西川麻子は地理が好き。 (文春文庫 あ 67-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902216

作品紹介・あらすじ

読めば地理の楽しさを学べるユーモアミステリー

「世界一長い駅名とは」「世界初の国旗は?」などなど世界地理のトリビアで難事件を見事解決。地理マニア麻子の地理推理事件簿。

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーの切り口が新鮮で面白い。西川麻子は教材開発会社の地理担当で、恋人の刑事の尾谷和寿が持ち込んでくる事件を、得意の世界地理の知識を駆使して鮮やかに解いたり、解決の糸口を与えたりする。殺人事件が多いが、全体的に主人公の明るい人柄を反映して、ほんわかしているし、へえっーと思う地理の知識が増えて、なかなか楽しい。6編。

  • 《「好き」を追求する大人達》
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    「好き」を仕事にするって、どうやるんだろう?

    地理苦手なんだけど、なんで勉強しなきゃいけないの?

    自分のやっていることに充実感を見いだせない。なんで自分は働いているんだろう?

    こんな疑問をお持ちの、少年少女、そして社会人の紳士淑女の皆さん。
    今回は「好き」を、そして塾や学校で習ったことを応用した仕事にしている人の生活を、少し覗いてみませんか?

    今回の主人公は、地理好きが高じてテキスト出版社で中学生向けの地理テキストの編集を行う女性、西川麻子。恋人の若手警察官、尾谷和寿に頼られる彼女は、持ち前の地理の知識を使って、事件のヒントを彼に提供しています。
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    国旗の話、日付変更線の話、地図記号の
    話、動物の話等かつては塾講師もしていた麻子の「講義」こと地理のトリビアは分かりやすく面白い話ばかりで、大人の私でも思わず惹き込まれてしまいました。

    また、麻子以外にも、和寿の警察の仕事にかける情熱や、各話の中で様々な人達がそれぞれの職業にかける情熱を垣間見られるのも良いところ。
    読めばきっと地理が少し楽しくなって、自分が夢中になれることを見つけたくなるんじゃないかなと思います。
    あなたが夢中になれることも、もしかしたら今学んでいることや、なんとなく取り組んでいる身近なことの中にあるかもしれません。

    【ひとりごと】
    温かくて、時に少し切ない師弟関係や愛情関係が描かれる中で、「恋人」であるはずの麻子と和寿の関係があまりにもあっさりし過ぎているのが気になりました。
    いくら仕事が好きだからといって、デート中にも仕事の話をし、恋人を情報屋のように使うものでしょうか?
    そんな人から「授業が好きだ」と言われたところで、私なら素直に喜べないなと思ってしまいます。
    これなら恋人以外の関係の方がまだしっくりくるなと思ってしまうのですが、これには何か理由があるのか…?

    面白いのですが、どこかモヤっとした読後感が残るお話でもありました。
    続編や姉妹シリーズも合わせて読めば、ふたりについて何か分かるのかも…?

  • 地理の教材編集者が持前の地理の知識を駆使して事件を解決する探偵”的”なお話し。地理の知識が刑事事件の解決に寄与するという展開は新しいといえば新しいのですが、残念なのは登場人物それぞれの能力と立ち位置の組み合わせがイマイチな感じがして、どれも中途半端な印象を抱きました。
    ・麻子:
    地理の知識はさすがというべきレベルですが、いかんせん刑事ではないため主人公であるにも関わらず事件解決への関わり方が受け身にならざるをえない
    ・尾谷:刑事という立場であれば麻子より能動的に事件解決に関与できる立場だが刑事としての能力はまだまだ
    ・中沢警部:
    物語的には麻子、尾谷につづく第3の登場人物という立場、であるにもかかわらず、その推理・洞察力には目を見張るものがあり、事件解決への影響力という点では3人の中ではもっとも大きいかも(主人公の麻子をしのぐのではないかと)

    という状態で非常にアンバランスな感じで”軸”になる人物が不在なんですね。そのせいか、読み進めるなかで自分をどの登場人物に投影させる(=その登場人物の視点で物語を読む)のがやりにくいというか、投影対象が定まらないといいましょうか…。そのせいか、収録されている話しのなかで唯一事件ではない「大将の地図記号」だけはそういったアンバランスさを感じずに読むことができ、このストーリーがもっとも心に残りました。特に大将の想いと子供たちに残したものが”器”だったというオチは寿司屋の大将らしい”粋”があらわれていてよかったです。
    一方、事件を起こす犯人側の心の内面や事件を起こすに至った葛藤などは非常に人間くさい一面が描かれており、この点における構成は良いのではないかと思いまして、星は3つにしました。

  • 完全犯罪に果敢に挑むのは、『地理』をこよなく愛する地理ガール探偵『西川 麻子(にしかわ まこ)』。

    真っ赤に塗られた密室の殺人現場や、遺言状に隠された地図記号の謎、アフリカ タンザニアにある赤い死の湖、などなど。

    短編が6編収められており、それぞれ世界地理の知識無くては、解けない難問揃い。

    ストーリーは、あまりシリアスにならず、軽い文体でスラスラ読め、豆知識も付きます。

    最初に犯行シーンが描かれる『倒叙ミステリー』の書き方は、古畑任三郎や福家警部補などと同様、個人的には大好きです。

    なお、警察官が民間人に捜査内容を漏らすのは、ご愛嬌でしょうか?(笑)

  • いくら恋人とはいえ、主人公の麻子に捜査状況をベラベラ話してしまう刑事ってどうなんだろと思わなくもないがそこは置いておこう。

    テキスト編集者という聞き慣れない職種の麻子か、得意な地理の知識を使って難事件を解決していく。

    随所に地理の面白いうんちくが披露されているので、そこが面白い。全体の 構成としては、そのうんちくを披露する為に全ての事象が進んでいる感が強すぎ。

    しつこいぐらい言及される警部の鳩時計のくだりは正直ウザイ。ウザいくせに 最後までなんで持っているのかは明かされなかったが、続刊があるらしいのでそっちで明らかになるのかな?

    話としては地図記号の話が一番良かった。

  •  ライトミステリーの気軽さに地理のトリビアがトッピングされていて、ちょっとお得感(笑)があっていい感じ。
     主人公が地理の学習用テキストの編集者というピンポイントな職業なのも面白く、次回があるなら主人公の仕事場や同僚と事件が絡んだ話があるといいのになぁ。

  • 地理の知識で解決する推理小説の短編集で、ちょっとありえないけど、謎解きは面白い。短編なのがもったいない気もする。

  • 地理ミステリいいですね。さらっと読める1冊。

  • 地理のトリビアを用いて事件を解決していくところが新鮮でおもしろかった。
    世界地理をもっと勉強したくなった!

  • 浜村渚シリーズ同様、登場人物の気持ちの起伏はわかりづらい
    でも、地理についてよく知っていることからマニアックなことまでが織り交ぜられて出てくるので、「今度は地理の本を読もう!」と読書の意欲を沸き立たせてくれた。

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著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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