新装版 芙蓉の人 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901226

作品紹介・あらすじ

NHKドラマ化、決定!天気予報を正確にするには富士山の観測所が必要だと厳冬の山頂に籠もる野中到と命がけで夫と行を共にした妻千代子の夫婦愛を描く。

感想・レビュー・書評

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  • ありえない。。明治でしょ、富士山で?山頂で越冬??そんなの絶対無理無理。と思って、そんな非現実的なことなんて全然無理無理と思って読み始めた。
    そして二人とも高山病と寒さで11月にはすぐ死んでしまいそうになるのも、そりゃ頷ける。でもでも、あの時代にトライしようとしたのが本当にありえなくてすごすぎる。
    また、結末を知らないで読み進んだんだけど、12月の年末に?救助隊が富士山に上がって行って、二人を担ぎおろしてきた?すごいな!本当にびっくり。
    年末の富士山なんて、現代で、十分装備を整えて、プロが行ったって危ないのに、明治でしょ、アイゼンとかピッケルとか、ろくに無いんでしょ、それで担ぎおろしたのか!と本当にびっくり。
    しかし、昔の人は強かったんだなー。と思います。ただでさえ、ただの主婦の女性が、たったの数週間、実家近くの低山を歩いて足慣らしして、それで富士山に登っていけるなんて、おそらく現代と比べて基礎体力や基礎的な脚力が本当に高かったんだと思う。現代の20代女性が突然3週間丹沢で足慣らしして富士山に登れなんて無理でしょう。。。そもそもトレーニング最初の1週間は筋肉痛でどうにもならないでしょう。
    そして、一人で2時間おきの気象観測に突っ込ませた気象庁(昔は気象台?)と、それを一人で引き受けた野中到さん、ありえない。ちゃんと計画考えていない。そこはおかしいと思う。
    そりゃ富士山寒いでしょうよーー。マイナス20度で風吹きまくりなんだから、一瞬で死んでしまうよ。。昔から現代への、一歩一歩の進歩っていうのは、こういう無茶や無理にトライして、それを乗り越えられたケースと、それよりももっと多くの乗り越えられなかったケースを踏み踏みしながら、この現代が築き上げられたんだろうなと思うと、ホントーにすごいことです。

  •  気象に詳しく、富士山頂での観測経験のある著者ならではの自然の厳しさが伝わってきた作品。
     自費をも投じて富士山頂での越冬観測に臨んだ野中到の夫人、千代子さんの目線で描いている。
     明治、士族の家、嫁という束縛が強く、形だけでも整えようとする親世代との確執が、例えば、冬山に籠るのに、男装はダメ、モンペもダメ‥今なお共感を呼ぶ。
     新たな時代の幕開け、そして列強諸国と、肩を並べたいがための国の威信をかけ
    夫を支える千代子さんの不屈で、鋭意ある行動に、明治女性の芯の強さが読めた。

  • 読み終えたとき 芙蓉の人ロスになるくらい面白かった。
    少し冬山登山の経験があるのでそれを思い出しつつ読み進めたが、雪の季節の富士山の厳しさは想像しきれない。しかも明治時代の装備…
    健気だけど頑固に到に尽くす千代子すごい。

  • 体力的には難しい、とか
    女は家庭を守るものだ、などと
    周囲から反対されながらも
    過酷な環境で気象観測を続ける夫「到」を支えるために後を追った
    「千代子」という女性のお話です。

    強いです。

    私だったら、ここまでして自分の意思を貫き通せるだろうか、と
    千代子の静かな強さに感動を覚えました。

    それだけに、ラストがせつなかったです。

  • 途中から読むのが辛くなるほど壮絶で過酷。
    でも読まずにはいられない熱量があった。

    ちなみに、
    あとがきや解説ってあまり面白く感じないことが
    自分の場合殆どなんだけど、この本はあとがきまで
    読んで完結したって感じました。

  • 意義深く、偉大な仕事に打ち込めること。
    その想いに寄り添ってくれる人がいること。

    この二つ、自分の人生に出逢えれさえすれば。
    その人は大成功したと言えるんだと、思いました。

    ありきたりですが。
    一人で戦うのはある意味簡単で。
    自分に続く二人目を得れること。
    この二人目の熱さで。
    翻って己の人生が決まるんですね。

    この本ではそれが妻でした。
    それが相棒でも友人でも敵でも。
    一人ではない人生になれること。
    そのもの自体が、大事な気がしました!

  • 私費を投じて気象観測の道を切り開いた男と、支えた女。粗筋を知っていたが、明治の夫婦の並なみならぬ覚悟に胸うたれる。しかし、現代ならばマスコミやネットで…と思わないでもない。凄まじい冬山の猛威に挑み、夢半ばで倒れた無念さに涙溢れる。

  • 作者の登山(?)ものはよいですね。過酷な環境に置かれた人の限界の挑戦の物語は引き込まれます。
    明治の時代においてつつましくあらねばならぬ女性が表舞台に立って活躍をした事実は日本における女性の地位を高めることに役立ったのでしょうね。
    他の作品も追々読みます。

  • 確か映画化されたんだよなぁと思い、手に取りました。
    明治時代に富士山頂に気象観測所を建てるために尽力する夫について冬の富士山に登り共に観測小屋に籠った妻・千代子の物語。
    まだ女の人の地位も低かった頃に千代子はしっかりと自分の意思を持ち、行動力を発揮するのだけど、その根底には夫に尽くし愛する気持ちがあってこそなのです。
    千代子は本当に強くて聡明な女性。冬の富士山頂の様子は凄まじく、雪と氷に覆われた小屋での生活は寒さとの闘いで、本当に壮絶。普通の人にはとてもとてもできない。もちろん私にも無理だけど、これをやってのけた女性が本当にいたなんて、すごすぎる。
    所々で出てくる手紙や報告書の文章が当時のままの昔のものなので、きちんと読解できない自分がもどかしかったです。
    そして読み終わってから新田次郎さんが書いたものだったと気づいた。さすがの筆力。

  • 藤原正彦さんの本は何冊も読んでいるが、御父上の新田次郎さんの作品は読んだことがなかった。初めて読んでみたが、一気に引き込まれる文体で、夢中になって読めた。3日で読めた。富士山の頂上という極限の環境下で、「そこまでしなくても」と思わせるほどの気迫をもって気象観測に取り組む二人。すさまじいと思った。新田次郎さんの筆力もすごいと思った。あとがきを読むまで気づかなかったが、実話だったのか、と思った。すごい世界もあったものだと思った。

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著者プロフィール

新田 次郎(にった じろう)
1912年6月6日 - 1980年2月15日
長野県諏訪郡上諏訪町(現:諏訪市)生まれの日本の小説家、気象学者。本名は藤原 寛人(ふじわら ひろと)。電機学校(現:東京電機大学)卒業。次男に研究者・作家の藤原正彦。
終戦後で生活が困窮しているところ、作家である妻の兩角(もろすみ)ていの刊行した『流れる星は生きている』がベストセラーになったことから作家を志し、執筆活動を兼業する。
1956年『強力伝』で第34回直木三十五賞受賞。1966年に専業作家。1974年に吉川英治文学賞、1979年に紫綬褒章。
気象職員としても富士山気象レーダー建設という大きな業績で名を残しており、退職時には気象庁から繰り返し強い慰留を受けた逸話が残る。

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