水底フェスタ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 140
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901578

作品紹介・あらすじ

彼女は復讐のために村に帰って来た――過疎の村に帰郷した女優・由貴美。彼女との恋に溺れた少年・広海は彼女の企みに引きずり込まれる。待ち受ける破滅を予感しながら…。

感想・レビュー・書評

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  • 暗いとは聞いてたけど予想を上回ってきて驚いた。

    自分がそのに所属している時の視野の狭さに恐怖を覚える。
    また話は違うけど例えば、中学生の時に部活のメンバーに気を使ったり、いじめられないように周りに合わせたり。
    今になって馬鹿らしいって思うけど、やっぱりその当事者は抜けられない。絶対にそんなの気にしなくていいって今昔の自分に行ったとしても、それは届かない。

    だから何事も自分の今の所属している場所から、外の世界へ目を向けられるのは純粋に強みだなと。

    とりあえずフェスには行っててみたくなりました。

  • 前の2作品が短編でしかも思いの外怖い話だったから普通っぽそうなタイトルを適当に選んで読んでみたけどやっぱり怖かったです…

    フェスには行ってみたくはなりました。きっと、その村をついつい観察してしまいそうだけど…

  • これで読んだの3回目なのに全然内容が違って見えた

    前に読んだときは切ないラブストーリーだと思っていたのに
    こんなにドロドロなストーリーとは思ってなかった
    昔は広海のラブストーリーにだけ注目していて、ゆきみの魂胆や、達哉の気持ちは読み飛ばしていたのだろう

    同じ本で毎回違うストーリーに感じるのは不思議だ
    前の僕はどんな状況でどんな気分で読んでいたのだろう

    僕の知らないうちに書き換えられていたようにさえ感じる

    読書の醍醐味なのだろうか
    不思議な感じだ

    昔、好きだったイメージはどこにいったのだろう

  • 辻村作品らしくない、と言えばらしくない作品。
    他の辻村作品の方が面白いのはあるし、小説としても大傑作かというとそうでもない。凡作っちゃ凡作。だけど、俺これ好きだわ。

    悪女に翻弄される、いたいけな男児高校生。それもまた青春でエエやんか。モヤモヤしろ青春真っ盛り!女の魅力で若い男を翻弄したれ、ファムファタル!そういうお話なのかと思って読み進めると…。

    後半は一転して、たかがロックフェスと土木事業だけで生き延びている、過疎寸前の小さな村社会が、2人に大きくのしかかってくる。その息詰まるような圧倒的閉そく感が凄い。俺たちとは違う凡庸な人と小馬鹿にしつつ、善人だということだけは信頼していたご近所さん、親類縁者、親兄弟までが閉そくの側に立ち、二人を囲い込んでいく描写はすさまじい。

    ぼっち飯が恥ずかしいとか、
    女子高生は一人でトイレも行けないのかとか、
    SNSを読むと自分だけが疎外感を感じるとか、
    そういう類の現代社会病が根に持っている根底、それこそが二人を囲い込んだものであり、この作品のテーマだと思う。

    盗んだバイクで走りだしても、夜の校舎窓ガラス壊して回っても、子猫のような泣き声で睦声をあげても…村社会は全てをその淀んだ水底に隠して何もなかったかのように明日を迎える。

    尾崎豊でも村社会に勝てない、という絶望感。
    救いの少ない小説だがそれでも俺、これ好きである。

  •  辻村さんの本に光を求めている人は、この本は読まないほうが良い。
     これが『冷たい校舎の時は止まる』や『子供たちは夜と遊ぶ』を書いたのと同じ作家さんのものだと思うとビックリする。
     そして、こういうのを読んで理解できる年齢まで成長していて良かったなと。

