- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167901462
作品紹介・あらすじ
人気作家が競作! 文庫オリジナル・アンソロジー綺羅、星の如く輝く作家たちの手による“時”をめぐる物語。文庫オリジナルでお届けする、宝石箱のような短篇集をお楽しみください。
感想・レビュー・書評
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時間をテーマに4人の作家が書き下ろした佳品アンソロジー。
図書館本。
作家陣の名前を見ると推理小説短編集に感じるが、推理要素は……無くもない、かな?という程度。ヒューマンドラマや奇妙な味系の作品集だ。
各作者のファンはもちろんのこと、ボリュームがかなり低めなので、この4人は初めてという方にも手に取りやすいのでは。
◆辻村深月「タイムカプセルの八年」
小学6年の時の担任に憧れた息子は夢を実現し、小学校教諭に。初出勤のその姿を見送る父は、渋々参加した父兄会活動や、息子との距離が開いてしまった当時のことを振り返る……。
面白く読めたんだけど、最初の頃の父親のダメさ加減にイッライラさせられた(笑)。ちょっと病院で診てもらった方が良かったんじゃないの……。
ちょっと不満だったのが、父親の一人称視点で話が進むため、他の登場人物の言い分の真偽が不明なこと。この父親=主人公が“普通の人”なら良かったんだけど、いまいち人の気持ちに疎い、コミュ障寸前の人だからねえ。物事がしっかり見えているのか、疑わしく思っちゃうんだよなあ。
◆万城目学「トシ&シュン」
学問と芸能の神社へヘルプに来た縁結びの神の仕事は……専門外の芸能担当。おまけにやり方まで指示される始末。作家志望の男性と、俳優志望の女性を対象に、培った(わけではない)腕の見せどころ?!
タイトルでわかる通り、芥川龍之介の「杜子春」のオマージュ。
「鹿男」があまりにも「坊っちゃん」過ぎて、それっきり読まずにいた作家さんだが、本作は……まあまあ。ちょっと良い話。元ネタがまあ、そういう系だからねえ。
ただやっぱり、後に残るものが無い、かな。何だろこの、さようでございますか、で終わっちゃう後口は……。「ホルモー」からあまり変わっていないような気がする。
◆米澤穂信「下津山縁起」
静岡県の某所にそびえる上津山。その隣の下津山の存在が知られてから、何かが始まった? 遥か古代から未来に渡って描かれる、2つの山を巡る物語。
書物や記事の抜き書きらしきものばかりで「何じゃこりゃ?」という感じだが、取りあえず最後まで読んでみるのが吉。意外な事実が明らかに。
ただ、「だから何やねん!?」と思われてしまう可能性も……。
◆湊かなえ「長井優介へ」
15年ぶりにN市を訪れようと電車に乗った優介。小学校卒業時に埋めたタイムカプセルが掘り出されるのだ。しかし、強風のため電車は停まってしまう。車内で当時の同級生・浩太に再会した優介の脳裏に、苦い思い出が蘇った。聴覚に難があるためにいじめに遭った日々が……。
ある人には良い話、またある人には嫌な話となる可能性が。いじめのダメージから回復していない人は読まない方がいいような気もする。
上手くオチがついてはいるんだけど、偶然に頼りすぎな感じ。
優介がタイムカプセルに入れたものは、予想がついてしまう人も多いのでは。似たような話、どこかで見たぞ。この部分に関してはもう一工夫ほしいような。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「タイムカプセルの八年」辻村深月
「トシ&シュン」万城目学
芥川龍之介の杜子春が関係あるかと思ったらたぶんないのかな?それとももう少し深読みすれば関係してるのかな?と。神様の目線の話は畠中恵さんを思い出した。
「下津山縁起」米澤穂信
なんとスケールのでかい!!米澤穂信さんがやってくれたなぁって思った。現実を追い越したタイミングあたりでゾクゾクしてきた。
「長井優介へ」湊かなえ
イヤミスの女王が書く救いのある話。
