テロリストのパラソル (文春文庫 ふ 16-7)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902247

作品紹介・あらすじ

乱歩賞&直木賞ダブル受賞、不朽の傑作ミステリ!爆弾テロ事件の容疑者となったバーテンダーが、過去と対峙しながら事件の真相に迫る。逢坂剛・黒川博行両氏による追悼対談を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 著者・藤原伊織さんは、1948年生まれで2007年に亡くなっています。(享年59歳)

    この作品は、1995年に発表されていますが、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始---

    1995年、ギャンブルでかさんだ借金の返済のため、賞金1000万円を目当てに『テロリストのパラソル』を江戸川乱歩賞に応募し、受賞する。翌年、同作で直木三十五賞も受賞した。それまでに乱歩賞受賞作が直木賞の候補になったことや、乱歩賞受賞作家が直木賞を受賞した例はあったが、同一の作品で二賞を受賞したのは史上初であった。

    ---引用終了---

  • 知人におすすめしてもらって。江戸川乱歩賞と直木賞のダブル受賞作。
    とあるアル中のバーテンダー・島村が、いつものように新宿中央公園でおだやかに飲酒と昼寝をしていたところ、死者が複数でる爆弾テロ事件が発生。
    死者のなかに旧知の友人がいたこともあり事件の真相を追うことになった島村は、かつて全共闘運動に身を投じ指名手配までされた過去と改めて向き合うこととなり——。
    やくざとかも絡んでくるどっしりとしたハードボイルドだった。その中で、島村がアル中という設定が緩衝材のようになっていて良い感じだった。アル中がでてくる小説にはずれなし。

  • 史上初の江戸川乱歩賞&直木賞のW受賞作とあるので期待。
    「東西ミステリーベスト100 死ぬまで使えるブックガイド。」 文芸春秋 平成25年1月4日発行 で国内編のベスト47位 。

    大まかなストーリーは、
    アル中のバーテンダーの島村は、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇 。島村はその爆発の直前ある少女と公園で会話を交わす。彼女の父親は公安の大物であり、彼もテロの犠牲者に。

    この爆破テロで死者は18人、負傷者が47人。島村が過去に3ヵ月だけ同居していた女で園堂優子の娘と名乗る松下塔子が店に現れ、その優子は今回の事件で亡くなっていることを知る。優子の父は大蔵省出身の元大臣。大学生時代の学生闘争を共にした桑野もまたこの爆破事件で死亡したと聞かされるが・・・。


    この作品は1995年に出版されたので、時代背景はやはり今となっては古い印象を受ける。作品の中では学生運動の時代までさかのぼる場面もある。
    携帯電話が普及する以前であり、作品中にパソコンが登場するが、新聞のデータベースにアクセスできることだけが機能として書かれている。 インターネットが一般的に普及する前の話。
    読み終わったあと、評価の高さや期待したほどには面白い作品とは思わなかった。驚くようなトリックもないし、話の展開に意外性を感じられない。

  • とてつもなく面白かった。大満足。
    世間から身を隠すようにして寂れた店の雇われ店長兼バーテンを務めるアル中男が主人公。日課の公園でのアルコール摂取中に、予想外の無差別爆破テロに遭遇。その被害者としてかつて共に“罪”を犯した親友や一時期同棲した彼女の遺体が発見されたため、自分で爆弾犯を探し出すために行動を開始しちゃう、というストーリー。
    この間抜けで適当なのにバカじゃない、何気に頭が切れて行動力に溢れた主人公がめちゃくちゃいいキャラだった。その他の登場キャラも典型的な人物造形かと思いきや、みんな活き活きとしていて彼らの掛け合いがとても魅力的だった。特にこんなカッコいいヒロイン久しぶりに見たな~と好感度が天井ぶち抜いた。笑
    キャラクター小説としても、真相解明を図るミステリー小説としても、裏社会を描いたハードボイルド小説としても楽しめる。本当にすごい面白かったという純粋な感想しか出てこない。
    主人公の過去の罪が明かされたときからもうエモい…主人公と親友の関係性にBL的な匂いを嗅ぎ取ってしまった私のような腐った人間には、あの哀愁を帯びたエンディングは最高過ぎました。

  • >>乱歩賞&直木賞ダブル受賞、不朽の傑作ミステリ!爆弾テロ事件の容疑者となったバーテンダーが、過去と対峙しながら事件の真相に迫る。

  • 良くも悪くもハードボイルド。登場人物全員かっこいい。好みの問題だけど、もう少しかけたところのある人間が出てくるお話の方が味わい深くて好きかな。

  • 初のハードボイルド作品でした。

    主人公の語りで淡々と進む中で、文章をしっかりと読ませて頂きました。

    知らぬ間に引き込まれて感情移入してた様に思います。

    とても重いお話だったかと思います。

  • ダブル受賞は伊達じゃない。私が近読している作家のダブル対談も良い。電通マンは早世するのか…むべなるかな
    いつも映像化作品を話題にするのだが、ショーケンのドラマ、うっすら覚えてる。調べてみると、根津甚八やら高橋恵子やら、村井国夫やら。絶対好きな配役やん。しかも、音楽は近藤等則ときた。ただ、このメンツだと大杉漣はちと違うな。続編的作品だと白竜がやってるわ。石橋蓮司ではあかんかなぁ

  • 乱歩賞&直木賞ダブル受賞、不朽の傑作ミステリ!となれば、読むしかないでしょう。
    大満足でした。ごちそうさま。

  • 僕が「ハードボイルド小説」の作法と考えている条件が4つある。
    ①登場人物がやたらひねくれた会話をする。
    ②主人公ははみ出し者である。
    ③ご都合主義の偶然がなければ事件は基本的に解決できない。
    ④探偵役となる主人公は劇中に必ず一度は酒場を出たところで襲われボコられる。
    本作「テロリストのパラソル」はこれらを全て満たす純ハードボイルド作品である。好きな人はとことん好きだが、合わない人にはツッコミどころだらけの作品にしか見えないのがハードボイルド。困ったことに、主人公にとってのウイスキーみたいなもので、僕はこの手の小説を読み始めると止まらなくなるのである。おかげで夕食を食べそびれた。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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