本が多すぎる (文春文庫 さ 29-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (538ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901271

作品紹介・あらすじ

「現代の清少納言」による絶品書評集!現代女子から渋いおじさん、歌舞伎にエロに親子関係まで、世相を的確に捉える名エッセイストが綴る読み応えたっぷりの書評集。

感想・レビュー・書評

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  • 「パンツ見ちゃいました。」

    「この世には、あまりにもたくさんの本がありすぎる」「大量の本を見ていると、無間地獄を見るような気分になってくる」と言いつつも、読みに読んだり296冊。“現代の清少納言”(文春文庫さん上手いこと言いますね)酒井順子さんが本に寄せておくるエッセイ集。

    エッセイストの酒井さんには数多の著作があるが、書評集というのは珍しい。常々、自身を含めた世の中をこんなにも淡々と、かつぴりりと、時には愛のある笑いをもって眺めることのできる酒井さんは、いったいどんな本を読んでいるのだ?と多大な関心を寄せていたーということで満を持して本書である。

    <自分の本棚を他人に見せるのは自分のパンツを他人に見せるくらい恥ずかしい。>

    ・・・確かに。

     自分が読んだ本を公開するというのは、パンツどころか自分の脳が丸裸になるような感覚に近い。素人とはいえかくいう自分もハンドルネームというかぶりものがあってこそ、かろうじてパンツを平気でお見せできているわけで。酒井さんに、これまで書評集が無かったのはその羞恥心ゆえ?というツッコミはさておき。

     ご本人の思いをよそに酒井さんファンにとって本書は、「酒井順子の成分表」とでもいうべき仕上がりになっている。しかも興味深いのは、一冊の本を読んでいると、その興味と関心が赴くままにご本人いわく芋づる式に別の本に繋がっていく。そうして紹介された数冊の本が、2,3のキーワードで結ばれてその塊が、本を通じて見えてくる「今」を綴ったエッセイになっている。これはもう鮮やかとしか言いようが無く、しかもそのキャパシティの大きさ、興味の向きの縦横無尽さは確かにただごとではない。

     酒井さんのパンツに思うことはまだある。その選書にノンフィクションやエッセイが多かったということだ。小説も無いわけではないが、酒井さんの関心は虚構の世界よりも、自分自身を含めた生身の「人」にこそあるのではないか。そうした「人」の集合体である世間や時代を軽やかにスケッチしながら、「人こそ最も面白く、また愛すべきものであることよ。」酒井さんのそんなつぶやきが聞こえてきそうな一冊だ。

  • 05年4月から13年9月まで、著者の読んだ300冊弱の本についての紹介、感想であり、その本の多彩さ、興味の広さには、敬服の一言しかない。
    評論あり、エッセイあり、ノンフィクションあり。
    しかし小説の少なかったのには、ちょっと残念。

  • 酒井順子...何度も書名に騙されて買って読んでは、読んだ後や読み中に腹立って著書を壁に投げつけたり、ゴミ箱にたたきつけるように捨てたわ。でもこの本は書評をまとめたもの(本の本)ということなので、購入。途中まではいい調子!と思ったんだけど...ダメ出ししていいかな?途中までは見出しが三題話みたいに3つの言葉を組み合わせたもの(酔漢 財布 芝浜 みたいな感じ)だったのに、あるときから2つの言葉だけになっている。……ねぇ、どうして?!Why Junko Sakai? そこは全部3語の組み合わせにすべき。2語の見出しが出るたびにもう気持ち悪くて。こんなくだらない理由で星3つにした。あ、あと読みたいなと思った本が1冊も出てこなかったわ。これは趣味の違いだから仕方ないね。評価には結びついていません。

  • 酒井さんの軽快な語り口が好きだけど、なんか多すぎて、むりやり繋げてる感じがたっぷりで、古い本も多くって、連載で細切れに読むにはいいかもだけど、文庫化されたらちょっと…。

  • 読書エッセイ。
    酒井さんのエッセイは好きなのだが、今回はあまりはまらず。読みたい本リストにも特に追加本なし。酒井さんとは興味の方向がちがうのかもしれない。

  • 私は読む本のジャンルがとても狭いのでなにか参考になればと思って読んでみたけれど、あーそういうの興味ないわっていうのばっかりだったからあんま参考にならなかったな。
    酒井さんは好きだけど酒井さんの好きなものは好きじゃないみたい。

  • 流し読み、斜め読みして読了。
    タイトルに惹かれて読み始めたが、エッセイというのは時事問題も取り上げたりしているので、その時々に読むと共感できるかもしれないが、時が過ぎてしまうと、なんだか色褪せてしまう。
    本が沢山紹介されていたが、私が読んだことがあるのは2,3冊だった。殆どが単行本だからだ。基本、私は文庫本派だから。
    本が多すぎる、本当にそう思う。読みたい本はいっぱいあり、積読本も多い。それなのにまた買ってしまう。
    なので、好みでない本は読まないで、次にいかないと、時間がもったいない。SFやファンタジーが苦手な自分がもし、読み始めて、ちょっと違う、と思ったら断念する勇気ある決断をして次にいくようにしようと思う。

  • 本の本

  • 登場する本、約300冊。
    「酒井順子さんによるレビュー」と言えなくはありません。
    「この本、読んでみたいな」と何度も思ったし、すでに読んで面白かったものも何冊かありました。

    ただレビューと若干違うと思うのは、読んだ本を引用しているものの、基本的に彼女のエッセイである、ということではないでしょうか。
    別にその本を知らなくても、今後読まなくても、エッセイとしてじゅうぶん楽しめます。

    また2005年から2013年まで週刊文春に連載されたものなので、日記みたいな感じ?
    そのころの事件や政治などに触れたり、自分も「ああ、私このころ、こんなことあったな」と思い出したりして。

    震災が近づくのが怖かった。でも順子さんはどういうふうに書くんだろう。興味ありました。

    「かくも深い悲しみが日本人の心に張りついていても、芽吹く葉があり、咲く花があることは、私たちの心をうるおしてくれる。」(2011年4月7日)

    うまいなあ。面白いだけじゃなくて、日本の古典に出て来る女性たちのような、少ないけど美しい言葉で表現をすることのできるかたですね。

    ぜんぶ面白かったんだけど、ひとつだけ、ここに書きのこしておきます。↓↓↓

    女性誌のインタビューをたまにうけることがある。その雑誌の購読者層が抱きがちな典型的な悩み、のようなものを紹介されて、
    「何かメッセージを」
    と言われるのだが、その悩みについて真剣に考えれば考えるほど、答は一つしか思い浮かばなくなってくるのだった。
    してその答とは、
    「女性誌を、読まないようにすればいいのではないですかね?」
    というもの。
    (中略)
    「女性誌を、読まないようにすればいいのではないですかね?」
    と言い続ける私だが、その言葉が記事に採用されていたことは、まだ一度も、ない。

  • 2005~2013年のエッセイ。著者とは同い年。自分の場合は2011年の震災後に年間100冊を超える読書習慣ができたな~。ほとんどが二~三題噺のように、書評と彼女の人生などを織り交ぜて書かれ、30~40代独身女性の胸の内のような、緊縛が興味があるとか言う発言にドキッとする。また読みたい本が増えた読後……

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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