     田舎にある閉塞感と、秩序を守るための不文律。
     「村八分」という言葉の意味が今も生きる小さな山奥の村で起こる、小さな騒動と恋の物語。

     ドロドロです。どんどん泥沼に嵌って溺れていくような。その泥沼というのが、主人公を取り巻く環境すべてなのだからなおさら救いようがない。
     自分が女性だからかもしれませんが、随所に出てくる女性の立場がすごく気になりました。
     例えば、徹底して男性主義で回る主人公の家のお母さんだとか、小さい頃から、主人公の家にお嫁に行くのだと周囲から刷り込まれるように育った主人公の幼馴染だとか。
     社会進出して働く女性の「自由」と、村の中でだけ役割を果たす女性の「自由」というのは、同じ言葉でも意味合いが違うのだなと感じた。どちらが幸せで不幸か、ではなく、そういう生き方もあるのだということ。

  • 序盤は高2男子の恋愛小説か?と思わせるが、後半の、どこまでが真実で、どこまでが嘘なのかに翻弄される2人の心理が見事に描かれている。ムラ独特の閉鎖性、暗黙のルールという設定がうまく機能した良作。ただ、中盤は中だるみして頁を捲る手が度々止まった。ラストの彼の決断は...。

  • ずいぶん前に”東京會舘とわたし”を読み、人気のある作家さんだと思っていました。本作はたまたま手にしたのですが、ダークな展開と結末に嫌気がさしています。
    まったく共感できない登場人物たちー、最も嫌だったのは由貴美。
    主人公の広海と異母姉弟という設定ですが、その事を知りながら(8歳下の広海は知らない)実の弟を誘惑するのか! 

  • 良くも悪くも辻村さんらしくない作品。中盤からの内容はかなりぞっとさせられた。

    前半は主人公の広海(村の旧弊的な性格を嫌い、俗物的な母や友人の門音をどこか冷たい目で見るような人物)が、村に帰ってきた女優の由貴美の、妖しい魅力に前のめりになり、彼女が語る復讐を、真意がわからぬまま「今手に入れた彼女と自分が引き換えにできるものがあるなら、何を投だしてもいいから、この人が欲しい」という一心で手伝うことになる。


    そして物語が中盤に差し掛かったところで、由貴美から、村の村長選でお金の絡んだ不正が行われていること、それが彼女の母を苦しめた事、そして復讐はその母の弔い合戦である事を明かされる。広海の父は現村長であり、その不正に関与しているかもしれないという由貴美の話に広海は困惑する。

    その話を境に物語は「復讐によって繋がれた恋愛物語」から、一気に「共同体に潜む閉塞的な闇の部分に切り込んだ作品」へと変貌します。不都合な事は見て見ぬ振りをして、有象無象がその隠蔽まがいな行為を"何か"に結びつけて正当化する…
    そんなことが当然のように行われている睦ツ代村は読んでいてあまりにも不快で、暗くて、怒りすら湧いてきました。

    でも、読み終わって冷静になって考えてみると、それは睦ツ代だからとか、あるいは巻末解説に書かれているような「オメラスから歩み去る人々」のオメラスだから起こっている特異な事柄なのではないということに気づいてしまい恐怖します。
    いじめッ子といじめられる子、それを可哀想だと思っている"傍観者"。ここにも陸ッ代という共同体が成立しています。
    「みんなやってるから」そういう悪意のないごくありきたりな感情で、どんな場所でも陸ッ代になり得るし、どんな人でも陸ッ代村の村人になり得るのだろうと思いました。なんだか一瞬でも自分と陸ッ代の村人を別だと考えていたことに辟易しました…

    なんだか辻村さんらしくない読後感のドンヨリした作品でしたが、広海が最後に由貴美との関係を「由貴美も広海もともに厭うような、平凡な恋の一つに過ぎなかったと、認めてもいいのではないか。」と振り返っている部分はなんだかこっちまで救われたような気分でした。

    個人的な感想として、読んでいてかなり疲れた作品ではありましたが、中盤から終盤にかけては引き込まれるような面白さがあるし、テーマ性も強い作品なので是非読んでほしい作品の一つです。

