さよならの手口 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2014年11月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784167902209

作品紹介・あらすじ

仕事はできるが運の悪い女探偵・葉村晶が帰ってきた!



探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。当時娘を調査した探偵は失踪していた――。

みんなの感想まとめ

探偵を休業中の主人公が、白骨死体の発見から始まるミステリーに挑む本作は、緊張感とユーモアが絶妙に交錯したストーリーです。葉村晶の運の悪さが際立つ中、彼女の大活躍が描かれ、読者を引き込むスピード感あふれ...

感想・レビュー・書評

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  • 最新刊からの一人葉村晶フェア。オープニングの白骨発見から二十年前の家出娘の安否調査と驚愕の結果までノンストップで堪能。悪意が描かれてるのにイヤミスにはならず、むしろコミカルかつミステリー愛あふれるこのシリーズ本当に良い!

  • 刊行当時13年ぶりの葉村晶(その間短編は2本ほど発表されているらしいが)。
    なんと四十歳の坂を越え、職業も長谷川探偵社が廃業したことにより、ミステリ専門古書店"MURDER BEAR BOOKSHOP"でアルバイトをしていた。
    なんか探偵じゃない葉村を見るのって『プレゼント』の頃を思い出す。

    13年ぶりかぁ。
    リアルタイムで待っていたら待ちくたびれる、というか完全にそれまでの過程を忘れてしまうだろうから、ある程度出そろったところから月日を物ともせず、ずんずんと読んでいく今の読み方ができて幸運。

    さて、今回は葉村が古書店で働いているということもあり、ほんのりビブリオ風味。
    書店での倒述フェアではF・W・クロフツとか、骨フェアではレジナルド・ヒルとか語られるとそっちも気になってしまうのがミステリ好きの性。

    事件の方は、とあるアパートの店子の遺品整理で大量の蔵書が見つかり、掘り出し物がないか探っていたところ、押し入れの床が抜け白骨死体の待つ床下へ頭から落下するという葉村の災難に始まる。
    白骨死体の謎は元探偵葉村の推理が冴え渡り、事情聴取に来た刑事に口添えすることでスピード解決。
    その能力を見初められ依頼されたのが、往年の大女優・芦原吹雪の失踪した娘の捜索。
    それと並行して巻き込まれる"MURDER BEAR BOOKSHOP"の常連客・倉嶋舞美とのどたばた。

    切れ味良い物言いや、物事の見極めの鋭さは健在であるが、前作までと比べてとにかく災難に見舞われるし、ところどころで冷静さを失い、感情を抑え切れない場面も。

    今回特に印象的だったのは人と人が懇意になることの脆さ。

    前々から滲んではいた葉村の優しさにつけ込んでかき回すサイコパスしかり、そのサイコパスにすっかり洗脳されてしまう”スタインベック荘”の大家しかり、ちょっとした手抜かりから微妙な関係となってしまった東都総合リサーチの桜井しかり。
    それを終盤、「慢心」という言葉や「わたしは何を間違えたのだろう」と自省する葉村の心に共振し、とても胸が痛んだ。

    それとは別に『依頼人は死んだ』で出てきた濃紺の悪魔や、前作ですったもんだあった相場みのりの行く末など、未来への振りかと感じていたところが全く回収されず、意外と放置系なのか!?(まぁ、別に支障ないけど)という点も多々。
    全体的にイヤミス感溢れていたけれど、最後のオチだけはとっても爽やか。

    次は『静かな炎天』。
    また短編になるようだ。

  • 冒頭、葉村晶はこのように呟く。
    「この世には数かぎりない不幸が存在している。誰もが不幸と無縁に暮らしたいと願い、不幸の臭いが漂ってくると身を翻して距離を置く。それがうまくいく場合もあるが、飛び離れた結果、かえって不幸に足を突っ込んでしまうこともある‥‥」
    こういう呟きが、和製ハードボイルドと言われる所以である。

