死命 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 654
レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902186

作品紹介・あらすじ

死へのカウントダウンは彼らの運命を――余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。

感想・レビュー・書評

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  • 耳が不自由ながらもデイトレードで財を築いた榊信一。癌を宣告され、自分の欲望のまま生きることにする。榊の欲望、それは性行中に首を締めて殺すことであった。連続殺人に手をそめる。榊の元恋人・澄乃は榊の小学生時代を知っているだけにより一層心配する。一方。事件を追う刑事・蒼井凌も癌の宣告を受けていた。命の限り犯人を追う。
    追う者と追われる者の命をかけた物語。それぞれに過去があり、深い物語であった。少々オーバーというかどうかなと思うところもあったが、最後まで引き付ける内容であり、一気に読んでしまった。蒼井の執念には唸る。人のトラウマ、心の傷によってもたらされる性癖、怖さを感じた一冊です。

  • 薬丸岳さんの本は【刑事の約束】に次いで2冊目。
    長編の【死命】ですが、気が付けば一気読み!
    胸の中にずっし~んと重い物を投げ入れられたかのような、しんどさを感じつつもグイグイと物語に引き込まれていきました。

    榊新一は末期癌の余命宣告を受け、殺人を犯す。
    連続殺人犯を追う警視庁捜査一課刑事の蒼井。
    彼もまた余命宣告を受けた身。
    犯人と刑事。
    二人はそれぞれ命をかけた使命のため、残りの時間を費やす。
    榊の使命、蒼井の使命。
    どちらも辛い…

  •  胃がんにより余命わずかと知った榊信一は、残りの人生を自身の殺人衝動に正直に生きることを決意し女性たちを絞殺していく。
    その事件の捜査を担当することになる蒼井だが、彼も胃がんの再発が発見され、余命わずかの二人が事件を通して交差する。

     単に連続殺人を捜査するというだけの話ではなく、余命わずかの中、娘と息子を持つ蒼井はどう生きるか、殺人を犯しながらも自分を大切に思ってくれる女性のいる榊はどう生きるか、
    というそれぞれの生き方と選択という点に迫ってる点が単なるサスペンス小説とこの小説が違っている点だと思います。

     自分自身はまだ親も元気で死に対する実感はなかなかわかないのですが、この小説に出てくる蒼井親子の話は読んでいて非常に切なくなりました。

     個人的な読みどころは蒼井と榊の最後の対決の場面でしょうか。余命わずかなため罰を恐れず罪の意識を見せない榊を蒼井はどう罰するのか。

     薬丸さんは現代の社会における犯罪の罪と罰というものを真摯に描き切っている作家さんだと思います。今回の作品も描きたかったのは、死を間近にした人の生き方だけでなく、
    罰を恐れない者を罰することはできるのか、という問いだったと個人的には思うのです。

     最後の二人の対話の場面の蒼井の言葉、榊の叫びはこれまでの話の流れからするととても自然というか、そうすることでしか罰は与えられないよな、と納得のいくものだったのですが、
    それだけにその場面のページ数が少なかったのがちょっと物足りなく思いました。

     ただサスペンスとしてはオーソドックスな話でも、こうして「罪と罰」という薬丸さんが他の作品でも問い続けているテーマをしっかりと結び付けられていて、
    薬丸ファンである自分としては「やっぱり薬丸さんの作品なんだな」と感銘を受けました。

     これからも薬丸さんが問い続けるテーマを読者である自分自身も一緒に考えていけたらな、と改めて思いました。

  • サスペンスが好きというのもあり凄く面白かったと思う。
    あまり小説を読んだことがないのですが、人生でこんなにも早く読み切った本は初めてです。

    頭の中で、まるで映画を見てるように画が浮かんできて、読んでるのか見てるのかわからなくなるぐらい今作にどっぷり浸かってしまった。

    "そこに着いたらまっさきにおまえを捜しにいくよ"
    こんな53歳になれるように、これからの21年頑張るかな!

  • 面白かった
    命をかけて果たす使命、そして死命
    余命わずかとわかった時に取る行動は?
    刑事と犯罪者の立場から描かれてきます。

    ストーリは
    末期癌と診断され、余命わずかとわかった信一は自分の殺人衝動に従って、連続殺人を起こしていきます。
    同様に癌と診断され、余命わずかとなった刑事の蒼井は連続殺人の犯人を追いつめることに命を使います。

    そんな信一に元恋人の澄乃との再会。自分のことを大切に思う澄乃と殺人衝動の葛藤。
    二人の過去に何があったのか?
    信一の過去に何があったのか?
    信一の使命とは?

    一方、刑事の蒼井は家族をも顧みず、犯人を追いかけます。
    過去、奥さんの臨終にも立ち会わず、仕事をしていた蒼井をそこまで突き動かすもの。そして、今、癌で体が動かない状態になりながらも、犯人を追いかける執念。
    そこには何があったのか?

    蒼井は信一を捕まえることが出来るのか?
    そして、その先にあるものは?

    後半、「刑事のカン」であまりにとんとん拍子で信一の足取りを追っかけて行くところが、都合いいなぁって思いましたが、それはおいておきましょう。

    これはお勧め!!

  • ドラマ化されるということで購入。

    最近、薬丸さんの小説を多く読むようになりましたが、どの作品も物語の構成が良く、スリリングな展開で面白かったです。
    今回の構成では、刑事側と犯人側の視点だけでなく、元恋人の視点や若手刑事の視点があったりと物語の世界に奥行きを出してくれます。約500ページと少々分厚いのですが、序盤から小説の世界に引き込まれて、どんどんページが止まりませんでした。ある理由から殺人願望のある人が、余命を宣告されたのをきっかけに殺人を犯す心理は、非現実的ですが、小説だからこそ、グッと引き込まれました。
    最後まで飽きさせず、面白かったのですが、個人的には、最後は刑事の勘ではなく、証拠で徐々に犯人を追い詰めてほしかったなと思いました。
    ドラマ版では、吉田鋼太郎さんと賀来賢人さんということで、イメージと合っているなという印象でした。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    死へのカウントダウンは彼らの運命を――

    余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。

    若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。

    死を恐れぬ罪人に報いを与えられるのか! もっとも注目される乱歩賞作家がおくる渾身の傑作ミステリー

  • 面白い。ただ薬丸さんだから、読者に問いを残すような何かを期待してしまった。
    あらすじ(背表紙より)
    若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。

  • 刑事と犯罪者双方の心の動きを表現するのがうまいなぁ。
    どちらの心理状況もよくわかる。それほど細やかに書かれているということか。
    自分の命を投げ出してでも犯人を逮捕したい刑事と自分の欲求を抑えられない犯人。
    残りの人生が僅かだとわかっているなら、じっと寝ているよりも自分のやりたいことをしたいという点では蒼井刑事に共感する。

  • 薬丸岳の作品を読むのは、この「死命」が2つ目か。
    読みやすいのが気に入っている。

    「天使のナイフ」も読んでみたいと思う。

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著者プロフィール

薬丸 岳(やくまる がく)
1969年生まれ、兵庫県明石市出身。1988年、駒澤大学高等学校を卒業。高野和明の『13階段』の影響で小説家を目指し、2005年『天使のナイフ』が生まれる。同作で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。日本推理作家協会現会員。
2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)をそれぞれ受賞。その他の代表作として「刑事・夏目信人シリーズ」があり、2018年2月にシリーズ最新作『刑事の怒り』が刊行されている。

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