ほむら (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2014年12月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167902544

作品紹介・あらすじ

20代有吉佐和子の天才が輝く傑作短篇、復刊!



女犯の咎で寺を追われた僧侶、王昭君の肖像画を描く画家の懊悩。人間普遍の精神の血しぶきを鮮やかに描く初期傑作短篇集!

みんなの感想まとめ

人間の深い業や精神の葛藤を描いた短篇集は、独特の言い回しと情報密度の濃さで読み応えがあります。登場人物の立場や状況に奥深さがあり、さまざまな解釈が可能で、読者を引き込む魅力を持っています。歴史的な背景...

感想・レビュー・書評

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  • 人間の欲や信仰、こだわり。

  • ★3.5のおまけで。
    表題作が当方の好みかな、登場人物のどの立場にとっても奥深さがあって幾重にも想像が可能で面白い。これが20代の作品か、娯楽も兼ね備えた才人ですな、改めて。

  • 味わい深い短編集。独特の言い回しはやや難しくもあり、そして情報密度が濃く、二度読み返してしまうが理解できないことはない。故に短編であってもとても読み応えを感じる。
    歴史上の史実や言い伝えをヒントにより深いフィクション要素を取り入れてあるらしく、歴史に照らし合わせて読んでも興味深い。どの作品も印象に残るが第八戒などは強烈ですね。戯曲石の庭は龍安寺の庭の見方が変わりそう。
    知らなかった歴史にも興味が持てた。

  • 洗練された大人の文学。
    時代小説で、人間の業やら燃え盛るような心情を淡々と描いた8話からなる短編集。
    初期の作品らしいけど、これを20代で書けるなんて昔の作家は今よりも随分成熟してたんだ・・・と思う。

    子供の頃、大人の小説を読んでも意味が分からなかった。
    単純に言葉の意味が分からない、というのもあったけど、大人の感情の流れというものが理解できなかったから。
    それが歳をとると分からなかったものが分かるようになった。
    そして、今はもう分からない、というものが少なくなってきた。
    それなのに、この短編集では1作目から登場人物の心情が分からず、「あれ?」となり、あせってしまった。
    ただ、分からないというのは何かを考えさせてくれる。
    その意味でも個人的に読んでいて有意義な気持ちになれる本だった。

    「ほむら」
    主人公の少女の仕える媼の家には僧の住む庵がある。
    少女は媼から僧が庵に住むようになったいきさつを聞く。
    彼は若い頃、女犯の罪を犯し、落ちる所まで落ちてここに流れついたのだと言う。
    そして、庵に住みついてから20年経った現在。
    媼は少女にある事をほのめかす。

     これを読み終えた時、「分からない!」とあせった。媼の気持ちが分からない。僧が反対の事をしたなら分かるのに・・・。分からないから作者がすごいと思うし、自分はまだまだだな・・・とつくづく思った。

    「赤猪子物語」
    赤猪子という若く美しい女性はある日、川辺で猪狩りに出向いた帝と出会う。
    帝は彼女に求婚し、女はその言葉を信じてずっと年月を重ねるがー。

     この話はよく分かった。主人公の女性の心情が手にとるように分かる。それは自分もある程度歳をとったからだと思う。これを20代で書ける人って空恐ろしいと思う。

    「千姫桜」
    将軍の姉、千姫の一夜の余興として女歌舞伎の一座が呼ばれた。
    その中には唯一の男性で元武士の四郎がいた。

    「紫絵」
    大店の跡取りとして生まれながら人気画家となった白磁という男性の話。

    「「薬湯便覧」由来」
    仕立物の仕事をしながら掏摸をする美人のお勢。
    彼女はある男に掏摸を働き、それがもとで彼とつきあうようになる。

    「第八戒」
    キリシタン弾圧の頃、キリシタンでないのにそうだと誤解された女郎の話。

    「落陽」
    後宮の女性を描く事で人気絵師となった男。
    老いた男のもとに新たに後宮に入った女性を描いてほしいという依頼が入るが、彼はその美しさを絵におさめる力がなかった。
    彼が描いた肖像画は似ても似つかないみすぼらしい絵で、それを見た帝王は彼女を乱を起こした匈奴に贈ることにした。

    「石の庭」
    寺に枯山水を築く庭師の姿をシナリオ形式で描いた話。

    どの話も微妙で繊細な人の心の流れがあますところなく描かれていて、それを目で追うだけでも十分楽しめる。
    大きな出来事や奇をてらったことをしなくても、ちゃんとした物語としての骨格と文章力があればこれだけ読みがいのある話になるんだな・・・と思う。
    相変わらず、読んでいる時は引き込まれ、読み終わったらしみじみとした余韻と感慨のある本だった。

  • 女犯を犯した僧、それを匿う嫗、炊事を担う娘の3人を描いた「ほむら」、かつて求婚された嫗が帝に会いに来る「赤猪子物語」、とある夜に行われる歌舞伎を軸に2組の男女を描く「千姫桜」、絵に非凡な才を表した男の荒んだ家庭生活を描く「紫絵」、年増の女と顔に大きな痣のある男の馴れ初めと顛末を描く「『薬湯便覧』由来」、とある妓楼で切支丹となろうとした遊女と女郎を描く「第八戒」、王昭君の似顔絵を描くことになったものの思うように行かず苦悩する絵師の「落陽」、庭師として名を残したいと思う弟と諌める兄、それを取り巻く人々を描いた「石の庭」を収録。「『薬湯便覧』由来」だけは少し異質なように感じられるが、いずれも人の業と意思の深さ重さを感じる作品だった。あとがきに曰く、著者は生前「(自分の作品を)面白いと思ってもらえたらいい」と言っていたとのことだが、今までも『非色』『断弦』など読んできた身としては著者の作品は、interestであれfunであれ「面白い」という気軽な形容はあまり似つかわしくなく、むしろ文学的な価値の高さを感じる、考えさせられるものがほとんどのように思う。いつかこれらの作品の中に面白さを感じられる日が来るのだろうか。

  • 作者的早期(1955-1961)短篇小說集。真的是篇篇珠玉之作,值得細細品味。王昭君的寫法主角放在畫工上,令人覺得相當新鮮。

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著者プロフィール

有吉 佐和子(ありよし・さわこ):1931年、和歌山市生まれ。作家。東京女子大学短期大学部英語科卒。1956年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』『和宮様御留』など話題作を発表し続けた昭和を代表するベストセラー作家。1984年没。

「2025年 『有吉佐和子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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