墨染の桜 更紗屋おりん雛形帖 (文春文庫 し 56-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901455

作品紹介・あらすじ

ウチがもういっぺん店を取り戻す!呉服屋の娘だったおりんは店が潰れた後、叔父を頼って江戸に出る。ふとした事で越後屋で働くことになったおりんが見たものは?

感想・レビュー・書評

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  • 2023年のベスト本です。
    京の老舗呉服商「更紗屋」の一人娘おりんの数奇な物語です。

    更紗屋吉兵衛は、徳川幕府の五代将軍の選考で大老・酒井忠清の推する有栖川宮幸仁親王に全てを賭けたが。五代将軍は、四代将軍徳川家綱の異母弟で、舘林藩主だった徳川綱吉に決まった。この事が基で更紗屋が潰れ。心労がたたって吉兵衛が亡くなり。
    一人になったおりんは、丁稚の末続(すえつぎ)と一緒に、迎えに来た叔父で更紗屋江戸店の主・善次郎と一緒に江戸へ行く。江戸へ着くと、あろうことか更紗屋江戸店は潰れていて、善次郎は、裏長屋で暮らしていた。

    おりんは、京を出る時には父の形見の更紗「鼠地鳥獣唐草文様」と、母の形見で、清閑寺家の熙子(ひろこ)姫から送られた「薄墨桜」の打掛を所持していたが、薄墨桜は、善次郎が借金の支払いのために売ってしまった。末続が勤めだした日本橋越後屋の当主・三井八郎兵衛が買い戻して、買値でおりん譲るというが。おりんには買い戻すお金がない。

    おりんのお針子としての腕を見込んだ三井八郎兵衛との繫がりが、更紗屋再建に繋がっていくのか。そして将軍家と繋がりを持とうとする清閑寺家が、娘の熙子姫を大奥へ送り込んでくる。熙子姫の着物を作ることを自らの使命と思い突き奔るおりん。京で結ばれた友情が、一旦は別々の歩んできた身分の違う二人の女が江戸で再会する。

    篠綾子さんの本を読むのは初めてです。

    【読後】
    読んで行くと、物語に引き込まれて行く。字が小さくて、読むのが大変ななかで1節(10頁~15頁)読んでは5分目を休めて、途中で首が痛くなり大変であったが、休まず読み続けて1日で読み切った。読みだしたら途中で止めることが出来なくなってしまいました。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    墨染の桜 更紗屋おりん雛形帖シリーズ1作目《文庫本》
    2014.07発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.02.06読了。★★★★★
    図書館から借りてくる2023.01.24
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    《更紗屋おりん雛形帖シリーズ一覧》
    06.紫草の縁
    05.白露の恋
    04.山吹の炎
    03.紅い風車
    02.黄蝶の橋
    01.墨染の桜 2023.02.06読了
    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
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    「著者紹介」
    篠綾子(しの あやこ、1971年 - )は、日本の小説家、時代小説作家、歴史小説作家。
    埼玉県春日部市生まれ。小学生の頃から作家になることを志望していた。東京学芸大学を卒業する。大学では、古典文学を専攻している。私立高校に国語教師として勤務する傍ら小説を執筆している。1999年、『春の夜の夢のごとく 新平家公達草紙』で第4回健友館文学賞を受賞し、小説家デビューを果たす。

  • 更紗屋おりん雛形帖
    全6作シリーズの、第1作目。

    京の呉服商「更紗屋」の一人娘、おりんは、清閑寺熙子姫と身分を超えた、友情で心を通わせていた。

    将軍の代替わりの騒動に巻き込まれて 、父親と店を無くしたおりんは、迎えに来た、叔父 善次郎と、丁稚 末続との三人で、借金取りに追われるように、江戸を目指す。
    おりんに残されたのは、江戸を立つ時に、熙子姫から手渡された、形見の「墨染桜」の打掛と、父親の吉兵衛が、おりんのために、命がけで守り通した、更紗「鼠地鳥獣唐草文様」だけであった。

    ところが、叔父の善次郎が任されていた江戸店は、とうに潰れていた。
    京に来たのは、お金の無心のためらしい。

    善次郎は、借金返済の為、おりんの持っている「薄墨桜」の打掛を売ってしまったが、越後屋当主、三井八郎兵衛が買い取り、おりんが買い取りにくるまで、手放さずに、待っていてやると言う。

    一足先に、越後屋で、丁稚奉公する事になった末続の紹介で、おりんも、越後屋で、お針子奉公する事になる。
    腕の良いおりんは、先輩のお針子に、酷い虐めを受ける。
    ある日、おりんが縫って納めた、白羽二重の下着に、針が刺さっていたと、苦情があった。
    「私がした事では無い」と思いながら、渋々、頭を下げるおりん。

    そんなおりんに、八郎兵衛は、「心から詫びようという気持ちのない者は、着いてこなくて良い」と厳しく言う。

    お針子奉公を辞めると決心したおりんは、五本指の足袋を縫ったり、雛人形の着物を縫ったりしていたが、八郎兵衛に呼び出され、「辞めさせたつもりはない」と言われ、杉下初音の元へ連れて行かれる。