    彼女は、これから起こる事件の説明をしている気持ちなんだろうけど、実は彼女の人生そのものを語っているのである。しかし、彼女の人生はこの作品のテーマではない。

    不思議なことに、冒頭こそ不運に見舞われるけど長編の途中まで、目星が次々と当たったりして葉村晶の調査はツキまくる。ツキのあとには、不運が来ると決まっている。しかも最大級の不運がやってくる。葉村晶は「痛い目」に遭う。この「痛い」というのは、身体的にも「かなり」痛かったが、精神的にも「かなり」痛かったのである。

    396pの彼女の呟き。精神的に参って、食欲のない葉村晶が、美味しくないファーストフードを途中で残す。残したって誰が責めようか、と私は思うのだが、彼女はこう呟くのである。
    ‥‥ふと握りしめていた紙袋に気がついた。捨てようと思っていた工業製品。でもこれも、誰かの手を経て生まれてきた食べ物だ。人の手のぬくもりは感じられなくても、わたしよりましな誰かが作った食べ物だ。もう一度ベンチに座り、ゴミとして丸めたハンバーガーを最後まで食べた。

    事件とは関係ないけど、これが彼女の真骨頂なんだろうな。優秀なのに、一見クールなのに、あまりにも優しい。そして、自己肯定感が低い。

    ここまで読んできた方々は、気がついているとは思うが、私は本書の事件について一言も語っていない。いや、葉村晶シリーズに関して言えば、ほとんど事件については語らずに長々とレビューを書いてきていたのに、恥ずかしながら今気がついた。少しは〈あらすじ〉を書くのは「礼儀」というものかもしれない。なんか、書き損ねるんだよね。

    彼女の人生が面白すぎる。
    私は一生懸命頑張っている女の子が好きなのだ。彼女は既に女の子ではないけれども、私には女の子にしか見えない。

    申し訳ないので(←誰に?)、ハードボイルドっぽい文を以下にメモする。
    ・(週刊誌記事は)どれもいわゆるオヤジ媒体で、強烈な煽り文句やえげつない惹句の裏に、ありとあらゆるものに対するねたみや反感が見え隠れしていた。そしてこの時、叩きがいのある「水に落ちた犬」は、芦原吹雪だった。(91p)
    ・ようやく脱げたときには、またひとつ賢くなっていた。「人間四十をすぎたら着られない服がある。見た目や若作りというレベルではなく、生物学的に」‥‥。このまま順調に年を重ねれば、わたしはいずれ賢人と呼ばれるようになるかもしれない。(111p)
    ・おまけに、だ。仮に彼女が裏カジノに関わり、警察内部から捜査情報を聞き出しては警察を小バカにする役割を担っていたとして、それがどうした。犯罪には違いないが、人の世の生き血をすすっているというほどでも、不埒な悪行三昧というほどでもない。警察が捜査するのは当然だとしても、退治てくれよう、なんて気分にはなれない。(224p)
    ・この人工的な街にくるたびに思うだが、関東ローム層の上で育った多摩の土着民からすると、湾岸地帯なんかで暮らす人間の気が知れない。ところが住民たちは、なんだかやたら幸せそうに住んでいる。(233p)
    ・着信があった。画面を見てうんざりした。調布東警察署の渋沢漣治だった。警官にさよならを言う方法は、二十一世紀になった現在も、いまだ発見されていない。(249p)
    ・通った幼稚園がカソリック系だったためか、わたしはシスターにすこぶる弱い。まして佐久間は園長先生に瓜二つだった。膝にすがりついて泣かないように気をつけなくては。(299p)←ハードボイルド文章ではないが、葉村晶の背景を知るためには極めて重要な一文。

    次いでにもう一つメモ。巻末にミステリ専門書店〈MUDER BEAR BOOKSHOP〉店長富山泰之のミステリ紹介がおまけとして載っている。いつか読みたいと思った作品。
    ・「警部銭形」原作モンキー・パンチ 作画岡田鯛 
    ・「殺意」フランシス・アイルズ 三大倒叙ミステリの一つ。
    ‥‥いかん。こんなの読んで行ったらドツボにハマってしまう。紹介中断。