  • ある田舎の村に住む高校二年生の広海が、フェスで年上の女性・由貴美に出会うことで、大きく運命が狂い始める。
    正直言うと残念だった。
    辻村作品の持ち味である、「じわんと来る感動」がどこにも見られず、終始そわそわしっぱなしだった。彼女の作品では珍しく性描写もあったのには少し驚いたが。
    何より、登場人物の誰にも感情移入できなかったことが残念。
    しかし、こういう田舎でのいざこざや村八分などの話もかけるとは。辻村さんのジャンルは本当に多岐にわたるなー。

  • ダムのある地方の村。ロックフェスで活性をはかる村で違和感を感じる高校生広海は村出身者で芸能人になった由貴美と出会い恋に落ちる。復讐のために戻ってきた由貴美から聞かされた村の秘密…。話の展開に無理ありすぎるもこの人の作風に慣れてきたのか読める。なんでもいいのか、自分は。

  • すごく面白かったのに、最後で何の真実もわからないまま終わってしまった。
    結局はどうなったのかすごく気になって仕方ない。

  • 田舎町に連綿と続く悪しき慣習に対し被害妄想じみた恨みを持ち、それを暴くことで終止符を打つことに執念を燃やす女性の話。
    と書くとホラーじみた怖い内容みたいですが、別の視点から読めば甘酸っぱい男子高校生の恋愛物語。
    どう見ても田舎の純粋な高校生が年上の女優に利用されているのに、それでも由貴美の魅力に惹かれてしまうのはよく分かる。
    最後に眼が覚めるところが不完全燃焼のようでいて、妙に現実的な終わり方だったな。

  • 黒辻村、後味が…ううむ…結局二人ってどうだったんや

  • ミステリーって面白いねぇ。
    普段ミステリーを好まないワタクシですが
    なるほど、ミステリーは小説の大きなジャンルを作る一つのカテゴリーであるわけだよ。と思いました。
    のぼせるような恋愛感情や、
    著者の持ち味である地方都市(と言うか過疎地の村)社会の人間関係が描かれているのが面白かったと思う。
    日馬達哉に関しては、信用が大切だと思った。
    何か良いことをしようと日頃の行いを改めたところで、信用が無いと警戒され誰も協力してくれず良いことをなすこともできない。
    「小人閑居して不善を為す。」という格言も、もしかしたら本人は良いことをしようとしたのだが、平素の周囲の不審からうまくいかず「また、変なことして。」と失敗を普段通りの行い=不善として受け止められた結果なのかも。と思いました。

    文庫はミステリ評論家の千街晶之の解説付き。往年の名著を引き合いに出し、本書の特異性を解説しつつ、おまけにエンディングで安心した読者の恐怖をあおって終わるというおまけ付き。
    たとえば、このような丁寧な仕事が信用を作るのだよな。と、解説者を登場人物(悪役)と比較して感想を述べる僕のレビューとしての信用はどうなのかと疑問に思ったところで僕のレビューは終わります。

    それにしても、辻村深月の本はどれを読んでも面白い。

  • 重かった。
    誰の視線で見るかで感じ方が変わりそう。
    辻村さんの作品、最後に光が見えるものが多いのだけど、この本は鉛を飲んだようで…主人公の将来を案じてしまう。
    重かったけど、嫌いではないかな。

  • この作家さんの小説にしてはジメジメしている上にラストに救いがない。

    田舎の嫌な感じはよく表現されているのかな、と思います。

  • 途中までは面白かった。
    たつや何だったんだ…

  • 最近、辻村さんの感動の作品を何作も読んだあとなので、この作品はなんか後味の悪い本に思えた。田舎の悪しき慣習みたいな話は、田舎に住んでるからよけいにわかるような気がするし、読んでて辛い。

  • 辻村さんの作品の個人的なイメージ…日常の中のちょっと違和感やラストの視点のどんでん返しなどはない、リアルに寄り添った作品です。
    それでも相変わらず人間の欲、孤独、残酷な部分をライトアップしています。