    杉下初音は、旗本の家に生まれ、大奥で針の仕事に人生を捧げた人で、
    その人こそ、おりんが縫った白羽二重の注文主であった。
    杉下初音から、いじめなど、どの世界にもある。意地っ張りで、自分の非を認めたがらないくせに、辛抱が足らない。等と、
    辛辣な言葉を浴びせられる。
    そして、無くした針を見つけるのに使われる、思い入れ深い、針吸石を手渡す。
    おりんは、初音から、淡々と悲しい過去を聞かされ、
    強く凛々しく生き抜き、気高く歳を重ねた
    初音に、深い感動を覚えた。

    おりんは、初音の話を聞き、自分の思い上がりに気がつき、謝る為に、八郎兵衛に会いに行くと、大奥総取締、右衛門佐の所に、連れて行かれる。
    その場で、熙子姫が、大奥へ上がると言う話を聞く。

    おりんは、「大奥に取り入る為に、熙子姫と自分の間柄を利用されるのだけは、堪忍ならない」と八郎兵衛に詰め寄る。

    八郎兵衛は「お前に広い世界を見せてやろうと思った。足袋や人形の着物を作っていて、更紗屋を立て直せると思うのか」と言う。

    おりんは、越後屋の野心や、御台さま、右衛門佐が満足するかどうかなんか、自分には、関係ない。けど、熙子姫さまが、大奥に入られるなら、その衣装を作るのは、自分なのだと決心する。

    翌日、杉下初音を訪ねて、大奥の衣装の指南を請い、越後屋には、呉服について学ぶ暇を貰うよう頼み込んだ。

    3年後、熙子姫が下ってきた行列を一眼見ようと集まった人垣の中に、おりんもいた。
    その乗り物が目の前を行き過ぎようとした時、「姫さまっ!」と、無我夢中で叫んだ。熙子姫が、顔を出し、おりんの顔を見て唇が、かすかに動いた。
    声は聞こえないが、おりんには、はっきりと分かった。

    深草の野辺の桜し心あらば 今年ばかりは墨染にさけ

    越後屋の用心棒、桜木蓮次が、今後どのように、おりんと、絡んでくるのか、越後屋と、更紗屋との関係等、先が、楽しみ。

    なんとなく、既視感があるのは、「あきない世傳金と銀」や「みをつくし料理帖」に
    ベースが似ているからだろうが、和歌や、熙子姫を出して来るところは、篠綾子さんの、面目躍如といったところか。


  • 上方のおおだなの呉服屋おりんは、家と両親をなくし、叔父を頼りに奉公人と江戸へ。縁あって出会った長屋の人々や市井の人達、高貴な方々との交流を経て成長していく物語。おおだなのお嬢さんらしく最初は世間知らずだったり生意気だったりするが、素直な育ちのお陰で吸収していくのも早い。続いていくシリーズの中でおりんは実家を再興できるのかな?誰かと恋愛をしていくのかな?連作短篇なので読み進めやすく、色々な装いが出てくるのも面白く話の展開になっていくのも興味深い。

  • シリーズ第一弾
    五代将軍後継問題に連座して没落した有栖川宮家関係の清閑寺家の照姫との関係も、当然ながら実家も潰れ、父も失ったヒロイン
    叔父を頼るが?、姫からの贈り物を叔父が売り払った件から越後屋とつながりが
    今後に繋がる色々な人との出会いも

  • 一芸に秀でた関西弁の女の子が、潰れたお店の復興の為に江戸で頑張る、周りには良き隣人達と恋愛に発展しそうなお侍さん、美人の友達

    ・・・どうもみをつくし料理帖とかぶってしまうけど、それだけお約束って事で、故に読みやすくはあるかな

  • 最後の展開がやや急な感じも。
    歴史上の人物を絡めてきたのは、話にリアリティが出てよかった。

  • 2作目まで読了。最初はお嬢様気質が抜けないおりんですが、徐々に成長していく様子が感じられて楽しく読めました。設定がみをつくし料理帖に似ているのが多少気になる。

  • 面白かったです。他の方も言っていますが、「みをつくし料理帖」の裁縫バージョン、という感じです。主人公は澪ちゃんではなく、おりん。五本指ソックスが履きたくなりました。〈深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染に咲け〉続きが気になります。

  • 京都が舞台かと思えばすぐに江戸へ。更紗屋再建を胸におりんは江戸の町で強くたくましく成長していく。大奥へとつながるおりんの友情も興味深いが、なんとなくこの設定どこかで見たような?

  • 【ウチがもういっぺん店を取り戻す!】呉服屋の娘だったおりんは店が潰れた後、叔父を頼って江戸に出る。ふとした事で越後屋で働くことになったおりんが見たものは?

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著者プロフィール

篠綾子/埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。『春の夜の夢のごとく 新平家公達草紙』でデビュー。主な著書に『白蓮の阿修羅』『青山に在り』『歴史をこじらせた女たち』ほか、成人後の賢子を書いた『あかね紫』がある。シリーズに「更紗屋おりん雛形帖」「江戸菓子舗照月堂」など。

「2023年 『紫式部の娘。 1 賢子がまいる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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