無双の花 (文春文庫 は 36-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901363

感想・レビュー・書評

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  • 寡聞にして本書を読むまで立花宗茂という人を知らなかったのですが、葉室氏が題材にしたことが頷ける真っ直ぐな人でした。
    多くの武将たちが生き残りをかけて時に権謀術数を巡らす戦乱の世の中で、決して裏切らないことを信条に生き抜いたことは驚嘆に値する。また、彼を支える忠臣や女性も皆、この男と共に生きるに相応しい人たちでした。
    オマケに家康まで心の底では平安の世を実現するために敢えて卑怯な手も辞さない男として描かれていたけれど、これには少し疑問もある。真田も伊達も格好良すぎだしね。

  • 以前に読んだ小説の中にちらっと登場した、立花宗茂。何となく、好きなタイプの人物のような「匂い」がして、題材になっている本を探してたどり着きました。
    我が直観をほめたくなるほど、この本に描かれる立花宗茂は大そう魅力的な好人物。西国無双と称される戦上手の武将で、入り婿で九州柳川の城主の立場だったのに、関ヶ原での西軍敗戦により領地を召し上げられ、京で浪々とした年月を過ごす。ようやく家康に許され、大阪の陣では徳川方として将軍家を支えて、その実績を認められ伊達家を睨む東北南郷の地に封じられる。そして、功績認められて最後は旧領柳川に返り咲く…そんな波乱万丈の人生で苦労をしたと思われるのに、明るく誠実なお人柄。

    軍師官兵衛、天下人秀吉、狸おやじ家康、独眼竜、そして真田信繁(幸村)…名だたる戦国武将たちとの交流も描かれているのだけれど、これぞご人徳、といったところでしょうか。家来衆にも、領民にも慕われた素敵すぎる人物として描かれており(当然、正室にも側室にも愛されるモテモテぶり)、いささか出来すぎの感もありますが、時にぐっと涙をこらえて読む場面もあり、人の情を感じながら、さわやかに読み終えました。

    清涼感あふれる読後感でございました。満足。

  • 裏切りや下剋上が当たり前の戦国時代において、義を重んじ紆余曲折ありながらも、筋の通った生き様で戦国時代を生き抜いた、西国の雄立花宗茂を描いた、時代小説らしい清々しい一冊。

  • 筑後柳川の立花宗茂は、秀吉の九州攻めで勇名を馳せ、関ヶ原で西軍に属して改易となり、のち旧領に戻れた唯1人の武将である

    葉室/麟
    1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2007年、「銀漢の賦」で松本清張賞を受賞

  • 戦国武将の生涯を描いた小説ながら、躍動感はあまりない。でもそれは決してマイナスではなく、淡々とストレスなく読み進められ、自然に主人公に寄り添いながら物語が追えるということ。むしろ、謹厳実直な西国無双に相応しい文体。

  • 人を裏切らない武将の物語。現代でも見習いたいものです。でも、御方様にも幸せになってもらいたいよね

  • 太閤のもとでは「西国無双」と呼ばれたバリバリの戦士。一方、徳川のもとでは泰平のための「画竜点睛」として平和に徹した一人の人間。義を守り、ひとに仕えるという武士の生き様とはこういうことなのか。尾崎行雄の言葉を借りるなら、まさしく「人生の本舞台は常に将来に在り」。

  • 関ヶ原以降どうやって復活したか詳しく描写されているのが良かった。ただ、真田幸村や伊達政宗の登場のさせ方がやや強引。

  • 立花宗茂という人物。
    名前を聞くけれど、どんなことをしたのかよく知らない。
    そんな人物に脚光をあてていた小説だったので読んでみようと思った。

    内容としては、立花宗茂を題材にしたNHKの大河ドラマみたいで、立花が行けば全て上手くいく。
    そんな雰囲気を漂わせる内容で個人的な感覚だった。

    評価を星2つにしたのは、立花宗茂の伝記を読みたかったのに立花宗茂がかっこよすぎて伝記じゃない程に現実離れしているような気がしたから。

    ただ立花宗茂の歴史が知れたという点でよんで良かったと思える本だった。

  • 立花宗茂のまっすぐな生き方を、葉室さんの丁寧な優しい視点で書いてます。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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