    閉鎖的なムラ社会をありありと出したうえに、蛇足もなく爽やかな読了感は・・・「ノートルダムの鐘」を見た時のEND感に似た気がしました。

  • 村 モデル ドロドロ ロックフェス 過疎地

  • 夏フェス好きで興味持って読んでみたが、、、まぁ暗い。ほの暗い池の底に沈んで居るような。最後まで凄い顔して読んでた自信がある。他愛無い会話ひとつに世にも奇妙な末恐ろしさを感じ背筋が寒くなる。もう誰がまともなのか…。この本も前半が起伏が少なくてなかなか進まず、後半謎が気になって一気読みだった。とにかく今は能天気なほど明るい本が読みたい。

  • 2017/09/14 読了

  • 村の時代遅れ感にうんざりしている少年が、同じ村出身のモデルの女の子にいい感じになるのだが、その女の子にはある目論見があり・・・

    この作者には珍しく、性的な描写が入る。
    あと、エンディングがハッピーじゃなくて読後感はすっきりしない。

  • 読み終わったあと苦しい。ドロドロというか、広海が由貴美によってどうしようもないところまで連れてかれるというか。うーん。皆なんか哀れに感じた。結局由貴美も可愛そうな女だったし…。黙って現状に何の不満も持たずに過ごしていたら彼らはきっと楽だったのになって思ってしまった。変に背伸びをしなければ…良かったのに。

  • 私はやっぱり辻村さんの書く若者の孤独感が好きだと感じた。
    広海が由貴美にどんどんハマっていく様子が分かった。自分でダメだと思っているのに止まらない、広海の気持ちも仕方がないと思った。
    自分は大人だと周りを軽蔑する気持ちは、大人にならなくていい人を羨む気持ちに変わる。
    子供でいるということは難しい。
    全体を通して暗い雰囲気はあったが、最後の終わり方は個人的には好きだった。
    どうしようもないことがたくさんある世界で、何かを諦めて生きなければならない。
    そんなやるせなさと、後から気づく純粋な恋の気持ちが切なくて、美しいなと思った。
    終わり方はやるせないけど私はいいと感じた。広海は村を離れて生きてほしいな。

  • 何物にも染まっていない、純粋さだけが詰まっているような…その年齢にだけ通用する真実がある。
    捉えどころのない由貴美に翻弄される広海だったけれど、由貴美の中にどんよりと蠢いている悪意を徐々に自分の中に取り込んでいく。
    勘違いだったとはいえ、復讐心に燃えていたときの由貴美はそれなりに美しかった。
    方法は間違っていたけれど、孤独な魂が拠り所を求めていたと思えば哀しいけれど納得もできた。
    閉鎖的な故郷を嫌い、その場所に、男に、しがみついている母を嫌い、ひとりで生きてきた由貴美。
    でも、本当にひとりきりになったとき、弱さの裏返しの強さに頼るしかなかった。
    終盤、信じていたものがすべて幻だと知ってからの由貴美の描き方に物足りなさを感じてしまった。
    だからだろうか?
    読んでいるときは面白かったのに、読み終わってみれば何も残っていない。
    いつもなら強烈な爪あとを残していくはずなのに。
    広海が染まってしまったのは由貴美が持っていた毒なのか。
    それとも孤独な魂が見せた儚い純粋さだったのか。
    いまひとつスッキリとしない終わり方にも、少しだけ残念な感じがした。

  • 圧巻!!凄いなぁ~!色々凄い!
    この人、田舎のごしゃらっとした感じ書かせるとうまいなぁ。

  • 七章の終わり方がとても綺麗だったので、できるならそこで終わって欲しかった。そうでなければ、八章はもう少し書き込んで欲しかったなぁ。

  • とても清謐な感じを与える文章で彩られた小説。

    なんていうのか、読後感はとても息苦しい。

    これはきっと、地方都市の息苦しさ。
    地元と土着していないと生きていけない、地元と切り離すことのできない日常がこれでもかと辛辣に描かれていた。

    日本の過疎地域が抱える闇でもあるのだと思うと胸が痛い。そんな、一冊。

  • 今までの辻村さん作品とはちょいと雰囲気違ったような気がしました(=´∀`)人(´∀`=)

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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