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タイムカプセルにまつわる大人たちの、そして子どもたちの気持ちが面はゆい。一方で有罪判決の過料なり刑罰がとても気になる。
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短編集とかアンソロジー物はあまり読んだ事がありませんでしたが、これは楽しめるお話ばかりでした。
家族愛もの(私にはオヤジの友情もの)やSF物、オチがスッキリとしたものニヤリとさせられるもの。
いろんな作家さんに少しずつ触れるには持ってこい、な一冊でした。 -
辻村深月さん、万城目学さん、米澤穂信さん、湊かなえさんの〈時〉をテーマにしたアンソロジー。辻村さんのタイムカプセルを題材に書かれたもの。私も小6の時、タイムカプセル埋めたけど、あの後どうなったんだろ。何を入れたかも全く覚えてないし、大した物入れてないんだろな。米澤さんのはよくわからなかった。湊さんのは、短編だけどよくできていて、面白かった。
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私には一年に一度だけ訪れる街があります。
数年前からその街に行く事が家族の行事となり街の成長が私の密かな楽しみです。
そんな街の雑貨屋さんで発見したのが本書です。
まず、驚いたのが私の好きな作家だけの短編集であり、時という言葉に弱い私の掌に収まってしまうのは必然でした。
辻村深月さんの作品:子育てが苦手な父親が登場、身近な人にこんな人が居るなぁと思いながら読むものの、物語は途中で反転する!?
万城目学さんの作品:神様の言動が非常にコミカル!万城目学さんの他の作品に出て来る超常現象はこんな神様が起こしていたりして!なんて思ってしまいました。
米澤穂信さんの作品:長い歴史の物語、山の意志と人間
湊かなえさんの作品:らしくてらしくない作品、反応が遅い人にもう少し優しくしようと思った!
いずれに致しましても、私にとっては豪華なアンソロジーでした! -
3秒遅れの僕、、
人は思い込みの中生きているんだなあ、と思いました。
真実は思わぬところから発覚するものですね。 -
どれも面白かったけど
辻村さんのが1番好きかな -
作者様方の連名を拝見して、
勝手にミステリーかと思っていました。
”時の流れ”がキーになっている
温かいストーリーが多く、読み易い。
辻村深月さんのタイムカプセルのお話が
いちばん記憶に残っている。
相手の事を想った選択をするって
とても難しいけれど大切な事だと感じた。
あと、米澤穂信さんの「山に知性がある」
という設定が珍しく、とても面白かった。 -
面白かった。複数作家の短編集は良いものだなあ、と思った。一番面白かったのは米澤穂信か。ああいうヘンテコな短編が好きなのかもな。よって万城目学のものも好きだった。湊かなえのものはシンプルに良い物語だと思った。辻村深月の作品はやはり俺の体質に合わない。女性だからか? と思ったが湊かなえもいるので違うらしい。なんというかな、人物が単調で「良い話」を見せられているとだけ。回想形式を交える物語が好きなのかもしれない。短編というのはどれも、それぞれの人生のハイライトを切り取ったような、一人だけの物語という気がした。
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”時間“をテーマにした4人の作家たちの競演
辻村深月「タイムカプセルの八年」
不器用な父親と息子の物語、ジワリと涙腺がやられるやつです。
万城目学「トシ&シュン」
この人の感性は本当に面白い。
“時間”をテーマにしたとき、よくこの発想へたどりつくなと、感心してしまう。
米澤穂信「下津山縁起」
今度の時間は気の遠くなるほどの長さ。
“時間”という概念について少し前いろいろ本が出ていたけど、”知性“という概念と合わせて編年体にして描く、お上手です。
湊かなえ「長井優介へ」
“イヤミスの女王“と言われた作者らしい短篇。でも最後に少し光が見え読後感がいい。
辻村深月と湊かなえが少しかぶり気味だったけど、全員「タイムカプセル」で作ったらあとの二人はどんな物語だったのだろう……と勝手に想像してしまう。 -
