- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167901226
作品紹介・あらすじ
NHKドラマ化、決定!天気予報を正確にするには富士山の観測所が必要だと厳冬の山頂に籠もる野中到と命がけで夫と行を共にした妻千代子の夫婦愛を描く。
感想・レビュー・書評
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明治時代、富士山頂に通年観測できる気象観測所を作った人とその妻の話。
当時はできないと思われてたこと。想像を絶する大変さとしか言いようがない。 -
父から勧められて。
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ありえない。。明治でしょ、富士山で?山頂で越冬??そんなの絶対無理無理。と思って、そんな非現実的なことなんて全然無理無理と思って読み始めた。
そして二人とも高山病と寒さで11月にはすぐ死んでしまいそうになるのも、そりゃ頷ける。でもでも、あの時代にトライしようとしたのが本当にありえなくてすごすぎる。
また、結末を知らないで読み進んだんだけど、12月の年末に?救助隊が富士山に上がって行って、二人を担ぎおろしてきた?すごいな!本当にびっくり。
年末の富士山なんて、現代で、十分装備を整えて、プロが行ったって危ないのに、明治でしょ、アイゼンとかピッケルとか、ろくに無いんでしょ、それで担ぎおろしたのか!と本当にびっくり。
しかし、昔の人は強かったんだなー。と思います。ただでさえ、ただの主婦の女性が、たったの数週間、実家近くの低山を歩いて足慣らしして、それで富士山に登っていけるなんて、おそらく現代と比べて基礎体力や基礎的な脚力が本当に高かったんだと思う。現代の20代女性が突然3週間丹沢で足慣らしして富士山に登れなんて無理でしょう。。。そもそもトレーニング最初の1週間は筋肉痛でどうにもならないでしょう。
そして、一人で2時間おきの気象観測に突っ込ませた気象庁(昔は気象台?)と、それを一人で引き受けた野中到さん、ありえない。ちゃんと計画考えていない。そこはおかしいと思う。
そりゃ富士山寒いでしょうよーー。マイナス20度で風吹きまくりなんだから、一瞬で死んでしまうよ。。昔から現代への、一歩一歩の進歩っていうのは、こういう無茶や無理にトライして、それを乗り越えられたケースと、それよりももっと多くの乗り越えられなかったケースを踏み踏みしながら、この現代が築き上げられたんだろうなと思うと、ホントーにすごいことです。 -
気象に詳しく、富士山頂での観測経験のある著者ならではの自然の厳しさが伝わってきた作品。
自費をも投じて富士山頂での越冬観測に臨んだ野中到の夫人、千代子さんの目線で描いている。
明治、士族の家、嫁という束縛が強く、形だけでも整えようとする親世代との確執が、例えば、冬山に籠るのに、男装はダメ、モンペもダメ‥今なお共感を呼ぶ。
新たな時代の幕開け、そして列強諸国と、肩を並べたいがための国の威信をかけ
夫を支える千代子さんの不屈で、鋭意ある行動に、明治女性の芯の強さが読めた。 -
読み終えたとき 芙蓉の人ロスになるくらい面白かった。
少し冬山登山の経験があるのでそれを思い出しつつ読み進めたが、雪の季節の富士山の厳しさは想像しきれない。しかも明治時代の装備…
健気だけど頑固に到に尽くす千代子すごい。 -
富士山登山でしょ、と高をくくって読み始めたが、壮絶。あまりに壮絶。
今と違って装備の整ってない明治28年に、富士山頂上で冬を越すということがいかに難事か。3カ月持たなかったけど、2人とも生還できてよかった。
何が怖いって、10月の夜に標高2500メートル、真っ暗闇のテントの中でこれを読んだこと。お国のために、という意識はもはやどうでもよくて、雪と氷に囲まれた暗闇の中、歩くこともできぬ体に鞭打って、昼も夜も2時間ごとの気候観測を続ける、その過酷な情景描写に、羽毛たっぷりの寝袋にくるまった自分の体が震えた。
読み終わっても興奮冷めやらず、テントの外に出てみた時に見たきれいな星空も合わせて心に残った。 -
体力的には難しい、とか
女は家庭を守るものだ、などと
周囲から反対されながらも
過酷な環境で気象観測を続ける夫「到」を支えるために後を追った
「千代子」という女性のお話です。
強いです。
私だったら、ここまでして自分の意思を貫き通せるだろうか、と
千代子の静かな強さに感動を覚えました。
それだけに、ラストがせつなかったです。 -
「新田次郎」のノンフィクション作品でNHKでドラマ化もされた『芙蓉の人』を読みました。
「新田次郎」作品は、2年前に読んだ『アルプスの谷 アルプスの村』以来ですね。
-----story-------------
時は明治28年である。
正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。
そのために「野中到」は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に篭った。
一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻「千代子」は後を追って富士山頂に登る。
明治女性の感動的な物語がここにある。
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明治25年(1892年)、日本の気象予報を正確に把握するために、富士山の山頂に観測所を設置しようと、「野中到(いたる)」は富士山に登頂し、冬の寒さに耐えながら気象観測に力を尽くす… 「到」と命がけで夫と行を共にした妻「千代子」との夫婦愛と、気象観測に情熱を注いだ人生を描いたノンフィクションです。
日々の暮らしに欠かせない天気予報… この予測をより正確なものにするべく、命を懸けた「野中到・千代子夫妻」、、、
「到」は私財を投じて富士山頂に気象観測所をたて、中央気象台からの「委託」という形で観測機器を借り受けて、前人未到の冬期観測を実施… たった一人、眠る時間も削っての2時間おきの計測を続ける「到」、、、
一人での観測は無理だと考えた妻「千代子」は、夫を支えるため、周囲の反対を押し切り、娘「園子」を実家に預け、夫の後を追って山頂に登る―― 暴風、雪、低温… 想像を超える自然環境下に置かれた観測所では、室内で終日ストーブを燃やし続けても寒さが増し、壁面は凍りその厚みが増してゆく。
さらに高所での生活で高山病を発症… 食欲は失せ、食料あれど食べたいものが底をつき、何より寒さと低気圧によって当時の計測機器がことごとく使いものにならなくなっていく。
献身的な愛情と勇気をもった明治女性の姿を描いたこの傑作でしたね… 夫妻の奮闘、暮らしぶりもさることながら、衰弱し自力で立つことも這うこともできない二人の救出に向かい、凍結した頂上から二人を背負って連れ帰った人たちの心意気にも心を打たれました、、、
狂ったような暴風と、目も凍傷を受けるほどの極寒… 当時の装備で厳冬の富士山に登るなんて、本当に命懸けですもんね。
それにしても、「千代子」の精神的な強さには敬服しました… 見習いたいですね。