気象学者です。しかし、その計画は政府や気象台の反対に遭い、私財を投じてもなかなか進みません。そんな中、到は千代子という女性と結婚します。千代子は、到の夢を理解し、尊敬し、応援する妻となります。やがて、到は富士山頂に観測小屋を建てることに成功し、冬季観測に挑みます。千代子は、一人では無理だと思った夫を支えるため、秘密で後を追って山頂に登ります。二人は、厳しい寒さと高山病に苦しみながら、観測を続けます。しかし、その過酷な環境は、次第に二人の体と心に影響を及ぼし始めます。果たして、二人は無事に下山できるのでしょうか。そして、二人の観測は、日本の気象学にどのような貢献をするのでしょうか。
    この小説は、実在の人物である野中到と千代子の生きざまに基づいて書かれています。富士山の美しさと厳しさ、夫婦の愛情と信念、科学の進歩と挑戦など、様々なテーマが織り込まれた感動的な物語です。


    NHKドラマ化、決定!

    天気予報を正確にするには富士山の観測所が必要だと厳冬の山頂に籠もる野中到と命がけで夫と行を共にした妻千代子の夫婦愛を描く。

    内容(「BOOK」データベースより)

    時は明治28年である。正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。そのために野中到は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に篭った。一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻・千代子は後を追って富士山頂に登る。明治女性の感動的な物語がここにある。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    新田/次郎
    明治45(1912)年長野県生まれ。無線電信講習所(現在電気通信大学)卒業。昭和31(1956)年「強力伝」にて第34回直木賞受賞。41年永年勤続した気象庁を退職。49年「武田信玄」などの作品により第8回吉川英治文学賞受賞。55年2月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 明治28年。私財を投げうって富士山頂気象観測所をつくり、そこで冬季気象観測をする野中到。そして夫を支えるため、あとを追って富士山頂に登る千代子。しかし厳冬期の富士山頂は厳しく、体調を崩す二人。生命の危機が訪れる。

  • 明治時代に冬季富士山の観測を自費で行うという意志が凄いです。新田さんは主人公を旦那さんではなく、奥様にしてあえて描いた事が、とても素晴らしいと思いました。日本の気象観測の先魁として、素晴らしい方々がいた事を誇りに思いました。

  • 明治時代、富士山頂に通年観測できる気象観測所を作った人とその妻の話。
    当時はできないと思われてたこと。想像を絶する大変さとしか言いようがない。

  • 父から勧められて。

  • R5.3.5~3.11

    (きっかけ)
    ・好きな作家
    ・富士山測候所について知りたくて
    ・古本屋で100円

    (感想)
    新田次郎さんの八甲田山死の彷徨を読んでいたので「壮絶な山岳小説」はよくわかっているつもりでしたが、別の角度からの「壮絶」がここにありました。
    到の決意の深さと千代子の夫への情熱、目的のためなら「死」を厭わない二人のようすがよく描かれており、心身を崩す二人の心に引き込まれて、読んでいて少々気分が悪くなるほどです。
    二人は生きて地上を踏めるのか、最後の一ページまでドキドキの1冊でした。

    補足:ページ構成は、1冊のうち半分が登山準備編、少しだけ登山、残りの半分が富士観測編です。

  • ありえない。。明治でしょ、富士山で?山頂で越冬??そんなの絶対無理無理。と思って、そんな非現実的なことなんて全然無理無理と思って読み始めた。
    そして二人とも高山病と寒さで11月にはすぐ死んでしまいそうになるのも、そりゃ頷ける。でもでも、あの時代にトライしようとしたのが本当にありえなくてすごすぎる。
    また、結末を知らないで読み進んだんだけど、12月の年末に?救助隊が富士山に上がって行って、二人を担ぎおろしてきた?すごいな!本当にびっくり。
    年末の富士山なんて、現代で、十分装備を整えて、プロが行ったって危ないのに、明治でしょ、アイゼンとかピッケルとか、ろくに無いんでしょ、それで担ぎおろしたのか!と本当にびっくり。
    しかし、昔の人は強かったんだなー。と思います。ただでさえ、ただの主婦の女性が、たったの数週間、実家近くの低山を歩いて足慣らしして、それで富士山に登っていけるなんて、おそらく現代と比べて基礎体力や基礎的な脚力が本当に高かったんだと思う。現代の20代女性が突然3週間丹沢で足慣らしして富士山に登れなんて無理でしょう。。。そもそもトレーニング最初の1週間は筋肉痛でどうにもならないでしょう。
    そして、一人で2時間おきの気象観測に突っ込ませた気象庁(昔は気象台?)と、それを一人で引き受けた野中到さん、ありえない。ちゃんと計画考えていない。そこはおかしいと思う。
    そりゃ富士山寒いでしょうよーー。マイナス20度で風吹きまくりなんだから、一瞬で死んでしまうよ。。昔から現代への、一歩一歩の進歩っていうのは、こういう無茶や無理にトライして、それを乗り越えられたケースと、それよりももっと多くの乗り越えられなかったケースを踏み踏みしながら、この現代が築き上げられたんだろうなと思うと、ホントーにすごいことです。