4人の作家さんの短編集。それぞれ面白かったけど1番気に入ったのは湊かなえさんの物語。
小学生の頃のタイムカプセルを開けに行く話だったんだけど、小学生時代にこじれたままになっていた友達との関係が見事にほぐれていく感じが読んでいて心地良かった。
人間関係のゴタゴタって結局は誤解から始まってるんだよなぁって思った。 -
久しぶりにアンソロジー読みました。
4人の作家さんそれぞれが「時」をテーマに描いた作品です。
4作の中で印象的なのが、女性作家お二人のタイムカプセルをテーマにした物語。
過去に生じたわだかまりやすれ違いが、時を経て次第に解れていく。というのが「時の流れ」というものを感じられてとてもよかったです。
そういえば、うちの息子も10歳の時に家の庭にタイムカプセル埋めたよなー。
20歳になったら掘り返さなきゃ。
でも、この本を読むまですっかり忘れていたけど(笑)
過去の想いが現在へと繋がってるって、なんか不思議でなんか素敵だな。って思いました。 -
〈時〉をテーマにしたアンソロジー。
辻村さんは父子の人情話、万城目さんは神様が夢を叶えるトリッキーなファンタジー、米澤さんはSF、湊さんはミステリ。
アプローチも語りも異なった競演。読みやすく楽しかった。タイムカプセルに始まりタイムカプセルに終わったけれど、二つともパンドラの匣にならなくて良かった。
個人的に意外性No. 1は米澤さん。 -
アンソロジーは
手にした事のない
作家さんを
開拓できるから
嬉しい
実際
湊かなえ先生以外は
お初でした
''時''をテーマにした
コチラ
どのストーリーも
短編なのに
読み応えのある
ものばかりでした
「タイムカプセルの八年」
とっても共感が出来る
ストーリーと
ニヤッとしてしまうラスト
心が温まる時のお話しでした
「トシ&シュン」
これまた
全く違うテイスト
鴨川ホルモーや
偉大なるしゅららぼんが
元は小説だとは!
小説であの世界観を
どう表現してるのか?
出来るのか?
この短編読んで
なるほど・・
と納得しましたね
出来るんだと笑
「下津山縁起」
とっても読みづらい笑
な、何だこれは?
と半分混乱しながら
読み進めますが
どんどんのめり込み
ラストなるほど〜と
唸ってしまいました
「長井優介へ」
湊先生ってだけで
身構えちゃダメよね
最後のストーリーが
いじめかぁ
しかも湊先生の…
って
どんな結末こようが
落ちないぞ!
って
思ってたけど
穏やかな気持ちのまま
本を閉じる事が
出来ました
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どの話も面白かったが、
特に湊かなえさんの話が良かった。
耳の障害で、音が3秒遅れて聞こえる主人公の話。 -
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ゆうママさん、全部5です。最高に面白かった。これはお買い得です。しかも自分の好きな「時間」関係です。分かりやすいし、全てスッキリしたお話し。...ゆうママさん、全部5です。最高に面白かった。これはお買い得です。しかも自分の好きな「時間」関係です。分かりやすいし、全てスッキリしたお話し。米澤さんだけちょっと難しいけど全然大丈夫でした!「琥珀の夏」感想書き終わったかな?ずっと待っていますよ。見に行きますね。2021/11/14
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こんばんは★
・・・・やっぱりダメだ~
下書きなしでぶっつけ本番、私は苦手。骨組みだけではあるけれど書けば良かった。編集するにしても、あれじ...こんばんは★
・・・・やっぱりダメだ~
下書きなしでぶっつけ本番、私は苦手。骨組みだけではあるけれど書けば良かった。編集するにしても、あれじゃあ・・・
白骨化遺体は私の思っていた子ではなく、最後は裁判になる。少女のデリケートな部分も描写されている。ポプラさんのお嬢さん位かな?読むのなら図書館で充分かなと思う。
図書館は私をいじめる!今日から読む本があるのに、自転・・・公転する、キャンセルした!また、どんどんやってきそう!
