- 文藝春秋 (2014年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167901264
作品紹介・あらすじ
原発はヤクザにとって「最大のシノギ」
暴力団専門ライターが作業員として福島第一原発に潜入したルポ。そして用地買収や作業員派遣で原発に食い込むヤクザの実態を暴く。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
原発とヤクザの関係を深く掘り下げたルポは、震災後の福島第一原発の現場に潜入した著者の体験を通じて、真実を浮き彫りにします。原発事故の影響を受けた地域で、ヤクザがどのようにして作業員や土地に食い込んでい...
感想・レビュー・書評
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震災による、原発事故。連日ニュース等で目にしていたが、この本を読むまでは本当のところまでりかいしていなかった。どこか他人事に思っていことは否めない。
大組織にはよくありがちな隠蔽。そして、それを正義ではないと思っていても、家族、生活のために解雇を恐れそれを指摘できない、そんな気持ちも分かる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヤクザ記事を専門とするルポライター・鈴木智彦さん
ヤクザと原発について調べるために自ら原発作業員となって福島原発のF1に潜入して書いたルポ。
「ヤクザもんは社会のヨゴレ、原発は放射性廃棄物を永遠に吐き続ける。似たもの同士なんだよ。俺たちは。」
原発の作業員を集める仕事、建設現場での土木仕事、原発誘致に反対する人々への圧力、原発をつくって村の存続を願う人をまとめる仕事、原発事故の土地での墓の移転、農地移転、電力会社、建設会社、下受け、孫請け…様々なところにヤクザの仕事がある
つまり原発は「大きなシノギ」になる
2011年3月12日に福島第一原子力発電所が水素爆発を起こした。東北の大震災で起こった「想定外の」大きな津波が原子力発電所を襲ったからだ。
F1と呼ばれる原発事故後の現場に入る人にしかわからない作業の杜撰さ、なんだかんだ言って全く謝罪の気持ちのない上から目線の電力会社、情報弱者の現場の人夫たち、見えないからこそ恐ろしい放射能の恐怖
それらは現場を見ないと書けない。
放射能で汚染された水を浄化する施設に流すために汚染水のすぐ横で働く作業員
原発バブルでにぎわうソープ街
造血幹細胞の保存を支持した谷口プロジェクト
そしてそれを無駄と言い切った国や東電
「ヤクザが原発をシノギにできるのは暴力団を含む原発村が地域全体を丸のみすることによって完成しているから」と鈴木さんが書いていることがすごく納得がいく
田舎に原発が多い
そのカラクリもよくわかった
すごいルポだった!
まさに鈴木さんでなければ書けなかったルポだと思う。 -
「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる」ある地方の暴力団組長が発した言葉と実際に現場に実を置いた筆者だからこそ書ける衝撃のノンフィクションです。作者のジャーナリストとしての姿勢に敬服します。
溝口敦氏とともにヤクザ取材の第一人者である筆者が福島第一発電所に作業員として潜入取材しながら『ヤクザと原発』というともに巨大な矛盾を抱えた存在について文字通り『体を張って』紡ぎだされたルポルタージュであるといえます。
正直なところを申し上げますと、原子力産業にヤクザ、現在で言うところの暴力団、もしくは反社会勢力といわれる存在が根深く介入しているという現実はその半生を『原発における労働者被曝』という問題に捧げた写真家の樋口健二氏の著作やYoutubeにアップされている講演集のいくつかに目を通していたおかげで『存在』そのものに関してはこの本に目を通す前にある程度把握していましたが、「フクシマ」の原発事故で原子炉がメルトダウンしたと同時に『暗黙の了解』として『黙認』もしくは『隠蔽』あるいは見向きもされなかったこの問題に光が当たったのではなかろうか? というのが僕の解釈であります。
さらにいうと、この本を読む前に筆者が出演していたインターネット上の番組、具体名を言うとニコニコ動画ですとか、外国人向けの記者クラブなどでこの問題を語る筆者の動画や、実際に作業員として現場に入ったときに持ち込んだといわれるカメラで撮影した現場の様子や作業時の様子を見ることができたのはひとえに筆者のジャーナリスト魂、というべきなのかはたまた『無謀』というのか…。とにもかくにも東電社員などに後に脅されたといわれるそれらは貴重な映像であり写真でした。