  • 今頃という感じだが、若竹七海の作品を初めて読んだ。
    「女には向かない職業」という名作ミステリがあるが、本作も主人公は女探偵、いや元探偵だ。ずっとケガばかりしている主人公が読んでいて痛々しいが、ミステリの筋はよく出来ており、終盤もスピード感があってなかなか面白かった。タイトルも気が利いている。誰にさよならを言う手口なのか、最後まで読むと納得のオチだ。
    本筋の面白さとは別に、ミステリ通の作者ならではの色々なミステリのタイトルが出てくるだけでなく、解説までしてくれているのはとても嬉しい。早速この中で出てきた作品のいくつかは今後読もうと思うリストに入れたくらいだ。

  • 今、最も日本でタフでハードボイルドをしている女探偵葉村晶。今回は一段と不運具合が大盛りになっているが、それにもめげずに大活躍大活劇を見せてくれます。葉村晶の魅力が満載の作品になっています。
    悲劇になる一歩手前でコミカルな味付けもあり、あまり深刻にならずに楽しめます。メインの事件は相当深刻にも関わらず。

    今回は、メインの事件以外にも数々の小事件が絡み、とんでもなく複雑な展開を見せるが、少々詰め込みすぎの感が否めない。最終的には収集がつくのだが、もう少しシンプルなストーリーでも良かった気がする。

    おまけのブックガイドが楽しい。

  • 仕事はできるが、不運すぎるタフな女探偵『葉村 晶』シリーズ第5弾❗️

    前作の『悪いうさぎ』に比べると、後味の悪さは若干緩和されつつも、相変わらず傷が絶えない事件に巻き込まれる葉村が、とても不憫に思えます❗️

    ストーリーは前半から引き込まれる展開で、長編シリーズでは1番好きな作品となりました。

    おまけにあるミステリーの紹介では、読んだことがある作品は殆どなかったので、いつの日かチャレンジしてみたいと思います。

  • 若竹七海さんの作品、今回初めて読みました。

    著者、若竹七海さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    若竹 七海(わかたけ ななみ、1963年 -)は日本の作家。東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。夫は評論家(バカミスの提唱、ミステリ映画の研究で知られる)の小山正。

    で、今回の『さよならの手口』は、葉村晶シリーズの13年ぶりの長編だという。
    たまたま手にしたにしては、良いところに当たったという感じ。

    『さよならの手口』の内容は、次のとおり。(コピペです)

    仕事はできるが運の悪い女探偵・葉村晶が帰ってきた!

    探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。当時娘を調査した探偵は失踪していた――。


    よれよれの読了という感じですね。
    筋が複雑なミステリーを読むのは、ややストレスがたまるようになってきています。

  • 葉村晶シリーズの長編作品。主人公の葉村晶同様、読み手も疲れ果てたり、興が乗って一気に読み進めたりと、気ままに読む結果となった。主人公が何度も入院する結果となったりして、おいおいストーリーが重すぎはしないかと呆れたり、でも面白く読み終えた。

  • 再読。
    まずタイトルが良い。チャンドラー作品に出てくる有名な言葉『警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない』から来ているのだが、『さよならの方法』でも『さよならの手法』でもなく『さよならの手口』としたところに葉村晶シリーズらしさを感じる。

    親が子に、子が親に、夫が妻に、妻が夫に、友達が友達に、過去の傷に…様々な『さよならの手口』が出てくるが、いずれも最悪な形で晶に突き付けてくる。
    女性でありながらこれほど痛め付けられ傷を負うという設定の探偵も珍しいが、彼女はそこを諦めつつも受け入れ探偵としてやり遂げていく。

    だが結末はあまりにもハード。晶自身が振り返るように、彼女は誠実に働いたが、何かが違っていたのだろう。
    クールで手抜きをしない探偵だが、感情がないわけではなく、時折熱くなりお人好しにもなる。そこが彼女の魅力であり弱点でもある。

    脇役としては厭な警察官だが当麻警部は結構好きだった。また晶のバイト先である古本屋の富山店長の理不尽さも健在で好き。
    彼のお陰で警官にさよならを言う方法は見つかっていたというオチも笑える。
    四十代に入ってますますハードな葉村晶探偵の活躍を今後も期待。

