名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫 よ 31-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901356

作品紹介・あらすじ

大好評「紅雲町のお草」シリーズ第三弾!新聞記者、彼の師匠である民俗学者、そしてその娘。ある事件をきっかけに止まった彼らの時間を、お草さんは動かすことができるのか?

感想・レビュー・書評

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  • 70半ばすぎた老婆が主人公のシリーズ3作目。
    たいして面白いとは思わないが、何となく気になって読み続けてしまう不思議な魅力がある。
    物事はスッキリ解決しないし、大団円的なこともない。
    いわゆるカタルシスが無いけどモヤモヤも残らない。
    生きている限り季節は巡り日々の暮らしは続いて行く。物事は成るようにしか成らないし思い通りに行く事なんかは滅多にない。でも明るい気持ちを保ちつつ心を配って出来る事を精一杯やっていこうとするアクティブな老婆の物語に引き込まれてしまう。
    シリーズ全部読んだら草さんロスになるのかな?


    作品紹介・あらすじ
    新聞記者、彼の師匠である民俗学者、そしてその娘。ある事件をきっかけに止まった彼らの時間を、お草さんは動かすことができるのか?

  • '23年7月2日、Amazon audibleで、聴き終えました。シリーズ、三作目、だっけ?

    うーん…前二作から、あまり変わらない、味わいだったケド…なんだろう?飽きた?正直、前二作ほどには、楽しめませんでした。

    なんというか…違和感がಥ⁠‿⁠ಥ
    偽善、というのでもなく…主人公そうさんの、お節介が過ぎるような…
    作品は、自分を写す鏡、と考えれば…今の僕がやさぐれてるだけかも(⁠ᗒ⁠ᗩ⁠ᗕ⁠)それとも、飽きただけか?

    本来はホノボノした作品のハズなのに…上記のような感想で、その意味で、考えさせられました。

  • 今回は純粋な若い恋心が罠にはめられる。挙げ句の果てに言葉足らずの戒めがわかってもらえず、関係した者達を長年苦しませる大事になってしまっていた。

    このシリーズは主人公が70歳超えの(敬意と愛をこめてあえて言わせて)おばあちゃんなので私にとっては学ぶべき考え方がたくさん散りばめられています。
    シリーズはまだまだ続くのでこの先も学ばせていただきます。(^^)

  • おばあさんが身近な出来事の謎を解く、紅雲町珈琲屋こよみ、シリーズ3作目。
    連作短編が繋がって長編になっているような作品です。

    珈琲豆と和雑貨の店、小蔵屋を営むお草さん。
    白髪をお団子にまとめ、いつも着物姿です。
    若くして離婚後実家に戻り、65歳のときに思い立って改装し、十年以上たつ大事な店。
    季節を感じながら、馴染みのお客さんや近所の人にも目配りして、丁寧に暮らしています。
    今は若くて元気な体育会系の久実が、店を手伝ってくれているのです。

    珈琲豆を安くおろしてくれている会社の社長三友が会長に勇退、娘が跡を継いだ。
    これまでと同じようには行かないだろうと不安を抱える草。

    親友の由紀乃の親戚で美容師のミナホ。
    弱ってきた由紀乃の髪の手入れに家に来てくれているのだが、たまには気晴らしに連れ出せないかと考え始める草。

    一方、大学生の頃から知っている萩尾が、近くの八百屋に産地偽装の疑いがあると取材に来た。
    この萩尾は新聞記者だが、地元での歴史研究も熱心に続けていて、ミナホの父である教授の弟子でもあった。
    何年も前のことだが、円空仏が発見された後で行方不明になった事件があり、萩尾と教授とミナホは何かこだわりを抱えているらしい。
    少しずつ関わって行く草は、淡々と見守るようで、ここぞというときには、きっぱりと物を言う。

    秘めた悲しみや年月の重みを感じさせるような、ほろ苦い事件が多いのですが、意外にふっと軽くなる展開もあります。
    きれいなリヤカーで野菜を売ろうとする若者に親切に場所を紹介してあげたり。若者のパワーも、時には光ります。