少し話しはずれてしまいましたが、筆者が『ヤクザと原発』の関係について自ら作業員として就職して現場に入るまでにページの半分近くが費やされて語られている、ということにこの問題の根の深さや現場の混乱。そして、筆者の覚悟、というものを感じることが出来ました。
現場に入ってからの筆者は他のベテラン作業員と違って特別なスキルがないので文字通り『雑工』一般の建築現場で言うところの『手元』として作業をします。その際には防護服の息苦しさと熱さで倒れそうになって全身汗まみれでであったということや作業前に飲んだ飲み物のせいで失禁してしまったこと。やけくそで行きのバスにかかっていたAKB48の『会いたかった』という曲を大声で歌いながら作業して怒られていたときの話がとても印象に残っております。
さらに筆者は原発作業員から話を聞くために彼らを誘って飲み屋を何件もはしごしたり、『空前のバブル』に沸く近隣のソープランドにいって中で働く『おねいちゃん』に取材を敢行。しかし、彼女たちと『入浴』しないでただ時間いっぱい彼女たちから話を聞くだけ聞いてきちんと料金を払って帰る、ということを繰り返した結果、店の有名人となり、経営者の女主人からサービスで出前を頼まれていたりする場面に、文字通りここが『戦場』なんだということを感じてしまいました。
実際の戦場でもこういう『歓楽街』が活況だという話は小耳に挟んだことがありますから。映像で筆者はこの作品を世に問うて完全な赤字だったとおっしゃっていましたが、下世話ことをあえて承知で申し上げるとこういう取材が重なったこともその原因のひとつであるとにらんでおります。
だからこそ貴重な情報。例えば現場作業員のヒエラルキー。メーカーの『縄張り意識』。実際に働く作業員が放射能などの情報に疎いということ。『フクシマ50』といわれる人間の中にも暴力団がいたという話…。などの話が聞けたのかも知れませんが…。
つづられているのは恐ろしいまでに生々しいまでの事実のオンパレードが続き、ページをめくる手が汗でべっとりとにじみました。結局筆者はマスコミの人間だということがバレ、『東京から通っているから』という表向きの理由でお役ごめんとなるのですが、この本はそんな生々しい体験を経ること無しには決して生まれるものではなかったと思っております。
この本の最後のほうに記されているとある組長の言葉を紹介します。
「ヤクザもんは社会のヨゴレ。原発は放射性廃棄物というヨゴレを永遠に吐き続ける。似たもの同士なんだよ。俺らは」
この言葉の中にこの本の全てが集約されていると感じずにはいられません。
追記として、筆者とともに現場で働いていた同僚の一人が2012年に入って初めのころに心筋梗塞で亡くなられたそうです。この場を借りてご冥福をお祈りします。合掌。
※追記
本書は2014年6月10日、文藝春秋から『ヤクザと原発 福島第一潜入記 (文春文庫 す 19-1)』として文庫化されました。 -
ヤクザ記者が原発作業に従事した(するまでの記述も多いが)先入ルポ。
比婆山麓旅行中に一気に読了。
寝屋川事件の容疑者といい、訳あり従業員が多い印象あり、またこういったスキマに入り込むのがヤクザなので、驚きは無かった。 -
原発と暴力団の関係を追ったルポ。周辺と1F潜入取材。原発村が地域共同体を丸呑みすることで彼らは原発をシノギにできている。地方は同族意識が強いから丸抱えしやすく都合が悪いことを隠蔽しやすい利点もある。土地や箱物、人夫を通じて稼ぐのは土木業と同じ。現場作業員の情報弱者っぷりが怖かった。
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辛い現実
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「闇営業」という言葉でヤクザさんの本が目につき再読。
ヤクザさん、なくならないよ。必要悪だもん。
しかし、終章読むとため息しかない。
最近、福島第一の報道、見かけません。
汚染されている事に、私達は気づかされたとしても、何もできない。化学の技術の発展を祈るのみです。
潜入ルポしてくれたから読めましたが、お身体大丈夫何でしょうかね? -
まさに体を張った原発潜入ルポです。
最近、トンと汚染水処理の話を聞きませんが、凍土壁が無駄になって以降、海に流し放題が続いているのでしょうか?