  •  気象に詳しく、富士山頂での観測経験のある著者ならではの自然の厳しさが伝わってきた作品。
     自費をも投じて富士山頂での越冬観測に臨んだ野中到の夫人、千代子さんの目線で描いている。
     明治、士族の家、嫁という束縛が強く、形だけでも整えようとする親世代との確執が、例えば、冬山に籠るのに、男装はダメ、モンペもダメ‥今なお共感を呼ぶ。
     新たな時代の幕開け、そして列強諸国と、肩を並べたいがための国の威信をかけ
    夫を支える千代子さんの不屈で、鋭意ある行動に、明治女性の芯の強さが読めた。

  • 読み終えたとき 芙蓉の人ロスになるくらい面白かった。
    少し冬山登山の経験があるのでそれを思い出しつつ読み進めたが、雪の季節の富士山の厳しさは想像しきれない。しかも明治時代の装備…
    健気だけど頑固に到に尽くす千代子すごい。

  • 富士山登山でしょ、と高をくくって読み始めたが、壮絶。あまりに壮絶。
    今と違って装備の整ってない明治28年に、富士山頂上で冬を越すということがいかに難事か。3カ月持たなかったけど、2人とも生還できてよかった。

    何が怖いって、10月の夜に標高2500メートル、真っ暗闇のテントの中でこれを読んだこと。お国のために、という意識はもはやどうでもよくて、雪と氷に囲まれた暗闇の中、歩くこともできぬ体に鞭打って、昼も夜も2時間ごとの気候観測を続ける、その過酷な情景描写に、羽毛たっぷりの寝袋にくるまった自分の体が震えた。
    読み終わっても興奮冷めやらず、テントの外に出てみた時に見たきれいな星空も合わせて心に残った。

  • 体力的には難しい、とか
    女は家庭を守るものだ、などと
    周囲から反対されながらも
    過酷な環境で気象観測を続ける夫「到」を支えるために後を追った
    「千代子」という女性のお話です。

    強いです。

    私だったら、ここまでして自分の意思を貫き通せるだろうか、と
    千代子の静かな強さに感動を覚えました。

    それだけに、ラストがせつなかったです。

  •  明治時代、冬期富士山頂での観測を目指した夫婦の物語。
    特に妻に焦点が当たる。封建的な考え方が当たり前の時代に強い意志を持って夫と共に観測に挑んだ感動的な話であり、山頂で自然にボコボコにされた箇所がなければ朝の連続テレビ小説に採用されていそうだ。
     明治時代を昭和の時代から見た物語と言うことで古臭さはどうしようもないが、それだけに時代の雰囲気であったり価値観であったりを垣間見ることのできる物語だったと思う。

     ただ、雪山に挑む装備が貧弱すぎて、南極で散ったロバート・スコットの話を読んでいるかのようだった。明治時代の、海外に追いつけ追い越せの流れの中ではこのような物語も必然だったのか。命の危険を極限まで減らすなんてことはしてられず、限られた知識の中で命を賭けて何かを成し遂げることに美徳があったのだろうか。
     そうした生き方をしたい、というわけではないが、胸に残る小説だった。

  • 真夏に富士山に登った時、日の出前はスキーに行く格好をしていても寒くて震えていたのを思い出した。
    冬の富士山頂はどんなにか寒いのだろうとその時思ったが、想像を絶するものだということが分かった。それと同時に想像を絶するものを書き表わす筆力に感銘を受けた。

  • 読んでて凍える…
    千代子さんの意志の強さ・行動力に脱帽。カッコいい!