  • シリーズものが読みたくなって、この作品の次(静かな炎天)をずいぶん前に読んでそのままになっていた葉村晶シリーズを読んだ。
    満身創痍というか、話が進むにつれ(葉村の推理が進むにつれ)、身体と心を痛めつけられる。次も読みたいと思わせてくれるのは葉村晶の不屈さと優しさかな。
    和製ハードボイルド。最後の一文も、”ロンググッドバイ“。

  • 本筋(ミステリー)以外の話で恐縮だが、主人公・葉村晶が非常に魅力的。

    物語の始まりは廃屋でカビ臭い蔵書の取り出し、遺品整理。

    晶が押入れの多量の蔵書を運び出そうとした瞬間、腐食した床を踏み抜き、下水まみれの床下に落下し、骸骨に頭をぷつけながら気絶し骨と肺をやられてしまう。

    意識を取り戻すとそこは病院で、結局、同室の患者から調査依頼を受けるハメに。

    満身創痍で始まり、周りの人や警察から雑多な扱いを受けたり疎んじられたりする。

    踏んだり蹴ったり、そして厄介ごとが重なってくる毎日なのに、晶はめげない。

    晶の魅力は、肉体、精神の強さというより、ひたすら愚直に、時々は間違いもしながら、前に進む力。それも孤独であるのに。

    愚痴りながら、感情を時には爆発させながら、時にはギリギリで踏み止まりながら、というのも非常に共感を覚えて楽しい。

    僕が、伏線や推理を理解、堪能するにはあと2回くらい読み返す必要があると感じる。

    まーちゃんさんの本棚で「依頼人は死んだ」と本作を知り、今回は推理というか、晶の遭遇する事件や、心理を見ていくことで非常に堪能できました。

    今後も本棚と感想、参考にさせていただきます。

    ありがとうございました。

    • shukawabestさん
      コメントありがとうございます。ここ1か月大好きなブクログや本に関わる余裕がなくて、拝見したのが今になりました。

      まーちゃんさんの感想は、よ...
      コメントありがとうございます。ここ1か月大好きなブクログや本に関わる余裕がなくて、拝見したのが今になりました。

      まーちゃんさんの感想は、よかった、という気持ちが直接的に心に伝わってきて、実際読んでみるとその通りなので、とても参考になります。

      今後も引き続き、本棚とその感想を参考にさせて頂こうと思っています。

      ただ、僕が個別のフォロワーさんの名前を出してお礼を書くと、「いいね」だけで済ませられないかも、と考えるとそれが申し訳なくて、今後は一律「フォロワーさん」という表記に統一しようと思っています。

      これからも引き続きよろしくお願いします。まーちゃんさんの感想にピーンときたら僕も読んでみるようにします。
      2021/11/27
    • まーちゃんさん
      返信(?)ありがとうございます!

      僕の名前を書いてもらえるのは、僕は嬉しいです。

      僕も、shukawabestさんの本棚、感想を参考にさ...
      返信(?)ありがとうございます!

      僕の名前を書いてもらえるのは、僕は嬉しいです。

      僕も、shukawabestさんの本棚、感想を参考にさせていただきます(ネタバレになっているのは、読んでから、になりますが。)

      よろしくおねがいします!
      2021/11/27
    • shukawabestさん
      ありがとうございます。
      それでは、まーちゃんさんの感想に惹かれて読んだときは今まで通りにします。

      でも、「いいね」をつけなくても構いません...
      ありがとうございます。
      それでは、まーちゃんさんの感想に惹かれて読んだときは今まで通りにします。

      でも、「いいね」をつけなくても構いませんし、スルーでも構いません。決して、ご無理や負担にならないようにされてくださいね。

      今後もよろしくお願いします。
      2021/11/27
  • 葉村晶シリーズ。盛りだくさんの長編。
    読みはじめて早速ケガしたかと思ったら、今回はほんとに何度病院のお世話になることかと、何か自分の手やら足やらまで痛くなりそうだった。
    最後は志緒利がどこにいるのか?いつ姿を現すのかが気になっていたけど、そんなとこにいたのかと驚き。
    前のほうを読み返してしまった。
    舞美は、図々しいのと調子が良いのがちょっと気に入らなかったのだけど、まさかのそうでしたか。ショックではないけど、晶の苦い想いとかを思うと騙された感満載。
    もっと騙されたのは息子か。なんだよそれ。
    でもようやく熟睡できたというのでちょっとだけ人間らしさも感じられたか。
    そしてなかなかに秀逸な終わりかた。
    このタイトルはどこから?ということにもちゃんと応えてくれた。
    読みごたえ充分。楽しめました。