その一方で、疎開者が放射線汚染でいじめられたり、福島沖周辺の魚介類への危険性などをあおったりという問題は散発的に耳にしますが・・
これだけの大事故が起きながら、結局だれも責任を取らず、従って第2第3の福島事故が起こりうる可能性は消えず、原発行政の無責任体質だけは温存されています。
原発もそうですが、放射線廃棄物の処理場やら沖縄の米軍基地などやっかいもの誘致には大金が動き、その金に群がる「汚れ仕事」専属のヤクザが暗躍するようになりますが、ある意味、彼らのような存在が無ければ汚れ仕事を引き受ける人材を確保することさえむつかしいのも事実です。
国も政治家も地元も企業も必要悪だとわかっていても持ちつ持たれつの関係性を絶つことができない。
吉本芸人の闇営業は非難されても、ヤクザの大きなシノギとなっている原発営業にはダンマリ・・というかむしろ許容しているというダブルスタンダード。
民主党政権下で起こった大惨事でしたが、あの時点で国家が行った情報統制は正しかったのか(大本営発表前になぜか外国企業がいち早く国外退去していたこと、水素爆発、放射能の拡散経路の発表など)などの検証はもっときちんとすべきですが、日本人の悪い癖、喉元過ぎれば熱さを忘れるが当たり前のように繰り返されている現実はやはり問題です。
私が読んだのは、2014年の文庫版ですが、2011年12月に単行本としていち早く発表された本書に敬意を表します。 -
鈴木智彦『ヤクザと原発』読了。
以前読んでいたのだけれど、とある読書法を試す為に再読。
あの原発事故ですらシノギとして取り込もうとするヤクザ。
その節操の無さには呆れるが、それがシノギとして成立する裏には地方都市ならではの閉鎖性と役所とヤクザとの関係性が…
何だ、池田敏春監督の『人魚伝説』や黒木和雄監督の『原子力戦争』で描いていた内容は事実だったて事じゃない‼️
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暴力団関係の取材を得意とする著者が、実際に福島第一原発での作業員として現場に潜入し、その実情を伝えたノンフィクション。福島第一原発の現場作業への作業員派遣絡みで暴力団がいかに関わっているのかという点に著者が着目して、実際に自ら作業員として雇用されて現場に入ります。
暴力団との関わりに関しての記述は書名の割に少なく、それよりも本書の読みどころは2011年の夏ごろの福島第一原発で働く作業員の日常や、作業の様子です。
作業を進めるために形骸化する除染のルール、作業員に現場の状況に関して緘口令を敷いたり、作業員にまともな放射線防護教育を実施しない下請け企業など、報道されない様々な実情が描かれています。
本来守られるべきルールや安全が形骸化している様子は誰もが「それはおかしい」と感じるはずです。しかしそうでもしないと作業が進まないという矛盾した状況に、原発の事故が他の災害や事故とは全く異なる種類のものだという事を考えさせられます。
専門用語などもほとんど出てこず、あくまで専門知識のない「一般の人」の視点で記述されているので、読みやすいです。 -
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やっぱり、原発はいりません。叡智を駆使してもコントロールできないものが何故必要なのか。理解不能!