そういえば、坊っちゃん、読んだことない。息子の本棚にあるから、いつでも読める?2021/11/14 -
ゆうママさん、おはよう!
実は数年前、感想文の書き方をネットで勉強しました。
まあまあ、怒らないで聞いてよ。
基本形 https://su...ゆうママさん、おはよう!
実は数年前、感想文の書き方をネットで勉強しました。
まあまあ、怒らないで聞いてよ。
基本形 https://surapuri.jp/book_report.php
第一段落 「なんでこの本を読みたいと思ったの?」
第二段落 あらすじ「どんなお話なの?」
第三段落 出来事「気になったところはどこ?」
前最終段落 「読む前と読んだ後の気持ちの変化」
最終段落「本を読み終わってわかったこと」
これを基本にしつつ、
インパクト
https://happy-teacher-singing.com/archives/4681
発展形
https://good-mental.com/dokusyokansoubun-syukatsukakikata/
こういう定型があると楽だよ。
どう?もし興味があればお試しください。2021/11/15
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いつも通り、辻村深月目当てで読んだら湊かなえが一番よかったという
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お話4つ。こういうのにしては少なめかな。
□辻村深月「タイムカプセルの八年」
最初、あまり楽しくない方向に行くかなと思ったら、小気味いい展開で楽しく読めた。不器用な愛情が、見えないところで届いて作用した感じが嬉しくなった。気持ちの良い終わり方。
□万城目学「トシ&シュン」
昔、図書館で「鴨川ホルモー」を借りたもののイマイチ入り込めず途中で断念したことがあり、万城目学さんには何となく苦手意識が。この作品は無事に読めてよかった(笑)。
設定は変わっているけれど読みやすく、仕掛けも楽しかった。
□米澤穂信「下津山縁起」
淡々とした記述。どこに着地するのかわからないまま読んでいたけれど、意外なラスト。面白かった。読後にじわじわ来る。
□湊かなえ「長井優介へ」
予想外に爽やかな展開。最初の不穏な流れから、イヤな感じで終わると思い込んでいた。優しいどんでん返し。後半の種明かしで心が洗われた。
どの作品もまさに「時の罠」という感じで、楽しんで読めた。 -
好きな作家さんばっかりの贅沢なアンソロジー。四者四様で面白かった。湊かなえさんの「長井優介へ」は短編ながら読み応えがありました。
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R3/9/4
辻村深月 4
万城目学 2.5
米澤穂信 2.5
湊かなえ 1.5 -
再読。
というよりも、湊かなえさんワールドに浸かりたくて
湊さんの話だけ読もうと思って手に取ったら
他のも結局読み返してしまった!
アンソロジーなので、一つ一つのお話は短くて
でもしっかりと世界観を魅せてくれる安心の4名……
湊かなえさんの「長井優介へ」がすごくすき。
15年は長すぎるけど、またこれからの15年は
長井にとって明るい15年であってほしいなと思いました!
そして辻村さんの「タイムカプセルの八年」は
胸が熱くなった。
親父たちがすごい!かっこいい!
小学校卒業から成人までの八年と、
成人からの八年は本当に全く違うだろな。
他二編はファンタジー?要素もあり
不思議な感覚で面白いです。 -
短編集だけどそれぞれ読み応えがある。
湊かなえの長井優介へが1番好き。
イヤミスイメージが強いけど
こんな暖かいストーリーもあるんだと思った。 -
面白かった。続きが読みたくてあっという間に読んだ。
4人の作家さんの短編集。
題名の時の罠はなぜそのタイトルにしたのかやや不明。
私の好きな作家の辻村深月さん、湊かなえさんの短編は本当にワクワクした。さすがのお2人。
ただあとの2人の作家さんの話は面白くなかった。星4つは辻村さんと湊かなえさんの面白さだけでつけた。あとの2人は興味のあった作家さんだったのでとっても残念。 -
時の罠……罠??