  • 相変わらず、満身創痍でヒロインとは思えないやられっぷり。ほんとにきつそう…前作で喧嘩別れしてしまった親友はそのままなのかな〜というところが気になって仕方ない。

  • 若竹七海の長篇ミステリ作品『さよならの手口』を読みました。
    『依頼人は死んだ』、『静かな炎天』、『不穏な眠り』に続き、若竹七海の作品です。

    -----story-------------
    仕事はできるが運の悪い女探偵・葉村晶が帰ってきた!

    探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。
    入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。
    当時娘を調査した探偵は失踪していた――。
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    2014年(平成26年)に刊行された、前作から13年振りとなる葉村晶シリーズの第4作です。

     ■さよならの手口
     ■おまけ ~富山店長のミステリ紹介~
     ■あとがき
     ■解説 霜月蒼

    探偵を休業し、ミステリ専門店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉でバイト中の葉村晶は、ある家からの古本引き取りを頼まれる……ほとんどあばらやのようなその家で、大量の本と格闘したが床が抜けてしまい、床下に落ちた葉村は怪我を負うと同時に、白骨死体を見つけてしまう、、、

    入院先で刑事に事情を聞かれた葉村は、ある事実を指摘……それが骨の身元判明につながり、事件は解決したのだが、話を聞いていた同室の入院患者で元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を頼まれ、引き受ける。

    一方、やめるつもりだったミステリ書店のバイトも続けるはめになったのだが、そこで女性客の倉嶋舞美と親しくなる……しかし、彼女は警察の監視下にあり、葉村は担当の警察官・当麻から舞美に対するスパイの役割をしろと強要されるのだった……。

    順番通りではないのですが、シリーズ第2作『依頼人は死んだ』、シリーズ第4作『静かな炎天』、シリーズ第7作『不穏な眠り』に続き、不運ながらも有能な女性探偵・葉村晶がさまざまな謎に立ち向かう葉村晶シリーズの作品です……本シリーズの長篇は初めて読みますね、、、

    前作から13年振りでも、長篇でも、葉村晶の不運な運命と彼女が巻き込まれる闇の中での奮闘や怒涛の展開と独特の語り口の魅力は相変わらずですねー 彼女の人間味あふれるキャラクターと事件の謎解きの展開が堪らない一冊でした……長篇だけに、アイデアや仕掛けがたっぷり詰まった贅沢な内容で、物語が重層的で深みがあり、とても愉しめました。

    遺品整理屋の伝手で遺品から出物のミステリを探すうちに押入れの床を踏み抜いてしまい白骨死体に出くわすという印象的なシーンで幕を開け、、、

    元女優から20年前に失踪した娘の捜索を依頼されたことをきっかけに、最初に調査した有能な元刑事が調査を完了しないまま姿を消していた謎や、失踪した娘の父親はだれかという謎、失踪した娘のはとこが絞殺された事件の謎 等々、失踪人探しから、いくつもの謎が生まれ、複数の嘘や策謀、秘密が解明されたり暴露されたりという怒濤の展開……多くの伏線が、最後には全て回収される展開もお見事でしたね。

    葉村晶シリーズの在庫は読み切ってしまいました……次は、若竹七海の別なシリーズを読んでみようと思います。

  • '21年1月23日、読了。若竹七海さんの作品、4冊目。

    葉村晶シリーズの、初の長編小説(「悪いうさぎ」を先に読みたかったのですが、手に入れてなくて…ざんねん!)でした。

    相変わらず、悪意のある嫌な人が、沢山登場して…そこは読んでてグッタリしますが、不思議と爽やかな読後感。だから、この人の作品は好き。
    謎解きよりも、僕はハードボイルド調の物語として楽しめました。葉村のセリフが、とても魅力的。冷ややかな、シニカルなユーモア、とでもいうのかな…楽しめました。
    最後のセリフ、マーロウの…大好きです。