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横綱のみ大砲さんの言うように文章が粗雑すぎて、せっかくのルポの価値を半減させている。
いまの私たちの生活が様々な物の犠牲の上に成り立っているということを今一度認識し、この先どう進んで行くのがベターなのか、立ち止まって考える必要がある。
マスコミも思考停止ているような現状に、体当たりして取材した著者の勇気には敬意を表する。 -
情報自体の稀少性は疑うべくもないが、その価値を減じてしまう文章の粗雑さが残念でならない。前後の文章の関係性が不明瞭な個所が多々あり、文意を正確に把握できない。それが臨場感のある文章であり、ルポルタージュの醍醐味ということなのだろうか。
筆者自身も本書の中で言及している通り極めて特殊な環境下で「今なら完全なる情緒不安定で、自己陶酔の極みだったと理解できる」との記載から、ある程度自覚的だったのだとは思うが、本書全体を通して感じたのは筆者自身の強烈な自己陶酔だった。 -
前半は,原発にどう暴力団がかかわっているかというところに焦点があてられているが,著者が原発で働き始めたあたりから,原発での作業の実態が浮き彫りになってくる。東電やメーカーが明らかにせず,マスコミも明らかにしない事実ばかりが出てくる。
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福島第一原発に作業員として潜入した暴力団専門ライターによるルポルタージュ。原発が暴力団の最大のシノギである事実、原発事故処理作業の実態が赤裸々に綴られる。
原発の立地に際して、ばら撒かれる金。原発事故処理も同様のようだ。まるで消耗品のように扱われる作業員、遅々として進まない原発事故処理、原発に大きく関わる暴力団の実態を暴露したゴシップ誌のような内容であるが、非常に興味深く、面白かった。 -
福島原発の作業現場への潜入ルポ。現場で働いている人たちの背景が見え隠れするのだが、プライバシーの問題があるせいか、少し中途半端な気がする。
もっと色々な事実を入手していることは想像に難くないが、あくまでもライターの域を出ていなくて、ジャーナリズムになっていないのが惜しい。
また、ヤクザが原発をシノギにしている情報に触れても、さもありなんと納得してしまう。これは、日本のムラ社会構造に慣れきってしまっているせいであろうか。東京電力を始めとする福島原発の現場で起きている事についても、詳らかにされない事実があるであろう事は、日本中が感じている事だと思う。
福島の復興を邪魔する気もないし、風評被害にあっている人々がいることも事実であろうが、本当に何が起きていたのか、そして今も何が起き続けているのかをジャーナリズムの視点で語って欲しかった。
この本が翻訳されて海外で読まれれば、日本が時代遅れの隠蔽社会であるという理解をされるであろう。著者の主張がそこにあるとすれば、何が問題なのかをもっと掘り下げて欲しい。 -
東電やメーカーと下請けとの間の力の差、情報格差についての構造は参考になった。
ヤクザと絡めることがオリジナリティで良さだと思う反面、原発側の深掘りがもう少し読みたかったのにと感じた。 -
潜入ルポの部分は思ってたよりも少なめだった。
今現在はわからないが、当時の東北でのヤクザや原発との関わりなど知ることができて良かった。 -
暴力団取材を専門とするジャーナリストによる、事故直後の福島第一原発を取材したルポ。
被曝よりも熱中症の心配が大きくなる現場の過酷さと危険さ。細かく定められているはずの線量管理も実態はいい加減で、東海村臨界事故ではウランをバケツで運んでいたという話を思い出す。絶対安全という建前と現実のギャップに入り込む、暴力団を含むアングラな人々。地域や会社への忠誠心から作業に携わる人々。飼い主を失って取り残され、瘦せ衰えたペット。
「暴力団が原発をシノギに出来るのは、原発村が暴力団を含む地域共同体を丸呑みすることによって完成しているからだ。原発は村民同士が助け合い、かばい合い、見て見ぬふりという暗黙のルールによって矛盾を解消するシステムの上に成り立っている。(p246)」
体を張ったルポとして読み応えがあるけれども、現実の話だから面白がるどころではない。原発入りに高揚していた著者が、のちに自身の被曝の程度について専門家から説明され、ようやく恐怖を覚える場面が終章にある。読者もあらためてぞっとする。 -
当時テレビのみの情報だけで大変なことが起きてることは実感できても中の人達の壮絶さは具体的には想像しづらい。
THE DAYS(福島原発事故のNetflixドラマ)を見た。地上波では出来ないことをやってくれたなと思ったけどこの本はさらに踏み込み下請けや暴力団、日雇いの末端の人間達の状況が描かれてる。か(ドラマでは全く取り上げられていない)
ネット記事などでなんとなくは分かっていたけど実際に体を張って潜入した人からの言葉は臨場感があって更に踏み込んで知ることができて良かった。目に見えない放射能の怖さと現場の過酷な状況。それでも原発があることでの雇用や経済的な力は恩恵もあり地元の人たちも複雑な感情を抱えてる。
著者プロフィール
鈴木智彦の作品