    ほっこりというよりは、しみじみかな‥
    読後感は悪くないです。
    生活を楽しむには、センスって大事だな!と思います。

    丁寧に年を重ねたから気づくことや言えること。
    衰えにも目を逸らさず、重く考えすぎず、出来ることをしていきたい気分になりますね☆

  • オール讀物2012年5月号霜月の虹、に書き下ろし5編(長月,ひと雨ごとに、睦月に集う、弥生の燈、皐月の嵐に、文月,名もなき花の)を加えて2012年12月文藝春秋から刊行。2014年7月文春文庫化。ミトモ珈琲商会の父娘問題、田中青果店の産地偽装、雨が降ると軒下に動く美容院の看板の謎、等の小さな事件とゲンエイ円空仏に関わる複雑そうな15年越しの謎に草が関わります。おせっかいというか、踏込み過ぎとも見えますが、草さんの踏み切りと善意でやっちゃってます。ハラハラしながらも、悪くない方向へ進む展開が素敵です。

  • コーヒーの試飲ができる気の効いた雑貨屋小蔵屋のお草さんのシリーズ。強盗や殺人は起こらないのですが、人の暮らしの中に普通にある行き違いやこじれた人間関係を、悪意や妬みや不安という動機とともに解き明かしてゆくので、日常ミステリといえどもかなりズッシリと読み応えがあります。そんなズッシリ感を、小蔵屋を手伝う若くて健康で健全な久美ちゃんの存在が振り払ってくれるのですが、今回は大根のところくらいであまり出番が無く、ちょっと残念でした。

  • 小蔵屋お営むお草さんシリーズ第三弾。
    短編連作ではなく、今回は長編。
    新聞記者の萩尾、彼の学生時代の恩師、その娘がある疑惑に関わっていて、そのせいで彼らの時間が止まったように進まなくなっている。
    お草さんは特に若い二人の時間を動かすきっかけになろうと奮闘する。
    若干お節介かと思われる彼女の行動は、昔の自分と重なり後悔して欲しくないという年配者の考えからだが、それによって悩みながら行動する彼女の様子が、過去に後悔を残している人から見るととても感情移入できると思う。
    その様子をくどくなく、淡白すぎずに書かれていて読みやすく、共感しやすい。
    萩尾の成長記とも読める。

    ミステリというより、日常のヒューマンドラマのような話。

  • 婆ちゃんが主役のお話なんだけど癒し系ではないですね
    でもお草さんの生活好きです
    お店の感じも好きだし、丁寧に生きてる生活感が読んでいてあぁこういう風に丁寧に生きたいなと思います
    いつもちょっと暗い事件を解決していくんだけど
    今回も切ない事件だった・・・・
    読んでないと分からないと思うんだけど
    途中出てくる、昔お草さんがバクサンに掛けた
    「あの真っ暗な日の未来に、今、立ってるんでしょ。違う?」
    っていう言葉が印象的だった・・・頑張らなきゃって思う

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「でもお草さんの生活好きです」
      私も憧れます!(辛い過去もあるけど)
      「でもお草さんの生活好きです」
      私も憧れます!(辛い過去もあるけど)
      2014/11/06
  • 紅雲町珈琲屋こよみ 第3弾です
    主人公のお草さんは、70歳過ぎのおばあさん
    シリーズを通して、芯と1本通ったお草さんの考えや
    静かに、しっかりと、そしてやさしく過ごす毎日が
    とても好きなのですが
    今回のシリーズでお草さんはちょっと感情を露にします
    その分、お草さんの苦しみも感じました

  • シリーズ読み返そうとまとめ借りしたけれど
    続けて読むと舌に残った苦味が徐々に濃さを増してしまうのかも。
    次を読む前にいったん小休止しよう。
    [図書館·再読·4月28日読了]

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著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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