  • たくましい女 かっこいい!啖呵切ったり、立ち向かう姿勢は良い。

  • 葉村晶シリーズ、文庫書き下ろし長編!
    本シリーズはNHKでドラマ化されているが、本作はドラマ化されていない。
    そんな原作本について、ドラマを見たことのない人、初めて読む人には短編から読むことをいつもお勧めしているが(慣れないと人は飽きてしまう)読書の楽しみを知っている人にはもちろん本作からでも。

    エピグラムには『ロング・グッドバイ』(長いお別れ)の一文。
    さて、過去の名作を下敷きにしすぎてミルフィーユになっているところはミステリファンにとってはたまらない。
    読んだことのない作品名も出てくるので、またまた読みたい本が増えていく。

    本作はかつての大女優、芦原吹雪の隠し子を探す依頼がメインになるのだが、葉村をつけ狙う妖しげな影、薬物パーティーの噂のある女の登場、隠し子の父の行方、警察からの内部リーク。
    ミステリ要素を詰め込みすぎて、大丈夫か、ちゃんと仕舞までいけるのか?!

    結論から言うと、お見事ツツツ(『刃牙』に出てきそうなセリフを吐きたくなる)。
    本シリーズの他作品も読み切らなければ!
    葉村晶のこの華麗なる、そして不幸っぷり、もう少し見なければ!

  • シリーズものの第一作でもなければ最新作でもなかった。
    でも面白かったわ~。

    四十代の元探偵事務所の調査員で、今は古本屋のバイト店員・葉村晶。
    彼女がめっぽうハードボイルド。

    全身打撲、肋骨二本にひび、おでこに大きなこぶ、そして肺がカビの胞子まみれ。
    これが、導入部の、本筋ではない事件での負傷。
    その後も、たった数日の間に何度病院に担ぎ込まれることか。

    しかし彼女はめげない。
    やらなきゃならないことは、身体を張ってでもやる。
    頭の回転は速い。
    そしてなんだかんだ言ってお人よし。
    ああ、好きだわ、こんな生きるのが不器用な人。

    二十年前に行方不明になった娘の生死は?
    彼女の父親は?
    失踪した探偵は?
    最後までゆるむことなく張りめぐらされた謎と罠。

    ミステリ専門の古本屋さんでバイトもしているものだから、懐かしい書名がたくさん出て来て嬉しい。
    そして店長のキャラクター!
    あくまでマイペースに自己主張を押しとおす。
    そばにいれば迷惑な人だが、傍で見ている分には実に愉快。
    ストーリーの後味の悪さを、彼のキャラクターが随分中和してくれる。

    これも、シリーズを追いかけることになりそう。

  • 若竹七海さんのミステリー小説 初めて読みました。
    これは 女探偵 葉村晶シリーズだったんですね〜
    この本で初めて葉村晶を知る事になるんですけど タイトルからして訳ありな要素を含みつつ、内容も かなり面白かった ついつい読み入ってしまった ラストが呆気なく終わってしまった感じがした…女性探偵ならではの サバサバした性格でありながら 人を気遣うところなど とても 主人公に好感を持てるし、細かく調査してゆく道順が面白かったし、結構痛い目に遭いながら臨んでゆく姿に
    ミステリーではないドラマ性を感じられ 前作の葉村晶シリーズを読みたくなった。葉村晶シリーズに期待大!

  • もともとハードボイルドで、ひどい目にあうシリーズだけど、今回は特に悲惨。長編だと、ずっとひどい目にあい続けて見えるから?
    20年前の失踪事件など、雲をつかむような話なのに、泥くさく、しぶとく、粘り強く調べていく。
    動けば動くほど、厄介ごとを抱え込んでいくのが、葉村らしい。ちりばめられたエピソードを回収していくのが圧巻。
    アルバイトからみでのミステリの話が興味深く、読みたい本リストが増えた。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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