  • 「新田次郎」のノンフィクション作品でNHKでドラマ化もされた『芙蓉の人』を読みました。

    「新田次郎」作品は、2年前に読んだ『アルプスの谷 アルプスの村』以来ですね。

    -----story-------------
    時は明治28年である。
    正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。
    そのために「野中到」は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に篭った。
    一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻「千代子」は後を追って富士山頂に登る。
    明治女性の感動的な物語がここにある。
    -----------------------

    明治25年(1892年)、日本の気象予報を正確に把握するために、富士山の山頂に観測所を設置しようと、「野中到(いたる)」は富士山に登頂し、冬の寒さに耐えながら気象観測に力を尽くす… 「到」と命がけで夫と行を共にした妻「千代子」との夫婦愛と、気象観測に情熱を注いだ人生を描いたノンフィクションです。


    日々の暮らしに欠かせない天気予報… この予測をより正確なものにするべく、命を懸けた「野中到・千代子夫妻」、、、

    「到」は私財を投じて富士山頂に気象観測所をたて、中央気象台からの「委託」という形で観測機器を借り受けて、前人未到の冬期観測を実施… たった一人、眠る時間も削っての2時間おきの計測を続ける「到」、、、

    一人での観測は無理だと考えた妻「千代子」は、夫を支えるため、周囲の反対を押し切り、娘「園子」を実家に預け、夫の後を追って山頂に登る―― 暴風、雪、低温… 想像を超える自然環境下に置かれた観測所では、室内で終日ストーブを燃やし続けても寒さが増し、壁面は凍りその厚みが増してゆく。

    さらに高所での生活で高山病を発症… 食欲は失せ、食料あれど食べたいものが底をつき、何より寒さと低気圧によって当時の計測機器がことごとく使いものにならなくなっていく。

    献身的な愛情と勇気をもった明治女性の姿を描いたこの傑作でしたね… 夫妻の奮闘、暮らしぶりもさることながら、衰弱し自力で立つことも這うこともできない二人の救出に向かい、凍結した頂上から二人を背負って連れ帰った人たちの心意気にも心を打たれました、、、

    狂ったような暴風と、目も凍傷を受けるほどの極寒… 当時の装備で厳冬の富士山に登るなんて、本当に命懸けですもんね。

    それにしても、「千代子」の精神的な強さには敬服しました… 見習いたいですね。

  • 野中到(のなか-いたる),千代子(ちよこ)夫妻の実話。新田次郎の書く本編はもちろん、最後の解説を含めて面白い作品。最後にエピローグ的に出てくる到と娘の会話に感動させられた。
    『第66回NHK放送コンテスト 朗読部門』の課題図書にもなった。

  • 明治の男の気概と意志を感じる。
    明治の女性の凛とした強さを感じる。
    あの当時の科学技術の水準も低く、材料や機材も素朴な時代の中で、富士山頂に観測小屋を私財を投じて建立し、しかも冬季観察を企てようという誰も考えもしなかったことを祈願し、実行した野中到。
    日本どころか世界的にも類例の無い壮挙であり、当時の民衆も熱狂したという。
    野中到の物語は何度か小説化されたようだが、野中到の影に隠れていた妻の千代子に光を当てたのが新田次郎のこの名作である。
    新田次郎自身がかって気象庁職員であり、富士山測候所に数百日勤務していた経験に裏付けされた冬の富士山の描写は凄みがあり、まるでその場にいるかのような気にさせる。






  •  ♪~芙蓉の雪の精を取とり 芳野の花の華を奪い 清き心の益良雄が 剣と筆とをとり持ちて 一たび起たば何事か 人生の偉業成らざらん~♪ 新田次郎「芙蓉の人」、2014.6新装版文庫、1975.5刊行。読み応えがありました。そして深い感動を覚えました。富士山の頂上での気象観測に命をかけた野中到、そして、その夫を支えるために富士山に登り、観測を共にした妻、千代子の物語。二人にまかせっきりの気象台幹部の情けなさには憤りを。野中夫妻に感謝の気持ちでいっぱいです。

  • 途中から読むのが辛くなるほど壮絶で過酷。
    でも読まずにはいられない熱量があった。

    ちなみに、
    あとがきや解説ってあまり面白く感じないことが
    自分の場合殆どなんだけど、この本はあとがきまで
    読んで完結したって感じました。

  • 意義深く、偉大な仕事に打ち込めること。
    その想いに寄り添ってくれる人がいること。

    この二つ、自分の人生に出逢えれさえすれば。
    その人は大成功したと言えるんだと、思いました。

    ありきたりですが。
    一人で戦うのはある意味簡単で。
    自分に続く二人目を得れること。
    この二人目の熱さで。
    翻って己の人生が決まるんですね。

    この本ではそれが妻でした。
    それが相棒でも友人でも敵でも。
    一人ではない人生になれること。
    そのもの自体が、大事な気がしました!

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著者プロフィール

新田 次郎(にった・じろう):1912-80年。長野県上諏訪生まれ。旧制諏訪中学校、無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、1932年、中央気象台(現気象庁)に入庁。1935年、電機学校卒業。富士山気象レーダー(1965年運用開始)の建設責任者を務めたことで知られる。1956年『強力伝』で、第34回直木賞受賞。1974年、『武田信玄』ならびに一連の山岳小説に対して吉川英治文学賞受賞。

「2024年 『火の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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